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LEGENDS  作者: クライブ
第三章 闇との決闘
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31話 天界での決戦

(これは不味いな)

アルヴァがこう嘆くのも無理はない。穣穢結界がいとも容易く破壊されているからである。それを破壊した張本人は光の魔王ソラリスであった。ソラリスは「妖魔族」である。元々、妖魔族の最大軍勢「妖魔族軍(エリトル)」の少佐というような位置についていたのが彼である。そんな彼をルシエルが勧誘したところから始まった。


ソラリスは美男子とでもいうような風貌である。額には一本の美しい銀の角。クリーム色のウェーブかがった髪の毛に白色の鎧を身に纏っているが、重厚感などはアルヴァと比べて少ない。そして、特に目立っているのは槍のような武器である。その槍の切先は、彼の角と同じもののようである。この槍が先ほど穣穢結界を破壊したのだ。

「凪万理蹴爹彌籠手奈七峯躋傳!!!!」

ソラリスの言葉である。言葉というより叫びに近いだろう。彼はすでに闇に染まっていた。そして最悪なことに、染まっていたのは彼だけではなかった。

「グォォォォォォォォォ!!!!!!」

「ドガァァァァン!!!!」

ラグディオスの咆哮が岩となって天界の大地を割る。更に、

「キェェェェェェェェェ!!!!!!」

ラグナの周囲に光の玉が現れ、その玉は城に激突していく。その攻撃は絶えず繰り広げられていた。ラグディオスとラグナは竜やドラゴンのような見た目で、ラグディオスは茶色、ラグナは白い鱗を纏っている。その鱗は硬く、並大抵の魔法では効かない。彼らは「竜王族」であった。この世界の守護者の一族。普段は人のような姿をしているが、戦闘時には「竜王化」により変身する。今は完全に暴走状態である。竜王族の攻撃はアルヴァの聖結界でなんとか攻撃を抑えられているが、辺り一体を無作為に攻撃しているため、城や街への被害が大きい。

(クソ!このままでは......)

「アルヴァ!俺たちも力を貸すぜ!」

ガルディアが言った。

「下がっていろ!お前たちの力は借りない!」

「何でだよ!このままじゃみんなやられちまうだろ!」

アルヴァは口を聞かなかった。そして正面から突っ込んでくるソラリスに対して三重にも張った穣穢結界を張った。更にソラリスを牢獄結界で閉じ込め念には念を入れている。牢獄結界が光に包まれ爆発する瞬間、ソラリスが決壊を難なく破り、穣穢結界をも破ろうとする。それを破られたら本格的に終わりである。一枚、二枚とすぐに破られていく。そして、三枚.......

「もう我慢ならん!喰らえ!闇・天炎乃翔!」

「やめ.......」

痺れを切らしたヴァルカスが最大魔法を繰り出した。

(ああ、このままではお前たちまで標的にされてしまう)

アルヴァがここまでヴァルカスたちに攻撃をさせなかった理由、それは、ソラリスたちの標的にされないためである。ソラリスたちは幸いなことに、理性等を失っており、攻撃が単調である。故に無作為に攻撃しアルヴァのみを狙っていた。アルヴァはこのことに気づき、隙を見てヴァルカスたちを退避させようとしていたのだ。だが、これでそんなアルヴァの思いが完全に打ち砕かれた。このままではヴァルカスや他の者たちが無惨にも殺されてしまう。

「........」

「毒殺陣!」

「炎焼禍!」

「風轟流!」

「..................」

「岩力破!」

「光乃希歌!」

(思ってたのと違う......)

彼らの攻撃は通用していた。というか、戦いになっていたのである。ヴァルカスとゼファルがソラリス。クラリスとレグナがラグディオス。ガルディアとサリシアがラグナを相手していた。それぞれの連携は勿論、彼らの実力は魔王に届くほどまでになっていた。

(おかしい、おかしいぞ!こんなにも成長するものなのか!?いくら何でも成長速度が早すぎる!)

そして徐々に強まる彼らの存在感。魔力量だけで言えばアルヴァを上回る者もいた。数学的に言えば指数関数的に実力が伸びている。

「私たちだってあの戦いから訓練は怠ってないわ!」

「自分の無力さに何度も打ちひしがれて、ここまで来たんだ!もうオルネイアだけには背負わせない!」

レグナとヴァルカスが言った。

「はは......」

アルヴァが笑った。

「いいだろう。この結界の勇者アルヴァ、お前たちを援護する」

戦いは拮抗状態。だが、素の実力だけで言えばソラリスたちが圧倒的に優勢。理性を完全に失っているおかげで今の状態を保てているのだ。そうこの状態ならば、である。

「煌々光束砲(グランディア)・攪乱(ラプトル)!」

神々しい光の大光線がソラリスたちに直撃する。竜王族の鱗は一部が完全に欠損し、ソラリスの鎧が砕け散った。

「あちゃー(汗)弱めに打ったつもりだったんですけどね。案外脆かったですね」

「ルシエル様!」

「こちらは片付きました。後はこの3人を元に戻すだけですよ。失敗は許されません。いいですね?」

「「「はい!」」」

皆の士気がより高まった瞬間である。


「ガブリオ様、私はルシエル様の援護に戻りますので、失礼いたします」

「ええ、私も様子を見に行きます」

「え?は、はい......」

(やべー、緊張する。でもまだガブリオ様ならマシか?これが『力天使ミカディオ』様だったら怖すぎて動けなかったかもしれぬな)

フェンリスの心の声は冷や汗として漏れ出ていた。そして、そんな緊張をほぐすかのように獣王化で城の外へと出る。


外へ出るととんでもない光景である。200メートルはあるような巨大な茶色の竜とそれより少し小柄な白い竜が展開を暴れ回り、それらの周りを小さな光が飛び回っている。更に、地上の広場では素早い光が大きな結界を掻い潜り、飛び回っている。そして、宙にはルシエルの姿。今は光波動で様子見を行なっているようだ。そんな素早い状況把握を終えたフェンリスに驚きの人物が語りかける。

「遅かったですね?寄り道ですか?」

「ッ!?いえ......」

ガブリオである。フェンリスは時速1000キロメートルもの速さで走れる。全くもって寄り道などしていない。それなのにこのガブリオはフェンリスよりも早く、ここまで来ているのだ。次元が違う、それを再度理解するフェンリス。精神的にも疲れてきたフェンリスに魔法通信が入る。

「戻ってきましたか、フェンリス。あなたも加勢しなさい。今最も危険なのはソラリスたちです」

「承知しました、ルシエル様。ルシエル様は何を?」

「私は彼らの洗脳魔法の解析に努めます。それまで持ち堪えてください」

そうして会話は終わる。

(流石はルシエル様だ。迅速に対応なされている)

一方のルシエルはというと、

(やばいやばい!ガブリオ様が見てる!絶対失敗できないわ!)

この有様である。そして、ルシエルのおふざけはそこで終わった。

(集中しましょう。彼らの元に戻さないと)

彼らの心に干渉し、洗脳魔法を解析する。それは並のものができることではない。覇人王でもできることではない。これは、ルシエルだからこそできることである。


ガブリオはその光景を見ていた。

(あれがラファリオが気にかけていたという者たち......以前は勇者族であったのに英雄族に覚醒していますね)

そう思案しているガブリオの姿勢は体育座り。そう、体育座りである。完全にお遊び気分。緊迫したムードが壊れる光景である。だが、美しいのでどんな姿でもOKです!


(戻ってきなさい!戻ってきなさい!)

そう心の中で叫ぶルシエル。

「龜葉芽茅廼碼能間顧峯捗!!!」

「グワァァァァァ!!!」

「キェェェェェェ!!!」

それぞれの荒ぶる声が聞こえる。しかし、心のどこがでもがき、抗う声も聞こえた。

(見つけた)

(もう大丈夫ですよ。よく頑張りましたね)

ルシエルの温かい光が彼らを包み込んだ。そして、3人は動きを止めて、光り輝き出す。彼らから闇が取り払われたのだ。

「ふぅ、終わりましたね。あなたも協力ありがとう」

「いえいえ、それが私の責務ですから」

そう答えたのは、ネフィルである。こんなにあっさりと封印が解けて良かったのか?そう、普通はありえない。だが、ネフィルの魔法が覆したのだ。運命乃賭事、それによって運を操作したのだ。

運命乃賭事:物事の運命や確率を変化させる。それは敵味方問わずに適応され、ありえないような事象をも引き起こす。千載一遇のチャンスを作る、正に賭事である。

天界の戦いはこのようにして幕を閉じたのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。アビスの件が気になるかと思いますが、一旦戦いを見届けていただきたいです。これで光の魔王は全員出演しましたね。全員の名前と特徴的が言えますか?まあ覚えてなくてもいいです。こんな奴いたっけぐらいでも構いません。以前もお話ししたように、皆様にこれから覚えていただけるように魅力的なキャラ作りに努めていきます。ちなみに今回出てきた魔王の種族などは今後大事になっていく予定です。お楽しみに。それではまた。

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