1年後のプロローグ
ようやく物語が動き出します!
sideレイア
卒業から1年が経った。
俺は父さんとの約束通り様々な貴族に必要な知識を学びつつ、鍛錬をして来た。
そして弟が生まれた。そう、生まれたんだ!
名前はディアス・ドライア・ナイトヴァンス。現在ナイトヴァンス公爵家の次期当主と言う立場だ。
まだプニプニした赤ん坊だ。髪は父さん似で金髪。目は母さんと同じく茶色だ。正直一緒にいてやりたいが、戦女神様の神託だしな。私情を挟むのは良くない。
あと、アヴァール、エンヴィ、ベルゼからは冒険者になってチームを組んで行動してると、エッジとクラリスからは別でチームを組んで旅をしてるとそれぞれ手紙が来た。
エルスは国に帰って父親の商会を継ぐと言っていたが、忙しいらしく手紙は1通来ただけだが、健康ではあるようで安心した。
アリシアとソフィとは全く会わなくなった。忙しいのかなんなのか、連絡すらない。一応元気という話は聞いてるから大丈夫だろう。
そんな感じで度々連絡を取って1年経った今日、アヴァール達と合流する予定だ。
俺は予めまとめて置いた荷物をアイテムウィンドウに入れ、最低限の荷物をウエストバッグに入れて聖剣を背負う。
「それでは父さん、母さん、ディアス、行ってきます」
「ぅあ〜う!」
「行ってらっしゃいレイア、無茶をせず、きちんと三食食べて、風邪を引かないように健康には気遣って、それから・・・」
「あっぶ〜」
母さんはかなり不安なようで、色々言ってくる。心配してくれるのは嬉しいが、正直いつまでも続かれると困る。
俺が対処に困っていると今度は父さんが口を開いた。
「あ〜!」
「シーナ、レイアは子供じゃない。そんなヘマはしない。仮にそんなことあったら・・・・なぁ?」
「ふぅ〜?」
「いやいやいやいや!「なぁ?」って言われても困るって!俺は超人じゃないんだから約束できないぞ!?」
「やーあ!」
そんな怖い顔したって無駄だ。雷魔なんて化け物と戦うのに無傷で帰ってこいって言うのは無茶だ。天災に無傷で勝てって言うのと同義だ。
なんとか2人を落ち着かせて家の門を出た。さっきまで騒いでたから突っ込まなかったが流石にここまできたらツッコミたい。
「アイナなんで居るの!?」
俺の隣にはローブを羽織ったアイナが居た。明らかについてくる気満々だ。
「・・・・私はレイア様付きの使用人。離れるわけにはいかない」
「じゃあその後ろに隠し持ってる本の題名読み上げてみろよ」
アイナが態々本を1冊後ろに隠し持って居る。縦にすれば隠せるのに横にして持ってる。
これは完全にツッコミ待ちでしょ。
アイナはゆっくりと本を持ち上げ、俺の方に表紙を見せながら題名を読み上げる。
「・・・・『世界の料理百選〜スイーツ編〜』」
「絶対それ目的だよな?読みすぎて若干汚れてるし。メモ取ってたりしてるだろ」
アイナは驚いたような表情を作って言う。
アイナとアヴァールの違いは表情を作って話すところと無表情のままのところだとここ1年で理解した。
「・・・・・・流石レイア様、いつまでもバカじゃない」
「お前俺のことバカだと思ってたのかよ!?」
意外な事実発覚。ボーッとしたような顔して結構毒舌なんだよなアイナって。
その後もアイナを屋敷に帰らせようとしたが、のらりくらりと誤魔化され、ついて来ることになった。
アイナを連れて俺は去年決めた集合場所である冒険者ギルドに向かった。
ここに来るのもかなり久しぶりだ。最後に来たのはルーナさんの依頼の時だな。
扉を開けて中に入ると既に皆がいた。テーブルを囲んで飲み食いし、それぞれ武器の手入れや読書などしてくつろいで居る。まだこちらには気付いてないようだ。
たった1年しか経ってないのに懐かしい。
感動をグッと堪えて静かに歩み寄って声をかける。
「皆、久しぶり」
俺の声に3人はバッと音がするほどの勢いで顔をこっちに向ける。
「レイア!」
「久しぶりだな、レイア」
「おぉ!背伸びたなレイア!」
アヴァールは涙目になって抱きついて来た。エンヴィは普段通りって感じだけど目元が緩くなってる。ベルゼは本当に普段通りだ。
俺はアヴァールの頭を撫でながら話を始める。
「本当に久しぶりだな、皆。予定外だが、アイナが一緒について来ることになった。俺とアイナの登録が終わったらゆっくり話そう」
3人、いや、エンヴィとベルゼの視線が一瞬アイナに向かった後、2人は返事を返して椅子を確保してるから行って来いと言ってくれたが
「アヴァール、わざわざ一緒に来ること無かったんだぞ?」
「・・・・や、このままが、いい」
アヴァールは相変わらず俺に引っ付いたまま一緒に受付に並んで居る。
少しすると俺たちの番になった。
「俺とこの子の登録をお願いします。あと、チームの申請も」
「承りました。ではこちらの書類に必要事項を記入してください」
渡された書類に必要事項を書いていく。
氏名:レイア・ドライア・ナイトヴァンス
年齢:16
性別:男
種族:人間
レベル:43
職業:剣士
魔法:光 火
備考:ルーナハイト・スチールの推薦状あり
氏名:アイナ・キタヤマ
年齢:16
性別:女
種族:人間
レベル:12
職業:魔法士兼治癒士
魔法:闇 光 凍結 治癒
備考:レイアの使用人
改めて見るとアイナはとんでもないな。と言うかこれで治癒士って嘘だろ。
受付の人はステータスに驚いた後俺の備考欄を見て表情を納得に変えた。
ルーナさんの影響力どんだけだよ。
そして登録を終えた後、アヴァールも一緒だったのでチーム登録を済ませたのだが・・・・
チーム:罪の探究者
ランク:D
リーダー:レイア・ドライア・ナイトヴァンスD
サブリーダー:エンヴィ・インヴィディアC
メンバー:アヴァール・アワリティアC
ベルゼ・グラD
アリシア・フォン・イーストラルE
ソフィーナ・ドライア・ナイトヴァンスE
アイナ・キタヤマF
なんだ、これは?
俺が思考停止に陥ってると、後ろから懐かしい声が聞こえた
「レイア、ようやく来たわね」
「お兄様、お久しぶりです」
「アリシア、ソフィ・・・なんでここに?」
いや、卒業はしただろう。卒業式は見に行った。だからいてもおかしくは無いんだが・・・
「レイア、この1年隠して来たけど、私達は3年に上がって冒険科を選んだわ。貴方と冒険するために」
「私達も、微力ながらお手伝いさせていただきます」
「・・・・え?」
どうしても状況についていけなかった俺はきちんと把握するまでに十数分要した。
「まあつまり、2人とも付いてくるってことか?そんなの、まずいんじゃ無いのか?色々と」
こう、外交的な、第1王女が出歩くってなんやねん的な
「問題ないわ。私は魔道具で姿を変えるもの。色だけだけどね」
アリシアは耳につけてたピアスに手をやると、髪が金から青へ、目が青から金へ変わった。
と言うか髪の色と目の色が入れ替わっただけで顔のパーツに変化はないようだ。これ変装になるのか?
「どう?印象がガラッと変わったでしょ?」
「いや・・・まぁ、確かにパッと見では分からないかもしれないが・・・それで十分・・・なのか?」
「十分なのよ!」
アリシアが身を乗り出して大きい声で肯定してくるせいで納得してしまった。
「私のほうはあまり目立ちませんし、何もしなくても良いという判断になりました」
「確かに、ソフィはあまり他家とは関わりがなかったし、きちんと名乗らないと分からないかもしれんな」
ソフィはあまり他家との交流がなく、顔を知るものはかなり少ない。他国ではゼロといっても過言ではない程だ。
他国のがむしろ安全かもしれない。
結局2人に言い負かされた俺は、今度はエンヴィを負かそうと話を変えた。
「それはそうとエンヴィ、何故俺がリーダーになってるんだ?普通、俺はメンバーの方でいいと思うんだが」
リーダーならエンヴィの方が向いてる。それかアヴァールだ。
残念ながら俺もベルゼもリーダーなんて柄じゃない。ベルゼは纏めるのは上手いけど指示出すより動く方だし、俺も動く方が性に合ってる。
「ふむ、神託を受けたという点、古代龍との契約者という点、雷魔を追い返したという点、権力があるという点、そして何よりお前は意外と戦場での指示出しが上手い。私も負けてるつもりはないが、お前のやり方の方が被害は少なくて済む。
以上の点を踏まえてのメンバーの総意だ」
急に何を言い出すんですかね!?
「いやいやいやいや!え、いや俺はそんなの・・・・」
俺の戸惑いと言い訳など無視してエンヴィは続ける。
「更に言うと、レイアの中にいる『ぼく』は聖女に会えと言った。
外部との接触にはお前を経由しなければいけない、だがお前は聖女とは会ったことが無い、では何故聖女に会えと言う?
そしてもう1つの疑問、明らかにレイアとは別物の精神がレイアの中にいるのは何故だ?お前の中に居るようになる前に、聖女に接触したことがあるからじゃないのか?
ならば聖女に会った時点で聖女、または『ぼく』が何らかの行動を起こすことも考えられる。だが会えなければ意味がない。その為にお前の名前を知ってる可能性も入れると、レイアがリーダーなのがベストだ」
「い、いや待て。『ぼく』が体があった頃に、聖女に会った事があって、聖女に会えば俺たちの状況が好転すると思って聖女に会えと言ったと言うことか?
なら何故、今の今まで聖女は俺たちに接触しなかったんだ?」
聖女と俺、この場合は聖女と『ぼく』を中に連れてる人が会うようにするのが目的なら、自分から来るのが早いはずだ。
「恐らくだが、聖女に会うことは雷魔に対抗する為ならば、聖女の所まで行くのが試練なんじゃないか?その時の状況はどうあれ、それ位出来なければ雷魔には勝てんだろう?」
「移動するだけだし、それ位出来なきゃその程度、と言うわけか」
確かに試練と呼ぶには弱すぎるが、それは俺の立場故だ。普通なら難しい。なら試練にはなる・・・か
「そう言うことだ。これまで会ったことはアヴァールに聞いてくれ。私は少しやる事がある」
「あ、ああ、分かった」
エンヴィの言葉に反応したアヴァールが何故か向かいにあったエンヴィの座ってた椅子ではなく、俺の膝の上に乗ってきた。
あまりにもベッタリしてきて気恥ずかしくなった俺はなんとなくチラッとエンヴィの方を見て気づく。
あいつ、用事ってチーム申請の書類の提出じゃん!話逸らされてるじゃん!
結局膝の上に座るアヴァールを無下に出来ず、俺はチームのリーダーになってしまった。
しかもアヴァールから聞いた話では、最初の数週間だけ情報集めた後諦めて普通に冒険しただけだった。
どうやら俺が合流してから本格的に活動するつもりだったらしい。
後聞いたのはアリシア達の話だ。
アリシアとソフィは俺が家で暮らし、アヴァール達が冒険の基盤を王都で整えてる期間に基盤作りを手伝う代わりに卒業後にチームに入れて欲しいと言う取引をしたらしい。
ランクが僅かに上がってるのは依頼を受けて稼いでいたからのようだ。
その後俺たちは依頼を受ける為に掲示板に行き、護衛依頼を受けて王都から神聖国へ向かい始めた。




