デート(?)
sideレイア
「ハアッ‼︎」
「シッ・・・‼︎」
俺は今、王国騎士の一人と剣を交えている。
俺の【両手剣】もその前の【剣術】のレベルも半分はここで上げた為、王城に来た時の恒例事業だ。
俺は【剣術】スキルの【切り返し】で弾かれた剣を再び振り、攻撃する。
【剣術】スキルは【両手剣】に含まれるから一部を除いて使える。
騎士の人はその場から跳び、一旦距離を取り、片手剣を上段に突きの構えで走ってくる。
「【レイジィプロッド】‼︎」
「【ブレイドサークル】‼︎」
【レイジィプロッド】は片手剣中級スキル。上段に構え、突きの体勢から高速で接近し、懐から一撃突きを入れるスキルだ。
【ブレイドサークル】は剣術の上級スキル。剣を回転させて攻撃を弾く【剣術】スキルだ。
両手剣じゃ回転が足りず、弾き飛ばされてしまい、少しよろめく。
だが騎士の人は【切り返し】のスキルで俺の首に剣を当てていた。
「・・・・降参です。やっぱり強いですね副団長」
「いえ、レイアくんは前にあった時より強くなっていますよ。
ですが今のレイアくんでは流石にBランクの魔物を倒せるとは思えないんですが・・・・」
「はは、そこは運ですよ。流石にもう一度と言われても無理です。
副団長こそ【片手剣】のレベル上がったんじゃないんですか?」
「ええ、先日LV6になりました」
LV6と言ったらBランク相当だ。団長がLV8のAランクとSランクの間だから流石に団長には劣るが、それでも世界有数の剣士だ。
「ははは、俺ももう少し頑張らないと副団長には追いつけませんね。
性別的に筋力で負けるのは悔しいですし」
そう、なにより女性でありながら【細剣】でなく【片手剣】で、しかもLV6もある。
副団長の名前はアーケティア・レイウス。
蒼い髪に金色の目をしたポニーテールの女性で、凛とした顔立ちに鋭くも怖く見えない切れ目の人だ。
ちなみに人間族の18歳独身だそうだ。その容姿と、入団2年で副団長になった為学院の騎士志望の人からかなりの人気がある。
「やっぱり筋トレしようかなぁ・・・・このままじゃ冒険者になっても大して強くなれないし」
「え?騎士にはならないのですか!?しかもよりにもよって冒険者ですか!!?」
副団長がこの世の終わりみたいな顔をして言ってきた。
確かにここに来る度に騎士と戦ってたらそう見えるんだろうなぁ。
「元々そのつもりでしたし、レイア・ドライア・ナイトヴァンス個人として知りたい事があるので、
それについて調べる為にも冒険者の方が良さそうでしたので冒険者になろうと思っています。
既に父様達からも許可は貰っていますし、何回かギルドの依頼を手伝ったこともありますから心配いりません」
たぶん、全ての真相は『ぼく』が知っているだろう。けど、きっと教えてくれないし、そもそも会うことが難しい。
だから冒険者として世界を回って情報を集めた方が確実だ。
「・・・・そうですか。でしたら私の方も少し調べてみましょう。
それでもし、全て片付いた後に猶予があるのでしたら、是非騎士団に入団してください。私が推薦しますので」
確かにそれはありがたい。
冒険者としての目標が達成され、時間が余った場合、
つまり公爵家を継ぐ予定の18歳まで余裕があった場合、俺は何もすることが無く、途方にくれるだろう。
その時の為に副団長は誘ってくれてるのだろう
「・・・・ありがとうございます、副団長。その時は是非、副団長の元で働かせてください」
俺は感謝の意を伝えるために笑顔でお礼を言う。
「ーっ!!?///い、いえ!貴方の様な優秀な人を放置する訳にはいきませんので!!
それに・・・その、個人的に入ってくれれば嬉しいというか(ボソッ)・・・・」
「え?最後の方なんて言いましたか?」
「い、いえ!!気にしないでください!!///それよりも、もし良ければ今晩一緒に食事でもどうですか?
王国騎士団副団長としてではなく、アーケティア・レイウス個人としてレイアくんの将来の夢を応援したいので。
もし空いていれば今晩の7時に私の部屋へ来てください」
今晩か、一応イリス様やエンドルフ様にはまだ何も言われていない。
今頷けばイリス様から弄られずに済むな・・・・よし
「ありがとうございます、アーケティアさん。是非お邪魔させて頂きます」
「あ、ええ、待っていますよ。
それとレイアくん、もう私とも長い付き合いになるのですから、そろそろアーケティアではなくアティと呼んでください」
「わかりました、アティさん。それでは俺はアリシアと予定があるので失礼します」
「え、ええ」
そろそろ時間も押してるからアリシアの所へ戻る。
後ろから副団長、アティさんの「や、やった・・・・!!ついに、ついに名前で・・・・!!フ、フフフフフ」と言う声が聞こえたような気がしたが、
俺の耳には届かなかった。
「終わったよアリシア、行こうか」
「ええ、今日は何をしよっか?」
流石に俺ももう14歳、正直遊ぶとか柄じゃないんだよな
「街をぶらぶらと散歩でもしようか?」
「(散歩、つまりはデート!?)
・・・・ええ、散歩にしましょう‼︎」
アリシアが珍しくハイテンションになった。そんなに散歩が好きなのか?兎に角俺たちは街へ行く事にした。
アリシアは王女だ。本来なら認められないが、
ちゃんと【光魔法】と【闇魔法】の複合スキルの【幻影魔法】を付与した魔道具で姿を誤魔化して行く。
一応は大丈夫だ。俺も念の為にナイフを持ってるしアリシアも魔法スキルの効果を増幅させる杖を持ってる。
だから街へ行っても大丈夫だ。
「さて、何処を見て回ろう。やっぱり露店が良いか?」
「ええ、でも食べ物はダメね。アクセサリーや道具屋を見て回りたいわ。エスコートよろしく!」
「はいはい、お姫様~」
適当に返事をしているが、俺は基本的にエスコートする癖があるから問題ない。
昔っから王族貴族に連れ回されてるからな・・・・
それから俺たちは色々な店を見て回った。実際に幾つか買ったりもした。
時間はあっという間に過ぎていき、帰る頃には夕方になっていた
「じゃあアリシア、俺は少しやっておきたい事があるから一旦家に帰る」
「あら、何かあったの?」
「いや、アティさん・・・副団長に食事に誘われててな。
晩ご飯は要らないと言うのと、少し遅くなると言うのを伝えたくてな」
「・・・・へぇ、アーケティアさんが・・・・わかりましたわ。戻ったら言ってくださいね」
アリシアはむすっとした顔をして戻って行った。
不味いな、こういう事した後の母様やソフィって怖いんだよなぁ。アリシアもなんかやってくるのか?
俺は一先ず問題を先送りにして家に戻り、母様に食事の事を伝えた。
「あ、あらあら、まさかアーケティアさんがねぇ・・・・・レイア、大人になって来なさい」
「???は、はぁ」
相変わらず何を考えてるのか分からなかったが、一応OKを貰えたと判断して城へ戻る。
さあ、後はアリシアの所に顔を出してアティさんと食事するだけだ。




