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第八十六話 王都脱出戦 (宣言、そして王都脱出編)

お楽しみください

ライ達がエミルと再開した夜から一夜明け、時刻は朝と昼の中間ぐらいになったときジギル国王は王座の広間に待機していた。


 この広間には現在国の主要な人物が多くいる。第一師団、第二師団、第三師団将軍はもちろん大臣、大貴族、そして王族である第一王子ステイルもいた。議題の内容は西のドリアド王国と北のジュアン帝国に対しての対策会議だ。


 この論議は朝一から行われておりジギルの前で様々な論戦がなされている。


 ある将軍は北と西にすぐに向かわせて徹底抗戦の構えを見せ、また近隣の村や町から臨時徴収と徴兵を行い軍備増強するべきだと主張するもの。


 対してとある大臣はそれでは生き残ったとしても王国に向けての不振が募る。あのエッジ王子が起した戦いから、まだ半年しか経っていないというのに強いてしまっては再び内乱が起こる可能性がと。だが、国が無くなってしまったら終わりだと完全な水掛け論であった。


 前の話をしばらく聞いて埒が明かないと感じたジギルは隣にいるステイル王子に意見を聞いてみる。


 「ステイル何か妙案はないか?」


 それに対してステイルは返事を返した。


 「妙案かどうか分かりませんが、現状でとれる方法として一番現実的なのが侵略してこないと思われる東の国アスティアールに助力を申しこむのが最上かと。見返りとして結構な要求がされるでしょうがそれは我が国の外交大臣の見せ所でしょう」


 「うむ……それしかないか。だがもし助力を得られなかった場合はどうする?」


 「そうした場合は東と南にある戦力を西と北に分散するしかないかと。ただ南のリューネリスは港町であり、船による侵攻の可能性があるためあまり動かせませんが」


 ジギルは唸る。一応聞いてみたが、そんな簡単に妙案が出るならばこんなに重鎮が集まり、水掛け論を展開する必要もないのだ。


 そう考えたとき一人の少年のことを思い出す。彼なら何か妙案を進言してくれるのだろうか。そしてもし病で伏せている娘がいたらまた、意見をくれたのだろうかと。


 「その案件について申し上げたいことがあります」


 だからだろう、最初に聞こえた声に耳を疑ったのは。声がしたほうを見て瞬きを何度もしたのもしょうがない。今まで行方不明で死んだとも思われていた少年とその仲間たち、そして病で伏せているはずのエミルがそこにいたのだから。


 

 突如王座の広間に現れたライ達に全員が視線を向けていた。あのステイル王子さえ驚いた視線を向けていたのだ。エミルがライと会っていたということもだが、まさかこの広間に出てくるとは。ライという人物は自殺願望でもあるのかと。


 そんなざわめいた空気の中ライ達は前に進みジギルの前に進み出た。


 進んだライたちを見てジギル国王はいきなり現れたことに対することではなく先ほどの言葉のことを聞く。


 「まずは、生きていてうれしく思うが今は急時である。だから先ほどの案件のほうを言ってほしいのだが」


 「わかりました。それでは案件をいいましょう。ただ一つだけ最初に言っておきます」


 「なんだ?」


 「私はこれから国王ではなく王国に忠誠を誓おうと思いますがよろしいですか?」


 その言葉に再びざわめきが起こる。ライのこの言葉は王族の指図は受けないという意味も含められており、またある意味王族を信用できないといっているのも同然だからである。


 ジギルは険しそうな表情をして糾弾する。


 「……ここでそのようなことを言う意味を分かっておるのだな?」


 「はい。ただ正確に言えば王国に忠誠を誓うとともにフェレス王国王女、エミル王女様の騎士でございます。なればエミル様にも忠誠を誓います」


 そういいつつライはジギル国王の視線を見る。ジギル国王も視線を受け止めて意思は固いと判断し言う。


 「なぜそのようなことを言うのか分からぬが、まずは話を聞いてからにしよう。判断はそれからでも遅くはない」


 とりあえず先ほどの言葉に対しては保留という形がとられる。


 「さて、ならライ・ジュリアール。話を聞かせてもらう」


 国王という威厳を持って言ってくるジギルに後ろにいるレーシアが小さい悲鳴を上げていた。それほどに強い重圧があったのだ。だがライはなんともないように返事を返した。


 「では本題である案件ですが、私ライ・ジュリアールは王国を監視する第三機関を宣言するとともに、今迫っている危機に対して条件付で協力することを提案します」


 これがライが突如思いつきキャサリンに許可を取った案件であった。


 「第三機関だと?」


 「はい、機関の名前は『国盾の砦』とし、今回の場合必要と迫られない限り基本遊撃部隊とお認めいただきたい」


 それをきいてようやくジギルは悟る。なぜエミルがこの場に一緒にいたのかを。


 「なるほど、それで国に対して協力する意思もあり、また王族の命令でも動くという証明にそこにエミルがおるのだな?」


 質問をされてこの言葉にはライではなくエミルが答えた。


 「お父様その通りでございます。私は病の身、病の治療方法も分からないで王都にいるよりも多くの地を動き治療法を求めるほうが効果的です。また、ライ・ジュリアールの言うように完全に王族に弓を引かないという証明にもなります」


 「ふむ、だがエミル。そなたの言うとおり確かに効率的であるであろう。しかし、ライが言った国盾の砦という機関がエミルがわざわざ協力する価値があるというのか?私の命令でこの場から出ることもできない可能性もあるのだぞ?」


 「もちろん価値はあります。ライ・ジュリアールが言う第三機関には総勢七千の兵士がおり、また国で一番といっても過言ではない情報部隊がいるらしく、すでにドリアド、ジュアン、アスティールの町や王都に潜伏、情報は遠風の書で伝えられているとか。そのうちの一つの情報を伝えれば、ドリアドとジュアンは協力してやってくること、またアスティールは動かないがこちらに対して強力な戦力が向かってきているということも分かっています」


 ジギル国王はどうなのかという意味で大臣のほうを見るが、大臣は慌てたような表情をしていた。しかし無理もない。情報が入ってきたのは数日前なのだ。すべての都市に兵を今更送り込むとなると日数が足りなくて不可能であった。


 娘であるエミルに話を聴いて今度はライに質問する。


 「ライ、お主は条件付で参加するといったな。それに部署ではなく機関と名乗るに完全な独立したものと推測するが、なぜそうする必要がある?国盾の砦とやらも王国の一部に数えるとはできないのか?」


 「恐れながら言いますと、私は貴族や王族、将軍を完全に信用できません。先のエンリデンヌ防衛線、ローレンス攻城戦、そしてガリアント平原の戦い。すべて王族、貴族の謀反が原因です。元イウル伯爵も以前は王都の貴族騎士でありました。なので私は重要な場面で信用できると思わない限り、協力はしないでしょう」


 ジギルは黙る。王族に対して失礼な言葉ではあるがすべてが正論であり筋が通っているからだ。その後もライは話を続ける。


 「ですが今回は先の大戦の傷も癒えず、また国力も回復しきっていない場面。なので助力を申し出たということです」


 「面白い言い方をする。ならばもしこのような状態になっていなかったら助力は申し出なかったと?」


 これはジギル国王ではなくステイル王子が質問してきたのだ。それに対してライは答えた。

 

 「指導者の方にもよりますが、助力しなかった場合もあります。あと何か勘違いされているようなので説明しましょう。第三機関を作り今回協力するといいましたが、もし、仮にです。我ら国盾の砦が王国が間違った圧政、暴虐など民を虐げる。またはエッジ王子のように内乱を扇動したと分かったときは我々は国に忠誠を誓った身として国の敵と判断し反旗を翻します」



 ステイル王子はこれには言葉が出ない。けん制のつもりで何かボロが出ないかと思い質問したのに、はっきりと反意を翻すといったのだから。例えば王族殺しが起きたとして内乱を起した場合だとしても。


 ステイル王子が何も言わなくなると代わりにジギル国王が話してくる。


 「なるほど、王族まで監視して民を第一に考える機関か。もし反意を翻すときは私に技量がなかったということ。そこは好きにしてよい。ただ一つ聞こう。もし反意を翻したときそこにいるエミルは王族であるが、人質にしていると考えてよいのか?」


 「お父様それに対しては私からいいます。これは私の意志でついていくのでありライ・ジュリアールは騎士です。絶対に手を出すことはないでしょう。それともお父様は娘である私が人を見る目がないとお思いですか?」


 娘のエミルに言われてジギルは考えるように目を閉じる。そんな様子を全員が固唾を呑んで見守っていた。最悪エミル以外のものを殺せという命令が出てもおかしくない。だがそんなとき取り押さえることになるのは自分たちであるのだ。目の前にいるライを含めた周りの女兵士たちは有名人であり腕が経つことは知っている。一人ならまだしも全員を捕らえるなど、または殺すなど危険が大きすぎた。



 しばらくして目をゆっくりと開けるジギルはこう告げた。


 「フェレス王国 国王ジギル・フェレス・ギリエルの名において、ライ・ジュリアールが提案した第三機関を認めよう。有事の際は国のどこの貴族の指揮下に入らないで済むように約束する」


 決断を言い渡したジギルにライは


 「有難うございます」


 とだけ言った。


 「最後にそこにいるエミルはわが娘、しっかりとよろしく頼むぞ?」


 「もちろんでございます。ここで英断を行ったジギル国王陛下に一つお礼というわけではありませんが、こちらの誠意を提案いたします」


 「なぬ、誠意とな?」


 「はい」


 「してそれはどのようなものなのだ?」


 ジギル国王が質問したとき、ライは足元の影が濃くなったことを察した。これはランからの合図で広間の周りを兵士たちが固めているという信号であった。


 気がついたライはその場に立ち上がり仲間がエミルやユレイヌも含めて立ち上がる。


 そしてここで、ライの言葉によって今日一番のざわめきが起こるのだった。


 「北のジュアン帝国から来る四万の軍団を一月私たちだけで持ちこたえて見せましょう」


 「な!?」


 驚くジギル国王。その時広間に続く扉が開かれて中に大勢の兵士が流れ込んだところで、ライは最後に



 「ジギル国王陛下、ドリアド王国のほうはお任せします。アスティール帝国のほうは気にしなくてもいいと思いますので。ではまた」


 そういって、ライは火と水の魔法を発動させ煙幕のように広場に白い煙を生み出した。入ってきた兵士や将軍、大臣は動くに動けずジギルやステイルでさえも腕で顔をとっさに防いでいた。そして数瞬後、煙がライ達がいたところを中心に風が生み出され吹き飛ばされた後には



 ライ達の姿はないのであった。

 

 


 


こんばんわ。今日は少し忙しいので簡略したあとがきになります。

今回は文字数が少なかったですが、ついにライ達は動き始めました。次回はおそらく北に向かいキャサリンたちと合流することになると思います。

孤児院に帰るのもいいですね。

さて、ということなのでお楽しみ。ライ達だけで四万の兵士を一月抑えるってどうするんでしょうね?楽しみです!(マテ

ではまた明日お会いしましょう

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