10話 闇
ここは第四宇宙の第三十五惑星にある小国「アルセリア王国」。近隣国であった「ヴァルセリア王国」からの侵攻を受け、一時窮地に陥るも王国総出で対抗した。そして、ヴァルセリア王国の侵攻は闇というものが原因であったと判明した。
「状況を整理するとヴァルセリア王国の様子がおかしくなったのは、イグゾルの魔法によるもので、更には、ヴァルカスたちはイグゾルすらも覚えていない。ということね」
レグナが整理する。
「それとあいつらの力が強化されていた。イグゾルによる強化魔法も加わっていたんじゃないか?」
「そこも含めて、アビス、闇について貴方から少し聞きたいわ。お願いできるかしら?」
「……わかりました。では、まずは『魔法』というものについてから……………この世界には本来、五つの自然魔法が存在していたとされます。しっかりと定義づけられたのは凡そ500年かそこら前らしいですが、それらは『炎』、『氷』、『風』、『光』そして『闇』の『五大自然魔法』と呼ばれています。更に、その頃、五大自然魔法からそれぞれ派生した魔法も定義づけられました。炎からは『岩』。氷からは『水』。風からは『実』。光からは『雷』。闇からは『夢』という派生です。これが魔法の起源です」
その壮大な話に一同は唖然とする。
「貴方はなぜそのようなことを知っているんだ?」
ゼファルが問う。
「それは…………私は学者で魔法や歴史の研究をしているからです。専門は闇系統で、闇関連の魔法は操れます。それと、今のは全て伝説にあった記録です」
「伝説?」
「はい。私の家に伝わっていた話で普通の人は知る由もありません。その伝説の中には、六人の神に近い存在や五大自然魔法を操る王の存在などが記されています」
「…………………」
「私が知っているのはここまでです。闇は現在、光と対立してきています。光は正義の象徴。真っ直ぐなものが体現しているとされています。貴方たちのその光に今回の闇は惹きつけられたのではないでしょうか」
「…………ありがとう、アビス。もう戻ってくれていいわ」
「闇か………確かにあれは異常だったわね」
「現状、イグゾルは闇を行使する側の相手で、ヴァルカスたちはその闇に飲み込まれたって感じかしら」
空気が重い。しかしそんな空気を壊すのがいつも彼である。
「だが、やることは一つだな!ヴァルセリア王国も仲間に加わったし、警戒すべき数は変わらねぇじゃねぇか!」
「だとしても!敵の全貌が…………フゥ、そうね、時には貴方のバカに頼るのも悪くないわ」
「だ、誰がバカだと?!大体、ゼファルよりはバカじゃねぇぜ!賭けにも勝ったしな!」
「なっ?!今それをいうんじゃない!今にも心が折れそうなのに……」
「大丈夫だ!あと四日もある。十分メンタルを鍛えられるぞ!」
「ひどい!!!ここは鬼か!!もう亡命する!!」
「許さねえぞ?ゼ・ファ・ル?」
「うわぁぁぁぁぁん!!」
謁見の間を出ていく二人。そしてそれを微笑ましく見ているオルネイア。日常の復活を肌で感じる。
謁見の間から出た二人。ゼファルは取り乱していたのが嘘のように、ガルディアに問う。
「なあ、ガルディア。アビスは信用に足ると思うか?」
「!?………そうだな。俺も気になっていた。アビスは何もかも知りすぎている。それだけじゃない。彼女には何やらきな臭ぇ感じがする」
「ああ。俺も彼女の妖気には違和感がある。何か隠しているような………それこそヴァルカスの内にあった闇のような」
「どちらにせよ、警戒が必要だな」
城の廊下を歩きながら女は語る。
「奴らに闇について話したわ。勿論、『ラウファ』のことは話してないけどね」
魔法伝達で誰かと会話しているようだ。
魔法伝達:通信を行える魔法で携帯電話と同じ要領のことが、携帯電話なしでできる
魔法伝達の相手がいう。
「そうか、それでなぜその国に光が多いのか分かったか?」
「いえ、それはまだ………でも大方、正義感の強い連中が多い。それだけでしょう」
「そうか、だがそんなことはまずいい。まずは俺たちラウファの次の行動を話し合う。お前も明日、隙を見て抜け出してこい」
「簡単にいうわね。お兄ちゃんも大概なんだから。いいわ、このラウファが一人、『アビス』が承ったわ」
魔法通信が切れた。魔法通信の相手はツノが生えていた。
お読みいただき、ありがとうございます。第二章が始まりました。第二章は、闇というものに焦点を当てていきます。今後の伏線作りなんかもどんどんしていく予定です。この章からは、単純に戦いだけじゃなく、物語としても深みのあるものにしていきたいと考えております。とまあ、やりたいことは山盛りですが、少しでも面白いものができるように頑張りますので、どうかよろしくお願いします。




