3話 ヴァルセリア王国の猛威
アルセリア王国の訓練場、そこはアルセリア王国が誇る場所で、世界でも貴重とされる理岩と呼ばれる非常に硬い素材で作られていた。(この場所ではどんな魔法を放っても外に被害が及ばない)ガルディアとゼファルは日課である訓練を行なっていた。ガルディアの重い拳がゼファルめがけて下される。ゼファルもすかさず風魔法を放ち、その風の斬撃はガルディアにかする。その後も激しい戦いが続き、訓練場付近は激しい音が響く、訓練場に来ていた兵士たちはその戦いに介入できるはずもなく、陰で立ち尽くしている他なかった。しかし、それに介入したのはレグナだった。
「私も混ぜて」
その言葉と共に炎魔法が二人めがけて放たれる。レグナはアルセリア王国一の炎魔法使い。彼女も混ざることで、より戦いの勢いが増した。
戦いの後、軽い雑談をするまでが日課である。
「日に日にガルディアの拳と目に殺意が宿っているようで怖いよ」
レグナが言う。ゼファルも続ける。
「そんなこと言って、僕はいつも君の方が怖いよ、レグナ。風は必然的に炎に弱いんだから」
「そんなことは力で解決すればいいだろう?最近は、レグナの風の斬撃の断片なら弾き飛ばせるようになったぞ」
何も考えていないような声が飛び出す。それに呆れる二人。言い忘れていたが、これも日課である。しかし、その日課にも今日は変化があった。レグナの探知魔法が発動した。
探知魔法:一般的に使われているのは、設置型で自身が求めるものが設置された魔法の探知内に発生した場合、操者に伝達するようにする魔法。高度なものになると、常に発動でき、自身の周りのすべての事象を感じることができる。
「急いでオルネイアに報告しないと。奴らが攻めてきた」
オルネイアに状況を説明する。
「ヴァルセリアは契約を破ったのかしら?どちらにせよ対処が必要ね」
「どっちでもいいさ。あいつらは俺らに歯向ったんだ。迎え打つしかねぇな」
ガルディアがいつもの勢いで言った。オルネイアは、
「ごめんなさい、みんな。私が安易な決断なんかしたから」
「何言ってるの?責任なんか、みんなにあるんだから。そもそも、本当に無謀な決断だったら、わっち達が止めてたわ」
クラリスが諌めると、皆同意する。
「ドゴォォォォン!!」
一瞬であった。およそ2キロメートルほど離れた場所から、砲撃が行われた。ヴァルセリア王国である。炎魔法で強化されているようだ。それにより、強固な門が壊されてしまった。幸い負傷者はいないようだった。そこからは、迅速にことが運んだ。オルネイア、レグナ、ガルディア、ゼファルを含む兵士たちが進軍。サリシアとクラリスを含む非戦闘員は、国にとどまった。決戦の場所は広い荒野であった。荒野を埋め尽くすのは、黒や赤で統一された野蛮な風貌の軍と白で統一された規則正しく整列された軍。その軍の大将はヴァルカスとオルネイアだった。両者は睨み合う。
「ブォォォ!!」
レグナの炎魔法が飛び交った。その魔法は敵軍の一部を焼き尽くした。開戦の狼煙である。弓で相手に牽制を行うのは魔法を扱えないものである。魔法を扱えるものはごく一部であり、その中でレグナやオルネイア達は別格であった。砲撃の音は、両軍が交互に撃つため、鳴り止まない。この戦場にいるだけで、鼓膜が破れるようである。剣を交えるものも多くいる。アルセリア軍は基本に忠実で、無駄のない動きだが、ヴァルセリア軍は乱暴で隙が目立つが、力があり、両者互角である。拮抗している状況の中、戦況を変えるのはレグナ達であった。
「どけぇぇぇ!!」
火炎弾が直進し、数メートル先で爆発する。彼女の周りには敵軍は存在しなくなるのだ。(実際は失敗したトースターのようになっている)更に、ガルディア周辺では、敵軍は地響きで立てないようだ。その隙を狙って、
「吹っ飛べー!!」
言葉の通り、敵が無惨にも吹っ飛ぶ。実に人間花火である。ゼファルも負けじと風魔法と、素早い動きで敵軍を翻弄する。
「今回の戦も長くなりそうだ」
その刹那、戦地の中央に颯爽と現れたのは、
「遅れて申し訳ありません。ヴァルカス様」
イグゾルであった。盛大な登場を前にオルネイアは、目つきを変える。
「彼女には私が話をつける」
オルネイアの溢れんばかりの殺気に、物怖じしないイグゾルの威圧感。両者の間に付け入る隙もない。
「どう言うつもりかしら、イグゾル。契約はどうしたの?」
「フッ、何をおっしゃいますか。先に手を出したのはそちらでしょう?私の部下があなた方が仕込んだ毒で死んでしまったのですよ?」
「そんな、何を言って…」
「バゴォォォォン」
イグゾルの雷魔法が炸裂する。それを間一髪で避けるオルネイア。
「人を殺すものは自分も殺される覚悟でないと」
そして、二発目が打たれようとした時、オルネイアも魔法陣を構える。
魔法陣:魔法を詠唱あり(基本形)で扱う場合、魔法の位置を定めるために作り出すもの。無詠唱で行う場合はより素早く強大な力の魔法となるが、かなり上級
そして煌々とした魔法陣から放たれたのは、一粒の雪の結晶だった。目を丸くするオルネイア。
「何で?何で出ないの?」
「おやおやまあまあ、氷魔法を出したかったのですか?いいですか、氷魔法というのは、」
「ゴゴゴゴゴゴォ、カチカチカチ」
「こういうものです」
戦場の中心に聳え立つ氷の壁。その一片はオルネイアの胸を貫いた。
「オルネイア!!」
「陛下!!」
「やつを殺せ!!」
「オォォォォ!!」
意識が遠のいていくオルネイアに聞こえた憤怒の嵐。しかし、その命はイグゾルの声でかき消されていく。そして意識が朦朧としていた中、オルネイアが感じたのは、
「あれは『私の魔法』」
読んでいただき、ありがとうございます。少しずつアクションを取り入れて参りました。自分はアクションの描写がとても苦手なので、至らぬところもあるかと思いますが、そこは許して下さい。これから、戦いは加速していきます。これからもお楽しみ下さい。




