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LEGENDS  作者: クライブ
第二章 覚醒
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19話 逆襲

<アルセリア城>

「それにしても闇之館と闇之種の同化が遅いですね。何かの不具合でしょうか」

ソムクロスが疑問に思う。

「この国の光が多いのさ。そのせいで闇が弱まってしまっているのかもさ」

「どこまでも忌々しいですね」

「でも問題はない。私たちには時間があるから。お兄ちゃんがここに来るまでにはあと数日はかかる。それまで私たちの怪我の回復をしましょう」

アビスが総括した。

(さて、私は人質を......)

そしてアビスはクラリスに魔法をかける。

「何をやっているのさ?」

「闇を直接与えているわ。コイツは光属性。そう簡単に闇之館が効かないのよ。だから直接支配して、闇に堕とすわ」

「なるほど。一理ありますね」

その言葉で納得するソムクロス。そんなことで会話は尽きた。そして事態は一気に急変する。


<ハーレー山の頂>

ゼファルの叫び声がハーレー山中に轟いた。

「どうするの?これから」

一同が頭を悩ませる中、一人がある提案をした。

「一つだけ方法があるわ。だけど、危険だし、かなり不確定よ」

サリシアの提案である。

「先程のルシエルが放った転移魔法。あれの解析が終わった。ただあの魔法は魔力の消費が激しくて、私一人じゃ扱えない。みんなの力を貸して欲しいの」

本来、転移魔法は上級魔法と呼ばれる。魔法の階級にも区分があり、「下級魔法」、「中級魔法」、「上級魔法」、「高等魔法」、「皇級魔法」となる。実際、勇者族やラウファでは中級魔法までしか扱えない。勇者族の上位種族である「英雄族」や他の上位の種族であれば高等魔法や皇級魔法を扱うことができるのだが、サリシアは勇者族。しかも、なりたてでルシエルの高等魔法を解析し、さらに短時間で扱うことができるようになるなど、常軌を逸しているのである。

「できるの?そんなこと」

「一瞬見ただけだけど、見様見真似でやってみるわ。大丈夫。確かに魔力がなくなると言う危険があるけど、失敗するつもりはないから。私も怒ってるのよ。クラリスのこともだし、みんなのことも。一刻でも早く、奴らに一泡吹かせたいのよ」

それは心の底からの言葉であった。

「......わかった。信じるわ」

オルネイアがそう告げると、それに続いて他の者も同意した。

「じゃあ、私に魔力を注いで」

皆がサリシアに魔力を注ぐ。その瞬間、サリシアの雰囲気が変わった。

「転移(ワープ)!」

その直後、頂は光に包まれた。オルネイアはすかさず目を瞑った。


目を開けると目の前には闇のドームに包まれたアルセリア王国が広がっていた。

「派手にやられているな」

「ならば、派手にやり返してもいいということだね」

ガルディアとゼファルが意気投合する。

「じゃあ、入りましょう」

一同がドームに入る。するとそこは国民が倒れている姿が。

「皆、大丈夫!?」

「気絶してるの?」

「いや、これは闇に侵されていると言った方が適切だろうな。このままでは、闇に操られるのも時間の問題だろうよ」

ヴァルカスが冷静に告げる。

「今はどうすることもできないわね」

サリシアの一言は冷酷ながらも冷静で適切である。

「ああ、そうだな。それよりも問題なのは、王国内で闇が濃い場所が複数あり、そしてそれがどんどん強まってるってことだ」

ゼファルが勇者族に覚醒して得た魔法「認知(サーチ)」である。認知は周囲の魔力を感じ取り、状況や敵の総数を確認することのできる魔法である。しかし、その範囲は、術者の半径100mにまでしか及ばない。

「まずは、アルセリア城の大広間に大きな気配が三つ。おそらくラウファだ。そして、城下町の噴水広場に一つ。外れの森に一つ。大草原に一つだ。恐らくここに何かがある。俺は手分けして向かったほうがいいと思っているが......」

「じゃあ私はアルセリア城に行くわ」

「では俺も同行しよう」

オルネイアにヴァルカスが続く。ゼファルはその言葉に安堵した。危険であったとしても、物怖じなどできないのだ。そしてゼファルは、

「じゃあ俺は譲るよ。俺は殲滅のほうが得意だからな。ついでに街の化け物も殺っといてやる」

「私も遠慮しておくわ。まだ完全に魔力も回復してないし」

サリシアも続き、

「俺はリベンジしたいからな!アルセリア城に行くぜ!」

「え?私余り?!嘘でしょ?私もアルセリア城に行きたかったのに!」

「残念だったな!こういうのは早い者勝ちだって、異世界物語って本のア◯ンシュタインってやつが言ってたぜ!」

「言ってないわ!」

これはレグナとガルディアの会話である。

こうして、オルネイア、ヴァルカス、ガルディアがアルセリア城。レグナが噴水広場。ゼファルが外れの森。サリシアが大草原に行くことが決定した。


<大草原>

ここにもノクサリアの怪物は多く存在した。そして大草原に蔓延る物は虫系統が多い。巨大な蜂、大蛇のように長いムカデ、足の筋肉がとんでもない蟻の大群。それらの闇を纏った怪物が大草原だけで100は存在している。そのせいもあり、大草原の花々は踏み潰されていた。そこに一人の美しい女性が現れる。怪物たちの注目が彼女に向けられる。彼女が持つのは一本の毒々しい槍。空間に沈黙が流れる。動いたのは巨大な蜂であった。一直線に彼女、サリシアに向かって飛んでゆく。その刹那、蜂の大きな図体にサリシアの槍が貫通していた。

「キェェェェェ!!!」

「ごめんなさい。毒は私の得意分野なので」

そして崩れていく蜂の怪物。その光景を見て物怖じしてしまうの物たち。これでは、どちらが怪物かわからなかった。そして今度はサリシアが動く。

「ギョォォォォォ!!!」

またもサリシアの美しい槍捌きで翻弄していく。まるでそれは女王蜂のように、敵を突き刺しては毒殺していった。瞬く間に怪物は半数ほどに減ってしまったのだ。

「さて、そろそろ本気を出しましょうか」

そう言って槍を地面に突き刺すと、一つの魔法陣を展開する。

「毒殺陣(デスフィールド)!」

その魔法陣から出た毒の海のようなものが大草原を埋め尽くす。そこに逃げ場などはなかった。その海に飲まれると、残っていた物は骨のみ。

「ふぅ、終わりましたか」

そう全滅である。

毒殺陣:毒陣の強化版のようなもので、上級魔法に分類される。多くの魔力を扱う代わりに、その力は絶大で、周囲に毒の海を作り、敵の肉を溶かす広範囲魔法。

残ったサリシアは、限られた残りの魔力で「花咲(フラワーブルーム)」を出し、踏み潰されてしまった花々を元に戻らせた。

「ごめんなさいね。私たちの問題であなたたちを困らせてしまって。強く生きてちょうだいね」

そう花に声をかけるとサリシアはあるものを見つける。

「これは?」

それは禍々しい闇之種だった。


<城下町 噴水広場>

レグナは怒っていた。無数に出てくる怪物もそうだが、何より......

「ガルディアめ!自分だけ先に!」

とてもしょうもないことにである。

「グワァァァァァ!!」

「グシャ」

その刹那、熊の怪物の鋭い爪がレグナの顔に襲いかかる。しかし、その腕は床に転がっていた。

「私、今、怒ってるからね」

レグナの炎の剣が熊の怪物の腕を切り取ったのである。それでも尚、襲ってくる怪物。そしてその時、噴水広場に炎の渦が現れた。それはレグナが放った攻撃「炎焼渦(フレアヴォルデクス)」である。レグナが二対の剣を使って恐るべき速さで傍観していた怪物を含め、噴水広場や城下町にいた怪物60ほどを切り刻んだのである。切り刻まれた後の炎は消えず残り、炎の渦ができたのである。

炎焼渦:レグナの固有攻撃。炎の剣で多くの敵を切り刻むのに適する。その炎は消えずに残り、炎の渦を形成する。炎の燃焼能力も2.5倍にまで上昇し、さらには攻撃力、攻撃速度が上がる。攻撃ではあるが、強化魔法でもあるのだ。

残ったのは隅に隠れていた物やレグナから離れていた物。それらは今の状況が掴めていない。しかし、彼らに理性という文字はない。レグナの動きが止まった瞬間にレグナに襲いかかる。

「ゴォォォォォ」

またも一瞬にして30の怪物が切り刻まれ、死ぬ。

(思ったよりも魔力の消費が激しいわね。早く片付けないと)

「炎焼渦!」


数分が経った。噴水広場にいた、およそ150の怪物が跡形もなく消え失せた。そして倒れるレグナ。魔力が尽きたのである。

「はぁーあ。私もオルネイアと戦いたかったな」

そうして大の字に横たわる。ふとレグナが横を向くと、そこには禍々しい一つの種があった。

「何だこれ?」


<外れの森>

「これはまずいな」

それはゼファルの言葉である。ゼファルの認知で森を探ったところ、少なくとも200は怪物が隠れていることが判明した。

(どこから敵が攻めてくるかも分からねぇのに、進まなきゃいけねぇのか......)

しかしながら、森の奥から巨大な反応が現れている。それを見逃すなどゼファルにはできそうもない。

(ここで日和ったら奴らに笑われるだろうしな。それは是が非でも避けねばならん。俺の完璧のイメージが崩れちまう)

もともとそんなイメージなどはないのだが、そんなことはお構いなしのゼファルである。


森に入っていくと、いつもの森とは違う雰囲気が漂う。

(おかしいな。こんなにも静かだと逆に不自然だ。そろそろ敵さんが来てもいい頃合いじゃ......)

「ゲェェェェェ!!」

「バゴン!」

ゼファルの頬を鋭い何かが掠める。それと同時にゼファルの後方の木が倒れた。その何かはカエルの怪物の長い舌であった。そのカエルは素早く木という木に飛び移り、ゼファルを撹乱している。見る人が見れば、ゼファルがただ突っ立っているように見える。しかし、ゼファルはただ見ているのだ。その動きを。

「ゲェェ!?」

その瞬間ゼファルが消え失せた。そして、森に突風が吹く。突風というのは語弊があろう。ゼファルの攻撃である。一瞬にして動き回っていたカエルの怪物の首は落ちてしまった。それと同時に近くに潜伏し、漁夫の利を狙っていた怪物たち100の首も落ちたのだ。首を切り終えたゼファルは動きを止め、その風の細剣をしまう。そしてボソリと呟いた。

「風轟流(プリーズドロアー)」

ゼファルが覚醒したことで放った攻撃である。

風轟流:ゼファルの固有攻撃。突風の如く速さで敵を切り刻む。その速さは時速200キロメートルにも及ぶ。これも炎焼渦と同じように強化が行われ、速度が4倍、攻撃力が1.5倍となる。

ゼファルはさらに風轟流で敵を切り刻んでいき、闇の最も濃い場所へと向かう。

(この先には何があるんだ?まさか、新手のラウファか?)

その先にあったものはゼファルの予想とは異なった物であった。

「これは、種?」


<アルセリア城 大広間>

静寂なその状況は一瞬にして一変する。大広間に近づいてくる気配、それが三つ。ノクサリアは自身の手駒たちが全くもって役に立っていないことを実感する。

「奴らが生きて帰ってきたのさ!」

お読みいただき、ありがとうございます。文字数が半端ないことになりました。まあ他の方々と比べると大したことないですけどね。個人的に勇者族と人魔族の格の違いというものを表したかったので、かなり強めの魔法を用意しました。インフレしすぎかな?後はオルネイア、ガルディア、ヴァルカス、クラリスだけですね。今後どんな活躍をしてくれるのか、ぜひ楽しみにしていてください。

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