24話 天界へ
24話 天界へ
<魔界>
「作戦はどうするんだい?」
マリスカが問う。
「いや、皆んなで乗り込むっていう僕の作戦は......」
「それは一旦保留よ」
「酷いのネ!マリスカ!」
そこに意外な助け舟が入った。
「私は賛成よ」
アビスである。
「それはどうしてだい?」
「ええ、お兄ちゃん。私が考える作戦では、お兄ちゃんの力が必要だからよ」
そして、アビスの作戦が皆に伝えられた。
「今現在、奴らは天界に向かおうとしているわ。そこで天界に着いたアイツらを突くのよ」
「ちょっと待ちな!天界といったら私たちの魔法が効きづらい光属性が蔓延ってるじゃないか!大体、何で奴らが展開に向かうなんてことがわかるんだい?」
実際に天界には光属性やその系統の魔法を扱うものが多い。それに対して、魔界は闇系統である。だが、天界も魔界もどちらにも他の属性を持つものがいて、更に、どちらにも一定数悪魔族や天使族が存在する。
「まあ落ち着こうよ、マリスカ。アビス、続けてくれるかい?」
「ええ、奴らを覚醒に導いたのが、あのルシエルよ。それで、奴らが次にやることとしたら、ルシエルに頼ることくらいなのよ」
「ルシエルだって?あの大天使が力を貸したっていうの?」
「そうか、それなら勇者族や英雄族に覚醒したことと整合性がとれるネ」
「そう、そしてルシエルは最近、闇の覇王に封印されて力が落ちているはず。こんなに奇襲ができる状況はないわ」
「なるほど、確かに闇の覇王も最近、封印を解いて少し存在感が弱かった気がするな」
「闇の覇王と光の覇王がお互いに封印し合ったんだっけ?本当に仲が悪いよな」
「ちょっと待つのネ!まだ、問題は残ってる。魔王たちはどうするのネ。2人で1人をやるならともかくタイマンだったら勝つ保証は少ないのネ。それに、光の魔王団にはあの戦い好きの3人がいるのネ!無理だと思うのネ」
イグゾルが止めに入った。それにアビスはニコリと笑う。
「その通りよ、イグゾル。だけどね、闇の覇王がその3人を倒したっていうのは聞いてるかしら?」
ハッとするイグゾル。そしてアビゴルは笑った。もう彼にはアビスの考えが読めているようだ。
「今、光の魔王団は6人のうち3人しかいない。その3人はまだ何とかなると思わない?」
「アビスは流石、僕の妹だね。残りの3人も実質脅威となるのは1人だけなんだよ」
「どういうことかしら?」
ロザルクが疑問を投げる。
「残りの3人はそれぞれ悪魔族、勇者族、そして獣王族だって話だ。まず、悪魔族だけど光の魔法を扱う可能性が低いことと、闇の魔法を扱う場合は、いい時間稼ぎになる可能性がある。それと、勇者族の魔王にはマリスカがいる。マリスカの大結界だったら5分ぐらいは、勇者族全員を閉じ込められるんじゃないかな」
「それで、最後の獣王族の魔王は2人で攻めるって話かしらね。あと1人の英雄族と悪魔族の魔王、光の覇王はどうするの?英雄族も油断できないくらいの脅威よ」
「英雄族と悪魔族の魔王は私が行くわ」
アビスが名乗りを上げた。
「アビス、君はあの英雄族に一回負けたのネ。勝てる保証はあるのネ?」
笑みを浮かべてアビスは言った。
「もちろんよ。もう彼女の魔法は見切ったわ。それに、魔王の方もいい作戦があるの」
「なるほど、じゃあアビゴルは光の覇王、アビスは英雄族、ロザルクとイグゾルは獣王族、アタシは勇者族をまとめて相手するってことでいいのかい?」
一同が了承する。
「さあ、そうと決まったら、天界に行こうか」
アビゴルは、久々の出陣で高揚しているようだ。ここにラウファが動き出した。
<アルセリア城>
「天界......」
「そこにルシエル、いやルシエル様がいるのか?」
ガルディアが恐る恐る聞いた。
「ああ、お前たちをお待ちだ。私は来たくなかったのだが、ルシエル様の頼みだから来てやったのだ、感謝するがいい」
そこに、ゼファルが不満げに言った。
「どうして俺たちを迎えに来るんだ?ルシエル様は何がしたいんだ?」
当然の疑問であった。
「ああ、ルシエル様はお前たちに今後の話がしたいそうだ。この世界と今起こっていることについて全てお話になるらしい」
それを聞いたオルネイアは何か決意を固めたように言った。
「わかりました。行きましょう!」
「オルネイア......」
「ありがとう、ゼファル。でも、もう決めたから。ここで何もしなかったら、何も変わらないもの」
そこにいたのは一国の王である。それに文句は言わない。皆が納得する。それがいつもの光景である。
「そうか、いい心がけだな。では、この王国には結界を張っておこう。今のうちに準備することだ。すぐに向かうぞ」
そして男は、会議室を去っていった。その後、オルネイアたちは準備を進めた。国王やその側近たちが一斉に国を出るなど前代未聞だと、批判が出るかと思われたが、そんなことがないのがこの王国である。皆、王を信じているのだ。オルネイアは、国王代理を決めて、国民に言った。
「皆んな、必ず帰ってきます。それまで待っていてください。だから安心して、笑って過ごしてください!」
随分と平和ボケした演説であったが、良いのだ。民達はそれで幸せそうに過ごすのだから。
男がやってきて2日後になり、出発する時が来た。国民たちがオルネイアを見送る。
「さあ、準備はいいな?」
準備ができていないものがいたら置いて行くぞとでも言うような顔である。
「転移!」
オルネイアたちが輝く。輝きが消えるとそこにいた勇者族と英雄族は、消えていた。オルネイアたちの天界での物語が始まる。
お読みいただき、ありがとうございます。遂に天界に出発しました。敵側の動きも相まって今後の天界での展開が楽しみになっていただけたら幸いです。あ、ダジャレじゃないですよ。ここで少しだけ設定の補足をします。天界は勿論、天国が元ネタです。呼び名はパラダイスのパラをとってきています。魔界と天界、あともう一つ似たようなものがあるのですが、それは後ほど。それでは今後もよろしくお願いします。




