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黒銀の魔眼剣士  作者: 神名一葉
第1章:学院2年生
14/124

隣の国の皇子様(笑)

sideレイア


エンドルフ様とアリシアとの食事の後、キッチリした格好へ着替えた俺はアリシアと一緒に別室で待機していた。


手順としてはエンドルフ様と皇子様が婚約についての会談、そこからアリシアの意見を聞くと言う名目でアリシアが入室、

その時に俺も一緒に入室して仲の良さを見せつける。これで諦めなかったら実力主義の帝国は決闘を仕掛けてくる。

もしそうなったら俺が皇子様をボッコボコにして追い返す。その際従者に正式な書類を持たせて正式に追い返す。


中々エゲツなく、容赦無いな作戦だが、イリス様が考えたと言われたら不思議と納得してしまった。


「・・・・暇だなぁ」


「そ、そうね・・・ねえレイア、もしこれが成功したら・・・・」


「成功したら?」


「・・・・やっぱりなんでもない」


変な奴だ。アリシアがここまで曖昧なのは珍しい。

それから数分位気まずい状態が続くが、遂に出番がやって来た。


「さあ、行こうかアリシア」


「ええ、演技に挑発は王族の得意分野だもの」


「王族だけじゃないぞ・・・・失礼します」


さあ、開戦だ‼︎


「おお、来たかアリシア、此方がお前に婚約を申し込んできたダリウス・ガロウ・プライム第3皇子だ」


そこに座っていたのは今朝会った、と言うよりすれ違った

真っ赤な髪と瞳孔開きっぱなしの金色の目、狼系の耳と尻尾を持った例の獣人だった。


「お初目お目にかかります。イーストラル王国第1王女、アリシア・フォン・イーストラルです。

お見知り置きを、ダリウス皇子」


アリシアが挨拶し、席に座る。通常なら相手が名乗るまで立っているのが礼儀だが、アリシアは座った。

必然的にダリウス皇子様も眉を顰めているが、許容範囲の様で怒りはしない様だ。


「初めましてアリシア王女、ダリウス・ガロウ・プライムです。今回貴女と婚約を結びたくやって参りました」


「まあ、それは困りましたわね。私(わたくし)には既に婚約者が居りますのに」


「・・・・なんだと?」


ここでアリシアは俺の方に目を向ける。あおれにつられて皇子様も俺に目を向ける。


「お初目お目にかかります。いえ、今朝振りですねダリウス皇子様、

ナイトヴァンス公爵家第一子、レイア・ドライア・ナイトヴァンスです。この場合はアリシアの婚約者、と申し上げた方が宜しいでしょが」


あえてアリシアをアリシア王女と呼ばず、更にアリシアの婚約者と言う名称も使う。

エンドルフ様の前で言って止められない為信憑性はかなり高い。


「なっ⁉︎あ、あの時の・・・・‼︎」


「む?知り合いか?」


良かった、どうやら皇子様は覚えている様だ。

あとエンドルフ様には言ってなかった、と言うより確信が無かったから黙っていた。


「エ、エンドルフ国王陛下‼︎

この様な城内を汗だくで歩き回る様な非常識な男がアリシア王女の婚約者ですと⁉︎

しかも階級で言うなら皇子である私のが上ですし、今後の貿易にも有利に働きます‼︎

それなのにこの公爵家長男を選ぶのですか⁉︎」


随分とそれっぽい理由を挙げてきているが、実際はそうでも無い。

何故なら・・・


「む?そもそも我が国は貴国へ貿易の話を何度も持ちかけているが断られている。

それなのに貴国との貿易の為にも娘をくれてやる訳にはいかん。

仮にダリウス皇子が掛け合ってくれるのだとしてもあの皇帝が頷くとも思えん。

それなら我が国で既に功績を挙げているレイアの方が安心だ」


「ーっ‼︎!こ、この様な細身の男が既に功績を挙げているですと⁉︎僭越ながら私とて功績位あります‼︎

既に私のレベルは14、ステータスも種族の関係上魔法は低いですが俊敏と攻撃なら350に達してます‼︎

冒険者ランクでの評価なら私のランクはDとなります。それでもこの者のが上と申されるのですか⁉︎」


「ふむ、確かにダリウス皇子は歳の割には優秀だ。じきに大陸内でも有数の戦士と成り得る程に。

だがレイアはそれを上回っている。レイア、お前のステータスを見せてやりなさい。

一部見られたくない所は隠蔽して構わない」


「はい、エンドルフ様」


ステータスウィンドウは本人以外にも見えるように出来る。

そして見られたくない部分があるときそこを隠す機能もある。隠すだけで改竄は出来ないが


「ステータスウィンドウ、オープン」


俺はステータスを可視化する時はステータスウィンドウオープンと言うようにしている。


そしてステータスが出てくる




名前:レイア・ドライア・ナイトヴァンス

種族:人間

年齢:14

性別:男

称号:(隠蔽中)

レベル:32

HP1620/1620

魔力:340/340

攻撃:790

魔攻:210

防御:415

魔防:160

俊敏:515


スキル:【両手剣LV6】【分析】【火魔法LV3】【光魔法LV2】【念話】【恐怖耐性LV1】


固有スキル:【救済者】(一部隠蔽中)


(完全隠蔽中)


加護:【剣神の加護】(一部隠蔽中)




「なっ!?なんだこのステータスは!!?魔法以外完全に俺を上回っているだ!?しかもレベル32!?

欠点なんて精々魔法系が俺より若干高い程度じゃないか‼

しかも固有スキル持ちで一部隠蔽中!?加護まで隠蔽して、一体どうなっているんだ‼!」


うん、俺も同じ立場なら同じ反応したと思う。って言うか俺の魔法系ステータスってそんなに低いか!?


「どうかねダリウス皇子、私が彼を選んだ理由が理解できたかね?」


「くっ・・・・・確かにステータス上の実力は問題ありません。年齢を考慮しても魔法以外は相当なものです。

ですが命のやり取りを実際に行った戦士でなければ意味がありません!」


「・・・・何が言いたい?」


「どの国の貴族も弱った魔物に止めだけ指してレベル上げする、いわゆる『養殖』が居ます。

この男もそうであるなら多少ステータスが劣っていても私のが有能だと言うことです!!」


ダリウス皇子様の言いたいことはわかる。貴族の中にはそういう事をして力に物言わせるだけの奴も居る。

だが【恐怖耐性LV1】がある時点で既に命のやり取りくらいしてきたことがわかりそうなものだ。

そういう意味では呆れたものだ。エンドルフ様も目で「うわぁ、もう少し考えろよ」って言ってるし


「・・・・ならダリウス皇子、レイアと決闘をしては如何かね?幾らここで話していても分かることではない。

実際に戦うのが一番だろう。うちには訓練用の木剣が数種類ある。お互い不利にはならない筈だ」


「わかりました。では私がこの者に勝ったら是非アリシア王女との婚約の件、宜しくお願いします」


「うむ。よいなレイア、お主の名誉とアリシアの今後が掛かった戦いだ。ちゃんと処置は取る。

ダリウス皇子、決闘で使われたスキルをお互い口外しない事を約束して頂きたい」


「構いません」


「・・・・エンドルフ様がそこまでしてくださるのであれば、俺は戦い、勝つまでです」


エンドルフ様は俺に全力でやって欲しいんだろう。だからスキルを口外しない事を条件付けた。

これで俺も固有スキルが使えるからな。

それに【救済者】を使えるように簡単にだが、木剣に【光魔法】をかけて簡易的な聖剣にする技術も会得した。

負ける気は勿論無い


「うむ、それでは移動しよう」









予定通りダリウス皇子様は罠にかかり、俺と決闘する事になった。

エンドルフ様は固有スキル全開で叩けというし、早く終わらせよう。


「それでは双方構えよ」


アティさんが審判をしてくれる為事故も無いだろう。


俺は今朝使ってた両手剣の模擬刀を、皇子様は片手剣の模擬刀を構える。


「・・・・始め‼︎」


「ーっ‼︎」


「はぁっ‼︎」


一瞬、一瞬で皇子様は俺の所まで踏み込み、剣を一閃する。

俺の両手剣は防御に向かない為回避するしか無い、実際に回避した。


「なんてスピードだ・・・⁉︎だが俺だって負けられない。【擬似聖剣生成】‼︎【救済者】発動‼︎」


速攻で擬似聖剣を作り、【救済者】を発動する。俺の魔力は少ないから大した事は出来ないが、それでも十分強力だ。


「それがお前の固有スキルか・・・なら俺も固有スキルでいってやるよ‼︎【獣化】‼︎」


【獣化】、獣人が使える固有スキル。防御が薄くなる代わりに圧倒的俊敏と攻撃を得るスキル。

さっきまでの速度にも手一杯だった俺には荷が重すぎる。俺も密かに【先見眼】を発動する。

お互い最初から全力だ。加減なんて気にしてられない。


「【縮地突き】‼︎」


「【ビーストアーム】‼︎」


【縮地突き】で間合いを詰め、攻撃を仕掛けるが、腕を毛で覆い、衝撃を吸収する【ビーストアーム】相手に無効化される。


「【フラッシュ】」


【光魔法】で目眩ましを使う。


「あああああ‼︎目が、目がぁ〜‼︎!」


何故かツッコミを入れたくなる衝動を抑え、皇子に近付くが、


「ーっ‼︎チッ、流石獣人。第六感が優れてる」


獣人特有の感。かなり厄介だ。目の回復には時間がかかるだろうけど長くは持たない。

やっぱり早めに片付ける‼︎


「あんまり使いたくないけど、【水晶眼】‼︎」


【水晶眼】を発動しながら皇子の足だけを見る。足だけを見て使えば足を覆うだけで済ませられる


「ーっ⁉︎な、なんだ⁉︎動けねぇ‼︎」


「止めだ。【一閃】‼︎」


剣を高速で一閃する【一閃】。名前も能力も単純だが、速度だけはある。模擬戦にはもってこいだ。


「ーっ‼︎まだまだぁぁぁ‼︎」


ーガキィィン‼︎


見えない上に足を封じられてパニックになって尚、第六感は健在なようだが、


「いいや、終わりだ。それっ」


「いでぇ‼︎」


額に魔力で強化した指でデコピンをお見舞いしてやる。これ、地味に痛いんだよなぁ


「そこまで‼︎勝者、レイア・ドライア・ナイトヴァンス‼︎」


「うおぉおぉおぉお‼︎!ちょ、ま、マジでイテェェェェェ‼︎!」


「・・・・うん、分かる。わかるよその気持ち。滅茶苦茶痛いもんな。【ヒール】」


【光魔法】の回復魔法で応急処置を取ってやる


「う、おおぉぉ・・・す、すまねぇ。だが、情けをかけるのは、精神的に苦痛だ・・・」


「いや、情けじゃない。同じ経験があるから共感しただけだ」


つまり同情であり、情けをかけた事にもなるが、言い回しを変えたため皇子は気づかない。


「まあ、なんにせよこれでやっと帰れる・・・・帰れる、よな?」


エンドルフ様に目を向けると、親指を立てて良い笑顔を向けてきた。

なんでだろう、無性に親指をへし折りたくなる。









「はっはっはっはっは‼︎お前強いなオイ‼︎

【獣化】した俺を止めた奴は親父以外じゃ初めてだ‼︎」


「そうか、【獣化】前でもあんなに速いのにもっと速くなったら対応なんて無理だろうしな」


「そういうこった‼︎足を封じようとする奴は何人もいたが実際に止められたのは初めてだ‼︎

親父は拳骨で止めてくるしな‼︎」


「無茶苦茶だな・・・・なあ、なんでこうなったんだろうな」


俺は何故か、ダリウスと酒を飲んでいた。ダリウスは負けた事を悔しがらずに笑いながら大声で会話してくる。

しかし、何故休日なのに俺は家に帰れないんだ?

今は夜だし、このままじゃ泊まりになる。そしたら2日も帰ってない事になるぞ。


「ほっほっほっほ、レイアも流石じゃなぁ、ダリウス皇子も随分と速かった。

魔法使いの私では止められないし、いよいよ心強くなってきたのぉ、これでレイアも公式にアリシアの婚約者じゃ‼︎」


「はぁ、どうも・・・・え、今なんて仰いましたか?」


「ん?心強いと言った」


「いえ、その後です」


「公式にアリシアの婚約者じゃ?」


公式にアリシアの婚約者?どういう事だ、それは設定だったはず


「どういう事ですかエンドルフ様⁉︎」


「なに、今回ダリウス皇子にはお前をアリシアの婚約者として紹介し、決闘させた。そしてお前は勝った。

ダリウス皇子はこの事を帝国に報告するじゃろう?

そうしたらレイアは帝国で『ダリウス皇子に勝った凄い強いアリシアの婚約者』という事になる。

つまり、殆どレイアはアリシアの夫になる以外の選択肢が無くなってきてるのじゃよ‼︎」


いつの間にか外堀が世界規模で埋まってきてる。


「それ、エンドルフ様が考えたんですか?」


「いいや、イリスが考えたぞ?あの子は頭が良いからのぉ」


くっ、イリス様が考えたなら逃げ道を見つけるのは困難だ


「ダリウスも知ってたのか?」


「いや、知らんかった‼︎そっか〜あれ嘘だったのか‼︎まあでもこれから婚約者になるんだったら変わらねぇよ‼︎

何より俺は負けたんだ‼︎文句言える立場じゃねぇよ‼︎」


つまり王国側の罠にダリウスが引っかかった形になるのか


「はぁぁぁ・・・・ま、いいや」


なんとかなるでしょ。それよりこの宴会の片付けをなんとかする方が先だ

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