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村へ行くなら地下迷路をどうぞ  作者: 月 影丸
第1章 はじまり
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65話 見つけました

アベル達はシュタイナーの居宅を訪ねた。しかし何度ノックしても誰も出てくる気配がない。

『くそ。どこにいるんだ?』

『まさか、牧場じゃないところに?』

《いえ、かすかに巫女様の気配を感じます。このどこかにいると思います》

『わかった。くまなく探そう』

アベルたちは家畜小屋なども含めて探すことにした。

途中で何匹かの蛇が風魔法をしかけてくる。アベルは剣で切り、他の二人は氷や土の魔法で刺して退治していく。


《僕は小回りがきくので自分で探してみます》

『だめだ。蛇がたくさんいる。危険だ』

アベルがヒースを止めるが、ヒースは首を横に振る。

《早く巫女様を見つけなければ。お願いします》

『わかった。なんかあればすぐに呼ぶんだ』

アベルの合図でコードがヒースを放った。ヒースはぴょんぴょんと跳んでいった。


厩舎に差し掛かったとき物音がし、3人は身構えた。

そこから現れたのは空のバケツを持った優しそうな男だった。

『お前がシュタイナーだな。ライナはどこだ?』

『君は昨日の。ライナがどうかしたんですか?』

シュタイナーは首を傾げた。

『とぼけても無駄だ。絶対にこのどこかにいるはずなんだ』

ケリーの強い口調に、シュタイナーはやれやれと肩を落とした。

『ケリーまでどうしたんだい?不法侵入で警備隊に引き渡さないといけないよ』

『いいえ。貴方はライナの場所を知ってますね。その右手首の怪我はどうされたんですか?』

『この前ヤギに噛まれてしまってね。恥ずかしい限りだ』

シュタイナーは恥ずかしそうに首をすくめた。

『ライナがいなくなったのなら僕も手伝うよ』

シュタイナーが提案したその時。


《いました!奥の小屋です!》


ヒースが草陰からそう伝えた。

アベルとコードが咄嗟にヒースの方を向いた、その時だった。




シュタイナーはニヤリと笑うと天高く右手を掲げた。




その瞬間に電撃が数メートル先の地面に直撃した。


《ぐっ》

『ヒース?!』

アベルがヒースに呼びかけるが返事がない。

アベルが電撃があったところに駆けつけると一部が黒く焦げた瀕死の状態のヒースがいた。

アベルは優しくヒースを抱きしめる。


『ようやく見つけましたよ。手こずりました。最初は母親の方を狩ってしまいましたからね。自ら現れてくれるとは』


『ヒース、しっかりしろ』

アベルが声をかけるもヒースの返事はなく、不規則な呼吸をしているだけだった。


『契約が破棄になるかとヒヤヒヤしてたんです。そうなるとこっちの身が危ないんでね』

シュタイナーは冷たい笑みを浮かべた。


『お前、なんてことを』


『高々ウサギ一匹でしょう?貴方達にとってはね』


『ヒースは、友達だ』

『ははは、これは傑作だ。そのウサギが何なのかも知らずに、友達とは。ライナも瀕死だ。これではそのウサギも治せないな』


『ライナが瀕死だと?!お前の目的は何だ!』

アベルのターコイズブルーの瞳は、冷たい海のようにも、高温の炎のようにも見えた。怒りに髪が逆立ちそうなほどの気迫があった。

『さぁ、何でしょうかね。僕は同時並行で物事を進めるのが得意でね。まだ大きな仕事が残ってるんだ。これで失礼するよ。牧場の動物たちの面倒が見れなくなるのは残念だけど、致し方ないね。では、ごきげんよう』



『待て!それはどういう?!』


突然シュタイナーのいるほうから突風が吹く。

三人は一瞬シュタイナーから目を離してしまった。

すると、シュタイナーがいたはずの場所から1羽の大きなカラスが空高く飛びあがる。


『そうはさせない』

コードは氷の呪文を詠唱したが、対象が不規則に動くため狙いが定まらない。

そのままカラスは北の森の方へ飛んでいってしまった。


『まずい、ライナが瀕死だって言ってた。急がないと』


三人は小屋に向かった。小屋には鍵はかかっておらず、すぐに開けることができた。


扉を開けるとすぐ、ライナが苦しそうに机の脚にもたれかかっていた。顔は青白く、呼吸は浅く不規則である。


『ライナ!ライナ!』

アベルはライナの両手の縄を剣で断ち切ると彼女を抱き上げた。

『んっ、、』

ライナの顔色は悪く、唇が青くなっていた。意識は無いようでいくら呼びかけても反応がない。


『蛇の毒かもしれない。ここ』

ケリーが首筋についた噛み傷に気づき、青褪めた。

『ライナは自分で解毒できないのか』

『できないらしい。そう言ってた』

ケリーの言葉にアベルは焦りを募らせていく。

『そんな!』

『とにかく診療所に運びましょう!』


三人はライナとヒースを診療所に運ぼうと牧場を出た。


そこにティオとゲルデが駆けつけた。

『ライナ!この症状はラヴィーネ毒蛇か?!』

ゲルデは三人に問う。三人は多分そうであるということを伝えた。

ゲルデは手にしていたカバンから小瓶を取り出し中身を注射器にとり、それをライナの腕に注入する。

しばらくするとライナの顔色が戻り、唇もピンク色に戻った。


『スタンも役に立ったね。この血清は彼から取ったものだ。夜更けに目を覚ましたスタンが洗いざらい話してくれたよ。役に立つかもしれないとこれも提供してくれたんだ』


『よかった。とにかく診療所に運ぼう』



アベルとコードはゲルデ達とともに診療所に向かった。ケリーは後に駆けつけるであろう警備隊に情報を伝える為、牧場に留まった。





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