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第四十七話 城下町デート2 ?

こんにちは!今日もどうにか投稿をできました。良かったです!

いや、本当にデートプランを考えるのは難しいです。

っと、この先はぽろっとネタバレしそうなのであとがきで。

それでは本編をお楽しみください!

 ライが王都に帰還してから翌日。


 現在王都中央広場にある噴水の場所にライは立っていた。


 太陽は中央より少し傾いたぐらいだろうか。空を見ると燦々と輝きそれを遮る雲はまったく存在しない 、文句の付け所がないくらいの快晴だった。


 広場の周りは活気がある声が飛び交い、人々の関心を引こうと露天商などが呼び込みを行い、道行く人たちは自分がするべきことがあるのか早足に過ぎ去っていく。


 待っている間に何組かのカップルも散見でき馬車も目の前を抜けていった。


 人々は晴れであることを喜んでさえいるのだろう。


 ……少なくとも自分以外は。


 そう言っても別に晴れであることが嫌いであるわけではない。どちらかというと、雨と晴れで言えば晴れのほうが好きだ。


 だけど、今日に限ってだけは雨であってほしかった。周りの人たちには悪いが大雨を望んでいた。でも、やはり都合は上手くいかない。


 ここまでライが雨を望んでいた理由は昨日ユレイヌが言った言葉が原因だ。


 突然


 「一日デートをする権利を使わせていただきます」


 などと言い始め驚いたり、動揺したり、声を張り上げたりと騒がしくなった。


 騒ぐティア、エミル、フィルはユレイヌに何かを言おうとしたが、その後に続く


 「ただし、一日デーというのを私の自由に分けてもかまいませんよね?」


 という言葉で全員が(ライ以外)押し黙る。


 ユレイヌ曰く、例えば三刻(六時間)のデート時間の権利を持っていたとしてそれを自由に、例えば他の人に半刻(一時間)ずつ分けてもそれはユレイヌの自由であり、権利であるといったのである。


 ただ、ここにライの意思が全然ないことに抗議しようとしたら


 「前にも申しましたとおりライ様には発言権はありませんよ?それとも、女性とデートするのがそんなにお嫌いなんですか?」


 といわれライも黙ってしまった。


 上記のようなことがあったあと、それからは女性陣が集まり詳細を話し合っていたようだ。


 デート時間は昼から夕方までの間にそれぞれ約一刻の間にそれぞれユレイヌさん、ティア、フィル、エミルという順番でデートすることになる。


 そして現在一番最初の順番であるユレイヌさんと待ち合わせをしているところだ。


 まあ、以前ティアとはデートの約束をしていた。リエルともしていたけど……リエルにはまた埋め合わせをしないとな。フィルも乗り気だったし、エミルと久しぶりに話せるのは正直うれしい。


 ただ、この中で一番意外と言うべきか、デートに組み込んできたユレイヌさんにびっくりした。


 確かにユレイヌさんもエミルたちとは違いお姉さんという感じで、とても美人である。だけど自分とデートをして楽しいのだろうかと思ってしまったのだ。


 そうやって考えているといきなり声をかけられる。


 「お待たせしました。先に到着されていたんですね?」


 後ろから聞こえることはユレイヌさんの声だ。


 「いいえ、別にあまり待っていませんか」


 とここで、言葉をとめる。


 後ろを振り向いて最初に目に入ってきた光景。それは、どこかの令嬢かと見間違えるほどの女性がいた。


 黒髪を束ねて白い帽子をかぶり、服装もとてもお洒落をしているのが分かる。


 そんな人物がこちらを見て、口元に手を当てて笑っていた。


 「どうしたましたか?もしかして見とれておいででも?」


 からかうように言ってくる女性。その声を聴いてようやくやはり目の前の女性はユレイヌなんだなと認識する。


 「い、いや。どこかの令嬢がきたのかと思って、正直見とれてた。いつものメイド服じゃないし、髪も下ろした姿しか見てなかったから……」


 何も考えずに素直に答えるとユレイヌも意表を突かれたように驚き、少しだけ頬を赤くする。


 「あ、えっと。それはもちろんこれはデートなのですから。私もお洒落をします。それに私も女なのですよ?服装もこういう時くらいは着たいものもあるんです」


 ユレイヌは動揺したことを悟られぬように、余裕であるように見せてライに言った。


 そう言われて、ライも確かにメイドならば私服を着る機会はあまりないのかとも思いつつ、無言になってしまう。


 そのまま二人が立っていると周りの視線に気がつく。


 ユレイヌも周りに気がついたのか見渡してみると、結構な人数が微笑ましそうに暖かい視線を向けていた。中にはライに向けて鋭い視線を送っていたものもいたが。


 なんだか二人も居心地が悪くなりライは提案する。


 「そ、そういえばもうすぐお昼ですね。どこかに行きませんか?」


 「は、はい。そうですね。ではどこかで軽く昼食をとりましょうか」


 そういって二人は歩き始める。ライにとって長い一日であり、一人目のデートが開始した。


 まずライ達が向かったのは以前、エミルたちと町を歩いたときに寄った飲食店『豊潤森林』だ。ここは昼は定食などの料理を、夜は酒場になるという珍しい飲食店。でも、味はしっかりしたものでライもここの料理は好きだ。


 二人は席に着きそれぞれの料理をウェイトレスに言うと、話し始める。


 「ライ様、それで話しておきたことがあるんですが」


 「どうしたんですか?改まって」


 「貴方様についての注意と申しますか、忠告でございます」


 メイド服を着ていないのに様付けをつけられて違和感がすごかったが、表情は真剣そのものでライも真剣に聞く姿勢をする。


 「忠告ですか。分かりました、それで内容は?」


 「ライ様はご自分の立ち位置を再確認していただきたいのです」

 

 「ん?自分の立場は理解しているけど」


 「いいえ、理解されておりません。理解されていたら今回のように何人もの人々を心配して、動揺をさせるような無茶をされないはずです」


 「その話ですか」


 ライとしてはそのことに関して何回もティア達に似たようなことを言われた。無茶をするな、心配させるな、もっと自分を大切にしろと。


 自分としては自分ががんばることで無茶をしてでもやれば、救われる人がいるならやるんじゃないかと思っていたのだが、それはいけないのだろうかと言われるたびに思っていた。


 そして、再び同じことを言われるのかと考えていたのだ。


 「……もしや、またこの話とか考えられておられませんか?」


 こちらの表情に出ていたのか、考えていたことをいい当てられ動揺する。


 動揺したことを見てユレイヌはため息をついた。


 

「はぁ、ライ様。失礼を承知で言いますがこれは貴方様が心配で言うのもありますけど、このままでは破滅するので言うのです」


 破滅という物騒な単語が出てライは驚きつつ話に耳を傾ける。


 「破滅?」


 「はい、例えばですがライ様が兵士だったとして完全無欠な指揮官がいたとしてどうおもいますか?」


 「どう思うかといえば頼もしい?」


 「そう感じますよね。ですがその指揮官がもし倒れてしまったらどう思います?」


 「それは……」


 ライは考える。今まで頼もしいと思っていた指揮官が倒れたら動揺し逃げ出すかもしれない。完全で無敵な指揮官が倒れたのだから。


 「今ライ様が考えたとおり、倒れたら率いられている部隊は壊滅する可能性はあります。では、次に仮にですが完全無欠の指揮官が倒れずに勝ち進んでいたとしましょう。戦で連戦連勝です。そして、次も戦が起こった場合、どんな困難な場合でも指揮を任されるでしょう。勝率が高いのですから」


 「だろうね」


 「でも、もしその指揮官が実は完全無欠ではなく、必死にあがいた普通の指揮官だったらどうでしょう。必死にあがいた結果連戦連勝していただけであって、しかも兵士達は完全無欠な指揮官と思っていても、本当の指揮官は実は無理をして自分も省みない人物だと周りにいる友人達は知っていたとしたら」


 「……」


 そう言われてライは考える。もし自分がユレイヌが言ったとおり、その指揮官の周りにいる友人達というのは自分だったら手助けしつつ心配するだろう。下手したら危険な場所から遠ざけるかもしれない。苦しんでいたり、逃げたくても逃げれない状況に追い込まれていたのなら、逃がすために動くかもしれない。


 ここまで考えてなんとなくライはユレイヌが言いたいことが分かった。


 今までライは軍師になってから、一度も負けたことがない。ずっと勝ってきたのだ。文字通り連戦連勝。兵士から見たら先ほどライが考えたとおり頼もしく思われているのかもしれない。


 でも、ライ自身としては自分を完全無欠など思っていないし、ティアやリエルたちが自分のことをそうは思っていないと思う。


 多分、ユレイヌは仮にといいつつ今の状況を俺に伝えるためにたとえ話として伝えたのだ。


 このまま、自分が無茶すれば重圧につぶれるかもしれないぞと、周りにも助けを求めてもっと自分のことも大切にしろと。


 ライの表情を見てユレイヌはこちらが伝えたいことが伝わりもう大丈夫だと判断して、微笑む。


 「そろそろ料理が来るころですね」


 そういって明るい声を出して話題を変えようとしユレイヌ、だがライは話が変わる前に言う。


 「ユレイヌさんありがとう」


 ライがお礼を言うと、ユレイヌは。


 「どういたしまして。では感謝されたところで、貸し一つということにしておきましょう」


 「え,貸し一つですか」


 「もちろんです、嫌とはいいませんよね?」


 ニコニコと笑うユレイヌさんに否定などできなかった。


 「お手柔らかに」


 「考えておきますね」


 そういって、それからは本題は終わり他愛のない話で盛り上がってり、予定の時間が来るまでずっと、豊穣森林で会話を楽しむのだった。周りから見た二人はカップルに見え暖かい視線でみな見守っていたのだった。


 そして、約束の時間一刻が来て、食堂『豊穣森林』で別れライは急いで中央広場に戻る。


 次のデート相手に出会うためだ。


 中央広場に戻ったライの視界には一人すでに待っていた人物を発見することができた。


 赤い髪と赤い瞳が特徴が遠くからでも見え、太陽のおかげか燃えているように綺麗な赤色の髪をなびかせつつ、一人周囲から良い意味で浮いている女性がいる。


 あれは間違いなくティアであった。


 でもユレイヌとは違い私服を着るわけではなくいつもどおりの格好をしている。てっきり私服で来ると思っていたが、違ったらしい。


 周りの人たちから浮いているティアは注目を集めているが、ライの姿を見ると気にすることなくこちらに手を振ってきた。


 「ライー!遅いよー!」


 元気よく手を振っているティアに苦笑しつつ、ライは歩いていき挨拶をする。


 「よう、お待たせ」


 「まったくだよ!待ったんだよ!」


 「って、そうなのか?あまり時間を過ぎたつもりはないんだけど」


 「まあ、そうなんだけど少しでも遅れたらダメかな?」


 「いや疑問形で帰すなよ」


 「それよりも!早速行こう!」


 そういって、ティアはライの手をとって前を歩き出す。ライも手をとられながら後を突いていくのであった。


 しばらく手をつなぎながら歩き広場をブラブラしていたティアとライ。どこか目的地があるのかと思い静かにしていたが、先ほどから「ほら!あそこに猫がいるよ!」「あ!あのかわいいー」と、言いつつもどこに落ち着こうともしない。


 なので、ライから質問することにした。


 「なあ、どこか行きたいとこってあるのか?」


 「ん?別にないよ?」


 「いや、でもデートなのにそれで良いのか?」


 「うん、いいんだよ。私はこれでも楽しいんだけど……ライは退屈?」


 「別にそんなことないが」


 「なら問題ないよ。あ、あれ綺麗!ライちょっと見ていこうよ!」


 そういって、手を引っ張ってくるティア。その様子を見て、確かにこれはこれでティアの楽しそうな笑顔を見ることができこちらとしても得だなと思い、限られた時間を命一杯楽しもうと思い始めていた。


 「ほら、はーやーくー!」


 「はいはい、ちゃんといくからそんなに引っ張るなって」


 引っ張られるままにティアについていくとそこは、周りにならぶ一つの露天商の一角。


 床の布の上におかれているものは売り物であるアクセサリーの数々。アクセサリーといっても魔法のような特別な能力はなさそうで、完全な装飾品と作られたものだろう。


 そんな中、ティアの視線はひとつの髪飾りに釘づけになっている。


 一体どういうものか気になり覗いてみると、そのブローチはティアと同じような髪の色をしており、真っ赤に光る宝石が埋め込まれたものだ。


 日の光を浴びて反射し、輝く赤色のブローチ。もしこれをつけたらティアに似合うかもしれないな。


 そう考えてライは露天商の売主に声をかけた。


 「すみません、このブローチは一体いくらですか?」


 声をかけられた露天商の売主は


 「これは金二枚だよ」


 と言ってくる。それに困ったような顔をするライ。


 一応村で稼いだお金と、軍師になった時に自由に使えるお金は結構もらえていた。また、今回の遠征でも功績を認められ新しく褒賞をもらえるらしい。


 だけど、褒賞をもらえるのは先の話で明日、明後日ではもらえない。しかも現在戦争になるかもしれないのだ。最悪褒賞の話もなくなるかもしれない。


 だからこんな所で大量のお金を使うことにも抵抗があった。


 ライがブローチを買おうとしたことを気にしたんだろう。


 「ライ、別に私は欲しいわけじゃないよ?ただ見ていただけだから」


 興味がないとティアは笑いながら言ってくる。


 でもライにとっては逆効果であった。ティアはその笑顔を見て決心した。


 「これください。金貨二枚ですよね?」


 そういって懐からお金を取り出すと、露天商の売主は受け取り真っ赤に燃えるブローチを渡してくれた。


 受け取ったライはそれをすぐにティアに渡す。


 「はい、プレゼント」


 「え、いや、でも」


 「そんなこと言わずにさ。もうお金を支払ったんだし今更返品することはできないからね。それともいらないの?」


 「いらないというかなんというか」


 いつまでたっても煮え切れない態度をとるティアを見てライは一つ意地悪をしてやることにした。


 「あー、そこまで欲しくないんだったらしょうがない。誰かにあげちゃおうかな」


 顔を背けながら言いチラリとティアを見ると、悲しそうなまるで捨てられた子犬を連想しそうな表情でこちらを見ていた。


 まさか冗談を少しだけ言っただけなのに、こんな表情をされると思っていなかったらライは慌てていう。


 「う、嘘だって!ほら、お前のために買ったんだから早く受け取れって!」


 そういって、差し出すとティアは先ほどの迷いが嘘のように手を伸ばし、炎のように赤く輝くブローチを両手で包み込み、まるで大切な宝物のように握りしめていた。


 そして、顔を上げると。


 「ありがとうライ!」


 そういって、ライに抱きついてくる。


 場所は露天商の一角だがもちろん多くの人がいる。そんな中抱き合っている男女が二人いれば、目立つのは当たり前だ。


 「ティア!ちょ、抱き着くなって!」


 「やだ!今はこうしたい気分なの♪」


  この後ずっとティアはブローチを何度も見つめ、顔をにやけさせ時間がくるまで終始、上機嫌であった。


 それから半刻が過ぎティアと別れた後、ライは急いで噴水広場に戻ってきていた。広場付近で店を開いている店主たちはまた戻ってきたのかと、不思議そうにしていたがすぐに呼び込みなどに向かっていった。


 そんな視線を感じずつライは周りを見渡すと、広場に一人ぽつんと立っている人物がいた。でも、周りに人がいるせいか近くを人が通るだけでビクビクしていて、なんだか親とはぐれた小動物を見ているようだった。


 だからだろうか、ライを見つけた小動物、もといフィルは目を輝かせ親を見つけたような反応を見せとてとてとこちらに走ってきた。


 「ごめん、またせたか?」


 「いいえ、私も今来たところです」


 本当は、結構待っていたりしているのだがフィルは気を遣いそういった。


 ライは多分今来たというのは嘘だなというのに気が付いていたが、あえて指摘はせずに頷き手を差し出した。


 「なら、さっそく行こうか」


 出された手を見てフィルは驚き、どうしようかと何度もライの顔と出された手を往復していたが、やがて顔を俯かせ赤くなった顔を見られないようにしながら、ちょこんと遠慮がちにライの手を取る。


 ライの三人目のデートの時間は始まった。


 三回目のデートになるとライはどうするべきか考えていた。


 昼食には遅い時間だから飲食店に入るものなとおもう。だけど、だからと言ってブラブラと散策したとしても、体力がなさそうなフィルには疲れるだけかもなと思う。


 「フィル、どこか行きたいところはないのか?」


 今まで俯いていたフィルはおずおずまだ少し赤い顔をあげて言ってくる。


 「な、なら、私行きたいと思っているところがあるんです」


 そういわれ、行く場所の方針は決まったのであった。


 それからしばらく歩いて、ライとフィルは二人、今大量の本に囲まれることになった。


 その状況に先ほどまで俯いていたはずのフィルは元気を取り戻し、すごく元気になっていた。たくさんの本があることに感動し興奮している。


 「うわぁ!あんなにも本がありますよ!あそこにも、ここにも!どれから読もう!あれがいいかな、でもあっちも気になるし」


 今のフィルはなんだか大量の玩具を目の前に置かれた子供みたいであった。


 フィルの見ていたライは苦笑し、フィルの頭にぽんと手を乗っける。


 「そう慌てるなって。本は逃げたりしないし、明日来たとしても見れるさ。ここは図書館なんだからさ」


 そう、フィルが行きたと言ったのは以外にも図書館であった。デートでまさか図書館に来るとは考えもしなかったのだ。


 まあ、そこがなんだかフィルらしくと微笑ましいのだが。


 興奮するフィルに注意をすると、顔をあげて何かを言おうとした。


 しかし、どうしたことか見る見るうちに萎れていきテンションが下がっていく。


 「ん、どうしたんだ?」


 「……せっかくのデートなのにここにきて、お兄ちゃんは楽しくないだろうなと思って」


 ああ、やっぱりフィルも一応はここがデートの場所に無理があるとは思っていたのかもしれない。だけど、今回はフィルを悲しませることではなく楽しませることが目的だ。


 ライは笑いかけながら話す。


 「別にいいさ、一般的にデートって男女二人がいれば成立する。だから、場所がどこだろうと二人がいればそこがデートなんだよ。俺も次の時間まで付き合うからさ」


 どうやら少しは、元気を取り戻し再び周りの本に興奮する、フィル。


 その姿を見て、普段の姿は頭が切れる人物と見えるけど、年相応の少女なんだなと思ってしまった。


 駆け出して本を一つ一つ触り、それだけで喜んでいるフィルを見て、ライの心は温かくなっていくのだった。


 その後時間一杯まで図書館で過ごし、時間が来てもまだ図書館にいるといって申し訳なさそうにしていたフィルと別れて、噴水広場に戻っていく。


 だが図書館との距離を考えていなかったライは急いで噴水広場に戻り、たどりついたときライは噴水広場で騒ぎが起こっていることに気が付く。

 

 噴水広場の中心部分を避けるように人々が集まっているようだ。問題の騒ぎはどうやら中心部分であるらしい。


 それを見てライは嫌な予感がした。次のデートの時間は丁度今ぐらいだ、だからエミルがいないはずがない。


 焦りを覚えつつ周りを囲む野次馬をかき分けてなんとか内側に来るとやはりというか、なんというか騒ぎの中心には場違いな服を着たエミルがいた。どうやら、騒ぎの原因は中心にいたエミルに複数の男たちが話しかけナンパをしているらしい。


 それをエミルは断っていたみたいだが、エミルを強引に連れて行こうとしたところを手で払いのけ、騒ぎになりそうなところに丁度ライが来たのだった。


 それを見て、ライはすぐに両者の間を遮るように立つ。


 相手はどうやら知らないらしいが国の王女にけがでもさせたら死罪は免れまい。まあ、それなら別にいいが、このまま傷をつけさせるのは嫌だし、知らない男に連れて行かれるのにライは我慢ならなかったのだ。


 エミルの目の前に飛び出したライは、エミルに遅いといわれるかなと考えていたが次に言われた言葉は


 「ご主人様!」


 という言葉であった。


 は?


 心の中で呆然とするライ。


 確かに、今のエミルの格好を見れば言葉はおかしくはない。エミルの格好はなぜかメイド服を着ているのだ。

 

 だけどまさか王女にご主人様と言われるとは思わなかったし、あんな弾んだ声で呼ばれるとは思わなかったのだ。


 エミルの声に戸惑っていたライ。だが、どうやら戸惑ったライを一人で出てきたが怖気づいたと勘違いしたらしい。数の優位があるのも原因でいきなり先頭にいた男はライの胸ぐらをつかんできた。


 「おい、ご主人様とやら。痛い目を見たくなかったらすぐにそこにいるメイドを置いて回れ右をしやがれ、今日から俺たちがお前に代わってご主人さまになって可愛がってやるんだからよ?」


 そういうと、周りにいる男たちもゲラゲラと下品な笑い声をあげた。


 しかし


 「ガハァ!?」


 胸ぐらをつかんでいたはずの男は突如逆さまになり、地面に頭を打ち付けていたのだ。


 突如の現象に静まる野次馬。


 ただ一人、後ろにいるエミルだけが不敵に微笑んでいた。


 そんな中ライが低い声で、男たちの方を見ながら殺気を放つ。


 「お前ら、無事に帰れると思うなよ?」


 ここでようやく男たちは気がついたのだ。決して怒らせていけない何かの逆鱗に触れたのだと。周りにいた野次馬も動くことができず、涙を流す人もいて緊張していた。


 ライはガントレッドをつけていないので持ち歩いている宝玉の力を使い、痛めつけようとして、


 「私は大丈夫ですから落ち着いてください!」


 そういって、後ろからメイド服姿のエミルが抱き着いてきた。


 周りから見れば逆鱗に触れたライが人を殺すとまで想像したはず。でも、エミルが言った途端に、背筋が凍るような空気はすぐになくなり、空気が弛緩したようで周りにいた住民が思ったのは助かったという思いであった。


 「……いいのか?」


 「はい、私は大丈夫です」


 そういわれて、殺気を治めると遠くから大声が聞こえてくる。


 「いったいこれは何事なのだ!」


 どうやら誰かが通報したのだろう、遠くから衛兵が走ってくるのが見えた。


 それに気が付いたエミルがライの手を取って、走り始める。


 中心に残されたのは腰を抜かして動けないナンパをしてきた複数の男たちであった。


 しばらく走ったライ達は路地裏に少し入り込むと荒い息を整えるようにして、最初に言葉を出したのはエミルだ。


 「いやーびっくりしたな」


 息を整えながらライはエミルに言う。

  

 「びっくりしたどころじゃないよ。何であんなにケンカ腰で、しかもその恰好は」


 「ん?似合っていないか?」


 エミルはそういって自分の服装を見返す。

  

 その様子にライは戸惑いずつも口にした。


 「その、すっごく似合っている」


 意外性と言えばユレイヌがメイド服から私服に変わった時にインパクトを受けたが、今回はいつも王女としてのドレスを着ていたエミルがメイドを服を来ているのを見るとすごく新鮮でドキドキしていた。


 ライが似合っていうと、エミルは満面の笑みを浮かべてうなずいていた。



 「うむ!どうやらこれを着てきて正解だったな!」


 上機嫌になったエミルを見てライはため息をつきつつも苦笑する。まあ、いろいろ面倒事があったが別にいいかと思ったのだ。今回の目的はデート、フィルの時も感じたが相手が喜んでくれたのならいいと考えた。


 でも


 とここでライは先ほどのことを思い出していた。さっきは考えないようにしていたけどまさかエミルにご主人様と言われる日が来るとは。


 似合っているといわれて喜んでいたエミルだったが、ライの表情を見て察すると何かいたずらを考えたような表情を浮かべライに言ってくる。


 「さあ、ではデートに行きましょうか。ご主人様?」


 「いっ!?」


 「どうしたのですか?ご主人様。早くいかないと時間が無くなってしまいますよ?ご主人様?」


 わざとらしくご主人様という言葉を強調するエミル。


 それを聞いて顔に出ていたのだろうかと慌てるライ。


 エミルはその表情を見て、満足そうにするとライの腕を胸に抱くようにして抱き着く。


 「さあ、早くいきましょう?」


 今のエミルは完全にメイド気分であった。普段緊張感を持って、王女としての威厳をもたないといけないエミル。


 でも今このときメイド服を着ているときは、一人のメイドとして振舞っても問題はない。しかも誰かをご主人様と呼ぶ王女がいるなど誰も思わないだろう。


 腕を取られたのと、ご主人様と言われたこと、そのことを思い出していたことをばれたと分かったことがわかり、顔を赤くしているライ。


 エミルはその表情を見るとうれしくなり、寄り添うようにライを誘導しながら歩いて行った。


 それからエミルは終始満面の笑みを浮かべデートを楽しむのであった。


 だけど、時間は無限ではなく有限だ。


 一時の楽しさがあったとしても、いつかは終わる。


 そして、次にやってくるのは希望か、絶望か、楽しさか苦しみか。


 その知らせを持った一人の兵士がまたがる馬が、この日の夜に王城へと駆け込んでくるのであった。

 


 


どうもいかがでしたでしょうか、前書きにも言った通り本当にデートプランを考えるのは難しいです。

思ったよりも長くなりまさか戦闘以外で約一万文字も書くなんて想像もしておりませんでした……。

ですが、書いてて面白いことは面白かったです。

次回予告ですが、さてどうしましょうと言いつつ、またライは戦場に赴くことになるでしょう。

ですが、ちょっとした変化はあります。たとえば誰がついていくとか。。。w

と、こっそりと何かを言いつつ終わりたいと思います。

では、また明日更新しますのでよろしくお願いします。

お休みなさい。

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