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黒銀の魔眼剣士  作者: 神名一葉
第1章:学院2年生
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お食事会

sideレイア


なんでこうなった?


「お、王妃様、いくらなんでも飲みすぎでは?」


「いーのよぉ‼︎ほらぁ、アティちゃんも飲みなさいって‼︎」


「ふふふふふ、お母様ったら。

レイア〜、貴方も飲みましょうよ〜。ふふふふふ」


アティさんの部屋はイリス様、アリシア、アティさん、俺の四人と料理と酒で満たされていた。

イリス様とアリシアは完全に出来上がっている。おまけに物凄い絡んでくる。


もう一度言おう。なんでこうなった?








城へ戻った後、俺はアリシアの部屋へ顔を出しに行ったのだが、


「イ、イリス様?何故ここに?」


「アティちゃんがレイアくんとお食事するって言うのを聞いたから本当かなぁって」


「誰が・・・アリシア‼︎」


「あ、バレちゃった」


アリシアはイリス様に密告していた。

イリス様に絡まれたくないからアティさんとの食事を受けたのに、意味が無いじゃないか。


「・・・・それでは俺は失礼します」


「まあ待ちなさい。家に戻ったのに汗を流してないみたいだし、お風呂に入っておいで。

服はこちらで用意するわ」


と、あっという間に予定が変更され、いつの間にか風呂に入り、上がったら薄手のシャツとズボンが用意されていた。


着替えて外に出たら使用人さんが居てアティさんの部屋に案内された。

で、部屋に入ったら料理人さん達が作ってくれた大量の料理が並べられていて、

側には笑顔のイリス様と冷たい笑顔のアリシア、苦笑いのアティさんが居た。


そのまま雑談しながら食事をしている内にイリス様が使用人に注がせた酒を皆が飲んでて酔っ払う。

今の状況がここだな。


「はぁ、すいませんアティさん。俺がアリシアに食事の事を言ったばかりに・・・」


「いや、気にしないでくれ。アリシア様もイリス様も暫くすれば寝る。その後使用人に運ばせれば良い。

それから少し、話をしようか」


「ええ、分かりました」


俺はかなり酒に強い。

酒は別に年齢制限は設けられてないが、健康面で飲まない子供が多い。

その為飲むのは遅くて18歳、早くて12、3歳だ。

俺は去年から父様と飲んでるが、父様は大して酒に強くないから俺は大して酔わずに終わる。


「しかし、『虎殺し』はやりすぎだったか・・・・?」


「高級品じゃないですか!?しかも酒に強い獣人でもきついお酒じゃないですか・・・・」


ここまで来るとあきれてしまう。

それから数十分後、使用人さんを呼んで二人を運んで貰い、漸く静かになった。


「思ったより時間掛かりましたね・・・・」


「ええ・・・・・」


尤も、静かになった頃には俺たちの目は死んでたが


「それはそうとアティさん、話ってなんですか?」


「んむ?・・・・あぁ、そうだったな。

レイアくん、私は両手剣の扱いを知らないからこんなことを言える立場では無いのだが、

レイアくんが冒険者になるのは百歩譲って許可しよう。だが、少なくとも今のレイアくんは弱い。精々Cランクの下位と言ったところだ。

だからもし、レイアくんがこのまま弱いまま卒業したらそのまま騎士団に入って貰いたいんだが、どうかな?」


俺が、弱い。

確かに俺は弱い。Bランクに手も足も出ずに殺されかけ、倒したのも結局俺じゃない。完全に名ばかりだ。

『ぼく』も何時でも助けられる訳じゃないと言っていた。総合して見れば俺は相当弱い方だ。


「・・・・俺は、戦うために冒険者になる訳じゃありませんから、どっちにしろ冒険者になりますよ。来年の学科も冒険科にしますし」


冒険科とは、冒険者志望の生徒が選択する学科で、地理や魔物の特徴、戦闘訓練が主な授業内容だ


「そーかぁ・・・・・うぅぅっ、ぎぼじわるい」


「ちょっ、アティさん!?こんなところで吐かないで下さい!!もう少しの我慢です!!トイレに連れていきますから!!」


正直俺も相当酒が効いてて今にも寝たい位瞼が重たい。

だがアティさんの私室で、しかも片付けもせずに寝るのは不味い。何よりこのままだとアティさんがゲロまみれになる。

それだけは避けなければ!!


「しよーにんさーん!!アーケティアさんが吐きそーなんですけどー!?」


『ーっ!?ふ、袋をお持ち致します!!』


部屋の前で待機してたらしい使用人さんが袋をもって入ってきて、アティさんの口に袋を添える


「アーケティア副団長様、もう吐いて下さって大丈夫ですよ」


「うぅうっ・・・・わ、わだじは~、めーよある、イーストラルおーごぐぎじだんの~、アーゲディアだ~。

こんなことで~、はぐわげには・・・うっ、うおヴ




暫くお待ち下さい




アティさんがダウンし、部屋の片付けが終わる頃、俺は使用人さんに肩を借りながら別室へ案内されていた


「うっ、す、すみません・・・・お忙しいでしょうに」


「いえいえ、レイア様がいち早くお知らせしてくださったお陰で仕事は減っております。

むしろ助かっていますよ」


「・・・・・そーですか」


いい加減寝たい。


半ば引きずられる様に移動し、部屋へ着いた俺はシャツのボタンを第二まで外し、完全にだらけた状態で眠りについた。









(ここは・・・何処だ・・・・・?)


俺が目を覚ますと、よくわからないフワフワした感覚の真っ暗な空間にいた。

言葉で表現しただけなら「ベッドの中だろ!?」とか言われそうだが、もう一度言う。

暗くて、宙に浮いてる感覚、そして、精神世界に来たときに感じる違和感だ。と言うか精神世界だと思う。だが声が出ない。


一応移動出来るようだから感覚に任せて移動する。

精神世界は白かったが、ここは暗い、黒い、闇に包まれている。共通点は感覚とこの空間に何もないと言うだけ。

暫くフワフワしていると、謎の柱を見付けた。遠くてよくわからないため接近して確認する。

近付いて確認した瞬間、俺は思わず怒り声を上げかけた、が、我慢した。我ながらよく我慢出来たと思う。


柱を確認してみると、俺が柱だと思ったのはアホみたいにデカイ剣で、Xになるように床(?)に刺さっていた。

問題なのは次以降だ。

そこには人が磔にされていた。両手両足を剣のXに合わせ、四肢と胸、頭の計六所に似たようなデザインの剣が刺さっていた。

そして磔にされているのは・・・・


(『ぼく』・・・・?)


過去一度、命を助けてくれた謎の少年だった。

ただ、気配が違う。前はフワフワした掴み所の無い気配だったが、今はそもそも気配自体が弱々しい。

その弱々しい気配から感じ取れる感情は・・・・・殺意

『ぼく』に近付いてみると、声が聞こえた。


『なんだよあいつ、人が苦しんでるのにラブコメしやがって、ぼくを【嫉妬】で殺す気か?それに11年間何も食べてないのに目の前でご馳走食い荒らしやがって、こっちはなんも食べてないから【暴食】が出たじゃないか。それにたかだか人間の騎士団の副団長に心配されてあまつさえ弱いと言われるとかどんだけだよ、ぼくなら全く逆の立場に立てるっての、余りにもカスすぎて笑えてきて、最終的に【傲慢】まで出たじゃないか。キャラじゃないんだぞ。人をこんなところに縛り付けて、力も制限して動けなくしておいて、挙げ句の果てには体を奪うとか何様だよ。あぁ動きたい食べたい寝たい遊びたい戦いたい調べたい話したい犯したい拷問したい壊したい作りたい走りたい歩きたい帰りたい復讐したい研究したい剣振りたい魔法使いたい殺したい、この内の当たり前の欲すら与えられないとかなんだよ、そんなにぼくは【強欲】か?あまりの待遇にぼくは【憤怒】で死にそうだ。それにぼくの為に動いてるのが1人ってなんだよ。魔法神は多少助けてくれてるけど時空神も創造神も不干渉かよ。特に拷問神、ぼくと親友と言っても良いくらい仲良いじゃないかよ。全く、封印するならせめてベッドのある部屋に封印してくれよ、なんで磔にされてるんだよ、あぁ寝たい、寝たいが為に【怠惰】に染まったぼくは悪くない。悪いのは戦女神と聖神と剣神だ。ぼくの味方なんて精々魔法神一人、でもそれさえも意味をなしてない、せめてアイツが色々やってくれればぼくも多少動けるんだ。大丈夫、時間だ、時が来るまで待てば良いだけだ。大丈夫待つのは慣れてる。時が来て自由になれば、あの糞神共と魔術師共を・・・くくくっ、あっははははははははははははははははは!!!!!』


(・・・・?何処の言葉で話してるんだ?俺に喋ってるのか?・・・・わからない、

でも、笑ってるなら今の状態に不満はないんだよな?ならいいや。早く目を覚まさないと変かも知れないし、はやく寝よう)


俺は帰るために前回と同じく眠りについた。

『ぼく』の使っていた言語を知らず、何を言ってるのか分からなかったが、笑顔ならいい。


この時は、そう思っていたんだ。磔にされて不満の無い人間なんて居ないのに。

俺はこの時、ちゃんと知っておくべきだったんだ

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