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第22話 最悪の脅威

現在の生存者 残り7人

涼・怜華・男(左目負傷)

芽依・楓・?


死亡者

吉沢・笹原・霧崎・姫森


 暗い理科準備室の鍵のかかったドアの向こうで、突然、乱れた足音が響いた。


 ドタドタ……ドタ……!


 息を切らした足音が、4階の廊下を這うように近づいてくる。

 続いて、弱々しいノック音。


女性の声「だ……誰か……!開けて…ッ!怜華…!いるんでしょ……!?」


 芽依の声だ。

 掠れて、痛みに震えている。


 涼は即座に怜華を自分の後ろに庇い、ドアのガラス窓から外を覗く。


 非常灯の薄明かりの下、血まみれの少女が壁に寄りかかり

 右脚を引きずっていた。


 聖条院の制服は裂け、右太ももから鮮血が滴り落ち、床に赤い線を引いている。


 手に握ったフライパンは、刃の跡で大きくへこみ曲がっている。


 怜華の目が大きく見開かれた。

 彼女は涼の袖を強く掴み、震える声で小さく言った。


怜華「芽依さん……!」


 涼は迷わず鍵を外し、ドアをわずかに開ける。


 芽依は転がるように室内へ倒れ込み

 涼が素早くドアを閉めて再び鍵をかけた。


芽依「はあ…はあッ…はあ……っ!

   怜華…よかった……生きてて……!

   楓は…まだ見つかってないの……。

   あの時一緒に逃げてたのに、転移の時に…どこかへ……。」


 芽依は床に座り込み、右脚を押さえながら荒い息を吐いた。

 傷は深くはないが、チェーンソーの刃が浅くかすめたらしい。


 血が止まらず、制服のスカートを真っ赤に染めている。


 怜華の目だけが「大丈夫……?」「痛い……?」

 と訴えていた。


 涼はドアに背を預け、低い声で聞く。


涼「何があった?」


 芽依は唇を噛み、涙を浮かべながら早口で答えた。


芽依「あの男……左目を潰されたのに

   チェーンソーをどこかから見つけて…。

   振り回しながら暴れてるの……!」


 その言葉に2人は目を丸くして驚く。


芽依「『全員殺してやる!』って叫びながら、廊下を走り回って……

   私、フライパンでなんとか応戦したんだけど…

   全部弾かれて……足をかすめられて……そのまま4階まで逃げてきた…。

   楓とはフェンスから出て以来…見つからない……。」


 部屋の中に、重い沈黙が落ちた。チェーンソー。

 あのムキムキ男が、今や本物の殺戮兵器を手に入れた。


 左目の傷など、怒りで完全に無視している様子だ。


 怜華の顔から血の気が引く。

 彼女は芽依の脚を押さえながら、涼の横顔を必死に見上げた。


 目が「どうしよう……」「楓さん……」と訴えている。


 涼は無言で毛布を裂き、芽依の脚にきつく巻きつけた。

 表情は変わらないが、目が鋭く光っていた。


涼「チェーンソーか。

  モップやパイプじゃ、もう通用しねえな。

  最上階まで上がってきたってことは、あの男も俺たちを探してる。

  楓はまだ生きてるはずだ。

  …でも、今は動けない。芽依の手当てを優先する。」


 芽依は涙を拭いながら、怜華の手を握り返した。


芽依「怜華、ごめん……。私、足が……。

   でも、2人で生き残って…。楓も絶対に見つけないと……。」


 怜華は小さく頷き、涼の袖をそっと引いた。


 彼女の指先は冷たく、震えていたが、涼の存在が唯一の支えだった。


 理科準備室の中に、三人が息を潜めた。

 外の廊下では、遠くでチェーンソーのエンジン音が、

 低く、獣のように唸り始めていた。


 楓はまだ行方不明。

 最後の1人も、まだ姿を見せていない。


 廃校の夜は、最上階で3人に新たな恐怖を突きつけていた。


 チェーンソーを握った男が

 いつこのドアを破りに来るかわからない——。



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