21話 動き出すものたち
<数刻前>
オルネイアと対峙するのはアビスである。
「進化したのね、オルネイア」
「ええ、あなた達に勝つためにね、アビス」
そしてアビスはどこか悲しい表情をした。
「邪光!」
「氷戒!」
戦いが始まった。凄まじい戦いであった。アビスの邪光がオルネイアに向けられるも、オルネイアはそれをものともせず、アビスに接近する。そして、氷の斬撃をアビスに放つのだ。更にはアビスは氷戒や氷麗を駆使して応戦する。その光景は青い光と黒い闇の光が飛び交う光景であった。状況はオルネイアが優勢に思えたが、アビスは未だ邪光しか使っていない。その邪光を上手く扱っているのだ。本来であれば一本の光線である邪光を何本もの光に分散させて、攻撃範囲や手数を稼いでいる。ならば!と、オルネイアが先に仕掛けた。
「『月華乃氷』!」
その魔法により、アビスを中心に巨大な氷の華が咲き誇る。その花に触れると忽ち身体が凍ってしまうだろう。その力は氷麗と同等の威力である。更には、咲き誇った花の鱗粉が鋭い氷の柱となってアビスに向かう。これもまた、氷麗と同等の威力である。アビスの全身の細胞が、これはマズいと警告した。
「できれば、あまり使いたくなかったんだけどな」
ボソッと呟いたのと同時に、アビスに魔力が集中する。
「『覇邪乱光』!!」
アビスが掲げた手に一つの闇が現れた。闇からは無数の光が出現し、城の一部を飲み込んだ。その光でオルネイアの魔法はかき消され、更にはオルネイアも包み込まれていた。
(ああ、暖かい。私、もう終わったんだ。もう、何も考えなくていい。後は、ゆっくりと......)
(ダメー!!!)
オルネイアの頭に響く声。そして、オルネイアが意識を取り戻すと、そこにはクラリスの姿が。
「クラリス、登場!!」
「クラリス!?あなた、目を覚ましたの?」
「うん!なんか頭の中に声がしたから、目を開けてみたの。そしたら、おっきい光があって、それを掴んだら、みるみる力が漲ってきたんだ!だから、もう負けないよ!」
その元気な声に安堵するオルネイア。
「さて、みんなを起こすよ!『光乃希歌』」
クラリスの美しい歌声がアルセリア王国中に響く。そして、アルセリア中の怪物たちが次々と消滅していった。対闇系統必殺の技である。
光乃希歌: 数キロ先まで光の歌声により闇を浄化する魔法。絶大な闇には効かないが、ノクサリアの配下程度であれば対処可能。術者はかなりの隙を生み出すことになるため、一対一での戦いでは向かない。
アビスはこんな状況になっても表情ひとつ変えない。そして、
「そうか、クラリスも勇者族に覚醒したのだな」
とまで言っている。冷静すぎて逆に怖いくらいである。
「さあ、決着をつけるよ!」
<同刻 ソムクロスvsヴァルカス>
(身体が動かせない)
彼の片腕は欠損していた。そして、体の半分は一部抉れている。この戦いを制したのは、ヴァルカスであった。
「もう終わりだ」
「分かっていますよ。とても素晴らしい剣でした......いいですね......最初から何もかも持っているあなた方は」
「何がわかる。お前は俺たちのことを知らないだろう」
「フッ。それは......そうでしたね」
(アビス、ノクサリア、イグゾル、マリスカ、ロザルク、アビゴル。先に楽園に逝ってますよ)
ソムクロスは塵となって消えた。最期に居たのは紛れもない紳士であった。
<同刻 ノクサリアvsガルディア>
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ノクサリアの叫びであった。それは仲間の死を目の当たりにしてしまったためである。
「もう許さないのさ!!みんな纏めて葬ってやるのさ!!」
しかし、その怒りは呆気なく終わった。
「ハァ!!」
ガルディアが岩の斧をノクサリアに振り下ろす。ノクサリアの胸に大きな傷が刻まれた。
「ま、まだだ!!まだ、闇之館がある!!闇之種を破壊しない限り、闇は消えないのさ!!」
その時、闇之種が一斉に破壊された。なんの因果か、一斉に破壊されたのである。そうして、闇之館はあっさりと破壊される。
「ッ!?バカな!?闇之館が!?こんな奴らに......私たちが負けたのさ?」
「おめえ達はやってはならないことをした。その報いだ」
「うるさい、うるさい、うるさいのさ!!私たちはただ、楽園を......楽園......あれ?楽園に行って何をするのさ?はあ、もうどうでもいいのさ」
(意識が朦朧としてきたのさ。ゴメンなのさ、アビゴル。約束、果たせそうにないのさ)
「ソムクロス......今、逝くのさ」
ノクサリアが天を仰ぐ。これが、仲間の後を追って逝く姿である。
ラウファが2人死んだ。それを見たアビスの瞳にも涙が。
「最後にしましょう」
「ええ」
「オルネイア、加勢するよ」
「クラリス、ここは私に任せて。ここは、私が決める」
2人が真正面から向き合う。
「そう、そうなのね。あなたは英雄族にまで覚醒したのね」
それが動揺を誘うものだったのか、だが、そんなことでオルネイアの覚悟は揺るがなかった。オルネイアは氷の剣をしまって、魔力を集中させると、
「『波状麗冷氷期』!!」
「覇邪乱光!!」
とてつもない衝突であった。近隣の大地はその衝撃でわずかに揺れた。アビスが手に掲げた闇を無数の光に分散させようとしたそのとき、オルネイアの魔法が、アビスを丸々閉じ込めた。そしてその氷の球体は凄まじい衝撃を持ってアビスを含め、アルセリア城を氷で包んだのである。
オルネイアの波状麗冷氷期が収まると、そこにアビスの姿はなかった。すでに塵となってきえさってしまったのか、それとも......どちらにせよ、戦いは終わったのである。皆が氷のアルセリア城に集結する。ここにいるのは6人の勇者族と1人の英雄族である。種族が変わってもやることは変わらない。
「クラリス、大丈夫?」
「へーきだよ!皆んなこそ大丈夫?」
「まぁな!俺はすこぶる元気だぜ!」
「もうボロボロじゃないか」
「何を!ヴァルカス、お前こそ疲れてんじゃないか?」
「それよりオルネイア、この城、大丈夫か?ちょー寒いんだけど」
「あはは、ごめん」
「全くだわ、オル、私たちは国への被害を抑えるように戦ったのに、国王が自ら城を凍らせてどうするのよ」
「面目ない」
みんなに笑顔が戻っている。これが普段の日常なのである。
<魔界 中層部>
闇の覇王は歓喜する。
「よくやった、ラウファ!」
「流石です。まさか、奴らを英雄族を探す駒にするとは」
「あんな雑魚どもを魔王にするわけないだろう?なあ、ヴォイド」
「おっしゃる通りでございます。我らが闇の覇王『ゼルアーク』様。それで、見つけた英雄族はどうしましょう。今の所、数は一匹ですが、可能性としては七匹に増えるかと」
「それくらいだったら、あの3人に向かわせればいいよ。丁度、洗脳も完了したしね」
「承知いたしました。それでは、失礼します」
「ふぅ、これであの方のお役に立てる。私が尊敬するただ1人のお方、人魔族の王『覇人王』様!」
うんうん
いいね
いい感じだよ
セリフも増えたし
描写も上々
ありがとうございます
しかし
今後の彼らの強化は
どうするのです?
さらなる強敵には
今後太刀打ちできるのですか
ああ
それは君に全部任せるよ
御意
お読みいただき、ありがとうございます。遂に第二章が完結いたしました。これからの第三章もお楽しみください。さて、一つ報告がございます。第三章に入りまして、内容と人物がこれまでと比較にならないほど濃く、重くなり、文章量も増えて参ります。理由は分かりませんが、何故か第三章に入ってから一話あたりの文字数がえらいこっちゃになっています。よって執筆に時間がかかってしまっているため、投稿頻度を少し少なくさせていただきたいと思います。2〜3日に一回の頻度で投稿する予定です。大変申し訳ありませんが、どうぞご理解ください。では、第三章もお楽しみください。




