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第六十八話 新章

今回は少ないですがご了承ください。

 人、生物、大地、空、雲、太陽、星。この世界のあらゆるものには時間があり、時があり、平等である。


 ある古代の人はこう言ったそうだ。


 《生きるものにとって、平等に与えられる時間の重さは決して平等ではなく不平等だ。だがこれだけはいえよう。生きるものにとって死ぬまでに与えられる、進む時間とはすべての生物に平等に与えられるものだと》


 この言葉の訳はその人が何をするのかによって時間の重さはそれぞれだろう。しかし、どのような重さを持つ行動でも過ぎていく時間は一緒なのだと。


 そしてその言葉はガリアント平原の戦いを生き延び、また数日後にかけがえのない人物の行方が分からなくなって打ちひしがれる少年少女達にも当てはまるのだ。


 軍師ライ・ジュリアールの失踪。


 この事件は当時リューネリスにいた王国兵には衝撃が走った。数日後には北のエンリデンヌ、ローレンス砦、王都にまで情報がいき捜索が大々的に行われた。


 でも決して見つけることはできなかった。


 ライ自身で行く手を遮られたそこにいた少女達もリューネリスで意気消沈していた。


 しかし、いつまでもそうしていることはできなかった。


 エミルは王女なのだ。ずっとリューネリスにいることはできず王都に帰らなければならない。


 また王国兵であるティア、トム、ラッシュ、リエル、メイドであるユレイヌも指揮官がいなくなった状態のため戻らなければならなかった。残ることができたのは義勇軍扱いであるフィルとユレイヌに使えているランだ。


 エミルは身を引き裂かれる思いでリューネリスを後にする。ティアやリエルは残ると言い張ったが、王女として却下する。


 この国は現在北の反乱と南の反乱で国力と兵力が不足している。そんなときに第十三大隊と第五大隊を遊ばせておくこともできない。


 そしてティアは第十三大隊の副指揮官、リエルは部隊長。個人の言葉を突き通すことができない。


 リューネリスは代理で領主を務めることになった大商人カイ・タグールが勤めることになる。だがこれも実は一時的な措置ではある。


 貴族が相次いで反乱を起したのにリューネリスに再び貴族を派遣しても住民達が納得しないだろう。ならば知名度があり信頼が厚いカイにと白羽の矢がたったのだ。


 それから月日が流れ約半年の間、フェレス王国では多くの情勢が変わっていた。


 まず、王都では各地方や砦、情況を調べることから始まる。


 次にはそれぞれの対応だがここで一番頭を悩ましたのは反乱貴族がいた地方を誰が収めるかだ。これに対しては伯爵の多くが叛意を翻したのだから下にいる男爵、子爵などを伯爵の位に上げて地方を収めさせることも考えた。


 しかし、元々男爵や子爵は表立ってこそは何もしていないかもしれない。でも裏ではエンリデンヌの戦いのようにグリム伯爵という上の伯爵に野望をもって援助したかもしれないのだ。


 そうなると危険な者に上の階級を渡しても良いのかということになる。


 ならば他に武勲を立てた者に爵位を渡せば良いじゃないかということになる。そして都合がいいことに今回の反乱軍に対して爵位を受けるだけの功績を残した人物は何人かいた。


 ローレンス砦で父親の反逆を未然に防いだリューミル・ローレンス。ライと共に戦ったティア、リエル、ラッシュにも候補に挙がる。


 女性を候補に挙がることは格段珍しいことだが今は緊急事態、早急にやることは国の建て直し。リューミルに関しては民達と兵からの信頼があったため。ティア達はリューネリス軍の隊長級を討ったことと女王エミルの口ぞえがあったため。


 しかし、これに対してティアとリエル、そしてラッシュは辞退する。


 理由はラッシュはまだやることが残っているからとのこと。そしてティアとリエルは領土をもって民を治めるよりも今はある人物を探す為。


 ティアとリエルの返事を聞いたジギル国王は強くは勧めない。リューネリスから帰ってきた後の娘であるエミルの状態といえば見ていられるものではなかった。ほとんど食事も食べずに部屋からも出ない。娘付のメイドが食事を一応は食べているといっていたので少しは安心できる。


 だがもし、エミルを感じていることをこの二人も感じているのなら無理やりするのは酷というもの。せめて彼が姿を現せば情況は好転するのであろうか。


 ジギルは考える。

 

 北と南の反乱が起きガリアント平原の戦いが始まる前のころに一つ気になる知らせがあった。


 それは西にある国、ドリアドが不穏な動きをしていると。


 ガリアント平原の戦いに決着がつき数日後に再び来た情報には戦慄が走った。戦いがあったリューネリスに兵を送られた可能性があると。なのでジギルはすぐに第三師団 副将軍 クレイ・アスライドに命じて西の国境付近に向かわせた。


 でもその翌日、遠風の書で伝えられた文章は


 《すでに何もなく辺りには何もなかった。しかしそこはまるで嵐が過ぎたような光景になっていた》


 というものだ。


 なにが起こったのかは判らず仕舞い。報告があったドリアドが送ったかもしれない兵も発見できなかった。


 もしかしたら誤報かとも考えていた頃再びジギル国王のところに報告が届く。それは再びドリアドに不穏な動きがあり、注意されたしというものだった。



 また再びこの王国に戦乱の炎が飛びかかろうとしている。しかも今回は内乱というものではなく国と国の存亡を、プライドを、尊厳をかけた比にならぬ大戦が。


 この物語は三人の約束から始まった物語。そして英雄が生まれる物語。


 では、英雄がすでに生まれているならば困難が立ちふさがったとき、約束を覚えているならばその人物はどう動くだろうか。


 おそらく困難に立ち向かっていくのだろう。


 さあ、それではその英雄は今どこに?


 新たなる物語が今始まる。 

さて、一日に二本出しました。といってもこれは短いのですが。

新章を出すにあたって、ちょっとだけ情況を整理させようかなと思ったのです。整理になっていないような気もしますが……ですが一応ライが行方不明になって数ヵ月後どういうことになっているかは伝えられたかと思います。

新しいドリアドという国も出てきて次は内乱ではなく本当の戦争となるでしょう。

主人公のライが今どういう情況になっているのかはお楽しみです。というか自分もどうなっているのか想像がいくつもありまとめられてないです。

さて今日はこの辺で、活動報告は明日の更新でやります。

ではまた明日。

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