4話 私の魔法
「…………ア!」
「……ネイア」
「オルネイア!」
「良かった、目が覚めたのね」
オルネイアが目を覚ますと胸の痛みと共にレグナの抱擁に遭った。
「ごめんなさい。私、魔法が出せなかった」
「いいのよ。オルネイアはここで休んでて。まだ胸の傷、痛むでしょ?応急処置とクラリスの薬の効果でマシになってるけど絶対安静よ」
「レグナはどこに行くの?」
「戦場に決まってるでしょ?安心して、ここは戦地から離れてる軍を指揮するような安全な場所よ。実際、アルセリアの一つの拠点なの。敵は来ないから」
「そうじゃなくて、その酷い怪我」
レグナの左腕は今にも引きちぎれそうなほどの傷を負っている。
<数分前>
「イグゾルゥゥゥゥ!!!」
「ボゥ、ボゥ、ボゥ」
火球が飛び交う。
「ゼファル!オルネイアを安全な場所へ」
ガルディアが叫ぶ。その一瞬の油断でガルディアは敵軍の猛攻に押されてしまう。ゼファルは迅速にオルネイアを運び出す。しかし、その間、イグゾルの魔法で傷を負ってしまった。
「大丈夫だぞ、オルネイア。意識をしっかり保って」
あるアルセリアの拠点に辿り着き、ゼファルはオルネイアを休ませる。そして、状況を兵士に伝え、すぐに戻っていった。
「レグナ、加勢する」
「ゼファル、イグゾルのあの魔法って」
「ああ。オルネイアの魔法だ。使節団の時、奪われたんだ」
「じゃあ、やることは一つね。あいつをぶっ飛ばして、魔法を取り返す!」
「グシャ」
「レグナ!」
「おいここはいいから、退いてろ!」
「大丈夫よ。これくらい戦場だったら、かすり傷よ。じゃ、行ってくるわね」
「レグナ、待っ…」
オルネイアが言い終わる前にレグナは行ってしまった。オルネイアはすぐにでも自分にできることを探し始めた。そもそもなぜ魔法が使えなかったのか。そして、思った。アビスが使った魔法は紛れもなく自分の魔法だったと。魔法が奪われた?だとしたらどうすれば戻せる?操者を倒すしかない?そんな混乱がひしめく中、彼女は崖の上から戦場を見た。空を見れば、青く雲ひとつない快晴だった。奥に広がるのは青々しい森、山。どこまでも続いている。しかし、崖の下は戦場。そして彼女は、
「世界に終わりはあるのか」
そんな疑問を抱いた。その刹那、彼女の中にさまざまな思い出が走馬灯のように溢れる。レグナやサリシア達と初めて遊んだこと。母上が優しかったこと。ガルディアとバカをして一緒に怒られたこと。王になってもゼファルが優しく接してくれたこと。それら全てが彼女の一つの決断に導く。
「迷っている暇など無い。勝利は自ら取りに行くものである」
そして、彼女は戦場に向かって叫ぶ。
「私たちは絶対に勝つ。そして………彼を助ける」
彼女は気迫に満ちた表情で言った。その言葉が荒れ狂った戦場に届かなくてもいい。それは、味方の軍への言葉ではなく、自分の弱さへの言葉なのだ。彼女の目に映るのは、必死に敵の軍と戦う味方兵の姿である。これが戦場なのだと。これ以上、犠牲が生まれないためにも、敵だとしても限りある大切な命だから。これは私が償うべき罪だから。オルネイアの力強い足が彼女を戦場へと連れていく。そして彼女は歩く。自らの罪を終わらせるために。
読んでいただき、ありがとうございます。ここで、少しだけ作品のことについて。今回は、オルネイアの成長回となりました。少し短めですが、今後の彼女の活躍に期待していただきたいです。また、かなり遅くなりましたが、この作品での「光」と「闇」についてですが、この作品では、闇も光もどちらが悪という風に定義しておりませんので、その点だけご了承ください。それでは、これからもよろしくお願いします。




