15話 陥落
どこまでも続く黒い空間に1人の女がいた。漆黒の髪に白い瞳。しかし、その瞳孔はなく意識があるようには思えない。女が空間に手をかざし、空間を切り裂く。そこから溢れるのは無数の光。光は空間だけではなく、外までも覆い尽くした。そして、その女は美しい銀髪に変貌する。
「行かなきゃ」
その場に沈黙が続く。全てはアビスが掌握しているのだ。しかし、そんな雰囲気などいつものように彼がぶち破る。
「アビス、やはりお前......裏切っていたのだな!」
(お前がいうんかーい!)
一同がガルディアに視線を向ける。
「邪光!」
その光線はガルディアに放ったものだった。速度は時速100キロメートルまでにも上るだろう。それほどまでの殺傷能力があった一撃がアビスから放たれる。そして、死んだような目のアビスから出たのは、
「そうよ。私はラウファの一人、アビス。あなたたちを騙し、情報を仲間に伝えていた張本人よ」
そしてアビスは驚くべきものを見せる。クラリスである。クラリスは昏睡魔法をかけられ、抵抗する様子はなかった。
「人質、ね。さあ、攻撃の手をやめなさい。さもなくば、クラリスの命はないわ」
そうして止める他ない一行。
「アビス。どうしてこんなことを?」
オルネイアは問う。
「ああ、クラリスは光属性の魔法を扱う。私たち闇系統の魔法を扱うものにとって天敵みたいな存在なのよ。だから、先に無力化した」
「そうじゃない!何で裏切ったかって聞いてるの!」
「私がラウファだから。それだけよ......」
その答えに笑みを見せるノクサリアとソムクロス。淡々と答えるアビス。それはどこか悲しげな表情を見せていた。
「ではトドメをさすとするのさ」
「ええ、私たちの目的を果たさなければなりませんしね」
ノクサリアたちがオルネイアたちに魔法陣を構える。
その瞬間、オルネイアたちが光り輝いた。
「これは、転移魔法?」
「まずい!」
「闇玉!」
しかし、その魔法は当たらなかった。城にはソムクロスやノクサリア、アビスに人質であるクラリスのみ。
「くそ!逃げられたのさ!」
「すぐに追いかけますか?」
「大丈夫でしょ。もう彼らは虫の息。今すぐにはどうこうできるはずもない」
追跡しようとするソムクロスやノクサリアたちをアビスが冷静に諌める。
「それもそうですね。しかし、アビスには感謝をしなければなりません。よくあの状況で彼らを抑えられましたね」
「そうね。もしあのまま攻撃を続けていたら、ソム、自爆魔法を発動していたでしょ?そうなったら、私も危ういからね」
「確かに、アビスにはマジ感謝なのさ」
「それで、その人質はどうします?始末しますか?」
「私は始末に賛成なのさ」
「いいえ、始末は後でにしましょう。もし、彼らが生きていた場合、この人質を餌にできるわ」
「......そうですね。アビスの言うとおりにしましょう」
「それよりも、あの転移魔法は何なのさ。僕たちでさえあんな上級術式の魔法はできないのさ」
「それは追々考えましょう。まずは、この国の掌握です」
そういうと、ソムクロスは大魔法陣を掲げる。それに力を加える一同。
「闇之館!」
その瞬間、アルセリア城を含め、王国は巨大な闇のドームに包まれた。王国が陥落したのである。国民は皆、闇に包まれた。そして、ソムクロスの意のままに動くのである。
闇之館:ソムクロスが他者の力を借りてやっと発動できる、中級術式の支配魔法。その領域は半径3〜5キロメートルにも及び、巨大なドーム内では術者の支配域となる。
「これでよし。後はアビスが蒔いてくれた各地の『闇之種』と同化すれば、この魔法は消えることはなくなります。あとはこの国を私たちの拠点にすれば......」
「私たちの名を現実世界に馳せるよい成果となるのさ」
不敵に笑う二人。闇之館はどんどん濃くなっていく。
<アルセリア王国から数キロ離れた山「ハーレー山」にて>
その頂にオルネイアたちはいた。皆気を失っているようだが、彼らに近づく者がいた。者というのも変かもしれない。一つの光り輝くオーブである。
お読みいただき、ありがとうございます。ここに来て後書きの内容が詰まってしまいました。何分本編も状況があまり進んでないですからね。ではここで今後のことを。今後はより世界が広がっていく予定です。今は魔界という敵の住む世界が顕になっていますが、もちろん他にも精神世界はあります。なので、その世界でのお話や新しいキャラクターなんかも登場させる予定です。今第三章を書いていると個性がすごいキャラたちが満載になってしまいました。これは、皆様に少しでもキャラを覚えていただくための企業努力です。と言った感じで、次回は新キャラ登場の予定です。お楽しみに。




