14話 裏切り者
「ウォォォォ!!!」
「バゴン!ドゴン!」
ゼファルの拳がゴリラのような敵に襲いかかる。その拳をゴリラの拳が受け止めた。強さは互角。しかし、ゼファルの拳からは風の刃が張り巡る。それはゴリラの皮膚に容赦なく切り掛かっていく。ゴリラに意思はないのか、痛さなど気にしていないような様子だった。
ヴァルカスはというと、ソムクロスと対峙する。
「喰らえ!」
「ドゴン!!」
「フフフ、素晴らしい技術ですね。炎砲、いや炎撃ですか。それを巧みな技術で拳に纏うとは。攻撃力は1.5倍、いや2倍にも強化されるでしょう」
(攻撃が当たらない?!何かの魔法か?)
そして、
「身体強化」
ソムクロスは自身の杖をヴァルカスに向け続ける。
「闇玉!」
放たれた魔法は直進する。しかし、それをかわすのは容易であった。
(なんだ?この遅い魔法は)
その刹那、
「ドゴォォォォン!!」
躱したはずの魔法がヴァルカスに命中していた。
「フフフ、滑稽ですね!実に滑稽だ!これが闇なのですよ!あなたたちは知らなかったでしょう?今まで、それらとは無縁の中にいたでしょうから。自分たちは強者だと自惚れ、世界を見てこなかったのですね!知っていますか?今ここは、第四宇宙の第三十五惑星という場所です。この世界にはまだまだ宇宙や惑星が存在する。精神世界という別の領域も存在します。もちろんあなた方など蟻同然のように扱う者たちも存在する」
饒舌に話をするソムクロスだが、ゼファルは攻撃を与えられなかった。ゴリラの敵を倒した後、象のような敵に踏み潰されていた。必死に対抗するもその重量に抗えない。ヴァルカスは知っての通り、闇玉によって、精神が汚染されている。
「おっと、話がそれました。私はね、そのような井の中の蛙が絶望する表情が大好きなのですよ!」
ノクサリアも笑みを浮かべる。余裕な表情である。
コイツらはまずい!強さの面でも、精神の面でも。そう感じた絶望のゼファルであったが、次の展開で考えを変えた。
「炎撃!」
「ッ!バカな?!精神の汚染から逃れただと?」
それはヴァルカスがソムクロスに魔法を放った光景だった。そして、一瞬にしてソムクロスの間合に入り込む。先ほどの魔法を避けていたソムクロスは、避けることもできずにいた。
「炎黒!」
それは黒い炎。ソムクロスに確実に命中した、はずだった。
「ドゴォォォォン!!」
大きな蝙蝠の化け物がヴァルカスを地面に叩きつける。ノクサリアが命令した物だった。
「油断をしてはダメなのさ」
そうノクサリアが述べた相手は上半身が焼かれ重傷を負ったソムクロスであった。
「私が咄嗟に配下を犠牲にしたから良かったものの、あのままだったら死んでたのさ」
「ええ、すみません。あれは彼の残り全ての魔力を消費したものでしょう。最後まで侮れませんね」
そう顔の一部にも火傷を負ったソムクロスがいう。
「じゃあ、まだ油断してるみたいね」
「カチコチカチ」
大広間に巨大な氷が立ち上った。オルネイアである。
「ッ?!どこから?」
そう焦るノクサリアとソムクロス。どうやら彼らはいまだに油断しているようだ。そしてようやく、この大広間に戦力が集中していることに気づく。
「命破!」
「炎砲!」
「毒牙!」
レグナやガルディア、サリシアまでもが駆けつけた。
「「闇壁」」
ソムクロスとノクサリアが二重に闇の壁で身を覆う。緊急時の防護魔法である。しかし、三人の猛攻撃によりその壁は壊れかけていた。
(このままだと押し切られますね......ノクサリアの配下で時間を稼ぎますか、いや、今ノクサリアが魔法を使えば一瞬にして破られますね。何か策は......)
その時、ソムクロスが指を鳴らす。
「出番ですよ!私たちの切り札!」
そうして皆の前に堂々のして現れたのは黒髪の長髪に目には光を宿していない女、「アビス」であった。
お読みいただき、ありがとうございます。いろいろこんがらがってまいりました。この物語の性質上、敵はどんどん死んでいって新しい敵がやってくるみたいな感じなので、敵が多くなってしまうのは仕方のないことだとは思うのですが、思い出のあるキャラクターたちを消してしまうのはいささか心苦しいものです。しかし、無闇矢鱈に敵を放置してしまうと、敵が多くなってめちゃこんがらがってしまいます。やっぱりそれを避けるために適度に数は減らしていくべきですね。結局何が言いたいかというと、この作品は敵味方問わず結構死者が多いということです。ご了承ください。では、また。




