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06-66 卵

妄想屋夜羽からの依頼を受けて、

ヤジマとキタザワはとある扉の向こうへやってきた。

怪獣の卵なるものを運ぶためだ。

「怪獣の卵って大きいんですかね」

「さぁな、とにかく現場まで行くぞ」

地面がぐらりと揺れる。

怪獣の卵が地震を起こしているという。

ヤジマは町を見渡した。

海が近くて大きな学校がある。

大きな学校は、どうも老朽化したコンクリートのようだ。

これ以上地震が続けば、つぶれるかもしれない。

「少し急ぐか」

ヤジマはつぶやく。

「遊園地の廃墟って言う話でしたよね」

「行くか」

「はい」

ヤジマとキタザワは、遊園地の廃墟へと向かった。


遊園地は荒れ果てていた。

何か大きな力で壊したようになっていた。

「すごい廃墟ですね」

「バカ、誰かが壊したんだ、これは」

「でもすごいですね。怪獣でも来たんでしょうか」

「それもあるかもな」

ヤジマはひょいと中に入る。

「危ないですよ」

「入らないと、どうにもならないだろう」

「そうですけど…」

キタザワも遊園地の廃墟に入る。

ヤジマは廃墟の中を歩き出した。

キタザワが続いた。


「卵は守られたんでしょうか」

「地震が起きている限り、この町に卵はある」

「孵ったら大変なんでしたっけ」

「そうだな」

ヤジマは遊園地の廃墟の奥のほうに、

山になっている灰があるのを見つけた。

風に吹かれてさらさら散っているが、

それでも大きな山は崩れない。

「この下だな。最後の力で守ってる」

「掘りますか?」

「いや、その必要はない」

ヤジマは灰の山に心で語りかける。

安全な場所に連れて行くから、退いて欲しいと。

ヤジマの心で何かが笑った。

そして、灰の山は風にさらわれてなくなってしまった。

あとには、小さく輝くものが残った。

「あれが卵だ」

キタザワが卵を拾う。

鶏の卵といわれても納得するような小さな卵だ。

「最近八卦池に胎内を模した物が作られたらしい」

「そこに入れますか?」

「そうだな、そこで眠ってもらおう」


ヤジマとキタザワは帰路につく。

帰りに夜羽から聞いていたコンビニによる。

店長らしい男が店番をしていた。

ヤジマとキタザワはジュースを買い、そのついでに世間話でもするように、

「卵は預かりました。もう地震はないはずです」

と、言い残し、店を去った。

店長はびっくりしたようだが、そのあと深々と頭を下げた。


そして、斜陽街の八卦池に、卵は沈められた。

胎内に似たその空間で、

卵は今でも眠っているという。

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