表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/165

第五十二話 ガリアント平原到着

こんばんわ。どうもお待たせしました。五時に書き始めたの三時間掛かってしまい申し訳ない。

では前書きも少ないですが本編をお楽しみください。

 王都から出発してようやくガリアント平原に到着したライ達。


 途中色々とはあったが、無事に到着できることにとりあえず安堵していた。


 しかし、その安堵はすぐになくなってしまう。


 ライ達が到着し陣を構えて駐留している王国兵の状態を見てしまったからだ。


 表だって変化はない。到着した後、陣地内を移動しているときも訓練に励む兵士達の姿や、士気を下げないために声を張り上げるような騎士の声も聞こえていた。


 でもライにはそれがどうしても恐怖や不安を払拭するために空元気のようにしか見えない。現に訓練をしていない兵達や食事をしている兵達から大勢の兵達がいるというのに歓談がほとんどないのだ。それだけ不安が増幅し余裕がないということだろう。


 けど、それを払拭する為し士気をあげるためにライ達が来たのだ。


 士気が下がっているならばあげれば良いだけ。


 ライは護衛という意味で前に出てエミルの姿を意図的に隠していたつもりである。しかし、エミル自身が陣地の状況を見て姿を現すことが最善と考えライの前に出る。


 すると、周りから驚いた声が聞こえ始めた。ここは戦場。女兵士もいるにはいるがあのような豪華なドレスを着ている人物はいない。しかも近くにはメイド服を着た侍女もいる。なぜここに高貴な人物が?


 そう末端の兵士は考えていた。彼らは王国に所属していたが一万五千もの人がいれば新人兵士が王女の姿を見る機会がなかった兵士もでる。


 そして、この付近に集まっていた兵士達は近隣の貴族が勇士で差し向けた部隊であり、王女の顔を見たことはなかったのだ。


 でも全員が見たことがないというわけではなかった。


 兵士の中でも騎士と思われる一人の男が声を上げる。


 「あ、あれはまさかエミル王女様では!?」


 この声を聴いた兵士達は驚愕した。王族とはこのような戦場に普通出てくるものではない。出てくるとしたらよほどの事情がなければならない。


 兵士達のざわめきはどんどん広がっていき中には遠くにいる仲間に伝えに行った者もいたのだろう。陣地をしばらく進んでいると立派な甲冑を着た騎士だった。


 エミルはその騎士が走ってくるのを確認すると歩みを止めこちらに到着するのを待つ。


 そして、ようやく到着した騎士は息を切らせながら声を出す。


 「こ、これはエミル様、よ、ようこそおいでに」


 途切れ途切れに話す騎士に苦笑してエミルは話す。


 「そんなに慌てないでもよい。確かに時間は有限で私達にもあまり猶予はない。だがお主が息を整えるぐらいの時間ぐらいはあるのだ」


 

 よほど驚いて走ってきたのだろう。騎士という役職は体力がなくてはやってはいけない。そんな騎士が息を切らしているということは全力できたか。あるいは戦闘ではなくライのように頭を使う役職かのどちらかだ。


 ようやく息を整えられた騎士は顔を引き締めてお辞儀をしながら挨拶をする。


 「先ほどはお見苦しいところを見せてしまい申し訳ありませんでした。改めて、ようこそおいでになりましたエミル王女様。私はこの第二師団総指揮官、ダンド将軍から命を受け副将軍を務めますギルタ・シホーダルと申します。現在は代行を務めております」


 先ほどの息を切らしていた人物同一人物かと疑いたくなるぐらいの変わりようだ。


 でもそのことを表情にまったく出さずエミルは返事を返す。


 「うむ、それでギルタ副将軍。早速だが私がここに来た意味は理解しておろうな?」


 「もちろんでございます。王族の方々が前線に来るときの意味。それは決して負けられない戦い。強いてはこの国の将来にかかわる大事のみ。エミル様がここに来られたということはそういう意味なのでしょう」


 ギルタ副将軍の返事を後ろで聞いてライはこの人は伊達に副将軍を任されていないんだなと感じた。エミルの言葉に対してすぐさまに回答を用意し返答したのだ。しかも、おそらくエミルが来たことによる効果も考えているはず。


 ギルタの返事に満足してエミルは頷き周りに聞こえるように言った。すでに騒ぎを聞きつけて周りには大量の兵士達が押し寄せている。


 「そなたの言う通りこの戦いは決して負けられぬもの。故に私はここに来た。兵士の諸君はすでに聞き及んでいるだろうがリューネリスから約二万の兵がこちらに進軍していると聞いただろう」


 この言葉を聴いて少しだけ空気が重くなる。こちらの兵数は一万五千。王女が率いてきた兵数を見てもおそらく三千もいない。兵数的にまだ劣っていることが分かったからだ。


 エミルは兵士達の視線を見て、次に一度だけ後ろにいたライの顔を見る。


 なぜここでライはエミルがこちらを見たのか分からなかった。


 でもこちらを見たエミルは口を吊り上げて笑みを浮かべていた。だけどその笑みは決して嫌な予感しか思わせない種類のものに思え、変なことを口走るなよ!と心で思うライしかし


 「だが安心するがいい!私達の兵力を足しても二万には届かないだろう!だがここには兵数の不利をものともせずに覆すことのできる王国の頭脳がおるのだ!」


 高らかに言うエミルはこう言ってはなんだが活き活きしている。


 「みなも知っておろう!約一年前に王国全土に出されたゲームのことを!そして、ここにいるライ・ジュリアール軍師こそその最優秀者に他ならない!しかも、先日北で起きたグリム伯爵の反乱を敵六千の兵力を三分の一である二千で打ち破り、ローレンス砦の戦いでも勝利を収めている!かのものは全戦全勝の賢人ぞ!そして、私もできる限りのことをしよう!」


 ここに集まりエミルの話を聴いているほぼ全員が無言でエミルや名前を出されたライと後ろに控える人物達を見ていた。


 兵士達も行軍途中や立ち寄った町付近、物資を運んできた商人や兵士達に聞いていた。北で少数の敵をものともせずに勝利している者の名前を。逆に少数の敵で難攻不落に近いといわれていたローレンス砦を落とした話を。不思議な力を使い時には弓矢から守ってくれ水を飛ばし前線で戦う者の名前を。


 視線がライたちに向いたことによりエミルは話を続けた。


 「そのような全戦全勝の賢人がついていて負けようがあろうか!いいや、あるはずがない!相手の兵数が多くてもあやつらの兵力は海賊や山賊というならず者も多いと聞く!そんな烏合の衆にお主らは劣るというのか?国を、民を守るためにしのぎを削り鍛えてきた剣は劣ると!断じてないだろう!兵士達の諸君!逆に考えるのだ!ならず者が徒党を組んだということは悪を一度に滅ぼす機会であると!この戦に勝つことで平和に近づくのだと!それともこれは私の、小娘の戯言と思うか?それならばすぐに言うがいい!誰からの言葉でも受けてたとうではないか!」


 一気に話始めたエミルだったが、すべてを言い切ると広場は再び静寂が包む。今までエミルの姿を見たこともない者も。


 しかし、その静寂もすぐに一つの声に打ち破られる。


 声の発生源はギルタ副将軍であった。


 「エミル様が言ったとおりだ!こちらには全戦全勝の軍師がついてしかも王族のエミル様がついている!敵の兵数が多い?そんなもの一人が二人の敵をほふればいいだけだ!それともお前達は今まで磨いてきた剣の腕にも自信がないというのか!悪逆非道の山賊や海賊にすら勝てないとでも言うのか!」


 ギルタ副将軍は声を裂けんばかりの声量で言うと


 「……う」


 と一人が声が聞こえた。そして次の瞬間


 「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」


 何十、何百、何千という声が陣に響き渡る。中心にいるライ達は地鳴りがするほどの雄たけびに似た声と声量に最初訪れた時はなかった熱量と覇気をしっかりと感じ取る。周りの兵士から聞こえる声もあり「やってやろうじゃねえか!」「数がなんだ!量より質って奴を思い知らせてやるぜ!」などの声も聞こえていた。


 士気が見るだけで上がったのを確認するとエミルは満足そうに頷いて言う。


 「私も全力で戦うことを誓おう!共に戦おうではないか!」


 再び大きくなる声量。この中でどれだけの人がエミルの声を聴けただろうか。でもそれはあまり関係ないのかもしれない。聞こえていた兵士がまた声量を上げそれが伝達して士気がまた上がったのだから。


 その状態の中ギルタ副将軍がエミルに近づいてくる。


 「エミル様、今後のことを含め天幕で話し会いたいと思いますのでご足労お願いします。後ろにいるライ軍師とそのほかの主要な方々もお越しください。兵の方々はテントなどの物資を支給いたしますので」


 「わかった、案内をよろしく頼む」


 エミルがギルタの言葉に頷くとライ達も前の様子を見ながら案内されるのだなと察する。


 エミル達が奥に進み姿が見えなくなるまで後ろの歓声は収まることはなかったのだった。


 その後天幕に案内されたライ達はギルタ副将軍が他の隊長に召集をかけている間暇になっていた。


 だからライはエミルに言った。


 「エミル……ああいうことはもう少し早めに言ってくれない?」


 ライが言っているのはいくら士気をあげるためとはいえ突如ライのことを持ち上げたことだ。


 「ん?何か問題があったのか?私らが来た目的の一つは士気をあげること。無事に士気をあげることに成功したではないか」


 「だからって準備もなく言われても」


 「何を言っているんだ。遅かれ早かれ噂は広まっていただろう。私が言ったことは全部事実なのだから。まあ、ほとんどの兵士が知っていたことには驚いたが」


 エミルが言っていることはライがエンリデンヌの出来事を知るにも早すぎるということを言っていた。エミルとしては事実を今告げて強力な味方がいると思わせるつもりだったのだ。


 だけどあの反応は強力な味方が訪れたという反応。おそらくすでに知っていたと考えている。


 確かにエミルが驚くのも仕方がない。エンリデンヌの戦いなどは第二師団が出発した後に起きた出来事で伝わるのには相当な時間が掛かるからだ。


 このことは実はフィルの政策が功を奏していた形になる。ローレンス砦を攻め落としたときに捕虜を砦から解放しライ達のことを宣伝するようにしたフィルだったが、解放された兵士達は反乱を起した自分達をお咎めなしで解放したことに恩義を感じていた。


 なので指示通りに噂を流した結果、話を聴いた商人がこの陣地にもたらせたのだった。


 ライはエミルの話を聴いてため息をつきながらこれ以上は何も言わなかった。確かに士気は上がったのだ。間違いはなかった。


 押し黙ったのを確認してエミルは安心した。


 ライに確かに言ったことは事実だ。士気を上げるためにライの名前を出すのは効果的だった。


 しかし、最初は出すつもりはなかった。名前を出すことで士気は上がってもライが注目を浴びる分危険が迫るからだ。


 ならなぜ名前を出したのか。


 それは女子会という名目の会議で言われた記憶の改変を直すこと。


 エスティアに後で聞いたのだがよく思えば改変といっても相手がどこを改変されているのか分からないと、思い出しようがないのではないかと聞いたのだ。すると


 「確かにそうね。どこが変わってしまったのか分からなければ修正のしようがない。ならそれを自覚させればいいのよ。改変しても経験は残っているのだから。リエル貴方なら心辺りあるんじゃないかしら?」


 この時話を振られたリエルはピクッと反応していたがどうやら心あたりはあるらしいかった。


 「だから、貴方達は『すでに』気がついているのとは別の記憶を探るために同じような状況を作ってあげなさい」


 そういわれたのだ。


 だからエミルはゲームの優勝者のときに受けたであろう歓声を再現するために今回ライの名前を出した。


 しかし、見る限り思い出すことはなかったようだ。名前を出されて困ったような表情だけであり実際はどうなのかわからない。


 でも、いつかは見つけて原因を取れるように、孤児院のことも思い出すために努力を続けていこうと決意している。


 そんな決意を新たにしているときにギルタ副将軍が各隊長を連れて天幕に戻ってきた。


 記憶を呼び戻すのも大事だがこのこともさっさと終わらせないといけないなと考える。


 そして、ガリアント平原での決戦に備えるべくエミルやライ達は第二師団副将軍ギルタと各隊長を交え作戦会議を始めたのであった。


 


 


 

 


 


 

いかがでしたでしょうか。今回はライの役割になる士気向上を今まであまり見せ場がなかったエミルにやっていただきました。

自分的にはうまく士気を上げるために言った口上を考えられたとは思いますが、どうでしょう?

さて、いきなりですが次回予告です。

次回は最後に描写していたように作戦会議が始まります。よって戦いはこの次の次ですね。流れ的には。なので、戦闘前の雰囲気を楽しんでいただければと思います!

あと、もう一つ次回予告ではないですが質問を書きます。

活動報告でも書いていたのですがリエルの番外編を作りました。ですが他の女の子の番外編も必要でしょうか?フィルなら過去の孤児院のときとローレンス砦であった話。エミルならば孤児院に行くきっかけと、ライに出会った話。ティアならば孤児院で出会ったときとライと分かれた後の話。そして再び出会ってからの感情の推移。

と考えております。

普通の感想もお待ちしておりますが、要望がありましたら仰ってください。では、このへんで。また明日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ