18話 勇者族へ
勇者族への覚醒、それには武器の創生が必要である。
「どうするんだ?これから」
ゼファルの一言から沈黙が広がる。
「どうするも何も、武器とやらを作るしかないだろう?」
「どうやって?金属から剣でも作るのか?鍛冶屋にでも頼んで?」
ゼファルは詰める。
「確かにそんなことで覚醒してしまえば、勇者族とは案外簡単になれるものになってしまうものな」
「何か特別なものが必要なのかしら。特別な金属を使うとか」
ヴァルカスとサリシアが続ける。皆が思案している中、オルネイアはボソッと呟いた。
「......魔法...」
「魔法?」
「魔法で武器を作る。例えば炎の剣だったり」
「何でわかるの?」
「ルシエルは魔法を上手く行使できる種族が勇者族であると言っていた。なら、魔法を巧みに扱って武器を作れるようになれば覚醒できるかも」
「いい案も浮かばねーし、それに賭けてみようぜ」
もうこれに反論する者などいない。そもそも、ここにいる者は皆、王についていく者たちであり、友なのだ。
それぞれが自分の魔法に向き合い、その力の根源を辿る。この世界には魔力というものが存在する。そしてその魔力を魔法陣や自分の体内の力に乗せて魔法という力に還元しているのだ。そしてこの世界のあらゆる者は魔力からできている。その魔力の密度はそれぞれ異なるが、人魔族は生まれつきかなり少ない。しかし、オルネイアたちは違う。生まれつき魔力が多く、その魔力をうまく扱える。その体内の魔力を完璧なまでに認識し、魔法を扱うことでより高等なものが行使できるようになるのだ。そしてそれは武器創生にも繋がる。
静かな時間が流れる。皆目を瞑って、自分の魔力を高めているのだ。
オルネイアは自分の数々の業を思い返した。自分の魔力を高めるということは、自分を見つめるということ。自身の国、国民、そして、ヴァルセリア王国との対立。自分の決断によって物事が決まってしまう立場で、不安を抱えていた彼女にとって大切な仲間。そんな彼女自身をも受け入れて彼女は前へ進んできた。そして魔力もそんな彼女に応えようとした。
オルネイアは目を瞑っているはずなのに一つの光を見つけた。
「あの光は?」
その光に近づこうとした瞬間、その光は塵となって消えてしまった。確かに彼女の決意は固いものであった。しかし、心のどこかで不安がある。当たり前である。この世で不安を捨てられる者など多くはないのだ。彼女の覚醒は失敗に終わったのだ。
まだだ、そう簡単に諦めきれない!オルネイアはその屈強な意志で自分に立ち向かう。たが、この世界では少なくとも「奇跡」などは起きない。起きたとしても何者かの因果によるものである。それがこの世界の「理」であるのだ。
オルネイア以外の者も覚醒という名の「奇跡」は起きなかった。彼らにも光が現れ、消えていく。時間だけがたつ。まだ誰一人として諦める者はいなかった。まだだ!と。その時、彼らの心に光が宿った。その光は彼らの魔力に力を与えた。覚醒という名の「奇跡」である。それが何故起こったのかはわからない。しかし、彼らは確実に覚醒していた。ここに六人の勇者族が誕生したのだ。
目を覚ますといつも通りではない仲間がいた。何が違うかって?あり得ないほどの存在感が出ていたのだ。更に、各々が武器を持っている。オルネイアは、皆を救う美しい銀白の剣。レグナは、情熱の燃え盛る二対の剣。サリシアは、禍々しくも美しい紫の槍を携えている。ヴァルカスは消え失せることのない炎の大剣。ガルディアは巨岩で作られた斧。ゼファルは冷静に牙をむく風の細剣。それぞれの魔法で武器が作られていた。
「皆、成功したのね」
サリシアが言う。
「ああ、もちろんだ!」
ガルディアが答える。
「これで奴らを叩き潰せるな」
「そう焦ってはダメよ、ヴァルカス。サリシアの命と国民の命がかかってるの。冷静にならなきゃ」
オルネイアの言葉である。しかし、
「でも、負けっぱなしじゃ顔向けできないわね。今こそ反撃の時よ!」
オルネイアの言葉でその場の全員が士気を高める。
「ところで、どうやって王国に戻るの?」
「ん?そりゃ、レグナよ。歩いて......あ......」
ここはハーレー山の頂。オルネイア王国から数キロ離れているのである。歩きとなると少なくとも半日はかかる。
「ぬぅぁにしてんじゃぁぁぁぁぁ!!!!このバカルシエルがぁぁぁぁぁ!!!!」
決戦まではまだ遠い?ようである。
お読みいただき、ありがとうございます。遂にオルネイアたちの覚醒が終わりました。これでようやく色々な魔法が出せるようになります。実はこの物語、インフレが激しいんですよ。なので、どうやって主人公たちをインフレに置いてかれないようにするかが非常に難しいです。「伝説級の人物の血縁者」とか、「生まれ変わり」とかだと後付け感半端なくて僕はあんまり好みじゃないんですけどね。でも、一番整合性とかはとれるのかな?ていう感じでぼちぼち考えていこうと思います。次もどうかよろしくお願いします。




