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第七十九話 番外編 レーシアの心情と宣戦布告

お楽しみください。

 風帝の宝玉所持者、レーシアの心情は現在穏やかではなかった。


 穏やかではない理由それは、昔仲間だったという人たちと出会ったからだ。


 ただ、別にライが仲間に出会ったこと自体には文句はない。約半年間の間一緒に過ごしていたけれど時々昔のことが話題に出ると、どこか悲しそうな顔をしていた。そして、今回部分的だけど話を聞いて悲しい顔をしていた原因がリューネリスという町で別れたことが原因だということも。


 だから、ライが仲間と出会って戦い一緒に行動すると決まったとき、レーシアにはライの表情の変化を読み取れた。

 

 おそらくあれはこれも良いかなと考えていたような表情だ。決して嫌がってはいなかった。


 なので、それはいい。それはいいのだが……


 「どうしてあんなに綺麗どころが多いなのー!」


 レーシアは一人アトイン村で貸してもらった部屋で叫んでいた。このような大きい声を出せば周りに聞こえるだろうが、現在ライ達はキャンギムント孤児院というところに行くために準備をしているとのことだ。


 だから聞かれる心配はないだろう。


 一度叫んで空中をぼんやりしばらく見つめると、そのまま部屋にあるベッドに身を投げ出し落下する。

レーシアの体重を受けてギシギシとベッドがなった。


 「うっー、おかしいなの。あの男女比率はおかしいなの。男一人と女が五人ってどこの王族ですなの……」


 意気消沈しながらもゴロゴロとベッドの上で寝返りをうつレーシア。


 ライと出会って今までで一番焦っている自分がいた。その原因も自分自身薄々とは気がついている。

おそらく自分はライという人に好意を持っているのだろう。でもそれは仕方ないと思う。だって、自分の窮地に颯爽と現れて助けてもらったのだから。そして切欠がそれだったとしても、その後二人で行動してもっと気持ちが大きくなっていたのだから。


 ああ、でも


 「後から出てくる人がいるなんて卑怯なの……」


 いや、元々はあちらが先にライと行動していたから自分が後から出てきたということになるんだろうか?でもそれはどうでもいいか。


 問題は、あの五人がほとんどライに好意を持っていることが問題だ。


 綺麗な金髪を持ったリューミルとかいう女騎士の人。話ではローレンス砦というところにいて近隣の村や町を治める貴族らしい。


 次に赤髪のティアという人とフィルという自分と年齢が変わらない人。この二人は安全かなと思ったが、どうやらそうでもないらしい。まずライが二人に向ける視線が暖かいものでどれだけ信用があるのか分かる。逆にティアが一度疑念を持ったときに向けられた視線に悲しそうな顔をしていた。それだけライの中で大きな存在だということだ。フィルという子も自分と同じぐらいとは思えないほど頭がいいそうだし、ライのことをお兄ちゃんと呼んでいたころから慕っているのは間違いない。


 あとよく分からないのがランとリエルとか言う人たちだ。


 リエルという人はずっと無口で何を考えているか判らなかったけど、視線ははっきりとしていた。視線を追うとずっとライを見ていたのだ。ある意味絶対に逃がさないという監視の意味をもってみていたのかも知れないけど、あれは動物が警戒して相手の一挙一動を見逃さず動いたらすぐに動けるようにしていたかのようだった。


 ランという人については、好意を持っているかは判らない。話し方や視線からどちらかというと主従関係があるみたいな感じがするけど、賭けを含んだ戦いのとき全力でライに向かっていった。ということは、まだ主従関係かそれかすでに好意を持っていてこちらが気がついていないかのどちらかだ。


 「はぁーなの」


 どうしてこうなってしまったのだろうか。多分、二人で行動していたからどこかで安心していたのだろう。こういう状況がいつまでも続くのだろうと。


 だけど今日の戦いでそのすべてが根本から崩れ、どうやら戦況が混沌としてしまったようだ。


 「で、でも。過去がどうであれこの半年間での生活は負けない自信はあるなの!」


 闘志を何とか燃やそうとするレーシア。


 そんなときにその闘志を察知されたかとでも言うように扉をノックされる。


 こんな時に何の用事なのだろうと首を傾げながらベッドから起き上がり扉を開けるとそこには


 「……」


 銀髪でツインテールの女の子が立っていた。

 

 ライの仲間であり追ってきた一人、そして今自分が考えていた人物の相手であるリエルだった。


 「……」


 二人はなぜか視線を絡ませながら無言で立っている。


 (なんなんですの!なぜこの人がここにいるなの!というか、扉を叩いて無言ってどうすればいいなの!)


 心の中で絶叫するが口からは一文字も出ない。


 「リエル!何か言わないとダメだよ!」


 二人の不思議な空気を破るようにリエルの後ろから声がする。レーシアが見るとそこには赤髪、赤瞳であるティアがいた。その後ろには無言でリューミル、ラン、フィルという顔ぶれだ。


 「ど、どうしたなの?」


 なぜ彼女達が自分のところにやってきたのか判らなかった。今本来なら忙しい時期のはずなのだ。しかも今は正午から二刻(四時間)たった頃ぐらいだろう。部屋でゴロゴロと色々なことを考えていたレーシアと比べて、彼女らは軍籍に身を置く者。日があるうちはまだ忙しいはず。


 そんな疑問を抱くレーシアにティアが返事をする。


 「いやね。実は少しお話しないかなと思って」

 

 「お話?」


 「私達はライが半年間どうしていたのかをエスティアからは聞いたけど、貴方からも聞きたいの。それに、これから一緒に行動する仲間なんだからレーシアちゃんだっけ?貴方とも仲良くなりたいしね」


 まるでお日様のようにくらいの笑顔を浮かべるティアにレーシアは怖気づきそうになるが何とか表情を崩さずに、考えて答える。


 「判りましたなの。なら狭いけど入るですなの」


 「ありがとう、ってリエル!行動早くないかな!」


 と名前を呼ばれたリエルはすでにレーシアの脇を抜けてベッドに座っていた。


 (いつの間になの!)


 驚きつつもレーシアは扉から離れて置いてあった椅子を三つほど持ってくる。この部屋には六人いるが、地面に座らせるなんてできないので残りの三人はリエルという人と同じようにベッドに座ってもらうしかない。


 そして、全員が座ると女性人のみの会議、ある意味女子会が始まるのであった。


 「えっとレーシアちゃんは私達の顔を名前はもう一致してる?」


 こちらを気遣ってなのか言ってくるとレーシアは頷く。


 「そっか、よかった。なら自己紹介はなしにして早速だけどレーシアちゃんのこと色々と知るために質問するね」


 「ライのことじゃなくてなの?」


 「んー本当はそっちもそうなんだけど、まだ少し後でいいかなと思ってさ。まずはレーシアちゃんのことから」


 「わかったなの」


 とここでティアが最初ではなくフィルが勢いよく質問してきた。


 「あ、あの!レーシアさんとお兄ちゃんとの関係を聞きたいかと存じ上げまして!」


 身を乗り出す勢いで聞いてきたフィルにレーシアは驚くがそれをティアが制する。


 「どうどうフィル。そんな直球を投げてくるとは私も思わなかったけどさ。物事には順序って物があるって知ってる?」


 「うー」


 「うーといわれてもねーってリエル!だから貴方も冷静になってよ!何でレーシアちゃんに今にも飛びかかろうとしてるの!」


 レーシアはフィルの返事のいかんによっては自分の命が危ないんじゃなかろうかと思い始めていた。いや、確実に危ない予感がする。


 「あらあら、これではお話が一向に進みませんわね。ここは代表として私が聞きましょうか。レーシアさん。貴方はライ様のことをどう思われているのですか?」


 全員がリューミルが言った言葉を聞いた途端にレーシアに視線を向けて無言になる。ここで、なんと言えば良いのか判らないが素直に言うことにした。


 「私は、ライと一緒に暮らすこと」


 ビュン、キィン!


 何かが風切る音がして、金属音がして、ものが刺さるような音がした。


 周りを見ると


 「……」


 ここに集まった人物で誰一人として動いていない人物はいなかった。ここは一体どこの戦争地帯なのだろうか。いや、ある意味一人の男性に関してのことなので戦争といっても過言ではないようだが、まず真っ先に強大な敵に攻められているのは自分なのは確実であった。


 だから反撃を試みることにする。


 「……先ほどからこちらの発言を気にして動いているけど、私はライと一緒に暮らすことで心情がわからないっていうのが正直な気持ちなの。でも好意は持っていると思う。だから、これからも一緒にいたいとは感じているなの。逆に聞くけど貴方達はどう思っているの?」


 レーシアが今度は最後まで言うと、次は金属音などはしなかった。変わりに変化があったのは女性陣の表情に変化があったくらいか。あの無常上が売り?のリエルでさえほんのりと頬に赤みが差しているではないか。


 「あ、あはは。えっと、レーシアちゃん。貴方の気持ちはわかったけどこの話はやめよう。ね?ここで変な発言は火薬を爆発させることになるだけだと思うから」


 ティアは笑いながら言うと、レーシアは考えた。自分の気持ちだけを言って相手は何も言わないのは卑怯ではないのかと。でも、従うしかないだろうとも思う。


 だって、全員が手が後ろに回っているのだ。なぜ回っているか?そんなのライと一緒に村を襲撃してきた賊で見飽きている。武器を手に取る動作というものを。


 「わかったなの」


 レーシアが了承すると空気が少しだけゆるくなったような気がする。というかこの空気が出た時点でティア達の気持ちがどういうものなのかを知ったも同然であった。


 「なら、次はライのことを教えてね?このままこういう話は無しにしよう?」


 念を押されつつ頷きながらレーシアは話していった。


 助けられた後、町に運び一命を取り留めたこと。それから看病したことやライが完治した後に一緒に旅にでて、どこで何をしたや、途中で熊が出て戦ったり、馬車が襲われていたところを助けてそのお礼に、商人とツテができたなど、エスティアが語らなかったことをずっと語っていった。


 レーシアの話を聴いている間全員最初とはうって変わり何も行動を起さず、何も言わなかった。でも全員の胸の中に一つの結論を出していた。


 《自分達と別れた後でもやっぱり変わっていなかったんだなと》


 そして、そんな人物だからこそ惹かれた、または好意を持ったんだろうと様子を見ながらレーシアは思っていた。


 そして、しばらくしてレーシアが話を終えるとティアが言ってくる。


 「ありがとう色々と教えてくれて。とっても参考になったよ」


 「いいえ、こんなことぐらい大丈夫なの」


 「うん、でね。ここからが本題なんだ」


 「え?」


 「レーシアちゃんも気がついているだろうけど私達もライを少なからず慕ってるんだー。ここにいる全員はね」


 最初は勿体つけるように回答を拒否していたのになぜ今頃になってそんなことを言い始めたのか。


 「なんとなくそうは判ってたの。でも、慕うというのは一人の男として?それとも仲間として慕うなの?」


 「うーん……それはレーシアちゃんと一緒かもしれない。……いや、まだはっきりとさせてないといえばいいかな。表向きはね」


 ティアが表向きと言ったのは全員が自分と同じ気持ちかどうかわからなかったからだ。なので、表向きはという言葉をつけた。裏向きはほとんどがレーシアの言った前者だが。


 「それでレーシアちゃんの話を聞いてライにどういう気持ちを持っているかわかったから、色々と話そうかなと思ったんだ。大事なことを」


 「大事なこと?」


 「あのね、私達以外にもライのことを慕っている人物がいるってことを教えておこうかなって」


 「誰なの?」


 「エミルって言う女の子だよ」


 「エミル?」


 「そう、エミル。階級は王女かな」


 そこでようやくつながった。そういえば先ほどの話で途中出てきたではないか。エミル王女の名前が。けどまさか王女という身分でライを慕っているということに驚いていた。


 もしかして、ティアたちは相手が王女だから諦めろといってきたのか?


 しかし、その考えは隣に座っているリエルが服を掴んできて否定した。


 「私達は身分なんて関係ない。ライの力になりたいと思ってる」


 レーシアは初めてリエルの声を聞いた気がしたが、初めて聞いた声は力強く意志が込められた声だった。


 そして、レーシアはその言葉を聞いて何を言いたいのかをようやく悟る。その言葉をフィルがいう。


 「リエルさんが言ったように私達はお兄ちゃんの力になりたいと思って集まったんです。ですから、第一は力になるよう私達女性陣でも協力しましょう!」


 フィルが言った言葉は協力しようという言葉だったが実は裏があり、そして全員が理解した。


 表は協力しても、裏では、日常や平穏のときはお互いがライバルであると。協力で仲良くはするがこれだけは譲れないと。


 (ああ、判ったなの)

 

 レーシアは確信する。


 (これは、協力体制の結成と宣戦布告なの……っ!)


 レーシアの瞳に炎が灯る。絶対に負けないと。


 瞳の炎が灯ったことに全員が気づき、新しいライバルと負けないという意志を燃やして笑みを浮かべあった。


 この時軍備の準備で遠く離れていたライは独りでにクシャミをしていたという。風をひいたわけでもないのに。


 

こんにちは。

さて、明日のことについて書かせていただきます。

明日少し企業のほうにいくことになりまして、確実にあげられるか判りません。早くに帰ってこれればやりますが、次の日の資料作りもあるため未定とさせていただきます。ご了承ください。

がんばってあげるつもりはありますが!

ではまた

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