聖女ちゃん聖女ちゃん!良い子だね!
sideレイア
『カーススキル【色欲】の使用条件を満たしました。今まで入らなかった余剰経験値をチャージします』
朝目が覚めて早々に不愉快な内容の声が聞こえた。だが今はまだ許せる。昨晩聞こえたら今の比じゃなかったはずだ。
上半身を起こして隣を見ると、全身ベッタベタのアリシアが寝ていた。昨夜散々見た姿だが、やはりこう、グッと来るものがあるな。
取り敢えずこの姿を見られるわけにはいかない。他国の城で王族と公爵が何やってんだって話になる。
俺は自分を含めたこの部屋全体にスキルで強化した魔法を使う。
「【部分龍化】、【救済者】、『浄化』発動・・・・はぁ」
事後処理にここまで力を要する自分が情けなくなって来るが、もし水と光以外の魔法しか使えなかったら事後処理自体が出来なかったので良しとしよう。
俺が【部分龍化】を解くと、俺の魔力の影響だろうか、アリシアがゆっくりと目を覚ました。
「ん・・・ふっ、ああぁぁ・・・・・お、おはよう、レイア」
「ああ、おはようアリシア」
アリシアが赤くなって顔を逸らしながら小さな声で挨拶する。
その姿を見て和んでいると、側の時計が目に入る。
「アリシア、そろそろ着替えて部屋に戻らないとまずいんじゃないか?」
「え、ええ、そうね・・・・まあ皆は昨日のレイアの荒れっぷりを知ってるし、誤魔化せるでしょう。
それより今のうちに換気もしておきましょう。臭いが凄いわ」
アリシアが椅子にかかってたバスタオルで体を隠して窓を開けていると、ドアのノックが聞こえた。
「ヤバッ!は、はい!誰ですか!?」
『お兄様?朝になりましたので起こしに来ました。聖女との面会について打ち合わせをしておきたいとアヴァールさんが言ってましたよ』
「わかった!もう少し待ってくれ」!』
大きめの声で物音を誤魔化しながら急いで服を着る。取り敢えずパンツとズボンとシャツだ。上着や靴下は後でいい。
アリシアを見るとアリシアもここに来たときの服を持ってベッドの下に隠れてゴソゴソし始めた。
多分あの狭いスペースで着替えてるんだろうな・・・・どうやって?
多少シワが目立つが、着替え終わった俺は再びアリシアの方を見るとアリシアはベッドの側に椅子を持ってきてそこに座って寝たふりを始めた。
何やってるんだと言いたいが、何をしたいかわかってしまう自分が悲しいな。
「待たせたなソフィ、アリシアもここにいるから3人で行こう」
ドアを開けてソフィに話しかけるとソフィは眉をピクリとさせた。
は、話の持って生きかたが不自然だったか・・・?
「え?何故アリシアがここに・・・?」
「昨晩俺が荒れてるだろうって思ったらしくてな。アリシアが話を聞いてくれたんだ。おかげでほら、眼の色も戻ったし!」
「レイア!そんなことより急がないと遅れちゃひゃう!?」
アリシアがこれ以上ソフィをここに居させないために移動を促そうとすると、椅子から転げ落ちた。
何やってんの!
案の定何か疑うような顔をしたソフィがアリシアに問いかける
「アリシア・・・・昨晩、お兄様と何かありましたか?」
「いいえ、何もないわ。ちょっと転けただけよ。急がないと皆着いちゃうわよ」
アリシアは多少震えながらもさっさと歩き出して廊下を歩いていった。
「アリシア!そちらじゃないですよ!」
帰ってきた。
途中でアヴァールと合流し、最も起きるのが遅いベルゼの部屋に来た俺たちが目にしたのは、とんでもない光景だった。
「・・・・マジか」
「・・・・え、えぇ〜」
「・・・・なんですかこれ?」
「・・・・・・この、性欲、魔人、め」
ベルゼの部屋を開けて中に入ると、裸のエンヴィの上にベルゼが乗っかって寝てた。臭いは今朝まで俺の部屋にあったものと同じで、衣服が散乱している。
ここまで言えばわかるだろう。荒れ具合は俺たちより数段上だ、椅子や机が倒れてる。
しかしこの2人、何というタイミングでしでかしてるんだ!?
一先ず俺が見るのは認めないと他の3人に追い出され、アヴァールが魔法でベルゼを吹き飛ばしてこっちに投げて来た。
「・・・・処理、は、任せた」
「は!?」
アヴァールはそれだけ言うと扉を勢いよく閉めた。
廊下には俺と全裸のベルゼ・・・・まずいな。
取り敢えず俺はアイテムウィンドウから予備の服を取り出してベルゼの側に置き、叩き起こす。
何でこいつさっき飛ばされたとき起きなかったんだ?
「ぐはっ!?・・・・あれっ?レイア?エンヴィじゃなくて?」
「エンヴィはアリシア達に任せてある。取り敢えずその服を着ろ。急がないと公然猥褻罪で捕まるぞ」
俺の言葉に首を傾げながら服を着始めるベルゼ、これが数分前までの自分かと思うと情けなくなってくる。
ベルゼが服を着終わったところで中から声が聞こえた。
『レイア!ベルゼはもう服を着た!?来たなら中に入れてちょうだい!』
「わかった!ほらベルゼ、行くぞ」
「お、おう・・・」
俺とベルゼが入ると、既にあれだけ汚れていた部屋が綺麗になり、空気の入れ替えが行われていた。
流石アヴァール、この短時間で全て片付けたか・・・これ褒め言葉じゃないな。
そのまま全員赤面状態での話し合いが始まった。アヴァールやソフィですら顔を赤くしている。
「それで、聖女に会った時どうするかだが、実際どうするんだ?思い返せば未だにちゃんとした話を聞いてないのだが・・・」
「あ、あぁ、『ぼく』は聖女に会うことで自力で精神世界へ行けるようになるから、そこで話があるみたいな感じのことを言っていた」
あれ?これってひょっとして・・・
「・・・・・つまり、情報、ゼロ」
アヴァールが普段以上に無表情になり、周囲に魔法陣を展開する。
明らかに攻撃する着満々だ・・・!!
「い!いや待てアヴァール!早まるな!そう言えばもう少し情報があった気がする・・・・!」
たしかそう、父さんやエンドルフ様達が何か言ってたぞ!思い出せ俺!たしか・・・・
「心に干渉するスキルを持つ者が神聖国にいて、政治的判断で隠蔽されている。おまけに『ぼく』が聖女に会えと言うなら、聖女がそのスキルを持ってるんじゃないか?」
ほら!何するかの方針は多少固まったじゃん!
「まあ、ここまでお膳立てされりゃあその結論になるだろうけど・・・けどさ、いくらなんでも出来過ぎじゃないか?」
確かに、聖女に会えば何でもうまく行くみたいな流れが出来てるし、事実作られたものだ。ベルゼの言い分もわかる。
「いや、順番によっては怪しいけど、考えてみろよ。『ぼく』が聖女に会えって言って、それに情報が付け足された形だ。なら流れとしては自然だろ?
それに情報提供者は陛下や父さん達だ。信憑性はかなり高い」
イリス様だと情報が合ってても罠が仕掛けてあるから油断ができない。
朝だと言われて外に出たら台風だったみたいな話だ。
「それでは一体どうするんですか?政治的判断で秘匿されているスキルを使ってくださいとは言えませんよ?」
「・・・・ソフィーナの、言う、通り。スキル、を、使わ、せる、までの流れ、が、肝心」
確かにそこまで話を持って行くのは大変だ。だが、そのスキルの事を知っている人物、例えば教皇とか聖女本人とか、そう言う人物だけが部屋にいるなら使わせることもできるはずだ。
なら問題は・・・・
「どうやって室内をそのスキルを知る人物だけにするか、だな」
「そうね、それならスキルを使ってもらえるよう交渉もできるわ。教皇が命じれば部外者は退室するでしょうけど、護衛はどうにもならないし、教皇だけがその事に気づけるようにしなければならないわ」
「厳しいですね・・・」
皆でああしよう、こうしようと話していると、ノックの音がなった。
『アヴァール様、朝食の準備ができました。聖女様と教皇様がお待ちです』
「ん・・・わかった」
使用人の声に全員諦めて聖女に面会することにした。
結論?どうせこっちの不利益なんて信頼されなくなるだけで実害無いし、誠実に行こう!って言うことになった。
要するに正直に要求することだ。情報源はイリス様と言えば諦めてくれる気がする。
全員出てきたことに驚いた使用人の人ついて行く途中に聞いた情報で、都合のいいことが分かった。
部屋にいるのは近衛と使用人が2、3人、あとは聖女と教皇だけだ!
ウキウキしながら部屋に行き、扉が開かれると中には情報通り、教皇と聖女と思われる人物しか席についていなかった。
席についていた白髪に紫と金の目をした17、8歳位の女性、聖女が名乗る。
「はじめまして、この国で聖女をやっています、フィアス・エイシェントです」
聖女フィアスが順番に俺たちの目を見ていき、俺と目が合った瞬間、俺は気を失った。
例によって、白一色の床も壁も天井も無い白い精神世界に来た。相変わらず謎な空間だ。床が無いのに立ってられる。明かりが無いのに明るくて、眩しくもない。
そんないつも通りのはずの世界に2つだけ、普段と違うものがあった。
1つは『ぼく』がいないこと。もう1つは・・・
「え、え!?なんですかここは!?」
「え、なんでここに!?」
横には例の聖女がいた。キョロキョロと辺りを見て騒いでいる。
「あ、貴方は眼が違う人!」
「変な覚え方しないでくれませんかね!?」
自己紹介はしてないから、お互い直接の面識は無い。資料でなら知ってるかもしれないが、第一印象が『眼の色が左右違う人』と言うのは流石に嫌だ。
自己紹介をしようと聖女フィアスの方を向くと、またしても驚くことが起こった。
「そうだよ!眼が違う人だと『ぼく』と被っちゃうじゃん!」
「ひひゃっ!!?」
「うわっ!?どっから現れた!?」
いつの間にか俺の後ろに立っていた『ぼく』が俺の肩を叩いて今までないほど大きな声で喋った。
『ぼく』は普段着ていた平民Aみたいな服じゃなく、白と黒の変わった民族衣装(?)を身につけていた。
向き直った後の俺の後ろに、俺の正面にいるはずの聖女フィアスさえ気がつけなかった。
相変わらず無茶苦茶だ。だからこそ、今一番頼りにできる存在。
俺は聖女に挨拶するのを後回しにして『ぼく』に話しかける。
「『ぼく』、重要な話だ。聞いてくれ」
「構わないよ」
「昨日アイナが拐われた。相手は邪神教団の司祭だが、俺では力が足りなくてアイナを助けられない。修行しようにも時間がないんだ。だから・・・・」
「だから?」
俺は改めて『ぼく』と向き合う。
「俺を、強くしてくれ」
「愚問だよ『俺』、『ぼく』はその為にここに来させたんだ」
俺と『ぼく』の方針が決まった。
「あの〜・・・なんですか、この状況?」
・・・・そう言えば、説明しないとな。
どこから説明するか迷っていると、またしても『ぼく』が喋り始めた。
「こんにちは聖女ちゃん、この黒いのはレイア・ドライア・ナイトヴァンスで、『ぼく』は名前は無いから『ぼく』とだけ呼んでね」
「えっ?は、はい・・・」
聖女フィアスは『ぼく』の突然の説明に戸惑いながらも返事をする。
『ぼく』の声は少し高めで透き通ってて頭に内容が入りやすいから、聞いてる時は呆然としてても思い出せるんだよなぁ
『ぼく』は聖女フィアスが返事をしたのを確認すると話を続ける。
「ここはレイアの精神空間、夢とでも思ってくれれば良いよ。で、君の魔眼を借りてレイアを呼び出したんだけど・・・君は巻き込まれたみたいだね。帰りたいなら帰してあげるけど、どうする?」
『ぼく』が意外な事を言った。
ここから出る時の主導権『ぼく』が持ってるのか!?
「あ〜いえ、このまま居させてくださ・・・何故私の目の事を知ってるんでか!?」
確かに、それは疑問だった。外の事を知る手段がどんなものか知らないが、俺も知らない他国の国家機密を何故知ってるのか。
俺も気になって『ぼく』を見ていると 、『ぼく』はやたら自慢げな顔をして言った。
「まあまあまあ!『ぼく』は基本万能だからね!知ろうとすれば何でも知れるし?やろうと思えば何でも出来るし?
うんうんうん!君良い子だね!お菓子食べる?」
「え、あ、あの?」
「・・・・え!?」
いつの間にか、本当にいつの間にかジュースとクッキーを出した『ぼく』は目を今までに無いくらいキラッキラさせながら聖女フィアスに近寄ってセクハラにならない程度に甘え始めた。
なんだこれ!?
「ちょっと、『ぼく』!?話が逸れてるんだけど!?」
「ん〜・・・ああ、君の修行だっけ?良いよ良いよ、始めようか。聖女ちゃん、このままお菓子食べてていいよ。飽きたり食べ終わったりしたら教えてね?ここで食べても体には影響ないから好きなだけどうぞ!」
「は、はぁ、ありがとうございます・・・」
『ぼく』はそれはもう上機嫌で聖女フィアスから距離を取ると、結界を発動して聖女フィアスを覆った。
そして俺の方を見ると顔つきを変えた。
「さて『俺』、今言った通りここで何しても体には影響は無い。だからここで鍛えても無意味なんだ。
だから『ぼく』がここで教えるのは技術や反応速度、対応の仕方なんかが中心になる。そこは良いね?」
「わかった。それで、どうするんだ?」
『ぼく』の話の流れからすると、『ぼく』との模擬戦くらいしか思いつかないんだが・・・・
「まずは、『ぼく』が君に剣を教えてあげよう。君の剣は強いけど、あくまで一般的な範囲での話だ。君にたりないのは速さと使い方だよ」
「速さと使い方って言ってもな・・・そもそも『ぼく』は魔導士だろ?」
剣を握ったところは見たことあるが、それを振るったところは見たこと無い。
体の大きさから見ても券が使えるとは思えない。
「まあね、剣も使えるってだけだよ。で、使い方は斬って学ぶしか無い。格上と殺し合いではなく闘う事で予測能力や対応力を鍛えるんだ。
速さは君が、と言うか人間が自分にかけてる制限を取っ払えるようになれば良い」
「いや、前半はともかく後半は意味わからないんだが!?」
なんだ人間が自分にかけてる制限を取っ払うって
「はぁ・・・全速力でずっと走ってると段々速度が落ちていくでしょ?あれは筋肉がこれ以上動けないと脳が判断して、痛みや倦怠感と言う形でストップをかけてるんだ。ここまでは良いね?」
「ああ、全速力で走ってると疲れる事を言ってるんだろ?」
常識だ。常識だから、そこに疑問を抱かないものだが、『ぼく』は目の付け所がおかしい気がする。
「そうそれ、それを自分の意思で抑え込んで寧ろ加速するのが『ぼく』の言ってる事だよ。まあこれは適性みたいなのがあるから、出来ない人はずっと出来ないよ。『ぼく』は出来るけどね」
さらっと自慢話を挟んでくるが、結局具体的なアドバイスは一切してくれてない。言いたい事は辛うじて分かるが、どうすれば良いのかが全く分からない。
俺が首を傾げているとまた『ぼく』が溜息をついて話を続けた。
「まあ出来ない人は出来ないからこっちは良いよ。さあ、剣を構えろ」
『ぼく』がまたいつの間にか片手剣を握っていたが、自分の手に違和感を感じて見てみると、普段俺が使っている聖剣があった。
本当にどうなってるんだこれ?
「ほら行くぞそれぇ!」
「危なっ!?」
早口で行くとか言って本当に打ち込んできた。しかも結構速くて力が強い。
こちらの方が剣の質量も体格でも勝ってるのに離せずに鍔迫り合いになる。
「鍔迫り合いになったら魔法使え!」
「ぐぁっ!?」
『ぼく』が詠唱が無いどころか魔法名すら唱えずに魔法を発動し、俺を吹き飛ばす。
腹にモロに入ったからすげぇ痛い。
「がっぅう・・・・」
「痛みを無視してすぐ起きろ!」
「うおっ!?」
『ぼく』が走って来た勢いを一切殺さずに俺のいた所を剣で粉砕する。白い床なのにヒビが入る。
『ぼく』に言われた通り即座に起き上がって剣を構えると、間髪入れずに斬りかかって来た。
剣速が明らかにおかしい。威力は弱くは無いと言う程度なのに、速さだけがおかしい。弾いたと思ったら数瞬後には次が来る。間隔が秒どころじゃない。
1、2撃ならなんとかなるが、十何発も連続して来るからどんどん反応が遅れていき、最終的には・・・・
「ぐぅっ!?」
「だから我慢!【光魔法】が使えるなら即治癒!間に合わないなら遅延術!」
「わ!わかった!」
急いで治癒系の魔法を重ねがけするが、魔法を発動している間にも剣で斬りかかって来て魔法に集中できない。
「治癒や支援系はすぐ出来るようにしろ!剣が遅い!大剣使うなら最小の動きでガードしろ!」
「わ!わからんわそんなん!!」
それからしばらくボコボコにされてから『ぼく』は溜息をついて訓練をやめた。
「わかった、『俺』はあれだ・・・・最初に実践して見せた後に体に覚え込ませた方が良いね」
「そう、か?確かに、そっちのが、向いてる、かも」
俺はもう、正直限界だが。
俺の姿を見た『ぼく』はまた溜息をつくと信じられない事を言った。
「『俺』、この空間では全員精神体で、体が無い。息が切れることはありえない。息が切れるのは闘うことだけに集中せずに余計な事を考えてるからだ。
ペース配分なんて考えないで、今やってる攻撃を どうするか、その次にどう攻撃するかを考えて動け。主導権を握らなければ『俺』じゃ『ぼく』には勝てる可能性すら無いんだからね」
「はあ!?体が無い!?」
確かに触れてる感覚はあるし風を切る感じもする。体が無いなんて信じられる話じゃない。
「まあ痛みを感じたり息が切れてる間は集中し切れてないと言う事。ならやり方を変えるんだ。けど・・・」
『ぼく』は着ていた民族衣装(?)の懐から懐中時計を取り出して時間を確認する。
俺の視線に反応したのか、『ぼく』がこちらを見る。
「ん?この服が気になるのかな?これは着物っていう衣装だよ。昔のものだから知ってる人はいないんじゃないかな。
一応戦闘に向くものと向かないものがあるから真似するのはおすすめしかねるね」
「え?あぁ・・・」
『ぼく』の察しが良すぎてヤバイ。
「それじゃあ『俺』、今日はもう良い時間だし、帰って明日からの予定を空けておきなさい。ここに来るときは聖女ちゃんの目を見れば良いからね、聖女ちゃんを巻き込まないようにも出来るけど、聖女ちゃんどうする?」
「ふぇっ?」
聖女フィアスは『ぼく』が出したお菓子を食べるのに夢中だったようだ。口周りにクッキーがいっぱいついてる。
聖女フィアスは食べカスをつけたまま迷う事なく言った。
「このままで良いです!クッキーおいしいので!」
「・・・・・」
何とも言えない
「あはははは!そうかそうか!クッキー以外も用意出来るから好きに言ってね!
『ぼく』と『俺』の訓練を邪魔しなければ何してても良いからね!」
それはそれは機嫌良さそうに『ぼく』が言うと、指をパチンと鳴らした。
そして俺と聖女フィアスの意識は現実へと戻された。




