気付かれた?
ステラ邸に戻って、すぐにリタンブールのミノタウロスダンジョンに行こうと思ったら、アリエスたちに露天風呂に連れ込まれた。
アリエスはオレがステラさんとアレした臭いを絶対見逃さないらしい。そして、一緒にお風呂に入ったらオレも我慢できないわけで・・・
たっぷり準備運動をしたオレたちは装備を整え、リタンブールのミノタウロスダンジョンへと向かった。
ダンジョンの袋小路から出ようとしたら、いきなり戦闘中だった。
あ、この前見た人たちだ。
しばし、オレの領域の安全地帯から見守る。あっちからは見えないはずだしね。
・・・ちょっとこれはまずいな。
3体のミノタウロスを相手に苦戦している。
あのパーティでは2体相手にするのが限界っぽい。
うーん、ちょっとだけ手助けするか。
オレはアイスアローのウィンドウを展開し、あのパーティから一番遠いミノタウロスの足をロックし、クリックして撃ち出した。
狙いたがわずそれは命中し、そのミノタウロスの片足は凍りつき動けなくなる。
しばらくして、そのミノタウロスが動けないと気付いたパーティは徐々にそこから距離をとり、切り離した2体を撃破、そして残った動けないミノタウロスも撃破して戦闘は終わった。
うん、よかったよかった。
ん?、あれ?、リーダーらしき大盾の男がこっちを見てる。見えないはずなんだけどな。
やがてドロップ品を回収したメンバーに声をかけられて、こちらにペコリと一礼して去っていった。
「気付かれて・・・た?」
「そうですね、あのリーダーさんは気付いてましたね。」
「アリエスもそう思うか?」
「はい、あの人は気配を読むのが上手いのでしょう。」
「そかぁ、もしかして、手助けなんて必要なかったのかもしれないなぁ。」
「いえ、ギリギリの戦いだったのは事実です。あれでよかったんだと思います。」
「そうだな、じゃ、オレたちも行こう。」
ミニマップに赤い光点が3つ写った。
あのパーティが苦戦していた数。
やがてミノタウロスが視認でき、やつらもこちらに気付き。向かってきた。
「ウィンドバリア!」
シルフィが風の障壁を展開した。
「「いきます!」」
アリエスとトレイシーが左右に飛び出していく。
ブリザードで捕らえるには相手の移動速度が速すぎるし、飛び出していった2人も巻き込んでしまう。
オレはアイスアローのウィンドウを展開し、クリックして次々に撃ち出した。
1体の足に命中、そこに縫いつける。そしてもう1体にも命中。
それぞれにアリエスとトレイシーがとりつく。
最後に残った1体がオレとシルフィとゴールドに迫る。
ガキン!
やつの棍棒がバリアにあたるが、これを弾き返した。
動きが止まった、チャンスだ。
「ダイヤモンドダスト!」
発声と同時に直接ミノタウロスを指差して指定する。
氷の結晶が舞い踊り、ミノタウロスを取り囲む、光の乱舞と共に氷柱が弾け、後にはミノタウロスの氷像が残っていた。
とっさに指差し指定したけど上手くいってえかったぁ。
「スラッシュ!」
アリエスの斬撃がミノタウロスの足を砕く。
「はあ!」
トレイシーの横薙ぎがミノタウロスの足を切る。
ドドドーン!
それぞれのミノタウロスが前のめりに転倒する。
「スラッシュ乱舞!」「ハードアタック!」
アリエスとトレイシーの必殺スキルがそれぞれのミノタウロスの頭を砕いた。
ふぅ、なんとかなったな。この調子で進んで行こう。




