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彼女は3×8メートルの範囲をモップで磨いでいる。  作者: 和田好弘


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26/28

26_私の趣味がどれだけ脳筋であるのか

※26/11/02 01:01

 話の前半部(約2000文字)が丸々削れていたのを修正しました。


 アンが完成しました。そしてトロワも完成です。双方ともデザインは頭部以外は一緒です。もちろん、実家へと送るキャトルもできあがりました。キャトルは身長140センチ程の子供サイズ。外装もワンピースを模したものとしました。


 アンフェイスマスク+ゴーグルな見た目の仕様ですが、トロワとキャトルはのっぺらぼうです。正確には、顔面部がモニターとなっていて、そこに色々と表示することができます。


 記号で顔を表したりとか。これだけでも意思疎通もできます。


 顔を模すように〇△〇みたいなものを表示している分には問題ありませんが、一切非表示にして、黒いままだと恐怖感を想起させます。


 なかなか良いデザインになりました。


 あ、そうだ。アンのゴーグル部分……カメラ部分ですが、そこをトロワと同じ仕様にしておきましょう。某アニメの人型兵器のように、ピンク色の丸い灯りを映し出してもいいかもしれません。一つ目のように。


 戦闘に関しても、現在3階で頑張っている子たちからフィードバックしたものを彼女たちには放り込んであります。

 これに関しては、各々が実際の戦闘を経ながら調整していけば、労せずして歴戦の戦士となれるでしょう。……いえ、キャトルには戦闘は不要でしょうけれど。


 標準装備は二メートルほどのチタン製の棒。中空にして軽量化。強度と柔軟性に関しては、魔法を付与してどうにかしました。


 アンにはすぐにも出発してもらいます。できればあの小倅と同時に餡栗屋に入ってもらいたいですからね。


 そして出来る限り目立つ場所で宣戦布告をしなくては。


 お供兼案内役として、八兵衛を同行させます。ネコさんチームは離れていても情報共有ができますからね。小倅を監視追跡している四之助との合流も問題ないでしょう。


 ひとまずこれで良し。向こうのダンジョン制圧はアンひとりでやることになりますが、多分、問題ないでしょう。内装兵器も充実させましたからね。


 餡栗屋のダンジョンの難度は高くないようですし。ひとつ制圧して支配下においてしまえば、そこで兵隊を生産できますからね。


 そうそう、アンがダンジョンマスターとなってしまっては困るので、ダンジョンマスターになるアイテムを製作しました。ダンジョンコアの外付けユニットみたいな感じの形状をした、人工知能です。コンピュータ的にいうならば外付けCPUといったところでしょう。


 まぁ、リアルには外付けCPUなんて代物ありませんが。……ありませんよね? 聞いたことありませんし。


 こいつをとりあえず10個、アンに持たせました。そして攻略後、絶対に攻略不能兼絶対冒険者殺すダンジョンとする仕様も、その外付けダンジョンマスターユニットにぶち込んであります。


 ふふふ。しっかりと落とし前はつけてもらいますよ。


 次にトロワですが、彼女には非常時に私の代理として活動してもらいます。


 要は、私が殺された時の対処用です。


 私の配下ということで、非常に私にたいし忠誠心が高いため、私が殺されるところを黙って見ていろという命令は非常につらいとのことですが、そこは我慢してもらいましょう。


 ……いえ、散々、五右衛門に愚痴られましてね。


 いや、でも、うーん……。


 私が殺されるとして、一緒に戦っていたトロワも破壊されたりしたとすると、私の遺体を処置する者がいなくなるんですよね。正直、私は自身の遺体をダンジョンに吸収させて処理したくはないので、きちんと遺体を棺桶に入れてくれる者がいないと困るのです。


 そのために、彼女たちには戦いに参加しないように命じているんだすけれど。


 納得して貰えないんですよねぇ。


 どうしたものでしょう?


 まぁ、そうそう私が殺されることもないでしょう。ひとまずこれは先送りです。


 ……なんだかフラグ建てた気がしますね。いえ、きっと気のせいです。


 さて、私の方です。


 兄と連絡が取れるという僥倖に、電話後、しばらく両手を天に掲げ固まっていました。


 これでいつでも日本に帰ることが可能となりました。




 私がダンジョンから解放されていれば。




 ということで、私は自身を解放するために行動を第一とします。この【アビス】を攻略し、私の支配下に起きます。そうすれば、私をダンジョンから解放することもできるでしょう。


 アンが餡栗屋へ出張となっていますから、当面の【アビス】の攻略はトロワが中心となります。


 とはいえさすがに高難易度らしい【アビス】はトロワ1体で攻略はさせません。


 えぇ、またしてもゲームのボスキャラ(人型)をいくつか選んで、トロワとともに攻略に向かってもらいます。



 選ぶボスは近接戦闘専門ですから、完全に脳筋パーティです。


 とりあえず――


 朽ちた英雄。

 陽炎の騎士。

 放浪の剣士。

 微睡の聖女。

 鬼神・焔丸。


 そしてトロワの6人です。


 援護要員もいなければ回復要員もいません。が、本来のボス仕様に加え、全員を自動回復持ちにしてありますから問題ありません。


 ……いま気が付きましたけど、全員盾を持っていませんね。私の趣味がどれだけ脳筋であるのかわかるというものです。


 問題はこの【アビス】、どれだけ深いのか不明なんですよねぇ。ウチの子たちは水だの食糧だのは不要ですから、実質、兵站は不要に近いです。ですが武器や防具が壊される可能性はあるので、ダンジョンストレージを使えるようにしてあります。チートもいいところですね。


 と、そうです。こうして制圧していくということは、私の支配圏が増えるわけです。一応、ギルドには私の支配圏は3層としていますから、4層以降を実効支配した場合には、私の方でこれまでと同様の仕様に設定しないといけませんね。


 支配して放置にすると、なんのモンスターも出ないただの通り道になってしまいますから。それでは冒険者さんたちが稼げません。


 特に知らせる必要もないでしょう。むしろ知らせると、都合のいいようにお願いをしてくる阿呆が出てきそうですからね。


 そんな者の相手は願い下げです。


「モリィさーん」


 おや? この声はロッティさんですね。なんでしょう?


 コン! と壁を叩いて窓を開きます。通路の脇の壁。そこに受付のような窓として開きます。丁度目の前にロッティさんがいますね。


「こんにちは。どんの御用でしょう?」

「はいぃ。えー、モリィさんがぁ、どのような報復措置をとるのかをお聞きしようと思いましてぇ。

 我がリッピンコット家とつながりのある商会もアングーリヤにありますので、ことの次第によっては撤退を考えないといけませんからぁ」


 あぁ、なるほど。あー、となると、結構な迷惑を掛けそうですね。


 とりあえず、餡栗屋なる国は潰すつもりであることを知らせます。


 あー。お顔を引き攣らせていますね。まぁ、そうでしょうねぇ。普通は個人が国を潰すなんてできませんから。


 でもあの国、産業の根幹が脆弱ですからね。明確な弱点がある以上、簡単に国が傾くのですよ。


 どういうことを行うのか説明をしました。その上で――


「あの国にある商会の支店などは、閉めることをお薦めしますよ。暴動などがおきたら、真っ先に狙われますからね」

「わかりましたぁ……。えぇ……」


 まぁ、結構な被害ですよねぇ。うん。情報を貰っておきながら、この仕打ちはさすがに恩知らずというものですね。


「えーっと、そのような状況にしてしまったのはさすがに申し訳ないですね。えーっと、お渡ししても問題ない商材がひとつありますが、どうします? ただこれ、既得権益を殴りつけることになりますが」

「……えっと、どういった物でしょう?」

「筆記具です。現状メインで使われている羽ペンが駆逐されるでしょうね。羽ペンは消耗品ですし、インク持ちも悪いですしね」


 羽ペン。羽根の骨? の部分をペンとしている代物です。鳥の羽の骨は中空ですので、そこにインクを溜めるわけですが、まぁ、たかが知れています。

 そしてペン先としてその骨部分を使うわけですが、鳥の骨なとやわらかいのですよ。なのですぐにダメになります。そしてその都度、それ用のナイフで削るということをするわけです。

 あっという間に寸足らずになりますね。まさに消耗品。


 実際、書類仕事をするには大変だと思いますよ、羽ペンでするのは。私もこっちに来てから、ちょっと使ってみましたが、使っていて腹立たしくなってきましたからね。


 ロッティさんを中に招き入れましょう。


 この部屋は完全に事務室な有様で、お客様を迎え入れるような部屋ではありませんが、商談のようなことをするわけですから問題ないでしょう。


 一応、ちゃんとしたテーブルと椅子もありますし。


 お茶とお茶菓子をテーブルに並べ、その隣に紹介する物品を並べます。


 万年筆。これは問題なく作れるんじゃないでしょうか。インクの補充も、コンバーター式や吸入式であれは作れるでしょうし。ただ、量産となるとギミックの関係で少々厳しいでしょうか? お値段もお高めになるでしょうね。


 ペン先とペン軸。漫画家さん御用達の商売道具ですね。Gペンが漫画家さんが使う基本のペン先でしょうか。これなら使い方は羽ペンと一緒です。ですがインク持ち、耐久性はこちらが遥かに上。生産するにしても簡単でしょう。


 最後にガラスペン。先のペン先とペン軸と同様の代物といって差支えないのではないでしょうか。使い勝手もほぼ同じです。違いは書き味くらいですね。個人的には、羊皮紙への筆記にはこちらのほうが向いているでしょう。引っかからないですし。公文書の類は植物紙ではなく、羊皮紙が必須と聞いていますし。


 ロッティさんがそれぞれを手にし、実際に用意した紙に文字を書付け、使い心地を確認しています。


 ……なんだかお顔がこわばっているような気がするんですけど?


「モリィさん、これは――」

「現物をお渡ししますよ。万年筆に関しては、構造を示した図面もお渡しします。ただ、先にも云いました通り、羽ペン業者と殴り合いになると思いますから、そこは……どうにかしてくださいとしか云えませんが。ただ、これらを世に広く出せば、羽ペンは主流から落ちることは明白ですね」

「た、確かにそうですね。利便性が段違いです。書き心地もいいですし。あぁ、でも、羊皮紙に筆記するのであれば、確かにガラスペンの方が楽ですね。他は羽ペン同様引っかかりそうです。まぁ、慣れていれば問題ないのですが」


 ロッティさんがガラスペンを目の前に掲げ、その先端をじっと見つめています。


「それで、商登録などは――」

「お任せしますね。そもそも私が発明したものでもありませんし、それで儲けようとも思いませんから。……その気分的に罪悪感がありますので。

 それに、情報収集にお骨折りいただいたお礼のようなものですから、どうぞお好きなように扱ってください。羽ペン業者との殴り合いは大変かもしれませんが」

「それは問題ありません。商品がよりよい商品に駆逐されるのは世の常ですからね。こちら、ありがたく頂戴いたします。ただ、登録にはモリィさんのお名前もいれますからね。そこは譲れません!」


 胸元で拳を握りしめつつ、ロッティさんが宣言した。


「では、いそいで手続きを致しますので、これで失礼します。後ほど、商業ギルドから従弟が確認のために来ると思いますが、もし不埒な真似をしようものなら、容赦なく殴り倒して構いませんので」


 怪気炎を上げているロッティさんに、私は思わず苦笑した。


「まぁ、そういうのは慣れていますから。大丈夫ですよ」


 そしてこう付け加えた。






「異世界であっても、この顔は男を引き寄せるんですねぇ」



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