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黒銀の魔眼剣士  作者: 神名一葉
第2章:学院三年生
77/124

ハズレを引いたんじゃ無いか?

今回はあまり話が進まなかもです

sideレイア


闘技大会2日目、俺とアヴァールはまだ2試合分の余裕があるため、客席に来ていたのだが・・・・


「・・・・アヴァール」


「ん、なに?」


「近いんだが・・・・」


「ん・・・・ドキッと、する?」


「うっ・・・まあ、アヴァールも美少女だしな。そりゃあ、まあ、するだろ」


美形であるエルフを見る機会は幾度となくあったが、アヴァールは特に綺麗だ。

特にその無表情なところも人形の様で更に美しい。


そんな娘に引っ付かれて嬉しくないやつは居ないだろう。


「ん・・・嬉しい///」


おまけに華の様な笑顔を見せてくるもんだからドキッとを通り越してクラッとくる。

・・・・その内悩殺されそうだな。


「あらアヴァール先輩、随分と楽しそうですね〜?」


「本当ねソフィ、自分の発言を忘れてレイアとイチャイチャしてるみたいよ、この先輩」


「あ、アリシアとソフィ、こっちに来たのか?」


今更だが、出場関係者以外立ち入り禁止の客席、通称アドバイス席がある。

アリシアとソフィはそっちにいって応援してた筈だ。

本人たちもそう言ってたしエンヴィが物凄い良い笑顔で自慢してきてたから間違いない。


「エンヴィの応援はどうしたんだ?」


「お姉様は試合本番間近になって私達に見られる事で緊張し始めたからこっちに来たのよ。

向こうにはクラリス先輩とミレリア先生がいるわ」


「そうか」


エンヴィはいつも変なとこで女の子してるな。

普段は傷ができようと御構い無しの戦闘狂なのに。


「それはさておきアヴァール先輩ぃ?約束が違うんじゃありませんかぁ?」


・・・・なんか、アリシアが怒ってる


「・・・撤回、する」


「ならば敵とみなしますよ?良いんですか?良いんですかぁ?」


・・・・めっちゃ怒ってる


「・・・・構わ、ない。私、の、カーススキル、は、【強欲】、絶対、奪って、見せ、る」


アヴァールが更にひっついてくる。

アヴァールの小さなソレが当たってくる。


「ア、アヴァール、その、胸が当たってんだけど・・・・?///」


「・・・・あてて、るの。嬉し、い?」


「う、嬉しいかどうかコメントするのはこの場に限らず入ってはならないことだと思うんだが⁉︎」


「ふふ・・・・かわいい。レイア、焦る、と、早口。さっきの、図星?」


「うっ・・・・///」


どうすれば良いか困っていると隣から物凄い殺気と怒気が・・・・‼︎


「ふふ、ふふふふふ、レイア、貴方、なにチッパイ女にデレてるのかしら?」


「お兄様、私の前で、どういうつもりですか・・・・?」


「お、落ち着け2人とも。えぇっと、ほら!試合が始まるから、静かにしないと、な?」


俺はなんとか2人を宥め、アヴァールを引き剥がして試合を観戦する。


『さあ今日も始まりました闘技大会‼︎

2日目の今日は生憎の雨模様ですが、元気よくいきましょう‼︎

勿論会場全体にきちんと結界を張ってますので雨の心配は要りません‼︎

さあ、まずは選手紹介といきましょう‼︎

方や王国代表!鋭く美しい美貌と同じく、鋭い剣筋で全てを切り裂く‼︎

獲物は風変わりな細い剣が1本と【闇魔法】と【風魔法】‼︎全てこなせるオールラウンダー‼︎

人間のエンヴィ・インヴィディア選手‼︎』


エンヴィが登場する。

いつも通り歓声が聞こえるが、やはりと言うかなんというか、女性の声が大きい気がする。

エンヴィは妙に女性に好かれるからな。

この間も学院で告白されていた。女子生徒から。


『そして方や帝国代表‼︎重く強烈な一撃は大地を引き裂き海を割る‼︎

獲物は大きな両手剣に【火魔法】と【土魔法】‼︎圧倒的パワーファイター‼︎

ドワーフのキュリアス・ジーン選手‼︎』


出てきたのはドワーフらしい身長2m弱の大男だった。

どうやら客観的に見ればまたパワー対スピードになりそうだな。

尤も、エンヴィが本当に人間だったらの話だが・・・・。


それより問題なのは、ドワーフの格好だった。







side エンヴィ


アリシアとソフィが居なくなり、多少緊張が薄れた。


「ふぅ・・・」


「どうかしたのかエンヴィ、ため息なんかついて」


「む、先生・・・いや、思ってたより自分は緊張しやすいのだと思いまして・・・・」


「やっぱエンヴィってば変なとこでオンナノコだね〜。そういう所が女の子にモテる理由なんじゃないの?」


「う、うるさいクラリス!」


一応、気にしているんだぞ!

同性とは言え好意は好意だ。無下にできず毎回苦労する私の身にもなってくれ‼︎


「そうだ黙れクラリス。からかうのは試合が終わってからだ。

エンヴィ、お前の上がり症は身内限定じゃないのか?

この間の校内での大会でも緊張してなかったじゃないか」


「む・・・・言われてみればそうです」


むぅ、何故だか先生の方が私の事詳しい気がする。


「さてエンヴィ、お前は強い。夜という限定的時間の中ではレイアよりも強い。

だから切札は【闇魔法】で擬似的に夜にするあれだが・・・・

あれを初戦から使うのはまずい。だから刀と瞬間的な【飛行】をメインにして戦え。

難しければ簡単な【闇魔法】も使っていい。

夜を作るのは最低でも2回戦までとっておけ」


「わかりました」


もし私の魔法が【闇魔法】と【風魔法】じゃない何かだったら【飛行】で【風魔法】と誤解させられたのに・・・・

こういう時少しだけ残念な気持ちになる。


「エンヴィ、そろそろ時間だ。勝ってこい」


「エンヴィがんばー!」


「うむ。いってくる」


私はステージに向かっていった。

幸いと言うかなんというか、私には変な因縁は無いからな、アヴァールみたいな展開にはならないだろう。

少なくとも精神的には、問答無用で叩き潰して構わんだろう。


ステージに上がった私の前にいた対戦相手は・・・・


「(うわっ、デカっ⁉︎

なんか、アヴァールやレイアとは違う意味でハズレを引いたんじゃ無いか⁉︎)」


なんか、凄いのがいた・・・・。

本当に凄いのがいた。


普通の人だったら叫んでたかもしれないし、気の弱い奴なら気絶していたかもしれない。

私はこの時初めて自分が男勝りで良かったと思ったほどだ。


その男の特徴を述べていこう。

体長2m前後、筋肉質で髪は赤褐色で目は黄色。

これはまだ良い。ドワーフの男とはデカイか小さいかの二択だ。

鍛冶屋をやってるのは小さく、戦うのは大きいと言う特徴がある。

問題なのは服装とその筋肉の相性の悪さだ。


上半身は剣をぶら下げるためのベルトのみ。

下は黒地のV字の際どいパンツ。足にはブーツが履かれていて、見た感じ剣の次にブーツが高価そうだ。

ただ、剣を下げるベルトのサイズがあってないのか、とってもパツパツだ。

その癖パンツのサイズはあってるようで一見普通だ。いや、パンツだけの時点で異常だが・・・。

とにかく全体的に筋肉が強調されていて遠目に見たらただのマッスルクリーチャーだ。


「なんというか、私の運はどうなってるのか神に聞きたいな。

と言うか、鎧はおろか服も無いなんて大丈夫なのか?」


「はっははははは‼︎‼︎俺の心配は要らんぞ小娘‼︎

俺は肉体美を追求し、体をとにかく鍛えまくった‼︎お陰でその辺の剣なら弾けるだけの筋肉と防御を手に入れた‼︎

よって、俺には鎧など不要だ‼︎」


化け物だな、それは。と言うか小娘って・・・・少なくとも同い年のはずなんだが?

いや、それはそれとして・・・・


「・・・・いや、それは服を着ない理由になってないのでは無いのか?」


「ふっ、勿論理由があるとも。

俺が服を着ないのは・・・・この俺の美しい筋肉を皆に見せ、世に筋肉の素晴らしさを教えるために‼︎

俺は必要最低限以上の服を着るわけにはいかんのだ‼︎」


うわぁ、ヘンタイだぁ・・・・・。

なんというか、知り合いに影響が出ないことを祈ろう。

最近一層体を鍛えているレイアが頭をよぎったが、影響が出ないことを祈ろう‼︎


『おぉっと⁉︎キュリアス選手は随分と変わった考えの持ち主のようです‼︎

しかし‼︎エンヴィ選手はスピードも勿論その細身では考えられない火力を誇ります‼︎

この勝負、お互いに一点特化の戦いとなりそうです‼︎』


おいやめろ。このマッスルクリーチャーを焚きつけるな!


「む⁉︎この俺の筋肉に勝る剣技だと言うのか⁉︎それは俺も興味深いぞ!

王国といえば大会を連勝している優勝候補だからな!

ダリウスの言ってた輩と当たれんかったが、お前も強いのだな⁉︎」


・・・・予想以上に食いついてきた。

もうヤダ、正直棄権したい。これ以上マッスルクリーチャーと関わっていたく無い。

インパクトデカすぎだろう。デカすぎて名前を忘れてしまったぞ。


「ま、まあいい。切り替えよう。審判‼︎試合開始の合図を‼︎」


『勿論始めましょう‼︎それでは、試合開始です‼︎』


ようやく試合が始まった。


先手必勝。私は抜刀し、地を蹴る。

【飛行】でバレ無い程度に加速しつつ、剣技を放つ。


「【十字斬り】!」


「【タンク】!」


【タンク】、【盾術】のスキルで、盾が無くても発動できるスキルだ。

効果は防御強化。


私のスキルを受け止めた彼は、今更ながら抜剣し、その巨大な剣を振り下ろしてきた。

私はステップで避けたのだが・・・


「ーっ⁉︎くっ、なんて衝撃だ・・・‼︎」


流石のマッスルクリーチャーだ。威力が桁違いだ。


「まだまだ行くぞぉ‼︎【土壁】!」


「ーっ‼︎退路を絶ったか。ならば、【乱波】!」


【乱波】は【刀術】スキル、剣の衝撃で魔力と風圧を発生させ、退路の確保とキュリアスの足止めを試みる。


「ふんっ‼︎俺にこんな小細工は効かんぞ!」


・・・・・まあ、【土壁】は破壊できたから良しとしよう。

何もやってないのに体で弾くという非常識な光景が見えたが、考察は後回しだ。


「・・・流石に相性が悪いな【演舞】」


【演舞】は【刀術】の基礎スキル。熟練度に行って使い勝手が変わるスキルだ。

私は多用している為そこそこ熟練度も高い。

効果は回避能力の上昇だ。


「さて、いい加減こちらも攻撃に移させてもらうぞ!【堕星】!」


レイアとの戦いでも使った【堕星】、総攻撃回数5回の中級スキルだが、高い所から使う突き技だ。

簡単に言うと、攻撃範囲を絞って威力を剣先に集約させている。


「むっ⁉︎それは不味そうだのう‼︎【ブレイドキャノン】‼︎」


【ブレイドキャノン】、【両手剣術】の中級スキルだが、中級の中では上位に位置するスキルだ。

効果は【堕星】と同じ突き技。

つまりこの男は、私の【堕星】を、突き技を突き技で弾こうというのだ。


はっきり言おう。


「アホか‼︎」


「アホかどうか、その目で見極めろぉ‼︎」


【堕星】と【ブレイドキャノン】がぶつかる。

連続攻撃のスキルは途中で何かと拮抗状態に陥ると単純な力勝負になる。

つまり、これを制することができた方が、二撃目以降を放てる。


「うおぉぉぉぉ‼︎‼︎」


「くっ、【黒之世界ブラックワールド】!」


1試合目だとか言ってる場合じゃ無い。すぐさま『夜』を作る。

取り敢えずは自分の周りに作り出した。

これである程度行けるはずだ‼︎


事実私は徐々に奴を押し始めた。このまま行けば、私の勝ちだ‼︎

私はより一層力を入れ、刀を押し込む。


「はあぁぁぁぁ‼︎‼︎」


「ぐっ、やはり強いな‼︎だが、俺はまだ負けんぞぉぉぉ‼︎‼︎

【フレイムブーツ】‼︎【フレイムマント】‼︎」


次の瞬間、いきなり増幅した敵の力に耐え切れず、私の体はいとも簡単に吹き飛ばされた。


【フレイムブーツ】は加速、【フレイムマント】は筋力増強の役割を担っていたようだ。


「くっ【飛行】!」


「まだだぁぁぁぁ‼︎」


即座に【飛行】するが、私を吹き飛ばしたのに油断せず私に突っ込んできたこいつは、私をタックルで吹き飛ばした。


そして・・・・


「くっ・・・・」


「ふっはははははは‼︎‼︎俺、勝利ぃぃぃぃ‼︎‼︎」


『・・・・し、勝者、キュリアス・ジーン選手‼︎

壮絶な力勝負を制し、王国の全勝を防いだのは、帝国代表キュリアス・ジーン選手です‼︎」


私は、場外に飛ばされ、負けた。


紅く煌めく炎の衣を目に移しながら意識を失う前に、心の中で叫んだ。


「(試合開始時と違いすぎるだろう⁉︎筋肉云々は何処行った⁉︎)」

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