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第六十四話 三人の約束 (ティア編)

遅くなりましたが本編をお楽しみください

  リューネリスのとある屋敷のとある部屋で現在ライの過去を聞くために数人が集まっていた。


 そんな中ティアが声を出す。


 「私たちが始めてあった後、しばらくは関わらなかったよね」


 「うむ、三人とも喧嘩した後だったから近寄ろうともしなかった」


 「けどそのおかげである意味対抗意識を持てて仲良くなったところもあるかもねー」


 「そうであろうな。もし私とティアだったらこのように話すこともなかったかもしれん。すべてはライ、お主のおかげなのだぞ?」


 「おかげといわれてもね」


 「あ、なら今度は私が話すよ!いいでしょ?」


 「いいぞ」


 「うん!なら話すね!」


 そういって、今度はティアが過去を話し始める。



 三人が喧嘩し職員の人たちに止められた後、どうなったかというと三人とも見事に険悪な関係になっていた。


 職員という大人がいることで目の前で争うなど愚の骨頂。それを幼いながらも理解していた三人が次に行動を取ったのは、関わらないことであった。


 もし出会おうものなら再び喧嘩になる確率が高い。それならば距離をとればいい。


 この考えは最初上手くいくことになる。元々ライは一人でいることが多い。最近まではとある年下の女の子と政治や商売のことを話し合っていたが、その子が出て行ったために再び一人に戻っていた。

 

 エミルも施設の子供達には紹介されたがエミル自身ここには長くいない。それに到着したときに決意したこと、一人で適当に過ごすと考えていたので問題はなかった。


 ティアはというと、二人とは真逆の立場にあり紹介された後は持ち前の明るさと話し上手ですぐに子供達と打ち解けあうことになる。


 でも打ち解けあった子供達は慕うティアにも近づきがたい困ったときがある。


 それがライとエミルどちらかと遭遇した場合だ。


 ライもこの孤児院の一人であるので仲良くするよう試したものもいたようだ。しかし、ライがここに来たときライの目は死んでいた。それにより気味悪がって近づく人もいなかったのだ。


 エミルは目は生きていても近づいてくるなという空気を隠そうともせず出しているのでいわずもがな。


 ティアもあの二人とは仲良くできないのか無視を決め込んでいた。


 でもこの三人、いくら無視しようが離れようとしてもとある決まった時間には顔を合わせることになる。


 それはこの孤児院の大半を占める目的、訓練時であった。


 今回の訓練は外に出ての武術訓練。


 孤児院では主に三つの時間割を組んでいる。


 一つは今から行われている武術に関する訓練。


 一つは政治、商売、軍略、計略など知略に部類される訓練。


 最後は二つに分けられる。


 そのうちの一つは上記の二つのどちらかを重点的に行うか。


 ではそれ以外の人物は何をするか。それは魔法訓練。魔法武器、防具、アクセサリーなどを持っている子供が各自訓練する時間だ。


 武術訓練時にもちろん魔法を使用してもよい。個人練習は切磋琢磨する時間で武術訓練は実戦で試す場だ。


 ここで一番やる気を出していたのはティアだった。彼女は女だったとしても昔から運動神経はずば抜けてよいほうで、体を動かすことが好きだったのだ。


 よく母親からは女だったとしても身を守る術を持たなければならないと言われていたので、母が死ぬ間際譲り受けた二つの魔法武器とアクセサリーを使って今まで一人で訓練してきた。


 この孤児院は同じぐらいの年の子供も訓練をしている。なら自分と同じぐらいの相手もいてもっと強くなれると思い始めての授業にわくわくしていたのだ。


 だが


 「わ、わぁ!?」


 ここで現在五人の子供を相手にして戦跡はティアの完勝。ティアとしてはなんというか正直肩透かしであった。


 「ま、まいった」


 五人目の相手もすぐに降参してしまった為つまらそうな顔をしつつ自分の武器、『蛇鞭じゃへんの槍』を元の普通の槍に戻すと後ろに下がる。


 最初にわくわくしていた表情とは似ても似つかなく、普段ならばこのような表情を隠すのにあまりもの失望で隠す気にもなれなかった。


 「はぁ……」


 ティアは思わずため息をつくとそれに気がついたとある職員が近づいてきた。


 「ティアリスちゃん強いのね、ここの子供達も強いほうなのよ?毎日訓練をがんばっているのだから」


 苦笑する職員を見てティアもそれを否定する気にはなれない。確かにここ以外で相手にした稽古相手は孤児院の子供達より弱かった。稽古相手は大人も含まれているため、ここには大人にも勝てる子供もいるだろう。


 しかし一人の大人を倒せる子供でも、一人で五人を倒せるティアには勝てるはずもない。


 何も言わずに無言でいるティアリスを見て職員は「あ!」と何かを思いついたような表情をして話す。


 「もしかしてあの子ならいい勝負するかもしれないわね……」


 その言葉に今まで無言だったティアは職員の言葉に耳をピクピクとさせて反応する。


 「んーでもあの子素直に訓練を受けてくれないのよね。しょうがないかもしれないけど」


 「あの、ここにいるのが全員ですよね?」


 「あーまあほぼ全員ね。一応訓練時間をというのをこの前説明したでしょ?武術訓練、知識の吸収、最後に個別訓練って」


 「そうだったような」


 「この三つの訓練には原則全員参加してもらうの。でもね例外はあるのよ」


 「例外?」


 「そう、たとえば勉強はできるけど体を動かせない、または体が悪くて勉強しかできないとか」


 「あれ?でもそのあの子って言っている人は訓練は受けられるんですよね?」


 「そうね、あの子はそれよりももっと別の例外だから。……ただ単純に強すぎるのよね」


 「え?」


 「ただそれは魔法を使った場合だけね」


 「名前はなんていうんですか?」


 「ライ・ジュリアールって言う子よ」


 「ライ・ジュリアール……」


 ティアは強すぎるという人物をどういう人物なのか想像し、自分より強いのかと興味を持ち始める。


 そう考え始めたティアを見て職員は複雑な苦笑を浮かべていると。


 「先生、この前貸してもらった本見たからまた別のを貸してくれませんか?できれば軍略関係の」


 先生と呼ばれた職員とティアは声がしたほうを見るとそこには一人の少年がたっていた。


 少年を見てティアは顔をしかめる。そこにたっていたのは出会った初日に喧嘩をした相手なのだから。


 そんな顔に気づかなかった職員は話しかけてきた少年を見て少し考えた末、返事をする。


 「そうね、いいわ軍略関係だったわね。私が持っている取っておきのを貸してあげましょう」


 「本当ですか!」


 「ええ、ただし!」


 「ただし?」


 「この子に勝てたらね」


 そういってライは初めて後ろのほうを覗く。するとそこにはティアがいて。


 「……」


 ライは思い切り嫌そうな顔をする。


 そして職員を見ると


 「先生俺は弱いものいじめをしたくないんですけど」


 ムカッ


 ティアはいきなり言われたことに腹を立てるが職員がそれより早く言葉を紡ぐ。


 「そういわないのライ君。まあ、ティアリスちゃんと勝負しないって言うのならこれからはもう何も貸してあげない」


 「え!?」


 「さあどうする?」


 職員にそう言われてライは考え込むがすぐに頷いた。


 「わかった、一回だけなら」


 「よし決まり!ティアリスちゃんも良いわね?」


 「はい、たった一回で良いなら。すぐに終わるでしょうけどねこちらの『勝ち』で」


 わざとらしく勝ちという部分を主張するとライもイラッとして職員に話す。


 「でも勝負になるんですか?さっきも言ったように弱いものいじめはしたくないんです」


 この時ライ自身には悪気はない。それは職員にも分かっていた。


 以前からいたライは最初のうちは真剣に訓練を受けていたのだ。ライが来た当初は目に光はなく本当に死んだようだった。だからこの職員は一つの本を読んでみるように進めた。


 するとなんとその本に興味を持ち徐々に目に光を持ち始めたのだ。だから武術訓練にも真剣に受け始めていた。


 でもそれは職員を新たに困らせる事態に直面する。


 孤児院にいる子供とライの力が釣り合わないのだ。昔から訓練をしていたわけではないだろう。本当に最初のころは素人の動きだったのだから。でもそこに魔法の要素が入ってくるとライは強すぎた。


 魔法はどんなに強力なものを持っていても所有者の能力に依存する。この言葉の通り魔法を応用力、使い方がずば抜けていた。


 結果、対戦した相手は戦意喪失真剣にやっていった結果ライに勝負を挑む子供がいなくなったのだ。中にはライに恐怖を抱く子供も。


 だからライはティアも同じことにならないのかと心配していったのだ。


 でもそんなこと言われた相手は汲み取ることができるはずもない。


 「ずいぶんと自信があるみたいだね?でも本当はそんなことを言っちゃって勝てないから逃げようとしてるんじゃないのかな?」


 「別にそういうつもりでもないけど」


 「ああ、それとも?自分の力に自信がないかはたまた何か特別な魔法を持ってたとしても実は大した事ないとか?」


 「あ、ティアリスちゃんまってそれは」


 職員は内心しまったと思った。この二人が喧嘩をした初日から関係が悪くなっていたのは知っていた。でもこれを切欠にして仲直りしないかとも目論んでいた。ティアリスも普段いい子であると知っていたから相手を必要以上に挑発しないと思い込んでいたのだ。


 「……なんて言った?」


 でも言ってしまったのだ。挑発してしまった。確かにライが強すぎることで対戦相手がいなくなるのは分かる。


 だけどそれが決して『恐怖を抱くほどのトラウマ』を持つとは同じではないのだ。


 突如空気が変わったことにティア自身寒気を覚えるが空気を読めず言ってしまう。ここでやめれば良いのに。



 「魔法なんて大した事なくて何かいかさまでもしたんでしょ?」


 「……わかった。先生自分の部屋に行って準備してくるから場所の確保をお願い」


 ライは職員の返事を聞かずに施設内に戻っていった。


 「……さて、どうしましょうか。ティアリスちゃん。貴方まずいかもしれないわ」


 「どういうことですか?」


 「貴方完全にライ君を怒らせたみたい。彼ねとても頭もいいのよ。だから武術訓練をしていた頃もある程度力を抑えて戦ってたのね。でも」


 「でも?」


 「一回だけ負けそうになった子供がライ君の魔法に対してケチをつけちゃったの。その時ライ君の予想を超えて戦っていた子供は素早い攻撃をしてライ君に当てたのよ。だけどその結果……その子供はトラウマを持ってしまった。それからね。ライ君が武術訓練を一緒にしなくなったのは」


 ティアリスは冷や汗を一筋流す。もしかして自分はとんでもないことを言ってしまったのかと。だけど


 「ティアリスちゃん。今からでも遅くないから謝る?今なら私が言えば戦いをやめさせることはできる」


 だけど


 「いいえ、勝負します。絶対に勝ちます。だって強い相手と一緒に訓練したくて楽しみにしていたんですから」


 そういってティアは武者震いをして笑みを浮かべる。職員はティアが今自分が笑みを浮かべていることに気がついているのかと聞こうとしたがやめた。

 

 その代わり



 「本当に危なくなったら私が止めるから全力で戦いなさい」


 職員は手遅れになる前に絶対に止められるように決意をするのであった。


 しばらくしてからライが戻ってきて訓練場中央には二人がそれぞれの武器をもって立っていた。中心には審判役の職員が。


 そして周りを囲むように子供達が見学していた。


 ティアはライを見ると少しだけ以外に思う。


 強すぎると聞いていたからてっきり強力な魔法を持った剣とかアクセサリと思ったのだ。


 でもライが装備しているのは二対のガントレッドだ。


 ティアは自分の槍を持ちながら考えていると職員が声をかける。


 「二人ともルールを確認するわね。まず勝敗はどちらかが動けなくなるか、参ったというか、もしくは私が止めたら終わり。その間だったら何度でも攻撃して良いわ」


 「一撃勝負じゃないんですね」


 「そうねライ君。これは訓練であって一回当てたとしてもそれから学んでいけばいい経験になるわ」


 「分かりました」


 「ティアリスちゃんもそれでいいわね?」


 「はい」


 「うん、よしなら二人とも準備はいいわね?」


 職員は二人の顔を確認してどちらも頷くのを見てから言う。


 「なら試合開始!」


 職員が合図をした途端に動き始めたのはライであった。ライは突如ものすごい速さでティアの懐に入り込み攻撃を加えようとしたのだ。


 いきなり接近戦をしてくるとは思わなかったティアだが、ライの動きに対応するように後ろに下がりすかさず槍を突き出す。


 槍は接近するライの腕や肩を狙ったものだったがそれをライは姿勢を低くして避ける。


 ティアは避けられたと判断するとすぐにまた後方に下がる。ライは姿勢を低くしたせいで一瞬停止してしまい、そのせいでティアとの距離が開いてしまう。


 距離を開いたティアは一度深呼吸をして息を整える。確かに職員が言っていたように強い。最初の初動から詰めてくる速度、槍を体を動かすだけで避けてしまうあの身のこなし。


 でもと思う。


 あれだけなれば勝てる!私の槍があれば!


 ティアは槍を強く握りライが再び動き出したのを見て槍を突き出す。ライはまだ射程外なのに槍を突き出してきたことに戸惑いを覚えているようだ。


 だけどこの前に戦った子供達は次に何が起きるか知っている。


 いきなりティアの槍が曲りライに不規則な動きで襲い掛かってきたのだ。槍がいきなり鞭のようにしなり接近しようとしたライに迫る。


 ティアの魔法を先ほどライは訓練にいなかったので見ていないはず。不意をつくように攻撃すればティアは勝てると思っていた。

 

 でも実はそう思っているのはティアだけだという事実をまだティア本人だけ知らない。


 周りの子供達はティアが何をしようとしているのかは知っていた。そして


 キィン!


 ライという少年がどういう魔法を使ってどのような結果になるのかも想像はついていたのだ。


 形状変化させて不意をついたティアの攻撃は空中で何かに当たると弾き返されライに攻撃は当たらない。


 槍、もしくは鞭の最大の魅力は射程の長さにある。


 しかし、逆に言えば短い射程は苦手なのだ。


 そして、現在ティアは鞭の形態のまま戻せずにおり結果


 「きゃあ!」


 浮遊感を覚えたと思ったら次には尻餅とついていた。ライが足を狩って倒したのだ。


 倒されたティアは地面に打ったお尻をさすりながら攻撃してきたライを見る。


 ライはそんなティアを見下ろしながら

 

 「まだやる?」


 と興味がなさそうに聞いてくる。ライはどうせあきらめるのだろうと思っていた。今までの相手がそうであったように。


 だけどティアは違った。


 「まだ負けてない!」


 そういってティアは槍を突き出すもその槍はまた空中で壁に当たったように弾かれてしまう。


 「なんなの……?」


 「君が言った大したことのない、いかさまかもしれない魔法だよ」


 平然とたっているライにティアは負けずと攻撃し続ける。しかし攻撃はどうしても突破できない。


 そんな状態が続いて一刻たっただろうか、息が上がったティアの姿と無傷で息があがっていないライの姿があった。


 息が上がっているティアの姿を見てライの表情に変化があった。最初は興味なさそうだったのに、今は困惑をしているようだ。そしてライは質問してくる。


 「どうして諦めないの?今のままだったら攻撃が聞かないのは分かるだろ?」


 「うん、分かってる。でもさ、それを打ち破る、っていうのも、楽しいと思わない?」


 意気途切れ途切れに言うティアそして再び槍を突き出そうとして


 カランッ。


 槍を落としてしまうティア。


 「……もうやめよう。俺も意地になってた」


 「や、だ。まだ、できる」


 「いいやダメだ。といっても納得できなさそうだよね……ならこうしよう。これから俺も武術訓練にでる。そこでさ稽古相手になってよ。それならいつでも戦うこともできるし時間内なら何度でも挑んでも良いよ。今疲れた状態でやっても無意味だよ」


 ライが提案すると職員は目を見開いてびっくりしていた。ライがまさか自分から武術訓練に出るなど言うと思わなかったのだ。


 「それでどうする?」


 ティアにライが聞くとティアは荒い息をしていたが足の力を抜いて地面に大の字になりながら叫んだ。


 「わかったー!けど次は絶対に勝ってやるんだからー!」

 

 ティアが了承するとライも笑みを浮かべて踵を返す。


 それを見て職員は予定を違ったけどどうやら上手くは言ったのだと確信する。


 その日を境に二人が一緒にいる姿をよく見るようになり、時々喧嘩もするけど上手く打ち解けあっているのを見て安堵している職員がいるのであった。

こんばんわ、五分遅れで出しました。申し訳ない。

本当はもっと早く出すつもりだったんですがなぜかパソコンをつけても画面が映らずパソコンが正常に動かない状態になっていて遅くなってしまいました。

ですが何とか出せてよかったです。今日は上手くアイディアが出てきて文字数が多いにも関わらずに時間ででき自分でもびっくりしています。

明日……ではなくもう今日なんですが今度はしっかりと今日中に更新できるようにがんばります。

ではまた明……ではなくまた今夜です!

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