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黒銀の魔眼剣士  作者: 神名一葉
第2章:学院三年生
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創作大会 〜前半〜

sideレイア


『〜〜〜〜、よってここに第7回学院交流祭の開催を宣言する‼︎

各々己の持つ全ての技術と力と知恵の限りを尽くすように‼︎』


あ、開会式お終わった。

しかし第7回かぁ・・・まあ、戦争が終わってまだ3、40年程度だからなぁ。こんなもんか。

俺たちは列になっている為、一列になって退場していく。この後創作大会がある。

うちの学院の最有力候補はエルスだ。

学科が違ったから知らなかったが、エルスはかなり成績が良く、知識だけでなく応用力もあると言う。

最早戦闘以外は完璧だ。これ以上の完璧人って居るのか?


「さて、創作大会に出場する皆、硬くならずにお題に合った物を考え、己の限界を試すように。

これは競うのではなく、己の限界を試すものだ。皆、頑張ってくれ!」


「「「はい!」」」


さて、俺はエルスの方を見に行こう。

後輩達も自由行動にしてあるから同級生の応援に行くだろう。










『それでは創作大会Cブロックを始めます。

お題は・・・石材のみを使用し、快適な椅子を作ることです!』


お題を聞いた瞬間分かった。

あ、俺には絶対無理な領域の物だ・・・と。

しかし参加者はそうでもないようで、数秒考えた後手を動かし始めた。

ちなみに加工方法は自由だが、基本的に皆魔法を使ってる。

解説したいのは山々なのだが、俺には到底分からない分野なので出来ない。


1時間後、全参加者が作り終わった。

出来上がった作品を1つ1つ見ていこう。


1つ目

基本的な構造は正方形。

腰掛ける部分が丸く加工されていて腰を痛めないよう出来ている。

その横にはちゃんと肘掛もあり、下には球体が4つ付いてて移動できるようだ。

石材でさえなければ一家に1つありそうな椅子だった。


2つ目

基本的な構造は縦長の長方形。

腰掛けは普通だが、肘掛に飲み物を入れる穴が空いている。

おまけに足置きまである。

商会やなんかにありそうだ。


3つ目

基本的な構造は台座の上に球型がある。

体全体を包む構造になっているが、年寄りにはキツそうだ。

他に装飾も無い。明らかに趣味全開である。

いや、台座は魔法で球体に固定されていて回転するようだ。

どちらにしろ趣味全開だが・・・


4つ目

これはエルスの作品だ。基本的な構造は正方形。

人の形に合わせて削ってある。

それだけなら1人目と変わらないが、エルスのは肘掛が更に発展し、前に机が出るようになっている。

おまけに机は半分に折り畳んで肘掛の中に仕舞えるようだ。

更に魔法で椅子の温度を上げれるらしい。下げれないのが欠点だが、良くこんな凝ったもの作ったな・・・


結果は当然、明らかに1時間じゃ足りないような仕掛けを作ったエルスだった。

他のブロックの生徒は1人は上がったようだ。


俺たちは控え室に戻ったエルスの元に行った。


「エルス、まずは予選通過おめでとう」


「ありがとうございます。お題が簡単なので良かったです」


あれで簡単なのか⁉︎

俺からすればしばらく驚いたままぼーっとしてたと思う。


「次は神聖国の生徒と当たりますね、技術国と当たらないのが幸いです。

頑張ってくださいエルス」


「ええ、絶対勝ってみせるわソフィ」


この大会は毎回技術国の生徒が優勝するからな。

今回は引っくり返せそうだ。








『それでは2回戦、方やイーストラル王国王立魔法学院代表選手!

方やアリンスト神聖国国立聖光学院代表選手!

今回のお題は・・・水晶を使った芸術品です!

作る品は問いません!首飾り、耳飾り、家具でも構いません!

更に今回は水晶以外のものを使ってくださって構いません!代わりに、水晶含め全ての材料は自己調達となります‼︎

予算は金貨3枚、制限時間は4時間です‼︎

己の考え得る最高の作品を作って下さい‼︎』


またまたとんでもない事をする。

予算は各国から出る為何の支障もない。

とんでもないのはそれで自分の国の物が売れるということだ。

宣伝効果もある。出来が良ければ尚良し。恐るべし技術国・・・‼︎


神聖国の生徒とエルスは金貨を持って出て行くと、30分後に戻ってきた。

俺の勝手な推測だが、神聖国の生徒は水晶を削ってコップを作ってるようだ。

エルスは少量の宝石を削ったりして置物を作っているが、見たところ宝石と銀板以外のものを使っていない。


1時間位経ち、2人の作品が完成に近づくと、エルスは審判の持っている拡声器を借りた。


『レイアくん!ステージに降りてきて下さい‼︎』


えぇぇぇ・・・・

この、みんなが注目している中来いと⁉︎


「・・・行きたくないんだけど」


「行きなさいレイア」


「行ってらっしゃいお兄様」


「ん、がんば」


「マジか・・・・」


俺は諦め、ジャンプしてステージまで跳ぶ。

エルスが俺に頼みたいことは分かる。俺の【水晶眼】を借りたいんだろう。

純度の高い水晶は出回らないし、水晶自体、自然に出来る物で作れるものじゃない。

【土魔法】や派生系の【樹木魔法】、【鍛冶】スキルでも無理なのだ。


「なんだエルス?」


「レイアくん、悪いんだけど横幅はこの銀板と同じ、縦幅は10cm位の中が空洞の長方形を作ってくれない?

欲しい形の水晶が無かったの」


「・・・・わかった」


出来なくはない。

魔眼系スキルの利点である「魔力なしでの発動」を捨てればな。

俺は1、2分掛けてエルスに注文された水晶を作る。


「ふぅ・・・出来たぞ」


「ありがとうレイアくん、もう少しだし、折角だから見て行って」


「あ、ああ、わかった」


エルスは水晶を削り、魔法回路を刻んでいく。

魔法回路は魔法陣と同義。どちらも魔力を流すことで魔法が発動する。

違うのは物質で出来ているか、魔力で出来ているかだ。

エルスは1時間位掛けて魔法回路を刻むと、調達したであろう魔石を魔法回路の起点に置く。

すると、加工された水晶が淡く光りだした。

エルスはそれを確認すると銀板と水晶を接合していく。

そして遂に・・・


「「出来ました」」


2人とも、作品を作り終わった。


神聖国の生徒の作品は予想通りコップ。細かく言うならマグカップだ。

水晶には僅かな欠けも無く、綺麗な円を描いている。

カップ本体には宗教のマークである正三角形の中に丸があり、丸の中に星があるマークが付いている。

そして刻まれた魔法回路の効果によって中身の温度が常に一定に保たれるようになっているようだ。


「・・・凄いな」


「ええ、王城にもあんなに精細なカップは置いてないわ。

そもそも水晶で作らないし」


「ふむ、マリーさんが喜びそうだな」


「・・・・綺麗」


「えー、キラキラし過ぎじゃない?」


「そうですね、肝心の中身がダメになってしまいます。

あくまでメインは料理です」


料理家2人の厳しい意見以外は好評なものだ。

これは、いくら俺の【水晶眼】が純度100%で何処の水晶よりも上質だからと言って対抗出来るレベルではない。

つまり、完全にエルスの腕次第だ。


「・・・・お願いします」


エルスが自分の作品を持っていく。


「ーっ‼︎」


エルスの作品は、横長の長方形の中にトパーズを使った太陽と月が付いていて、左右がそれぞれ昼と夜になっている。

夜の方には様々な宝石、エメラルド、ダイアモンド、アクアマリン、ガーネット等を細かく砕き、星の見立てている。

昼の方には羊の毛を使った雲が散りばめられていて、魔道具の効果で昼の方だけ光っている。

そして下の方には大陸を模した青と緑の絵が描かれている。

昼と夜、本来相対する2つが綺麗に混ざった世界の在り方を形にした。幻想的な作品だった。


『それでは御二方の作品の評価が終わりました‼︎

結果は・・・・








王立クラウン魔法学院代表エルス・リザイア選手の勝ちです‼︎

大変素晴らしい作品でした‼︎』


こうして初日の創作大会は幕を閉じた。

決勝戦、準決勝は明日だ。

参加者はエルスと技術国の代表だ。





ちなみに帝国の生徒は誰1人2回戦にすら進んでいなかったらしい。

あの国武闘派だからな・・・・



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