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第17話 覚悟

現在の生存者 残り7人

涼・怜華・男(左目負傷)

芽依・楓・姫森・?


死亡者

吉沢・笹原・霧崎


 廃校の裏手

 非常口から出たばかりの冷たい夜風が4人の頰を刺す。


 息を荒げて膝に手をついていたその時——


 足音。


 誰かが必死に走ってくる。


男性「はぁ…はっ…はぁっ……!」


 血まみれの制服姿の長身の男子生徒が、月明かりの下に姿を現した。


 左腕をだらりと垂らし、額から血を流しながら

 よろよろとこちらへ駆け寄ってくる。


 姫森 明(ひめもり あきら)——2年生の先輩だ。


 怜華のクラスメイトである芽依と楓が、ほぼ同時に声を上げた。


芽依「姫森先輩!?」


楓「うそ…生きてた……!」


 姫森先輩は4人の姿を認めると、目を見開き足を止めた。


 息が上がって言葉が上手く出ないまま

 片手で壁に寄りかかりながら掠れた声で言った。


姫森「お前ら……1年生か……?

   北條…怜華……もいるのか…。

   よかった…まだ生きてるやつが……。」


 彼の顔は腫れ上がり、右の頰が大きく切れていた。


 制服のシャツは血でべっとりと濡れ

 左腕は明らかに骨折している様子だった。


 それでも、瞳にはまだ意志の光が残っている。


 涼は即座に怜華を自分の後ろに隠し、姫森先輩との距離を半歩だけ詰めた。


 モップはもうない。

 手ぶらになった彼は、低く静かな声で聞いた。


涼「……追われてたよな。あの男に。どうやって逃げた?」


 姫森先輩は荒い息を整えながら、苦しげに答えた。


姫森「二階の……窓から……飛び降りた。

   運が良かっただけだ……。

   あの野郎、絶対まだ追ってくる…。

   お前ら…ここで何やってんだ……?」


 怜華は涼の背中から少し顔を出し、震える声で言った。


怜華「……先輩、大丈夫ですか……?血が……。」


 姫森先輩は怜華を見て、弱々しく笑おうとしたが、すぐに顔を歪めた。


姫森「北條…お前、声出せないって話だったよな……?

   今、ちゃんと喋ってるじゃねえか…ヘヘ…。

   まあいい……とにかく、ここにいたら危ない。

   あの男…本気で俺たちを殺す気だ。俺は…もう足が……。」


 彼の膝がガクンと崩れた。

 芽依と楓が慌てて両側から支える。


 涼は周囲を素早く見回した。

 廃校の校庭のような裏手は、フェンスで囲まれているが、

 一部が壊れていて、外へ出られる隙間がありそうだ。

 しかし、完全に脱出するには、まだ遠い。


涼「怜華、芽依、楓。先輩を支えて。

  俺が先頭で道を探す。ここに留まるのは危険だ。

  あの男がいつ出てくるかわからない。」


 怜華は小さく頷き、涼の袖を強く握る。

 彼女の瞳には、恐怖と同時に、涼への信頼と

 姫森先輩への心配が混じっていた。


 5人は、昇降口から出てきたばかりの血まみれの先輩を加え

 廃校の裏手を慎重に移動し始めた。


 姫森明という新たな生存者が加わった今

 状況は再び変わろうとしていた。


 夜風が冷たく吹き、遠くで校舎の窓が軋む音がする。

 あの男は、まだ諦めていない。


 5人は、フェンスの隙間を目指して、静かに足を進めた。



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