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06-67 飛翔

これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。

どこかの扉の向こうの世界の物語。


アキは高度を下げる。

カヨの夢を狙っているという、マフィアがやってくる。

銃を持っている。

危険だ。

アキはかなり高度を下げて、

カヨの手を離した。

「斜陽街へ行くんだ!」

カヨは一度だけうなずき、扉へと向かった。

アキはマフィアの前に立ちはだかる。

「撃て!撃て!」

銃撃をアキはかわす。

「アキ!」

「早く行きなさい!ここはあたしが食い止める!」

「アキ!」

「早く!」

「また逢おうね!アキ!」

カヨはそう言うと、扉を開けてまた、扉が閉まった。

行ったのだ。


「また逢おうね、かぁ」

アキはつぶやく。

逢えるだろうか。

信じれば逢えるような気もするし、

そうでないような気もした。

「何をしている!追え!撃て!」

やけになった声がする。

アキは自分の内側から力を引きずり出す。

カヨがいては出来なかったこと、

内臓を引きずり出すような感覚、

無茶をするということ。あるいはそれ以上。

アキの周りで風が渦巻く。

それは風のようでもあり、能力の嵐のようでもあった。

「撃て!撃て!」

「撃たせない」

アキは宣言する。

マフィアの銃がぐにゃりと歪む。

「あわわ…」

下っ端のマフィアが逃げようとする。

「逃がさない、追わせない」

アキが宣言する。

この時点になってようやく、とんでもないものを敵に回したと感じたらしい。

マフィアにおびえが走る。

アキが能力を走らせる。

マフィアたちがぐにゃりと歪んで灰になった。


カヨを追うものはもういない。

アキは能力を解放したまま宙へと飛んだ。

アキは自分が溶けているのを感じる。

アキの身体から、アキが、解放されているような感じだ。

記憶がくるくると回る。

アキが経験したことないことも、くるくると回る。

カヨはきっと夢を取り戻すだろう。

それを見られないのがちょっと残念でもあった。

アキは溶けながら思う。

また逢えるかな。

記憶の奥にいる彼女や彼と、また逢えるかな。

アキは宙を飛翔する。

少しだけいたこの町を飛ぶ。

溶けかけたアキは風になる。

回る記憶。

アキという少女であったこと。

ギターの音色が聞こえる。

この音色は、いつも一緒にいたような気がする。

また逢えるよね、きっと。

約束だよ。

アキは願いながら、透き通った風に溶けた。

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