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06-61 怪獣

斜陽街一番街、バー。

タケダはそこにやってきた。

最初はへんてこな扉ばかりのところに出た。

タケダは自分のやってきた扉を覚えると、

扉を作っている職人に、斜陽街のバーのことを聞いた。

何でも、妄想を取り扱っている者がいるらしい。

タケダは妄想にされるのは嫌だなと思いつつ、

とにかく話を聞いてくれるという、バーにやってきた。


カランコロンとドアベルがなる。

静かにジャズが流れている、バーだ。

「あの、妄想屋さんって」

タケダがバーのマスターらしい人に尋ねると、

「奥のボックス席にいます」

と、短く答えてくれた。

奥のほうを見ると、一人でボックス席に座っている人がいる。

あれかもしれない。


「こんにちは」

タケダが挨拶する。

「やぁ、妄想を聞かせにきてくれたのかな」

「妄想とは限らないのですけど…」

タケダは弱弱しく反論する。

「まぁいいよ、聞いてから決めよう。何か飲むかい?」

「あ、大丈夫です」

妄想屋というその人は、

古ぼけたテープレコーダーに、

カセットテープを入れる。

録音ボタンを押した。

「さて、どんなものを聞かせにきたのかな」

妄想屋が促す。

タケダは緊張しつつ、話し出す。

「怪獣の卵があるんです」

「ほう」

「私のいた町の地下に、怪獣の卵があって」

「ふむ」

「それが孵ってしまうと町は壊滅状態になってしまうのです」

「予兆はありますか?」

「地震が多いのです。それが予兆なのです」

「誰から怪獣の卵のことを聞きましたか?」

「間違えた電話です。でも、その電話は間違えていなかったのです」

「ふーむ」

妄想屋は考える。

「失礼ですが、どういった町なのでしょう」

「普通の町です、少し寂れているかもしれません」

「なるほど」

妄想屋は何か納得したらしい。


「それでは、この街の宅急便屋に頼みますか」

「宅急便屋?」

「この街でやっている、なんでも運ぶ職の者です」

「なんでも?」

「怪獣の卵も運べるはずです。手配しておきましょう」

「それは、信じていいのですか?」

「彼らの腕は確かです。信じてください」

タケダはなんだか、すとんと落ちた気になる。

「では、カセットテープは止めますね」

妄想屋がカセットテープを止める。

「宅急便屋が卵を運び出せば、地震がなくなるはずです」

「わかりました、ありがとうございます」

タケダは深々と礼をする。

「また何かありましたら、斜陽街へどうぞ」

視線のわからない妄想屋に見送られ、タケダはバーをあとにした。

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