SS.1-2 到着
俺たちが村役場に案内されると、そこには重苦しい空気が流れていた。
入り口でソフィーが役場の人間から耳打ちをされた。その瞬間、彼女の表情は固まりひどく青ざめた。
『何かあったのか』
『いえ、今回の件には直接は関係ありません。身内が、やらかしたようでして。私にも何が何だか、、』
『ソフィーさん、顔色が良くありません。医務室へ行きますか?』
カイが声をかけた。それにソフィーは頭を横に振った。
『いいえ。カイさんには後でお教えいたしますわ。とりあえず、国王陛下を応接室へお連れします。カイさんは村長を』
『わかりました。では陛下、一度失礼いたします』
カイはそう言うと早足で別方向へ歩いていった。
『ソフィー、一体何が?』
ソフィーとはかれこれ8年の付き合いだったが、こんなに顔色が悪いのは初めてであった。
『兄が、客人と村人に怪我を負わせて逃走したと。あの穏やかな彼に一体何が』
『そなたの兄ということはロドルフの息子のシュタイナーだな。あやつは確かに穏やかな青年だったが、、』
シュタイナーとももちろん面識はあった。彼とは6年ほどの付き合いだったが、穏やかで優しい青年だったのを覚えていた。
『しかも、その村人は私の大切な人で。今診療所にいるそうでして』
『それはそなたも心配であろう。早く向ってあげなさい』
あのソフィーが大切だといっているのだから、よほどの人らしい。
『いえ、仕事ですから。それに、私よりもアベル様のほうがそばに居たいはずですわ』
『は?、、、アベルにそんな趣味が?私の知らない間に、、まぁ、確かに女っ気はなかったが、、』
俺は青ざめた。
まさか、孫が男色になっているとは。
『あ、陛下。誤解なさらないでくださいませ。その子は女の子ですわ』
『そ、そうであったか』
俺は心底ホッとした。
『白い天使ですの。銀髪の麗しい少女ですわ』
『銀髪の。それは私も一目会ってみたいものだな』
アベルが気に入っているということもそうだが、銀髪というところに興味があった。
もしかしたら、例の彼女の生まれ変わりかもしれない。
そんなことを思っていると、応接室に到着した。
『では、お茶を入れてまいりますので、しばしお待ちを』
そういうとソフィーは部屋をあとにした。
部屋には俺と従者のスティーブだけが残った。他のものは別室で休ませてもらうことになった。
『ガリオン様。先程の銀髪の少女は、もしかして』
『そうかもしれない。だとしたら、アベルにはなんとしても頑張ってもらわねば。イズールの繁栄のためにもな』
俺は少し見えた希望に顔を綻ばせた。
その希望はあと数時間のうちに消え去るのだが、このときの俺はそのことを知らなかった。




