第七十七話 激闘
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半年ぶりに出会ったライとティア達であったが、話し合いでライ一人と他全員とで戦うことになる。
ルールの内容は次にようになる。
一つ、相手を殺すことはしていけない。勝敗は傷を負った場合、または寸止めで明らかに攻撃を受けたと思われる場合。
二つ目、相打ちの場合、ティア達の勝ちとする。
三つ目、攻撃手段は自由、魔法、接近戦などを使用しても可とする。
四つ目、ライが勝った場合大人しくティア達は帰る。ティア達が勝った場合、ライはティア達と一緒に行動する。
五つ目、ライが負けた場合すべてを教えること。また、一人一ついうことを聞いてもらう。
以上である。
五つの項目を挙げてライも納得し今、ライ達は村から少し離れた場所で二つの陣営に別れて対峙していた。
ラッシュが愛用の武器であるハルバートを持ちながら言ってくる。
「そういえばお前とは遣り合うのは初めてだな」
「そうだね。初めて会ったときナイフは投げられたけど」
「あんなもんまだ気にしていたのかよ。女々しいな」
「ほかの人だったらどうしたんだよ……」
「さあな、まあ今はそんなことより本当に一人でいいんだな?リエルもやる気満々だぜ?もちろんほかの奴らもな」
「いいよ。というか、そうしてもらわないと困る。負けたら一緒に行動するのに足手まといじゃ困るからね」
ラッシュはここで意外に思う。一応負けたことも想定しているのが分かったからだ。本当に最初言ったようにまだ自分たちを仲間だと思っているとわかったのだ。
(なら話は早い。俺だけではなくお前を好いている女たちのためにも勝たないといけねえ!)
「へっ、お前矛盾してるぜ?ライが負けた時、それは足手まといではないって証明なんだからよ」
「あ、そうか。うん、だね」
「判断はレーシアの嬢ちゃんに判定してもらおうか」
「わかりましたですの」
「公平に頼むぜ?」
「当たり前ですの!」
「よし、それで後ろのお前らは準備はいいんだな?俺らもあれから変わったがライも変わったんだろう。全力で行かないと負けるぜ」
「大丈夫だよ、絶対にライを負かして足手まといなんて言わせないんだから!」
「絶対に負けない。ライには私がつくったお菓子を死ぬほど食べてもらう」
「わ、私も負けません!お兄ちゃんの役に立つために!」
「……絶対に勝ちます。近くでライ様が何をするのか傍で見ていきたいですから」
「あらあら、皆さんどうやらやる気満々ですわね。なら私も騎士の端くれですし。個人的にもライ様を気に入っております。頑張らせていただきますわ」
ティア、リエル、フィル、ラン、リューミルはそれぞれに言って武器を持つ。
「さて、ならそろそろはじめようかライ。合図は嬢ちゃん頼むぜ」
「はいですの」
レーシアが頷くと辺りが静寂に包まれる。集中をし始めたのだ。相手の動きを一挙一動見逃さないために。
「なら両者いくですの……はじめ!ですの!」
そして、魔法を使った仲間同士の激闘が始まるのであった。
最初に動き出したのはラッシュだった。ラッシュは合図と共に一気に詰めてきてハルバートを振り下ろしてくる。
対してライは手をかざすだけど白帝の壁を作り出す。
普通に攻撃をしてきたラッシュのハルバートは壁に弾かれて体勢を崩していたが、ライは疑問を感じる。
(あれだけ言ったのに正面からの普通の攻撃?)
と感じた瞬間、下に違和感を感じてその場から飛び退くと下から石の槍が飛び出してきた。これは恐らくティアの魔法だ。
下から出てきた槍を白帝の壁で防ぐが今度は上から土矢が飛んでくるのが見えた。これはリューミルの魔法か、リューミルは宝玉関係は持っていなかったけど土関係の指輪を持っていたはず。それで使った土矢はローレンス戦のおりどれだけ苦しめられただろうか。
「でもこっちも土魔法は使えるんだけどね!」
上から降ってくる土矢を土帝魔法で上に壁を作り防ごうとして、見事防ぐことには成功しても休ませてくれない。
「正面を忘れるんじゃねえぜ!」
正面の壁を側面から避けて来たのかすでにラッシュが近接攻撃を仕掛けてくる。この攻撃には白帝の壁を出して防ぐ時間は無いと判断。ライはエミルからもらった武器で応戦して受けようとした。
ラッシュの表情を見た後では。
こちらが剣をぶつけようとしたときラッシュは何やら笑ったのだ。確かに力には自慢あったとしても、相手は自分を知っている人物、必死になるにしても笑うはずない。しかもあの笑いは勝ったと確証をしたような笑い。
すぐに剣を外してしゃがむとライは風帝の魔法を使用する。使用方法は移動速度を上げること。
「おらぁ!」
気合と共に振り下ろしてくるラッシュに対し、魔法を使い移動速度を上げて半歩だけ後ろに下がった。それによって剣で受けられるはずのハルバートは空を切り、地面に当たる。
だがそれだけでは終わらなかった。地面にあたった時によほどの威力だったのか地面に当たった瞬間石の礫となりライに襲いかかってきた。でも、礫が当たることはない。襲いかかってきた礫は小さいものは風に撃ち落され、また大きいものはライが後ろに下がることで勢いが落ちていたので土帝魔法で簡単に撃ち落すことができる。
風の魔法でそのまま今度はこちらから反撃をしようとするが、ライは一人速度が上がった自分についてこれることを失念していた。
その人物はすでに右横い来ており銀色の髪をなびかせながら双剣を振り上げていた。
「前より早くなったんじゃないリエル」
「私もいっぱい鍛錬した!」
そういって振り下ろされた剣をライは自分の剣で受ける。しかし、リエルの剣は名前の通り二つあるのだ。右、左から繰り出される素早い剣戟に対応を責められる。
ライは剣を受けながら思う。昔から瞬風の双剣を正面から攻撃されたらどうなるのかと気にはなっていたが、なるほど敵はいつもこのような気持ちで戦っていたのかと思う。このような速さで動かれたらそれはいつ攻撃されたのか解る筈もない。
「でもそれは剣術だけの話だ!」
ライは足元に水の塊を発生させリエルに飛ばす。するとリエルもそれに気が付いて右に飛びぬくように移動するがただでは移動しない。
リエルは飛び退きざまに剣を振ったと思ったら、なんと剣から細く縦に長い水のようなものを飛ばしてきた。ライはそれを見て面白いことを考えたなと笑った。
「面白いことを考えるなリエル!」
ライはそういいながら水を交しながら距離を取ると、交された水は木にぶつかった。するとどうだろう、木の中心が放たれた水の形のように切り抜かれたのだ。リエルが放った魔法は剣戟をそれ以上の切れ味として打ち出したに違いない。
「私のことも忘れないでよ!」
今の攻防の間に準備をしていたのだろう。人二人分の大きさがある土の壁をこちらに投げてくる。
「お前らさっきから人を殺したら負けって言っただろうが!」
次の壁を次々に投げて来られそれを避けながら叫ぶが、誰も答えてくれない。
「あーもう!ならこっちも本気で行くからな!」
そういって、ライはまず土の壁を対処し始める。炎弾を作り壁を打ち放して相殺していったのだ。
そのうちに近づいてくるリエルとラッシュ二人には地面を水に濡らせて敵の足を少しでも遅くする。こうなれば、自分の速度も犠牲になるが人数で劣っている為に敵を遅くした方が利点が多い。
となると今度問題になってくるのは
「お覚悟を!」
後ろの方からランの声が聞こえてきた。
そこでライは自分の影からかと考えるが声が少し上から聞こえたような気がした。そして、後ろにあるものを考えて判断する。
「ティアが飛ばしてきた壁か!」
襲いかかってくるランの攻撃を見ながら叫ぶ。おそらくティアが飛ばしてきたのは攻撃に意味もあったが、そのほかにランの影魔法を使用する為の布石だったのだ。
ランの攻撃が目の前に迫ってきて攻撃が当たると考えたとき、目の端に何かが移る。リューミルが放った土矢だ。
それを見てライは閃く。
「まだまだ!」
そしてライが右手をかざして土矢に向けると、なんとリューミルが飛ばした土矢が突如速度を上げて飛来し、ランの持っている短刀に当たったのだ。それにより当たった短刀はライの体からずれて空を切る。
窮地を脱したライは後ろに一度飛びながら前を向いて視線を巡らせると、ラッシュとリエルが前にやってきてた。
ライは二人のやってくる方向が同じと判断すると白帝の壁を正面に展開させると同時に地面から土の槍を突出し攻撃する。
だが、これをした瞬間に無意味だということに気が付いてしまった。ラッシュは先ほど武器で地面をえぐったのだ。突き出したとしても粉砕されるだけ。
「なめんじゃねえ!」
ライが想像した通り斧を地面に叩きつけて槍自体を粉砕する。でも今回はそれだけでは終わらない。斧からなんと石礫がいくつも襲いかかってきたのだ。しかも量がすさまじく普通ではありえない。
そこで先ほど剣で斧にぶつけようとしたときラッシュが笑ったことを思い出す。
(もしかして魔法で衝撃が発生したときに石つぶてがでるとかか)
もしそうなれば剣で受けた衝撃で至近距離から石礫を食らっていたことになる。
飛び散った石礫は正面に展開していた壁に落ちていき被害はない。
ないが、これこそラッシュたちが望む瞬間であった。
「これで終わりだよ!」
ティアが叫ぶと突如ライの周りに地面から壁が付きだしてきた。しかも突き出すだけではなく前後左右、上からも蓋がされるように壁が重なり合う。
これは
「どうだ?逆の立場になった感想は」
そう、リューネリスでティア達を閉じ込めたときと状況が逆になったのだ。
ライはとりあえず脱出できるか頭を巡らせていると外からティアの声が聞こえる。
「どうにか外に出ようと思ってるみたいだけどいくらライでも無理だと思うよ。ライ自身が水を地面に撒いてくれたお陰で硬さと、質量が多くなっているから」
と言われて土を触るとなるほど、確かに湿っていて水気を含んでいる。これでは脱出するのは無理かもしれない。
だけど、まだ相手は油断しているようだ。
「ティア」
「ん?降参してくれるのライ?」
「いいや、まだ攻撃は食らってないからねそれに……攻撃するまでが勝負だよ」
そういってライが言うと、リエルがいち早く意味に気が付き
「全員伏せて!」
リエルは伏せながら注意を促す。
すると先ほどまでライをかこっていた四方の壁が飛び散ってしまったのだ。爆発をするように。
そして飛び散った壁は容赦なくリエル達に降り注ぐ。さすが全員が実力者であるというべきか、飛んできた石や土をそれぞれの魔法や武器で防いで重症は塞いだが肌に切傷を付けるぐらいの軽傷は負ってしまった。
でもこれはリエルが注意を喚起して伏せたお陰であろう。もし伏せなかったら爆発で比較的質量が大きいものは上の飛んでいたため、重傷を負っていた可能性が高い。
そんな中、爆発の中心にいるはずの人物は周りに声かける。
「本当に危なかったかな。まさかここまで追い詰められるとは思わなかったけど……一応ルール通り傷は負ったから負った人は退場かな」
そういって、後ろに下がり難を逃れた可能性の高いランを警戒していると、ランはラッシュの影から出てきていう。
「すみません私も実は傷を負ったのです」
そういってランが足を見せるようにすると、太ももに確かに切り傷ができていた。皮一枚で受けたようだがルールでは一撃でも当たれば負けなのだ。そのルールがある以上ランは退場であった。
それを確認して警戒を緩めた一瞬。その一瞬、それが勝敗を決した。
トン
軽く背中に当たる感触があった。
ライは目を見開き一体何がと思って後ろを見るとそこには
「……私たちの勝ちですねお兄ちゃん」
後ろにはなんとフィルがいたのだ。フィルは木の棒を持ってライを背中から軽く叩いたようだった。
でもライはそんなことより一体どうしてそこにいるのかと不思議でならなかった。あの爆発から逃れ、またライの視界を掻い潜ってこの場にいるなど。
正直フィルの戦闘能力はこの場にいる誰よりも弱いだからこそわからなかった。
とここでエスティアが光を伴い現れ、ライに言ってくる。
「ライ、今回はあなたの負けだわ。それでなぜ負けたかわかるかしら?」
「いいや、正直わからなくて戸惑っているってのが大きいかも」
「なら教えてあげる。答えは簡単、あなた一人の考えよりあの子たち全員の考えの方が勝っていうことよ」
そういってエスティアはライのすぐ後ろを見る。ライもエスティアの視線をたどっていくとそこには、ティアが途中投げてきた壁が三枚地面に突き刺さっていた。一枚目は爆発の衝撃でひび割れていたが、二枚目で受け止められ三枚目は無傷だ。しかも不思議なことに壁がある近くが濡れていたのだ。
そこでライはなぜフィルがいたのか考え付いた。
「……なるほどね」
ライは思い違いをいくつかしていたのだ。
ティアが壁を投げてきたのはランを出現するための影を作るのではなく、フィルを隠すため。しかもただ隠すのではなく、地面がぬれていることから水帝の力を太陽の光を屈折させて蜃気楼状態を作りフィルを見えなくした。
爆発が終わった後に全員が負傷したのを確認し警戒していたランを見ていたが、安心したところを壁近くで待っていたフィルが出てきて、不用意に壁の近くに下がってしまったライへと攻撃を入れた。
ライは一度だけ空を見上げながら言う。
「はぁー負けたなー」
そういいながら今度は爆発に巻き込まれつつも、風の力で飛んできた石礫をそらしていたレーシアが立っていて、ライは言った。
「判定をお願い。それまでが勝負の流れだよ」
ライがそういうとレーシアは頷き言った。
「勝負ラッシュとかいう人たちの勝ちなの!」
そう宣言されることによって激闘は幕を閉じるのであった。
どうも、徹夜三日目に突入するみたいです。
今結構フラフラですが、更新はできたので安心できました。
ですがごめんなさい三日連続、後書きと活動報告が……体調と徹夜が終わったら再開しますのでよろしくお願いします。
更新はなんとか……やれればなと思いますので。また明日です。




