第五十九話 ガリアント平原の戦い 終結編
こんばんわ、遅くなって申し訳ない。
では本編をどうぞ
王国軍は各部隊の奮闘とリューネリス軍主力部隊隊長、山賊の頭エイブ、海賊の頭ビズを討ち取り、また王国軍所属リエル・シュリエルとリューネリス軍傭兵隊隊長ガーク・レンズの一騎打ちでガークが破れ、そのおり深手を負ったガークは部隊とともに撤退。
それにより左翼、右翼ともに王国兵の勢いは増し、逆に隊長や頭をやられたことにより海賊と山賊の部隊は烏合の衆と成り果てていた。
ここで現在リューネリス軍で機能する部隊は貴族が集めた約一万二千の私兵。私兵の被害は前線の左翼と右翼を海賊と山賊に任せていたために、中央を受け持っただけで被害としては戦線維持のための兵士たち、あと最初に投入した重歩兵隊のみであった。
後方にはまだ五千ほどの予備兵を保有している。
しかし、最初の数的有利はなくなり逆に不利になっていた。
傭兵、山賊、海賊がほぼ戦闘能力を失い騎兵も無効化され後方で再編成、中央でやられた重歩兵隊は壊滅。
もしこのままいけば敗色濃厚だろう。
リューネリス軍本陣では苦虫を噛むように顔をしかめるイウルの姿があった。
「……イウル軍師、どうやらこちらのほうが押されているようだが本当に大丈夫であろうな?ここで負ければ我が野望も潰えるのだぞ?」
イウルはその言葉を聴きつつ舌打ちを内でしながら返事を返す。
「確かに押されております。山賊と海賊の不甲斐なさと突然の傭兵隊の転進。それがなければ余裕で勝っておりました」
「言い訳はいい。問題はこれから勝てる策は持ち合わせているのかと聞きたいのだ」
「ご心配なく。まだ今ならば勝てます」
「ほう?ではその策を言ってみるがいい」
「見た限り両翼の主導権はとられたのは間違いありません。ですが中央は今だ敵主力がいない状態、ならば私自ら打ってでて蹴散らしてご覧に入れましょう」
「む?だがそれだけで現状を逆転できるとは思えぬが」
「両翼がいらないとは申しませんが、中央を突破すれば両翼を分断することもできます。そうすれば敵本陣への道が開かれるかもしれない。凡人ならば開かれても何もできないでしょう。しかし私ならばこの宝玉と愛剣 紅龍の剣を併用すれば勝てます」
「最初に使ったあれか。だが敵にもとめるほどの人物がいるだろう?」
「確かにいます。使用したのはおそらくライ・ジュリアールでしょう。ですがあいつはエミル王女の身を第一と考えるはず。乱戦になっている中に飛び込み私めが魔法を使用したとしても本陣にいるジュリアールに防ぐすべはないでしょう」
「ふむ、分かった。早速実行に移せ」
「はっ、ですが一つお願いがございます」
「願いだと?」
「私がいなくなった後の指揮をお願いしてもよろしいですか?おそらく相手にも騎兵はおりましょう。ならばこちらも備えをしなければなりません」
「ああ、分かった。引き受けよう」
エッジ王子はすぐに了承した。エッジ王子自身もイウルの持っている魔法の威力は目のあたりにしたのだ。イウルが戦場に行けば本当に勝てる可能性が出てくると思っているのだ。
でもイウルには別のことも考えていた。
自分が中央に行く以上負けるつもりはもちろんない。しかし、もし負けたときの保険を作ろうとしたのだ。
騎兵のことを言ったのもその理由。
今なら騎兵の動かし方で逆転の余地はあると思わせ、王子に指揮をさせる。そして王子が指揮した結果もし大敗した場合、責任の追及をエッジ王子に擦り付けられる。
仮に指揮したことにより自分に責任が来たとしても被害は少なくなる。
何も知らない奴めと思いながら頭を下げつつイウルはいいながら踵を返す。
「それでは、ご武運を」
そういって、イウルは中央の戦場に赴くのであった。
ガリアント平原での戦い、中央戦場で現在王国軍第一重歩兵隊はリューネリス軍相手に押していた。
「行くのだ!中央は戦場の要!ここを守りきり維持すれば勝てるぞ!」
第一重歩兵隊の隊長は気分を高揚させ指示をだし兵達の士気を上げる為に鼓舞をしている。
先ほど右翼と左翼から一際大きな歓声が上がっているのを聞いていたためおそらく敵部隊を壊滅または、隊長級を討ち取ったのだろう。
あとは中央の主導権を取られなければ勝利は揺ぎ無いだろう。
そう思っていた。
しかし、隊長は次の瞬間目の前でありえない光景を見てしまう。
いきなり少し前の所に赤く燃える龍が現れたのだ。
最初見間違いかと思ったが、その龍は上空に上がったと思うといきなり王国軍重歩兵隊のほうに飛んでくる。
龍が近づいてくるに従って重い鎧と相まって熱気が伝わってくる。
その光景を見て、隊長はある一種の諦めを感じていた。
おそらくあれは戦端が開かれる前に使われたリューネリス軍の魔法だろう。それならば防げるのは味方である軍師しかいないだろう。
だが軍師は今頃本陣にいる。防げるはずがない。
ならば、隊長が言うべきことは一つだった。
「あの龍が来る前に一人でも敵を道連れにするんだ!それが後方の味方の助けになる!全員行くぞ!」
今までずっと防御に徹していた重歩兵隊。だが敵の魔法攻撃によりはじめて攻勢に出る。
赤き龍が着弾するのはおそらく数瞬の時間もないはず
そしてついに赤き龍は中央の重歩兵隊に着弾する。
着弾した龍は衝撃波を発生させまわりに熱波を発生させていた。威力が凄まじいのか土ぼこりも上がりまわりはほぼ視界が見えない状態になっていた。
それに重歩兵隊隊長も巻き込まれていた。
しかし、予想していた熱を感じることはない。着ている装備のせいで熱さを感じてはいたが、それ以上の衝撃と何より意識を失っていなかったのだ。
なぜ?という思いを元に目の前を見るとそこには一人の青年が建っていた。重歩兵隊の正面に一人の青年。本陣にいるはずの人物が。
「大丈夫ですか?」
ライは後ろを見ながら倒れている人物に話しかけた。
話しかけられた兵士は呆けりながらも何度も頷いていた。
それを見てライは安心した。
おそらく両翼の主導権をとればおそらく敵は主導権が確実に確定していない中央戦場に現れると思っていた。その中で来るであろうは敵の最大戦力。最初に強大な魔法を放った人物のほかにない。
そして今赤い炎の龍を飛ばしてきたのを見てあの魔法を放ったのが誰か断定ができた。
「イウル伯爵」
ライが呟くと、呼ばれたイウル伯爵は中央に出てくる。
周りはイウル伯爵が放った炎の龍により中央に空間ができていた。
そんな中、前に出てきたイウル伯爵は赤い宝玉と剣を片手に持っていた。
「ライ・ジュリアール。またしても私の前に現れるのだな。何回邪魔をすれば気が済むというのだ?」
「さあね、確実にいえるのは王家に弓引くのならば何回でもといっておく」
「そうか、ならばお前を前にひざまずかせてみせる!決定戦の第三回戦だ!」
そういって、イウルは宝玉に意識を集中させて魔法を発現させる。発現させた魔法は先ほどと同じ炎の龍。
「くらえ!」
そしてイウルは龍をライに向けて飛ばした。対してライは白帝の宝玉の中の魔法、水帝の力を使い水龍を生み出す。
それを迫ってくる炎の龍に向かわせた。
お互いの龍は徐々に狭まり、二人の中央でついにぶつかる。
熱を持つ龍と冷たさを持つ龍がぶつかった結果はお互いの消滅、だが戦場にもたらせたのは二つの真逆の熱差により辺りに霧を発生させる。
視界が霧によりぼやけ始める中ライから仕掛けた。
仕掛けた魔法は土帝の魔法。地面から尖った岩を生成して五つ飛ばす。イウルの魔法は炎それならば防ぐ手段はないのではないかと思ったのだ。
しかし、イウルも負けない。何かが霧を書き分けて迫ってくるのを見てイウルは目の前に炎の壁を展開した。
飛んできた岩は炎の壁が高熱なのか突き抜ける前に勢いを失い地面に落ちてしまう。
「舐めるな!」
お返しというばかりにイウルは今度は炎の刃を飛ばしライに飛ばすのだ。
ライはその攻撃を白帝魔法を使用し壁を展開して防いだ。
ライはそこでどうやら遠距離戦は互角と考える。使える種類はこちらのほうが多くても、補助する媒介が自分には白帝のガントレッドしかない。
そしてガントレッドは防御にしかほぼ応用が利かない。攻撃には向かないのだ。
対してイウルは炎帝の宝玉を使い、剣も炎の魔法を使うため攻撃に特化した組み合わせになっている。
これでは遠距離戦をしていても戦闘が長引くだけだろう。
ならば
ライは水帝魔法を使用しあるものを生成して前に押し出す。
イウルはこちらの攻撃を音を聴き防がれたと感じ、次はどのようにして動くか警戒していた。魔法を放つには集中するための時間が必要だ。それは訓練することにより短くすることができるが相手のほうが早いと考え防御を選択したのだ。
霧が未だに立ち込めている中、目の前に人型の影が現れた。
「そこか!」
イウルは剣の魔法を使い炎の刃を飛ばす。
するとその炎の刃により目の前に現れた人影から液体が飛び散ったのが見えた。
「やったか!?」
だがそう思ったのも束の間、すぐに一つまた一つ影が現れる。
この隙に王国兵がやってきたのか!
「舐めるなよ雑兵が!」
イウルはライとの一騎打ちに水を刺されたと感じすぐに炎の刃を出し続ける。
するといくつもの影が液体を飛び散らせていく。
だがしばらくしてイウルは疑問を感じる。
なにか手ごたえがないような気がするのだ。
血飛沫があるので倒しているとは思う。
そう思いもしかしてと横を見たとき、やはり敵であるライがすでに接近していた。
ライが繰り出した剣をイウルは寸でのところで剣で受け止める。
受け止められたライは少し驚きつつも次には剣を持っている右手ではなく、何もない左手を伸ばし土を掴む。
そしてそのままイウルに投げつけ魔法を発動させる。
石や岩しか今まで操っていなかったが、砂もれっきとした小さい石だ。その砂に顔を貫通するように命じた。
突如砂を投げられ目を見張るイウル。このまま食らっても良いと思ったがあえて避けた。
これによりイウルは何とか死ぬことにはならない。
イウルは体勢が倒れてしまうが、それは砂を掛けてきたライも同じ。それならばと剣を横に振りながら炎の球を発現させ後方に飛ぶ。
至近距離のよる攻撃にライは体勢を崩しながらも横にとんだ。炎は地面にぶつかり地面を抉った。抉られた地面の場所には焦げたような痕が残る。
そして再び二人は距離を開けた。
「そんな簡単にはやられてくれないんだな」
ライは先ほど霧に乗じて水を人型にしてイウルに向けていたのだ。よって、先ほどイウルが相手に慰していたのは人ではなく水人形であった。
「お前みたいな平民に負けるわけないだろう」
イウルもなんとなく魔法でなにかしらをしているのと思っていたが、イウルは首を振り呼吸を整える。
「ふぅ、平民。以前俺はお前に攻撃しかけようとして防がれた。だが今回は絶対に俺が勝つ。」
そんなことを言われるがライは返事を返さない。イウルの話を聴きつつ相手が呼吸を整えているのを感じたからだ。おそらくこれから強力な一撃を放つと感じたのだ・
「だんまりなのだな。まあいい。ではいくぞ!」
イウルは剣を後ろに引き突きの構えを取る。そうしつつ魔法を展開させた。イウルの剣に炎が纏わり渦巻くように炎が発現した。
それに対してライも一度構えを解いて同じ構えを取る。ライのほうは炎と対となる水を纏わりつかせ敵の攻撃に負けないよう質を大きくしていく。
二つの熱気と冷気を浴びて近くで戦っている兵士達は近付けない。
この様子は遠くにいる本陣や右翼、左翼の端からも見えていた。ついに最終局面を迎えるのだと。
二つの魔法が高まっていき、宝玉の光も強く発行し太陽が出ているのにも関わらず光が中央の戦場を照らす。
「やああああ!」
「はあああああ!」
二つの剣が交差する。
水を纏う剣と炎を纏う剣。二つの剣は煙を上げ轟音を戦場に響かせる。甲高い音を鳴らし金属がぶつかっても出ない音がなる。
中央の戦場で多くの兵士達が戦っていたが、半分は攻撃をやめて二人の行方を見つめていた。
戦おうにも戦えない。あの近くに近づけば自分がやられるであろう。現に二人を中心に衝撃波が生まれているのだ。
しかし、どのような魔法でもいつかは威力がきれ弱まる。
そして決着はとてもあっけなく一瞬で決まる。
キィン!
戦場に甲高く金属音の音が鳴ったと思ったら次の瞬間炎と水が離散してしまったのだ。
そして頭上を飛ぶ一つのかけらがしばらくの滞空時間を得て地面に突き刺さる。
それは剣の刀身であり、紅龍の剣であった。
すでに魔法がきれイウルとライの視線が至近距離で交差する。
イウルは何かを言おうと口を開け掛けた。しかし、それは叶わない。
イウルの体に赤い筋ができたと同時に血が噴出す。血はライの体にも返り血として吹きかかり剣も汚していく。
あたりは静かだった。戦場とは思えない。遠くでは未だに戦っている音がする。しかしライたちの周りは戦うのをやめ声も出していない。
そんな中ライは息を整えて声高らかに宣言した。
「逆賊であるイウル・ダリアントを倒した!全軍攻勢に出るんだ!このまま一気に押し込めー!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」」
敵の軍師を倒し気勢を上げリューネリス軍は士気を下げる。
と同時に王国軍の後方から土ぼこりが見える。どうやらギルタはこの時を勝機とみて騎兵を両翼に突撃させたようだ。
ライはそれを確認して自分も中央に対して攻撃を開始する。後ろに兵士達も後に続けとライについていく。
ここにガリアント平原の決戦は決したのであった。
いかがでしたでしょうか。
なんだか最近忙しすぎて今回の話あまり満足いってない出来上がりになってしまいました……。
ですが一応話として決戦は終結しました。
これからの伏線はどうしようか迷ってます。
忙しくても更新はしていきますのでよろしくお願いします。
ではまた明日。




