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LEGENDS  作者: クライブ
第二章 覚醒
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20話 覚悟

「分かっていますよ。彼らは弱くなかった。それだけのことです」

それは、少しだけ慌てていたノクサリアに向けた一言であった。

「アビス、その人質を使って動きを封じますか?」

「.......ええ、そのつもりよ。ただ、ここまで彼らがこんなにも早くやってきたのは予想外だった。彼らも無策でここにくるとは限らない。警戒した方が良さそうね」

その場に緊張が走る。そして城の入り口付近から悲鳴が聞こえる。

「ギェェェェェェ」

「パゴォォォォォォ」

ノクサリアの像の鳴き声である。

そして静かになったと思ったら、大広間に3人の大いなる勇者が姿を現したのである。


「随分と早いお帰りですね。そそくさと仲間を置いて逃げていったというのに」

「そうなのさ。そのまま帰ってこなければよかったのさ」

ラウファ達が牽制を仕掛ける。

「ああ、アレは俺たちには不本意だったからな。まあ、オレたちもチョー強くなったから、一度は引いた甲斐があったってもんだぜ」

「それに、俺たちはクラリスや俺たちを受け入れてくれたこの国を見捨てたりしない」

「......そう。じゃあ、クラリスは今殺しちゃうわね」

そうしてアビスがクラリスに向かって邪光を放とうとする。しかし、

「氷麗」

瞬く間にアビスとクラリスの間に氷の柱が立つ。そして更に、ヴァルカスの炎の大剣が黒い炎を纏い、ヴァルカスがそれを振り下ろすと、ラウファ達に炎黒のようなものが放たれた。そして、ラウファたちがクラリスと距離をとった隙にガルディアが救出する。見事な連携であった。

「あっさり取られてしまいましたね」

「そうなのさ。ならこっちも本気を出すとするのさ」

「夢魔乃児(コモリウタ)」

そうしてノクサリアの周りに60以上もの怪物が現れる。

夢魔乃児:殺した生物を自分の闇の力により配下とする。その配下は理性を失うという欠点があるが、痛みを感じず、その身体が壊れるまで、敵を襲い続ける。更に闇により強化されており、今回ノクサリアが操っていたのは、ノクサリアが常日頃殺していた野生生物や虫である。

(これでもう一度体制を整えるのさ)

しかし、そのノクサリアの考えはいとも簡単に打ち砕かれる。

「岩力破(ロッキーブレイク)!!」

ガルディアの岩の斧は地面を叩き割り、更にその衝撃は岩となって放射状に広がったのである。すかさず、ノクサリアは闇壁を展開。それを成し得なかった配下達は、いとも簡単に吹き飛ばされ大広間の壁を突き破り、どこかの部屋に行ってしまった。ガルディアが得たのは、魔法「岩力破」。衝撃波を岩に変えて攻撃する魔法。魔法を放てる方向は一方向のみだが、その攻撃力は、5倍にまで引き伸ばされる。

「オラオラオラー!!」

ノクサリアに向けて岩力破が幾度も放たれる。

(マズいのさ、マズいのさ!どうなっているのさ!前とは比べ物にならないほど、存在感と強さが跳ね上がっているのさ。このままじゃ闇壁も壊れて、死んでしまうのさ。ソムクロスみたいに自爆魔法は無いから完全に無駄死になのさ。このままじゃ、あの時の約束を......)


ソムクロスは完全に見誤った。今度こそ油断しなければ勝てる、そう思っていたのだが、予想が外れてしまった。

(この変化、進化としか言いようがありませんね。元々、人魔族よりも力がありましたから、勇者族に近い存在だとは思っていたのですが。だとしても、この強さは異常です。これまでとは比べ物にならない)

ヴァルカスは冷たい視線でソムクロスを凝視する。

(......!?これはあの魔王たちから感じる気配に似ている?!そう、そうですか。あなた方は奇跡によって覚醒を果たしたのですね。ならば、私も本気を出さなければなりませんね)

「フンッ!!」

ソムクロスの杖とヴァルカスの大剣が交錯する。そしてすぐに、ヴァルカスによってソムクロスの杖が押し返されてしまった。純粋な力比べでは、ヴァルカスの圧勝である。ソムクロスの体制が崩れる。

「ハァ!!」

勝負がついた、そう思われたが、ヴァルカスの大剣をソムクロスが躱す。これはソムクロスの魔法「反思考(アンチソート)」の影響によるものである。半思考は、対象のの思考とは反対のことを起こす魔法である。それに限定されるのは「避ける」や「当たる」などである。例えば、このとき、ヴァルカスはソムクロスに対して「大剣で斬れる」と思考した。そこで、ソムクロスは対象者をヴァルカスにすることで大剣がソムクロスに当たらないようにしたのである。普段はソムクロスを対象にし、自分が勝負に勝てないと思考することで、力を上げてきた。更に身体強化や闇玉の魔法でかなりの強さを誇っていたのである。しかし、それらは冷静な判断のもとで成り立つこと。いくらソムクロスであっても、強大な相手には抗えないのである。その時である。

「オラオラオラー!!」

友の死が近づいているのを察した。

(ノクサリアならば、一度体制を立て直すことくらいはできるでしょう)

「反思考!」

対象者はガルディアである。そして、ガルディアの岩力破が闇壁を壊したと同時にノクサリアを切り刻むかと思った。しかし、その衝撃波は、ノクサリアに直撃はしなかったのである。

「ッ!?ソムクロス!?」

(ああ、友よ。私たちの悲願を達成させるのです。私たちはラウファ、諦めたりはしない。諦めたりしない?そうですよ、私は諦めない!こんなところで終わってしまっては、私らしくありませんよ!!)

「闇玉!」

ソムクロスの頬に汗が垂れ流れる。それは紳士とは言い難い形相と風貌である。だが、

「そうでした!私はラウファの1人、『ソムクロス』!私は諦めない!必ず勝って皆で楽園を目指すのです!」

ソムクロスの覚悟が決まった瞬間である。

「とっておきですよ!『暗黒砲(ダークパルス)』!」

それは杖から放たれた極大の魔力弾である。しかし、それは闇に染まり、禍々しかった。本来であれば上級魔法に位置するが、50年前に覇人王が代替わりして、中級魔法の上位に位置づけられた。その魔法を見たヴァルカスはソルクロスがこの魔法で決着をつけようとしていると悟った。もう既にソムクロスの魔力は残っていない。では、こちらも全てを出し切ろうと。そうしてヴァルカスは大剣に自身の炎を込める。全身全霊、闇を焼き尽くす炎である。闇を滅するためにヴァルガスが望んだその魔法は、

「『闇(フレア)・天炎乃翔(フライアルエバー)』!!」

その瞬間、ヴァルカスの大剣が燃え盛り、天に昇った。その炎と闇が凄まじい光と闇と共にぶつかり合った。

お読みいただき、ありがとうございます。二章も佳境に入って参りました。今回のヴァルカスの攻撃は、名前に悩みました。まあ、いつもなんですけど(笑)ヴァルカスの大剣と炎、そして炎黒という特有の魔法。もうこれは「闇を滅する攻撃」。これしかないと確信しましたね。まだ、オルネイアとサリシアが残っていますが、今後しっかりと書いていきますのでどうかそれまでよろしくお願いいたします。

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