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第六十三話 三人の約束 (出会い編)

こんばんわ昨日休んでしまい申し訳ない。

本編をお楽しみください。

 リューネリスにある領主の屋敷。


 屋敷のとある一角で現在数人が集まって話し合いが始まる。


 集まったメンバーはエミル、ティア、フィル、リエル、ユレイヌだ。


 ここに集まった理由はライ達の過去をそれぞれ話すため。といってもユレイヌ、リエルが出会ったのはライが初めて王都を訪れたとき。


 主に話すのは昔あったことがあるメンバーになる。


 はじめは沈黙をしていたが、ここでようやく一人が話し始めた。


 「なら、そろそろ話そう。最初は私とそうだな、ティアも補足を頼むぞ?」


 「あ、うん。私達から言おうか。でも出会った時期ならフィルちゃんのほうが早いんじゃないの?」


 「確かにそうですけど……それよりもまずは王女様とティアさんの話を聴きたいです」


 「なら私達の後にちゃんと話してね?」


 「それはもちろんです!」


 ライが見守る中最初に話すのはエミルとティアということになった。


 「さて、とは言っても何から話したものか」


 「んーライは私達と会った最初のこと覚えてる?」


 「……ごめん。正直に言うと分からない。昔にあったことはあるような気がする。でも一体どこで、どうして出会ったのか分からないんだ。あ、でも一つだけ覚えてることはある」


 「覚えていること?それはなんなのだ?」


 「俺とおそらくティア、エミル三人で約束をしたんだと思う。三人のうちもし一人が助けを求めたとき他の二人が助けを求めた人を必ず助けるって」


 「ライ、それは覚えてるんだ」


 「なぜかね」


 ライが言うとエミルとティアは嬉しそうに微笑む。本音を言うと最初自分達が出会ったことを忘れたといわれてショックだった。しかし、そんな中でもライはあの『出来事』があった後にした約束だけは忘れていなかったのだ。


 それが分かっただけで二人の心中にほんのりとした暖かさが胸を満たす。

 

 「ん?二人ともどうしたの?」


 でもライが問いかけると心地よい空気を振り払いエミルが返事をする。


 「いいやなんでもない。ならまずは私達の出会いから話したほうが良いか?」


 「私もそれが良いと思う。といっても今考えたらなんであれで仲良くなったんだろうね」


 「切欠はいつも突然というからな。さてなら話を始めよう」


 そしてエミルは過去を話し始めた。


 ∇       ∇       ∇       ∇



 数年前、王女であるエミルがとある孤児院に一定の期間匿われることになる。


 理由は最近王女であるエミルを狙って不穏な動きがあると分かったからだ。ジギル国王としてもどうにかして犯人を割り出す為に動いていた。


 しかし一筋縄にはいかない。


 どうやら王城の中に裏切り者がいる線が強いと分かったからだ。


 本来守るならば城内はこれ以上ない守りに適した場所。だがそれは外敵ならばの話。内に入れる敵ならばとたんに守りづらくなる。疑い始めたら無実のものも疑う危険性もある。


 ならばとジギルは苦肉の策を決行させる。もっとも忠臣と思える人物に夜中にこっそりとある孤児院に移動させることを実行した。


 自分の手の届かない場所に預けるのは心配が尽きなくなる。


 でも一国の王女がまさか孤児院にいるとは思わないだろう。しかもそこは特別な孤児院。ある目的と基準で選ばれた子供が集められるところ。


 その孤児院の目的とは戦闘、戦術、武術、政治術、この世で生きていくのに必要な術を教える孤児院。


 孤児院といっていることからもちろん孤児の比率がほとんどだ。


 職員もそれを教えることになり自然と自動的に優秀な人物がいることになるのだ。よって、孤児院に預けても防備や警護について心配することはなかった。


 でもジギルは別のことで心配をしていたこともある。


 それはエミルが果たして孤児院で上手く子供たちと打ち解けられるかということだった。


 ジギル自身で言うのもなんだが、娘であるエミルは頭がいい。貴族の子供達と会う機会もあり、いつもほとんど一人のエミルに歳が近い友達を作ろうと引き合わせたりもした。


 しかし結果はほとんど失敗に終わる。


 振りまく笑顔や言葉は王族としてしっかりしたもので娘を誇らしく思う。だが、エミルは歳の近い子供にほとんど興味を持たない。いや、持ったとしても話し相手にすらならないのだ。理知であるが故に。


 その面では孤児に色々なことを教えている場所ならば話ができるものがいるかもしれない。ジギルとしては、不穏な動きの別に歳相応の友達ができないことに一人の親として心配しているのであった。


 しかし、このジギルの選択は功を奏し親友といえるべき二人と出会えることになる。



 でも本当に親友となるであろう二人との出会いははっきり言って……最悪であった。


 エミルは夜のうちに王都を後にし数日間馬車に揺られて目的地に到着する。


 エミルは馬車から降りて目の前を見る。


 周りは森林に囲まれ人里からは離れているようだ。たどり着いた場所も変わっていて建物がしっかりと作られとても頑丈そうだ。こんな森林の中にこんな建物がありすごく違和感がある。


 「ではエミル様。私は王都に引き返します。お迎えはすべてが終わった後になりますが」


 「分かりました。では道中気おつけてください」


 ここまで馬車を動かしてくれた兵士に返事をするとその兵士はもう一度頭を下げ馬車を引いていってしまった。


 馬車が姿を見えなくなるとエミルは表情を崩しため息を付く。


 「はぁ。どうしてこんな事をしなければならないの。お父様も私がいれば敵を焙り出すことも簡単なのに」


 エミルは肩を落としながらもう一度正面にある建物を見る。


 ここが今日から自分の住む場所なのか。


 到着するまでに聞いていた話は色々な訓練を受けている孤児がいるという。孤児なのだからどうせいくら訓練したとはいえ自分の話について来れずにすぐに離れていくだろう。


 貴族の息子ということで今まで何人もであったことがある。


 しかしどの相手も自分の話について来れずしばらくしたら離れていった。


 もう一度ダメ息をつくが歩き出す。ここでいくらため息をついても父親であるジギルの判断なのだ。それならば従わなければならない。人と関りを持たずに一人で過ごせば良いだろう。


 エミルは施設の門を潜り中に入る。外に大人がいなかったことから中にいれば大人がいると思ったのだ。


 でも入ってみるが誰もいない。遠くから訓練しているのか声が聞こえて声何かをぶつけ合う音が聞こえてくる。武術訓練でもしているのだろう。


 さてここで待つべきか、それとも自分から探すべきか。


 エミルはどうするべきか考えているといつの間に近くに来たのか一人話しかけてきた人物がいた。


 視線を声がしたほうに向けるとそこには一人の男の子がいる。


 「君はだれ?」


 背は自分より少し大きいだろうか。髪の色は黒で瞳の色も同じ黒。格好は見たまま平民だということが分かる。まあ、ここが孤児院というところならば貴族はいないだろうが。


 エミルは旅の疲れと先ほど決意した誰とも関わらないという思い。そして、城で今まで様、王女で呼ばれなれたせいかいきなり君呼ばわりされたことに嫌悪感が出てきた。


 エミルもこの時は押さなかった。感情を抑えこむことはできず


 「いきなり話しかけないで!」


 ヒステリック気味に拒絶の言葉をする。これでいなくなるかと思うが違った。


 「な!?名前ぐらい教えてくれても良いだろ!」


 大人しく黙るかと思ったのに目の前の少年はもっと問い詰めてくる。


 売り言葉に買い言葉、エミルも負けずに反論する。


 「貴方に教える義務なんてない。さっさとあっちに行って頂戴」


 「そんな言い方ないだろう!」


 子供同士の言い争いは徐々に声が大きくなり周りにもこの施設にいる子供たちが集まってきていた。そんな中、エミルが先ほど来た後ろ側から一人の赤い髪と瞳を持つ少女の声が響く。


 「二人とも何をしてるの!」


 少女の声は確実に二人に届いたはずだった。しかし、二人にとって今は目の前の相手が敵なのだ。無視すると少女は近づいてきて


 「無視するなぁ!」


 怒った少女は二人の頭に拳骨を落とす。


 突如第三者の参入により周りも驚き一番驚いているのは少年とエミルであった。


 まさか拳骨されるとは思わなかったが


 「何するんだよ!」


 「うるさい!喧嘩はダメ!」


 「喧嘩などしていない!そこの男が私にちょっかいを出してきたのだ!」


 「ちょっかいってただ名前を聞いただけだろ!」


 「それがちょっかいだ、自分の基準を人に押し付けるな!」


 「なにを!」


 「なんだ!」


 「だから喧嘩はダメって言ってるでしょ!」


 少女は再び拳を振り上げ拳骨を落とし拳骨をお見舞いする……はずだった


 スカッ


 左右の拳は虚空を通過し衝撃は来なかった。


 しかしその代わり



 「え、きゃあ!」


 拳を振り上げた少女は拳骨を当てるどころか次の瞬間尻餅をつく。


 原因はエミルと少年が拳を避け突撃してきた少女の足を払ったからだ。


 エミルは目の前の少年に少し驚く。自分は城で身を守るために少しした護身術を学んでいる。といっても敵が大人で兵士であったら役に立たないだろうが、同じ年齢の相手なら相手になるだろう。


 でも目の前の少年はまったく同じ反応と最小限の行動で相手を無力化した。どうやら本当にここは孤児が訓練するために集められた場所らしい。


 と思考していたエミル。だがその思考はすぐになくなる。


 「うぅっー!」


 尻餅をつき無力したはずの少女が唸りながら反撃をして来たのだ。


 無力化したと思ったエミルと少年はその反撃にわずかに遅れる。結果は


 「うわぁ!」


 「きゃ!」


 少年の声とエミルの悲鳴が上がり二人仲良く地面に倒れる。


 「へへーん!お返しだよ!」


 赤い髪と赤い瞳を持つ少女は舌を出しながらざまみろというような表情をして下を出す。


 仲裁をしに来たのに騒ぎを大きくしていることに少女は気づいているのだろうか。この少女も所詮は子供ということであった。


 全員が見守る中尻餅を三人がつき、一番最初に行動したのはエミルだ。


 エミルはこのイライラをぶつけるつもりで少女のほうに飛び掛り赤い髪を引っ張り始める。


 「きゃあ!ちょっと!いた、痛い!」


 「私に無礼を働いた罰だ!このっ!このっ!」


 「まだこっちの話も終わってないぞ!」


 赤い髪の少女を攻撃していたエミルはもう一人の敵である少年の声を聴いた瞬間、頬を横に伸ばされ引っ張られる。


 「な、なひほ!なひほふるほだ!(な、なにを!なにをするのだ!)」


 少年が攻撃を加えるとエミルは赤い少女から少年に標的を変え少年の耳を引っ張る。


 「や、やめろって!痛たたた!耳が!」


 「おまへもひゃめればいいらろ!(お前もやめればいいだろう!」


 「もっー怒った!容赦しないからね!」


 赤い髪の少女も引っ張られた髪を抑えながら今度は反撃するようにエミルの髪を引っ張る。


 完全に三人の乱戦になってしまい、この喧嘩?は大人が騒ぎを聞きつけ引き離されるまで続いたのであった。


 

 ∇    ∇    ∇     ∇


 「……そういえばそんなことあったかもしれない」

 

 ライはエミルの話を聴きながら思い出そうとしたら突如何か争ったというか喧嘩をしたようなことがあったような気がしたのだ。


 今まではぼんやりしていたのに、話を聴いて喧嘩をした相手、エミルと赤い髪の少女、ティアとであったことを思い出したのだ。


 「ライ、思い出したのか?」


 「うん、なんか今まではぼんやりと変な違和感を感じていたけど話を聴いて、霧が晴れたように思い出した気分だ」


 「けどどこまで思い出したの?」


 ティアの言葉にライは苦い顔をしながら


 「ごめん、まだそこだけしか思い出せてない。さっきも言ったように他は違和感だけしか感じないんだ。孤児院にいたことが判ったんだから何かはあったはずなのに……」


 悲しそうな顔をするライを見てエミルは笑みを浮かべて言う。


 「急いで思い出すことはない。少しだけ過去を話しただけで思い出したのだろう?ならばこれから話していけば思い出す可能性があるのだ。悲嘆するには早いぞ?」


 「そうだよー!まだまだ色々とあったんだから。っそういえばエミルは覚えてるよね?私たちが仲良くなったきっかけ」


 「忘れるわけがなかろう。あの出来事は私のせいで迷惑をかけたのだ……私の意地っ張りのために一歩間違えれば誰かが死んでいただろう」


 「あれはしょうがないと思うけど……」


 「いいや、私がもっと大人だったならば対策はいくらでもできていたはずだ」


 二人が何やら過去にあったことについて話し合っており何があったのかライは首をかしげる。


 それを見たエミルがライに話しかける。


 「ああ、もちろん話すからそんな不思議そうな顔をするな。しっかりと話す」

 

 「頼むよ」


 そういってエミルは再び過去を話し始める。


 まだまだ夜は続く。

いかがでしたでしょうか。

今回の話はプロローグで軽く描写したことを詳しく描写した話ですね。

なんだかんだあって戦いになったと書いてあったと思いますが、三人はこのようにであったのです。

次回予告としては次は、三人が約束したきっかけを書くか、もう少し日常を書くことになりそうです。

おそらくきっかけを書くでしょうが。

では今日はこの辺で。

また明日。

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