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裏切られた元聖女は、天才王子と魔獣共存計画を始めます!  作者: 青空一夏


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37/55

37 sideジェイムズ

(まずい……)

 ジェイムズは、大臣たちに囲まれるグレンヴィルを睨むように見つめた。

 グレンヴィルが優秀であることは、以前からわかっていた。

 魔獣の研究だけでなく、これまでにも人々の暮らしを便利にする魔導具をいくつも開発し、国に貢献している。

 だが、ジェイムズにとってそれは、あくまで魔導具開発者としての功績だった。どれほど優れた魔導具を作ろうと、研究室に籠もって開発に明け暮れている弟が、自分の立場を脅かすことなどない。そう高を括っていたのだ。

 だが、今日の一件で状況が変わった。グレンヴィルが研究してきた魔獣との共存が、実際に多くの民の命を救った。

 これまで夢物語だと考えていた大臣たちまでが、その成果を目の当たりにし、弟を見る目を明らかに変えている。

(このままではいけない 。魔導具開発者として評価されているだけなら良かった。だが、これでは……)

 ジェイムズは周囲を見渡した。

 グレンヴィルへ向けられているのは、珍しい魔導具を作った者への感心とは明らかに違う。国のために大きな功績を挙げた王族へ向ける、称賛と期待の眼差しだった。

 ふと、父である国王へ目を向ける。国王はグレンヴィルと、その隣に立つエリーゼを眺めながら、ひどく満足そうに微笑んでいる。

 その表情を見た瞬間、ジェイムズの胸の奥に嫌な予感が広がった。

 トリスタン王国では、原則として長子が王位を継ぐ。だが、長い歴史の中で例外がなかったわけではない。

 王族として目覚ましい功績を挙げ、臣下や貴族たちから次代の王として望まれる者が現れた場合、国王は長子以外の者を後継者に指名する場合があった。

 そんなことは、自分には関係のない話だと思っていた。

 王位を継ぐのは自分だ。

 これまで一度たりとも、それを疑ったことなどない。


 だが今や、大臣たちの関心はグレンヴィルの功績だけでなく、その傍らにいるエリーゼにまで向けられている。二人はお似合いだという声まで聞こえてきた。

(このまま、あいつに功績を重ねさせるわけにはいかないし、エリーゼとくっついたらますます求心力を得てしまう)

 王位を弟に譲るつもりなど、ジェイムズには毛頭なかった。グレンヴィルが自分の地位を脅かす存在になるというのなら――。

(……何とかしなければ)

 祝宴の中、ジェイムズは笑みを消し、静かにグレンヴィルを見つめていた。

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