キングコブリン
オレは颯爽とイネルバの街の大通りを歩いていた。ふん、そう毎回毎回誘惑に負けるオレじゃないぜ。・・・あ、でも気のせいかステラさん恨めしそうな顔してたな。もしかしてあの駆け引きを楽しんでいたのはお互い様だったのかな・・・
結局、オレはステラさんのこと・・・好きなんだろうな。今度ちゃんとデートに誘ってみるかな。
裏路地に入って1LDKの扉を開いて帰宅した。
「おかえりなさい。ご主人様。あ、」
玄関に出迎えに来てくれたアリエスをオレは抱きしめていた。
「だだいま、アリエス・・・大好きだよ。」
「はい、私もご主人様のこと大好きです。ありがとうございます。」
うん、アリエスのことも好きだし、ステラさんのことも好きだ。オレは欲望に忠実に生きる。そして皆を幸せにしてみせる。
そういえば、朝、スライムダンジョン広間でマンモススライムを出現させてから数時間たつが、まだ次のスライムを出現できるようにならない。
前は一時間もあれば、できていたのに。もしかして資源的な何かが枯渇しかけているのだろうか?、
ぶっちゃけ、スライムの素材だけでもギルドに売っていれば、かなり贅沢な生活ができると思っていたんだが、そうもいかないのかもしれないな。
ともかく、今はコブリンダンジョンの制覇を目指しますか。
オレとアリエスはコブリンダンジョン最奥のボス部屋の手前に来ていた。
この部屋は扉を開けて中に入るとボスが出現し、扉は一旦閉じる。ボスを攻略すると扉は開き次の日になると、また扉は閉じているらしい。
つまり、ボスの攻略のチャンスは一日一回だけで、すでに攻略されていれば扉は開いている。
幸い扉は閉まっているので、今日はまだ攻略されていないらしい。
「じゃあ、アリエス、作戦通りに行くぞ。」
「はい。」
オレとアリエスは扉を押し開いて中に入った。中は体育館くらいの広間になっている。
背後で自動的に扉が閉まった。
光の粒子が広間全体からにじみでてきて、それが中心に集まってモンスターの形を作っていく。
出現したモンスターは四体。おなじみボブコブリン三体とその中心に頭一つ大きな巨体に鎧を纏い、剣をもったキングコブリンが一体だ。
先手必勝!
「ブリザート!」
ゴォオオオ!
広間に猛吹雪が吹き荒れた。
「アンブレラガード」
オレとアリエスはガードの中に入り、吹雪が止むのを待った。
吹雪が止むと四体の氷の彫像ができていた。
あれ?、これで終わっちゃった?
ピキピキピキ・・バリン、
キングコブリンは氷の枷を打ち破り、動き出した。
やっぱり、そんなに甘くはないか。
「グギャアアアア!」
キングコブリンは皮膚が真っ赤になって、体から湯気を出している。どうやら激昂状態とゆうやつらしい。これじゃあ、凍らせるのは無理か?
ドガドガドガ!
やつは、周りで凍っているボブコブリンが邪魔だといわんばかりに打ち砕いている。・・・倒す手間が省けていいけど、それ、ちゃんとオレたちの経験値になるんだろうな?
「いきます。」
アリエスがオレのガードから飛び出していった。
キングコブリンの横を通りすぎながら、斬撃を繰り出す。
やつが振り返ったときにはもう、そこにアリエスはいない。
まったく別の方向から、また斬撃をくらう。
キングコブリンはアリエスの動きにまったくついていけていない。
「スラッシュ」
アリエスのスラッシュがキングコブリンのアキレス腱を引き裂いた。
「ギャアア!」
キングコブリンの動きが止まった。今だ。
「ファイヤーランス!」
炎の槍が天から降り注ぎ、キングコブリンの胸を貫いた。
「スラッシュ乱舞!」
そこにアリエスのスラッシュ十五連撃が炸裂。
キングコブリンは光の粒子となって消えていった。
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コブリンダンジョンボス部屋を掌握しました。
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