第6章 : 15分間の反撃
「残り14分……まずはビル内の防犯カメラとエレベーターの制御権を取り戻す」
蓮の指先が、スマートフォンの画面上で残像を描くほどの速度で走り続ける。
冴子が目を見張る中、彼女のタブレットに次々と内部システムの階層図が展開されていった。
「あり得ない……! ネメシスが仕掛けた256ビットの暗号化を、たった数秒で解読しているの……!?」
「暗号のパターンが三年前から進化していません。シグマの癖は知り尽くしています」
蓮が淡々と呟くと同時に、全館に響き渡っていた警報音がピタリと止まった。
それどころか、テロリストたちによってロックされていた各階の避難導線が、カチャリと心地よい音を立てて一斉に解錠されていく。
『こちら監視室! 全フロアのセキュリティが書き換えられた! カメラ映像が切り替わらない! 奴ら、どこにいる!?』
トランスシーバーから、実行部隊の焦りきった怒号が漏れ出す。
「お嬢様、現在テロリストは3階のサーバーサイトと12階の役員室に分散しています。社員の方々は全員、地下駐車場へ避難可能なルートを確保しました」
「あ、ありがとう、鷹野さん……! でも、どうやって一瞬でそこまで……」
「清掃員の仕事と同じですよ」
蓮はかすかに唇の端を上げ、冷ややかな笑みを浮かべた。
「ゴミの配置を把握し、一番効率の良い手順で片付ける。それだけです」
その頃、ネメシスの本拠地――。
暗い部屋で無数のモニターに囲まれたシグマは、額に大量の冷や汗を浮かべながら、キーボードを叩きつけていた。
「バカな……バカなバカな! 私の構築した絶対防御が、なぜこんな速度で破られる!? 相手はたった一台の端末だぞ!?」
画面に表示される侵入検知アラートは、すでに数百を超えていた。
まるで巨大な波が押し寄せるように、シグマの支配領域が刻一刻と塗り替えられていく。
「残り10分。そろそろ、本丸へ移ります」
蓮の瞳に、画面から発せられる青白い光が冷たく反射した。
第6章をお読みいただきありがとうございました!
圧倒的な手腕で敵を追い詰めていく“Zero”。残り10分で物語はさらに加速していきます!
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