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スノウの問いに国王は軽くウィンクをする。
「あるとも。食べきれないほど用意させよう」
『グレンヴィル。スノウ、宴に行きたい』
「いつもたくさん食べてるだろう? まったく……仕方ないな。グレートイーグルには帰っていいと伝えてよ」
スノウが『またね』というようにグレートイーグルたちへ呼びかけると、彼らは小さく鳴きながらそれぞれ夕暮れの空へと舞い上がっていく。エリーゼたちは、その姿が魔の森の方角へ小さくなっていくまで見送った。
こうして急遽、城で宴が催されることになった。参加したのは、救助に向かった医師や看護師たちに、国王やジェイムズをはじめとする王族、城にいた大臣たちなど、ごく限られた者だけだった。そこには、グレンヴィルがいることを聞きつけたレティシアの姿もあった。
急な宴ではあったものの、王宮の料理人たちは腕を振るい、テーブルには肉や魚を使った料理をはじめ、色鮮やかな果物や菓子、上等な酒が並べられた。皆の働きを労うには十分なもてなしだった。
当然、話題は今日の出来事へと向かった。大臣の一人がグレンヴィルに話しかける。
「グレートイーグルが人を乗せて飛ぶとは、驚きましたよ。グレンヴィル殿下、お手柄ですな」
「ああ、お陰で救援物資だけでなく、医師や看護師も連れていけた」
グレンヴィルはそう答えると、傍らにいるエリーゼとスノウへ目を向けた。
「エリーゼが治癒魔法で重傷者を治したり、スノウがグレートイーグルとの通訳になってくれたことも大きかったよ。医師や看護師も頑張った。皆の手柄なのさ」
エリーゼはその言葉に微笑み、スノウは得意そうに胸を張った。そこへ、給仕の一人が山盛りの林檎を載せた大きなトレイを運んできて、スノウの目の前に置いた。それを目にした途端、スノウが勢いよく尻尾を振る。
『林檎! いっぱい! スノウ、宴に来てよかった!』
素直に喜ぶスノウに、周囲の者たちも微笑ましそうな表情を浮かべた。
「スノウは林檎が好きすぎるな。それにしても、いつもたくさん食べているくせによく飽きないなぁ」
呆れたように言いながらも、グレンヴィルも楽しそうに笑っている。スノウはそんなことなど気にも留めず、さっそく林檎にかぶりついた。
そんな中、大臣たちはグレンヴィルの傍らにいるエリーゼにも関心を向け始めた。
宴の間も二人はごく自然に言葉を交わし、時折顔を見合わせて笑っている。
「エリーゼ嬢が聖女様とは、なんとも心強いことですな」
「それに、殿下とはずいぶん息が合っていらっしゃる」
「こうして並んでいると、とてもお似合いではありませんか?」
少し離れた場所では、大臣たちが二人に聞こえぬよう声を潜め、そんな言葉を交わしていた。
国王も二人の様子を眺めながら、満足そうな表情を浮かべていた。
そしてこの宴をきっかけに、グレンヴィルとエリーゼは、貴族たちの間でも「お似合いの二人」として囁かれるようになったのだった。




