12話 不穏な気配
彼に注がれる多くの声援。しかし、それは長くは続かない。自身の手は血で汚れた。そして自分にもその血は流れる。彼は最後に願った。
「この不平等な世界に栄光あれ」
オルネイアは思案する。闇の勢力の全貌が掴めない中、どのように対策していけば良いのかと。
「私が言うのもなんだが、そう張り詰めなくてもいいと思うぞ」
そう声をかけたのはヴァルカスであった。
「敵が見えないのは恐ろしいことだが、王たるもの、不安を見せてはならぬのだ」
それは王として大先輩のものの言葉である。
「そうよね。ごめんなさい」
「いいってことだ。オルネイアのおかげで、この国の連中にも徐々に受け入れられ始めている。元、私の王国の者たちも安心している」
「そう。それはよかったわ」
それは城の中庭での会話であった。そんな会話を王国騎士団長であるレグナが盗み聞きする。
「いけないのよ?盗み聞きって。小さい頃に国王様から習わなかった?」
「ッ!サリシア?!」
そう言って「静かにっ!」とでも言うような手振りをする。しかし、そのレグナには焦りと共に安堵があった。自分がいなくてももう彼女には勇気づけられる人がいる。そして彼女の尊敬の人の言葉のおかげで、もう迷うことは少なくなるだろうと。
アビスは廊下を無造作に歩く。そんな足音は廊下に響くのだ。
「アビス!」
そう呼びかけるのはガルディアであった。
「何かしら?」
「いいや?ただ姿が見えたから声をかけただけだ。それとアビス、昨日は姿を見せなかったが、どこにいたんだ?」
「少し体調がすぐれなくて、ずっと部屋にいました」
アビスは即座に答えた。「そうか」と笑顔で応えるガルディア。そして二人はすれ違う。アビスの姿が見えなくなったとき。
「どうだった?」
虚空に話しかけるも、答えたのは、
「魔力が揺らがなかった。嘘はついていなさそうだが......」
ゼファルであった。ゼファルが行使したのは、「透明化」という魔法である。
「そうか」
とだけガルディアは呟く。
ガルディアの姿が見えなくなったときアビスは深呼吸をした。
「もう探りを入れてきてる。侮れないわね、あの男たちは」
アビスはゼファルにも気づいていた。しかし、アビスは着々と準備を進める。
<同刻 アルセリア城付近>
ツノが生え、紫色のマントを羽織った耳が尖っている人物が不敵に笑う。彼の名は「ノクサリア」。ラウファの一人であった。その人物にある一人が接近する。闇の中から発生したのはソムクロスであった。
「状況はどうなっているのです?」
「ああ、ソムクロスかい?アビスが戻ったところさ。今城の中にはおよそ80名。武装している兵士階級が50名ほど。残りが大臣などの書記関係のやつらさ」
「警戒対象は何名です?」
「アビスを除いてざっと7名。まず妖気が違うのさ」
「それでは始めますか」
するとアルセリア城が巨大なドームに覆われる。ソムクロスの固有結界である。
固有結界:術者のみ発動できる結界でその効果はさまざまであり、今回ソムクロスが発動したものには、外部干渉と特定の対象への速度の強化が施された
それと同時にノクサリアが告げる。
「闇の瘴気たちよ!今こそ解き放たれよ!無末眼霜五間亀野碼泝與獲胯!」
するとあるセリア城の至る所から闇の妖気が発生し、闇に包まれた怪物たちが現れる。城は大パニック。
「ウォォォォ!!!!」
「助けてぇぇぇ!!」
「グシャ」
一人が巨大な爪を持った怪物に殺されたことで尚更それは広がっていった。
この日、アルセリア城は陥落することとなる。
お読みいただき、ありがとうございます。第二章の戦闘シーンが始まりました。アニメとかならまだしも文字にすると戦闘シーンは1番の関門ですね。おそらく自分は終盤になっても慣れないと思います。どうかお付き合いください。かなり話の変わる余談ですが、自分はアビスみたいな頭使う系のキャラクターが好きです。いや、ガルディアみたいな脳筋が嫌いってわけじゃないですよ?ただ、自分の性格上、ガルディアのような性格の思考はわからない者なので......長くなってしまいましたのでここらでお暇します。ではまた!




