表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/165

第七十八話 状況と今後 

お楽しみください

 ライ達は戦いを終えた後再びアトイン村へと戻る。


 そして戦いで怪我をしたものはフィルの天使の微笑で直してもらい、無事であるものはライを監視していた。


 ライはもう約束どおり一緒に行動する気があるのでどこかに行ってしまうつもりはない。しかし、彼らとしては信用ならないんだろう。どうやら自分がいなくなったことは思った以上に影響を与えていたようだ。

 

 隣に一緒にいるレーシアはこれからどうなるのか心配でしょうがないようだ。それもそうだ。ライにとってかけがえのない仲間であっても、レーシアにとっては初対面なのだから。


 二人は無言で治療が終わるのを待っていた。


 治療を終えた人物は、最初話し合った家にある机に座り全員が集まるのを待っている。


 そして、最後にラッシュとフィルがやってきて全員が揃い代表としてティアが話し始める。


 「ならこれからのことを話し合おうと思いますが……いくつかライには確認をとりたいと思います」


 「確認?」


 これからのことを話すだけかと思っていたので確認をしてくる意図が分からず聞きなおす。


 「確認だよ。一つ目は一緒に行動するってことは同意してくれるんだよね?」


 「もちろん」


 「なら次に、もう勝手にいなくならないということを約束して」


 「……」


 「どんなに困難な状況に陥っても一人で行かないで。まずは私たちに相談して」


 「……そんな条件は入っていなかったはずだけど」


 「入っていなかったよ?今入れたんだもん。それともライはまたいなくなると言うの?」


 疑うような視線を向けられてライは無言になる。リューネリスで別れた夜。ランには恐怖の目を味方から向けられるのが苦痛だと訴えたことがある。でも、それと同じぐらい信用を無くして疑う眼差しを向けられるのも苦痛なのだなと痛感する。


 しばらく考えていたライだが、頷くが


 「わかった、でもこっちも条件をつける。相談するけど本当にどうにもならないとき、俺が行かなければならないと判断したときは絶対に反対しないでくれ。この条件を飲んでくれるなら了承するよ」


 ティアはライの条件を聞いて少し悩み周りにいるメンバーに視線を送ると全員が頷いていた。


 それを了承の意と判断しティアは頷く。


 「わかった」


 ティアが返事をしてライが頷くとティアは本題に入る。


 「ならここからは本題に入ります。すなわち、これから一体どうするか」


 全員がティアに視線を向けていた。ここでの決定が未来へと大きく影響を与えるということを感じている。だから全員真剣だ。


 「この話は私よりフィルが提案があるっていうから、フィル話してくれる?」


 「はい」


 そう言ってティアが座るのと入れ替わりにフィルが立ち上がり説明を始める。


 「では説明をさせてただきます。最初に私の提案を言う前にちゃんと現状を理解していないと始まりません。それに私たちの情報とお兄ちゃんの持っている情報も重ねあわせたいので状況整理からはじめようと思います。お兄ちゃんも協力してくれますね?」


 「ああ」


 「有難うございます。ではまず今私たちの現状です。現在私たちはアトイン村に王国兵二百と警備兵十数名、そして私たちがいます。ローレンス砦の兵もいますがリューミルさん、現在ローレンス砦にはどのくらいの兵士がいるか説明してください」


 「わかりましたわ。現在ローレンス砦には二千の兵士が詰めておりますわ。そのうちに五百は新兵でして錬度に不安があるので実際に使えるのは千五百です」


 「他に兵士を補充する充てはありませんか」


 「……無理をすればあります。というか本当はそのようなことをしたくないのですが、実はローレンス砦には毎月多くの志願兵の応募がやってきているのです」


 「志願兵が?」


 ライが聞くとリューミルは頷く。


 「はい。それも皆ライ様達が父の暴走を止めてくれたことに関係していますの」


 リューミルが言うには半年前のローレンス砦の戦いで勝ったライ達だったが、その恩恵は北側の村に多く降り注いだらしい。理由が、貴族達の方針が変わったからだ。ある貴族は今まで重税を課していたのに突如軽くしたり、村に災害が起こった折には率先として救援に向かい無料で支援をした貴族もいたという。


 そんなことをし始めた理由はライ達が謀反を起そうとしたグリム伯爵とレイン伯爵を倒し、不正をしていれば次は自分達が襲われるという危機感に襲われたのだ。


 しかもローレンスの戦いが終わった後に工作として情報を国全土に流したが、流れているうちに情報にも尾ひれがついたのも関係していた。


 「ということがありまして、志願兵達は本当はライ様達に恩返しがしたいということだったのですが王都にいると知って、自分達には敷居が高いと思ったらしいのです。そしてならばライ様達と共に戦った私に志願することが恩返しになると考えたらしく」


 「あれ?でもそれが何でやりたくないことになるの?」


 ティアがそう聞くとリューミルは困ったような笑みを浮かべながら返事を返す。


 「砦には幸い約六千の兵を養うだけの財力と食料はあります。ですが、その食料と財力とは近隣の村や町に住んでいる人々から集められたものなのです。ですが、もし私が限界まで志願兵を受け入れられてしまえば、彼らが住んでいた村は大変なことになりますわ」


 そこでようやく納得するティア。


 リューミルが言ったように志願兵を受け入れるということは、その人が村から離れると同義だ。志願してくるのは若い男ばかりだろう。若い男は村の貴重な労働力でもある。このアトイン村でも若い男は数十人いるが、もし十人以上いなくなろうものなら非常に困ったことになるだろう。村の生産能力も下がってしまうはず。


 「先ほど申しました約五百の兵士達の方々は私のやり方で試験をして迎え入れた志願兵の方々ですわ。ですが、非常時ならば私も恩を受けた身。試験に落ちた方々にも受け入れると伝えればもっと多くなります」


 リューミルの話を聞いてフィルは考える。話を聞いた限り集めることは可能だったとしても、近隣の村や町の生産能力が落ちるのはまずい。


 とここでライが提案する。


 「リューミルさん、その志願兵を限界まで受け入れるほうが今後の為だよ」


 いきなりの提案にフィルは驚く。リューミルも驚いていた。今までの話を聞いていなかったのかと知らない人が相手ならば叫んでいただろう。でも、自分が認める兄が軽々しく言うはずない。少なくとも自分が慕っていた兄ならば。


 フィルは無言でライを観察しているとライはそこでは止まらずに言葉を続けた。


 「ただ上限は三千、現在ローレンス砦には二千いるんだから後千を募集する」


 「ですがお兄ちゃん。それでは限界までという言葉と矛盾しちゃいます」


 「ああ、だからもちろん他の人も受け入れる。でも受け入れるときに条件をつけるんだ。残りの募集人数千は住んでいる村が離れているものを優先して受け入れると。そして、近隣から来た志願兵には期間を設けて訓練を受けてもらう、この人たちはある意味予備兵力と考えて良いかな」


 フィルはライの話を聞いて考えながら呟く。


 「……確かにいい考えかもしれません」


 「おい、俺らにもわかりやすいように言ってくれねえか?」


 理解していないメンバーであるラッシュが言うと他に理解しきれていない人が視線をライに向けていた。


 「えっと、さっきリューミルさんが言っていた志願兵を受け入れる問題としては村の生産能力が落ちるって所だろ?そして、それは領主であるリューミルさん自身も困っていると。でももしその村の人がローレンス砦から近い場所にあるならば期間を設けてローレンスに来てもらい、農業とか忙しいときには帰ってもらうんだ。もちろん、給金も払わないといけないけどずっと常備というわけではないからその分少なくすればいい。六千を養う財力があるならいけるはず。でしょ?リューミルさん」


 「はい、給金を低くすれば常備兵と合わせて約一万に渡すことができるかもしれませんわ」


 「確かにそう行くかも知れなけどもちろんできないよ。今言ったのは平常時の体勢であり、戦時下になればローレンス砦に来てもらって戦ってもらうから給金も常備兵と同じく渡さないといけない。そこも計算しないと」


 「ですね。お兄ちゃんが言うとおり給金の量を決めるのが肝心ですがそれを上手くやれば、非常時に即戦力として使えますし、また今回のように村に襲撃があったとしても撃退、または避難誘導、救援要請の時間が効率よくなると思います。リューミルさんそのことを後で話し合いませんか?」


 「私としても今のお話を聞いて興味がわきましたわ。ぜひお願いします」


 ローレンス砦のことが一段落するとランが手を上げて主張する。それをフィルが気がついて話を促す。


 「何か話があるんですか?ランさん」


 「はい、失礼ながらどうしてもわからないことがあったもので。今私達は現状の確認をしていたはず、なのに現状というより何かに対しての対策会議のようになっています。それはどうしてなのですか?」


 「ランさんが言うように確かに少し趣旨とずれていますけど、この話も決して無関係ではないんです。後で言うつもりなので、このまま続けさせてください」


 フィルがそういうとランは不思議に思いつつも静かにする。


 それを確認してフィルは話しはじめる。


 「皆さんも後で説明しますので今は別のことを言います。次に私達は王国からの支援を受けにくくなりまず王都にはいけません。それはご理解していますよね?」


 それに対しては全員が頷く。


 「ああ、リューミルさんは別です。お兄ちゃんはステイル王子に目を付けられて王都に戻れない状態なんです。なので共に行動しようとする私達が王都に行くことはできません。ですがリューミルさんは領主を持つ伯爵であり今回の行動は私達から支援を受けたので動いたということになりますからね」


 リューミルも理解して頷いた。


 「さて、ではここで問題になってくるのが王都に戻れない私達がどこに行くかです。ローレンス砦にはいけません。いつステイル王子の間諜が来るかわかりませんから。志願兵を募集したら簡単に進入できますからね。ということで、条件としては二百もの兵を隠せて養っていける場所が一番いい方法となるんです」


 「そんな所あるのですか?」


 ランが聞くとフィルは頷く。


 「はい、とっておきの場所があるんです。二百もの兵士を収容できて、食料も備蓄され人があまり近寄らない絶好の場所が」


 ライはフィルが自信満々に言うのに首をかしげる。途中までは判っているのだ。だが、場所がわからない。この後王都に帰れないということを兵士に話さないけなく、しかも何人がいなくなるかもわからない。だけど、それでも大人数で移動することになる。


 そんな中収容が可能であまり目立たない場所などあるのだろうかと。


 首をかしげながら考えているといつの間にかフィルがこちらを見ていた。


 「お兄ちゃんは何がわからないんですか?」


 「いや、推測なんだけどさ。フィルが言っている場所がわからないけど、寄り所は判るんだ」


 「そうですか?」


 ライが気づいていることが嬉しいのか笑みを浮かべて聞いてくる。


 「多分、前フィルが言っていたとある組織だろ?なぜか俺に力を貸してくれるだろうとも言っていたし」


 「正解です。お兄ちゃんが言うように私が所属している組織がお兄ちゃん達を匿うつもりです。そして、絶対に協力をしてくれます」


 「絶対とは大きく出たね」


 「はい、何しろお兄ちゃんも知っている人ですから」


 「俺が知っている人?」


 「そうですよ。あの日の夜にどうして以前からお兄ちゃんなら協力するといっていたのか判らなかったですけど、あの人がそういう事情だったというのなら理解できました」


 「うーん思いつかない」


 「後でわかると思うので言っておきます。エミル王女とティアさんも会ったことありますよ」


 「え、私も?」


 突如自分の名前が出てしかも会ったことがあるといわれ驚くのもしょうがない。


 でもライとしてはティアとエミルが出会ったことがあると聞いて、一人頭の中に浮かんだ人物がいた。自分が軍略書を読むようになり、エミルとティアと自分が仲良くなるために切欠を作ってくれた人物を。


 「フィル、まさかキャサリン・マルベール先生か?」


 その名前を聞いてティアが「え!」と驚きフィルは頷いたが突如もう一つ大声を上げた人物がいた。


 「キャサリン・マルベール!その人がいるですの!」


 今までほとんど会話に参加してこなかったレーシアだったが、キャサリンの名前を聞いて反応していた。


 いきなりの大声にびっくりしながらライは尋ねる。


 「レーシア、キャサリン先生を知っているのか?」


 「はいなの!数年前にあったことがあるなの!」


 レーシアがその後説明をしてくれたが、どうやらキャサリン先生とはレーシアの村に行ったことがありそこで仲良くなったらしい。その途中一悶着あったようだがそれはまた別の話だ。


 「なるほど、どうやらレーシアさんはキャサリンさんとも面識があったんですね。なら、これも数奇なめぐり合わせというんですね」


 一人でフィルが納得しているところ、ライは聞く。


 「フィルが言う数奇な巡り会わせって言うのはこれから合うことを意味しているって思って良いんだよな?」


 「はい。すぐというわけには行かないですけど、私達が到着するころには相手も到着するぐらいでしょうから」


 「ん?連絡をどうやってとっていたんだ?なんだかその言い方だと最近相手の行動を知ったうえでの話し方だろ?」


 「それはこれを使ってましたから」


 そういってフィルが出したのは、遠風の書であった。


 「ああ、なるほど。……もしかしてさ、これって俺が置いていった?」


 「はい、あの後エミル王女様が私に貸してくださったんです。王都にいるティア達より私のほうが情報を多く仕入れれるとのことでしたんで。……本当はすぐに返さなければいけないんでしょうが、まだ返せません。組織との連絡があるので」


 「もちろん返せとは言わないよ。元々の所有はエミルのだ。だからそのエミルがフィルに渡したんならフィルが今の所有者なんだからさ」


 「有難うございます。でも後で使うと思うのでお兄ちゃんにはその時渡しますね」


 「頼むよ」


 フィルが言ったのは渡されたときにエミルに言われた約束を遂行するためだ。


 《あの馬鹿を見つけたらこの本を渡して私に連絡させるのだ!もし逃げようとするなら縄で縛って無理やりにでも!》


 エミルにはそう言われていたが、そんな様子を思い出しながらフィルは心の中で言う。


 (もうお兄ちゃんを拘束する必要はないみたいですよ。エミル王女様)


 「それで、キャサリンとあう予定の場所は?」


 ライが聞いてくるとフィルは視線をライに戻し言う。


 「私達が会う予定である場所はお兄ちゃんとであった場所であり、エミル王女とティア、お兄ちゃんが約束を交わしたところ」


 言葉を聞いてライは今日一番驚いていたがフィルはそのまま言葉を続けた。


 「場所は、キャンギムント孤児院です」


 かつて自分が住んでいた場所にまさかこのような形で戻るとは、ライにとって思いもよらない里帰りになることが決定したのだった。

 

 

いかがでしたでしょうか。

さて今回は戦いが終わって今後を話し合う回になりました。

本当はもっとテンポを上げるつもりだったんですが、ある一箇所でアイディアが出てしまい、長くなってしまってテンポが……。

さて、ここで次回予告です。

次回ではつのパターンを考えております。

一つは孤児院にそのまま進み場合。

または誰かとの会話パートです。

……なんだかいつもより短くなってしまいましたが、今日で週末、明日も予定はあっても今日は久しぶりに寝れます。今日は徹夜ではないので活動報告も書きますのでよろしくお願いします。

ではまた明日よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ