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第六十話 ライの苦悩と計略

こんばんわ、何とか終わりました。

ではお楽しみください。

 ガリアント平原の戦いは王国軍の勝利となった。


 イウルがライに負けた後、勢いを増した王国軍はそのまま猛攻にでた。その後ろから騎兵も止めといわんばかりに突撃したのだ。


 リューネリス軍の総指揮官であるエッジ王子も編成を終えていた騎兵を投入したがすでに遅かった。イウルよりも指揮能力は劣っていたらしく、すべて後手に回り形勢を逆転するのはもう無理だったのだ。


 そしてついにリューネリス軍の前線に綻びが生じ徐々に大きくなっていき最終的に崩壊した。


 その後総指揮官であるエッジ王子は少数の手勢を率いてどこかに逃げてしまう。


 ライはその報告を聞いても後を追従さえることは『表立って』はせずに、戦後処理に入る。


 といっても今回はエンリデンヌなどと違って町や砦を落としたわけではない。なのでやることといえば降伏したリューネリス軍の武装解体と捕虜の輸送、隊長級の処罰に追われる。


 もちろんリューネリス軍のほうにもランが組織した部隊、風影ふうえい隊により情報を集めてもらっている。隊長であるランは王女の護衛を担っていた。


 戦いが終わり二日後にライは一息ついて一人リエルがいる天幕に向かっていた。時刻は夜。今日は満月のようで黄色い月が夜空を照らしていた。


 もうすでに食事は終わっており、就寝の時間近くだ。こんなときに外を歩いているのはまだ仕事がある者か気晴らしをする者ぐらいだろう。


 ライ自身気晴らしをする意味でも歩いてはいるが一つだけ、イウルと戦った為起きた変化について相談するために、エミルのところに向かっているのだ。


 しばらく歩いて陣の中央にたどり着いたライの先にはまだ明かりがついているテントがあった。おそらくまだ起きているのだろう。


 外からライは中に声をかける。


 「リエル、少しいいか?」


 「な、なななな!ライか!?」


 問いかけると慌てたような声が聞こえてきた。何を慌てているのか分からないが、外から見える影から挙動不審になっているのは分かる。


 「そうだけど、もしかしてまたにしたほうがいいかな?」


 「い、いや。大丈夫だぞ、うん。ゴホンッ。それで、こんな時間に一体何しに来たのだ?」


 「ああ、っと用件を言う前に中に入れてくれないか?少しだけ聞かれたくない話だから」


 「なに!?」


 また中で慌てているエミル。今度は何かにぶつかったのかゴンッという音と悶えている様子がありありと分かった。


 「……本当に大丈夫か?」


 「大丈夫だ!問題ない!中に入るといい!今は私しかいないが後でユレイヌも戻ってくるからな!」


 「じゃあお邪魔して」


 そういって天幕の中に入るともうすぐ寝るつもりだったのか寝巻き姿だったようだ。


 ライはいつもと違う姿のエミルにドキリとしつつも平静を装い近くにあった椅子に座る。


 「そ、それで?一体こんな時間に何のようなのだ?」


 顔を少し赤くしてソワソワとしているエミルだが、気にせず早速ライは用件を切り出した。


 「あのさ……単刀直入に言うけどエミルとは昔にあったことがあるんだよな?」


 話の切り出し方からエミルが想像していたこととは違ったためにちょっとだけ、肩を落とすがすぐに自分の耳を疑った。目の前にいる青年は今もかわらずに話してくれているのだ。なのに、まるで自分とは昔に会った事をうろ覚えみたいに言ったのだ。


 エミルは少女の仮面ではなく王女の仮面をつけ瞳に知的な炎を灯す。


 「そうだライ。お前とは昔約半年だったが何年も一緒に暮らしたかのような濃密な思い出を作った。私にとってあの日々の一日一日をすぐにでも思い出せる」


 昔の思い出を目を閉じてエミルは思い出す。最初に出会ったときはティアとライの三人で喧嘩をして最悪な出会いだったが、あのことが切欠で仲良くなれたのだ。自分の立場上王女ということを隠さなければならなかったがエミルにとって初めて歳が近い友達ができたのだ。


 昔の思い出を思い出しながらそこで目を開け、ライの瞳を見る。

 

 「おそらくここに来たライの質問は、『一体どこで』会ったのかか?」


 エミルが考えを口にするとライは目を見開き驚いていた。


 「そうだけど、どうして分かったんだ?」


 「ばかもん。そんなの分かるわ。お前とはさっきも行ったが幼馴染なのだ。数年間の間が空いたとしても思考や考え方はわかる」


 「そんなに分かりやすい?」


 「安心するのだ。おぬしの考えていることがすぐにわかるのは同じところで一緒にすごしたティアとフィルぐらいであろう……今のところはな」


 エミルが最後の言葉を付け足したのは銀色の髪を持つ少女のことを思い出したからだ。出会った期間はそんなに多くないとしても、ある感情をもってライのことを見ていれば注意深くもなろう。エミルとしてはそんな人物が増えるのは面白くないが……ライ自身が抱えている問題を解決するためには多くの繋がりを持っていないと解決できないので複雑な気持ちでもあった。


 「そうか、自分の考えが誰にでもばれていると考えたら怖いからね」


 「お前の考えをすべて読める者がいたら恐ろしいわ」


 苦笑しながらエミルは言ったが、次には気を引き締めて話し始める。


 「お主は私に昔出会ったことがあるかを聞いてきた。その問いはそうだと答えることができる。だが、ならどこであってどうやったと言われればそれには、まだ待ってくれというしかない」


 「待ってくれってどうして?」


 「私の口だけから伝えるよりも他の人物が集まっているところで聞いたほうが確実だろう?」


 「確かにそうだけど」


 「だから、もう少し待て。この話はそうだな、リューネリスのことが解決して時間が取れたら話そう。もうすぐユレイヌも帰ってくることだしな」


 そう言われてライは何もいえなくなる。


 気になることは気にはなるが、話を聞いてすぐに納得できるかは分からない。ならば時間があったときに聞いたほうが効率がいい。


 そう考えてライは頷く椅子から腰を上げる。


 「ごめん、こんな遅くに尋ねちゃって」


 そういわれたエミルだが微笑を浮かべて


 「気にするな。たまには私を頼ってくれて良いんだからな?」


 「ははっ、わかったよ」


 二人が会話を切ったところで外から聞こえてくる声があった。


 「ただいま戻りました、来客中のようですが中に入ってもよろしいですか?」


 どうやらユレイヌのようだ中を伺うように声をかけてきたようだが二人は顔を見合わせると苦笑した。


 今戻ってきたにしてはタイミングが良すぎる。おそらくこちらの会話が終わるのを待ってくれたのだろう。会話が途切れたからこそ声をかけてきてくれたのだ。


 「俺はもう自分の天幕に戻るよ。また明日」


 「ああ、ライ。さっきの話は私から必要な人物に話をしておく。だからお前は軍師としての仕事と『後始末』をするのだ。ユレイヌが戻ってきたから問題ない。しっかりな」


 言葉を聴いてこの王女は自分が来たもう一つの内容について薄々感ずいていたようだ。ライは再び苦笑しながら頷く。


 「わかった。しっかりと後始末はするよ。ユレイヌさんエミルをお願いします」


 ちょうど中に入ってきたユレイヌにライが話しかけるとユレイヌは頷く。


 「わかりました。そちらも無理はなさらずお気をつけください」


 「ありがとうございます」


 最後にそういってライは天幕を出る。そしてエミルの天幕を後にしたのだった。


 天幕を出た後ライはエミルに言ったように自分の天幕には戻らず少し離れた場所に向かった。この陣には王女もいることから寝ずの番もおり外には出られない。だからライは人目が少ない森の手前あたりに腰を下ろし月を見上げながら語りかける。


 「それで状況はどうなってるの?」


 周りに人がいないのだから普通は返事が返ってくるはずもない。だがライの語りかけに返事をする声があった


 「現在リューネリスでは混乱が起きているようです。リューネリスにいる大商人と他の商人数人が支援していたのです。それをライ様の言われましたとおり、商人たちが誰であるか噂を流したところ関係ない商人や住人たちが不満感を露にし小さいながらも衝突がおきています」


 「意外だね。ランの風影隊に噂を流してもらえば失脚すると思ってたんだけど。支援していた部隊が負けてしまったんだから」

 

 姿は現さずランが持っている魔法道具 愚者の影人で影の中に潜みながら話しかけてきていた。


 リエルの天幕を出る際にユレイヌが戻ってきたから大丈夫だということと後始末というのは、護衛はユレイヌだけで大丈夫だ、そっちのことを片付けろと遠まわしに言っていたのだ。


 影に隠れながらランは話す。


 「どうやら商人たちは安全を選び逃げるのではなく、危険があってもリューネリスに残ることを選んだのでしょう。リューネリスの富は莫大ですからね。もしこちらが追求しても脅されて支援していたと言い逃れするのかと」


 「逃げないならそういうつもりなんだろうけど……こっちも舐められたもんだね。誰が支援してるなんて分からないとでも思ってるのかな?」


 「おそらく思っているのでしょう」


 「はぁ。まあいいや。裏は取れてる?」


 「それは安心してください。捕虜にした兵士の幹部が連絡手段と物資の隠し場所それとリューネリスで目撃者なども確保しました」

 

 「うーん、でもその目撃者も信用できるの?」


 「おそらくとしか……」


 「なら、風影隊の一人に支援した商人の内一番財力が小さい商人に連絡をとるようにして。それでその商人にこちらの味方につくのなら軽い処罰で済ます。だが断った場合はすべての財を没収してその後厳罰に処するつもりでいる。このことを他の商人に話してもその時点で厳罰は確定とする。もしこちらの指示に従う場合は連絡をよこすようにと」


 「わかりました。では一人最も移動が早い隊員を動かしましょう。ですがうまくいくでしょうか?」


 「絶対にいく。というか自分の富が捨てられなくて残ったんでしょ?ならちょっとした刑罰があったとしても、富が全部没収されずにリューネリスにもいられるなら味方する。あ、そうだ。最後にもし断った場合別の商人に話しかけることになるとも言って。そうすればすぐに決断するだろうしね」


 「なるほど、断ったらすべて失い頷いても刑罰が待っている。しかもここで断ったら他の商人に行かれる。商人とは通常損得を考える人種、自分が得をする内容を他に持っていかれると思わせることで追い込むと」


 「そうだよ」


 「ですがなんだか以外です。ライ様のことだから温情をかけずに徹底的に没収した後追放、あるいは死刑を命令されるかと思っておりました」


 「ん?温情をかけるつもりはないよ?」


 「え?ですがその商人に対して助けると」


 「こちらに寝返るなら命は助けるよ。でもよく考えてみて。すでに噂を流しているんだから反乱軍に手を貸したのはばれているんだ。支援した中には山賊や海賊がいる。そんな所から商品や注文したいと思う?」


 「……いいえ。少なくとも私は」


 「こちらに寝返って最初に財力が残ったとしても、あとは放っておけば没落するよ。他の商人に対しては支援をしていた者達の話を聞いて処罰する。それからどこまで処刑するか考える。総括者一人の意思なのか。他にも協力者がいたのかどのくらい関わっていたのかとかをね。中には本当に脅されている人もいるだろうけど、王家に弓引いた人物には基本例外以外は死んでもらう」


 そういうライを見てランは影の中にいて姿を隠しているにも関わらず身震いする。


 ガリアント平原に来る前スパイが忍び込みそのスパイを見下ろしていた瞳。


 すべてを冷たく見たものを凍りつかせどこまでも絶望しか感じられなくする瞳を今月に向かって、そしておそらくまだあったこともない商人たちに向かって向けているのだ。


 ランは体が震え声を出せないでいると、目を閉じて立ち上がる。


 「まあいいや。今後のことは商人に連絡をつけ次第だからさ。ランも頼むね?」


 「は、はい」


 思わず声が震えそうになるのを抑えながら返事をするラン。


 「ああ、それと例の集団がどこにいるか判明した?」


 「いいえ、一応どの方面に向かったのかはわかっているのですがうまく隠れているようで」


 「ならそれも随時報告して。じゃあ、今日はこれで終わろうか。俺も自分の天幕に今度こそ戻るよ。ランも警備をほどほどに体を休めるんだぞ?」


 「お気遣いありがとうございます」


 「ならお休み」


 「お休みなさいませ」


 そういってライは陣地の中に消えていくのだった。


 ランはしばらく落ち着くまでその場を動かずに、落ち着いてから風影隊の一人に命令するために移動した。


 この三日後、その風影隊の兵士はリューネリスにつく。それからライの策は上手くことが進んでいく。


 そして、それからさらに二日後ライたちは無事リューネリスに到着し都市に入っていくのであった。


 

いかがでしたでしょうか。

一応戦いは終わりリューネリスに無事入ってもらいました。

後二三はどういう内容か何とか想像つきます。

ですが、その後現在迷ってます。

以前行ったとおりここが分岐点で早く終わるか、それともまだ長くなるか展開しだいなのです。

それを考えながらやりますが、どうなっても最後までやるつもりなのでよろしくお願いします。

ではまた明日。

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