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第14話 イケメンの窮地

現在の生存者 残り7人

涼・怜華・男

芽依・楓・?・?


死亡者

吉沢・笹原・霧崎


 家庭科準備室の中に、重苦しい静寂が流れている。

 数秒後、その静けさを遠くから響く悲鳴が引き裂いた。


男性「うわああぁあぁあッッ!!」


 男性の、喉が潰れるような絶叫。

 エコーが廊下の壁に反響し、準備室のドアガラスを小さく震わせた。


 次の瞬間——


 ドゴォンッ!!


 家庭科室のドアに、何かが勢いよく投げ出されるような音がした。


 涼は即座に怜華の肩を押さえ、ドアのガラス窓に近づいて外を覗く。

 芽依と楓も息を殺して立ち上がり、涼の後ろから恐る恐る顔を出す。


 血まみれの制服姿の男性が、廊下の床に叩きつけられたように倒れていた。

 聖条院学園のブレザー——怜華たちと同じ制服だ。


 顔は腫れ上がり、鼻血と口から血が滴り落ち、左腕が不自然に曲がっている。

 それでも男は歯を食いしばり、這うようにして体を起こした。


男性「クソぉ……ッ!」


 掠れた声で呟き、視線を一度、準備室のドアの方へ向けたが

 すぐに諦めたように背を向け、近くの階段を必死に駆け上がっていった。


 足音が2階へ向かって遠ざかっていき、怜華の顔が青ざめる。

 彼女は涼の腕を強く掴み、小さく震える声で言った。


怜華「あの制服…私たちの学校の……。」


 楓が、息を詰めてその後を続けた。


楓「2年生の……姫森 明(ひめもり あきら)先輩…。

  学園1のイケメンで、成績もトップクラス……。

  生徒会にも入っててすごく優しい人だって、みんな言ってた……。」


 芽依も、目を潤ませながら頷く。


芽依「うん…姫森先輩……。どうしてあんなことに……。」


 廊下の奥から、再び重い足音が近づいてきた。


 ドン……ドン……ドン……


 あの男だ。


 血に濡れた手で壁を叩きながら、ゆっくりと階段の方へ歩いていく。

 先ほど準備室の前を通り過ぎた時より

 息が荒く、目は完全に狂気を帯びている。


男「逃がさねえ…どこまでも追ってやる…。

  お前も死ねば、残りあと4人…俺は出られる……。」


 男は独り言のように呟きながら、姫森が逃げた階段を追いかけた。

 足音が2階へ上がり、徐々に遠ざかっていく。


 準備室の中に、再び重い沈黙が落ちた。


 怜華は涼の胸に額を押し付け、声を殺して震えている。


 家族以外の男性と、同じ学校の先輩が

 血まみれで追い回されている光景が

 彼女の心をさらに追い詰めていた。


 芽依は壁に寄りかかり、膝を抱えて小さくなる。

 楓は怜華の隣で、涙を拭いながら掠れた声で言った。


楓「…先輩まで……霧崎くんも、先輩も……みんな死んじゃう……。

  私たち、どうしたらいいの……?」


 涼はドアのガラスから廊下を確認し、ゆっくりと息を吐く。

 モップの柄を握ったまま、低く抑えた声で言った。


涼「……あの男、まだ動き回ってる。

  姫森って先輩も、かなりやられてた。

  このままここにいても、いつ見つかるかわからない。

  …移動するか、もう少し様子を見るか。」


 怜華は涼の手を強く握り返し、震える声で囁いた。


怜華「怖い…。でも…ここにいたら、あの男が絶対戻ってくる……。」


 4人は家庭科準備室の中で

 固く鍵をかけたドアの向こうに神経を集中させていた。


 聖条院の人気者である姫森明先輩が、

 今、あの狂った男に追われている。


 廃校の夜は、怜華の知り合いを次々と巻き込みながら容赦なく進行している。

 準備室の薄暗い明かりの下で、4人の緊張は頂点に達しようとしていた。



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