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第四十四話 つかの間の休日

こんばんわ、今日は何とか早く更新できました。ですが、明日からまた忙しくなるので更新が遅くなるかもしれません……ご了承ください。

では、本編をお楽しみください。

 目覚めてからというもの、全員に決して外に出ないようにと念を押され、ライはずっと部屋の中で退屈な日々をすごしていた。


 あの日から約三日間。ほとんどの時間を宛がわれた部屋で過ごしていた。


 外からは兵士たちの訓練している声などが聞こえる。


 普段ならば自分が率先して動かなければならないだろう。


 なので翌日と二日目にフィル達に何かすることはないかを聞いたら返ってきた返事は


 「休むことが仕事です!」


 らしかった。


 ライ的にはすでに普通の生活をするぐらいにはできると思っている。でも周りは信じてくれない。それどころか、毎日時間交代でお見舞いに来てくれていた。ただ、それがベッドから抜け出してまた無茶しないかの監視もかねているらしい。


 だけど


 「正直、退屈なんだよな」


 本音であった。休みなら休みでどこかに気分転換で出かけることもできるのに、移動できる場所はトレイぐらいだ。


 実は今誰もいない。先ほどまではフィルがいたのだがお見舞い交代|(監視)のためリエルを呼びに言っている。


 今のうちに抜け出すのも手ではある。でもその後の説教と……なきそうなリエルたちの表情を見たくはないのでやめていた。


 【ずいぶん退屈しているみたいね】


 気を使ってくれたのかエスティアが話しかけてくれた。


 「まあね。様子を見てるなら分かるだろ?」


 【そのようね。だから話しかけたわけだけど。ちょうど良いわ、少し伝えることがあるから】


 「伝えること?」


 【ええ】


 「うーん、それは別に良いけどさエスティアはこっちに姿を現せないの?」


 【あら、どうしてかしら?】


 「なんというかあっちといえばいいのかな。あっちでは何度もあったことがあるけどこっちで二人きりであったことはないからさ」


 【……そんなに二人きりで会いたいの?】


 「エスティアも言ってただろ?またあっちで会いましょうって」


 【……】


 考えるような沈黙があった後に突如ベッドの虚空に光が終結し一人に人物を体現する。


 現れたのは流れるように瑞々しい黒髪を持ち、宝石のように輝くどこまでも黒い瞳を持った少女が現れた。

 

 この人物こそ白帝の宝玉の住居人であり、俺に力を貸してくれている相棒だ。


 さて、ではなぜこのような丁寧な説明になっているのか気になる方がいるのではないだろうか。


 ではそろそろ理由を伝えよう。


 目の間にいるエスティアがなんだか奇妙な服装をしていたのだ。いつもは綺麗な黒いドレスを身にまとい、神秘的な印象を受けさせた彼女。

 

 でも今来ている服は誰がどうみても、その、メイド服だった。


 しかも、膝丈が短くあろうことかマウントポジションを取られ少女特有の柔らかい弾力を感じていた。


 突如のことで混乱に陥って言葉を失っていたが、何とかライは言葉を搾り出す。


 「エ、エスティア!?お前、確かに出て来いと入ったけどっ!なんて格好しているんだよ!?」


 思わず叫ぶと、クスクス笑いながら言ってくる。


 「なにって要望どおり来ただけだけど?」


 「来たって!何でメイド服なんだよ!」


 ライが文句を言うと、エスティアは首をかしげてスカートの裾を持ち上げる。すると必然的にまぶしいくらいの太ももが見えるのだが、それに気にした様子もなく


 「何かおかしいかしら?似合っていないの?」


 そう言われて、ライは言葉に詰まる。似合っているにあっていないで言えば、絶対に似合っているというだろう。でも、なんというかこの状況的にまずいと思うのだ。


 「んーライは王女の隣にいるメイドやドール伯爵のメイドとか助けたり、仲良かったからメイドが好きなのかなと思ったんだけど違った?」


 「俺は絶対に違う!……と思う」


 最後に小さな声で弱気になると、何が楽しいのか口に手を当ててクスクスと笑っていた。


 「ならそろそろ本題に入るわね」


 「この格好でか?」


 「ええ、この格好でいきましょう」


 どうあっても退くつもりはないらしい。ライはとりあえず諦めてチラチラと見える太ももを見ないようにして、耳を傾ける。


 「本題は、新しく手に入れた力を言えばいいかしら?あっちの世界で扉に新しく一つ窪みに宝玉がはまっていたのは見たでしょ?」


 「ああ、金色の奴だな。あれはレイン伯爵が持っていた?」


 「そうよ。名前は土帝の宝玉。魔法の属性はその名の通り土よ。能力はある程度の質量と物質を動かせるわ。そして土の形状も変化させられる。威力や汎用性は水帝の宝玉に劣るけど使い方によっては、防御力や奇襲には強いわ。もちろん攻撃力もある。水と違って質量もあるものね」


 「なるほどな。ちなみに前水帝の宝玉の使用回数を説明してくれたよな?土帝の宝玉の回数制限とかわかるのか?」


 「正確には分からないわね。名前や運用方法はわかるけど、精神力をどの程度使うのか見当もつかないわ。これは後々の訓練で調べていくしかないわね」


 「わからないのか。なら大規模なことはわかるまでは控えないといけないのか」


 水帝よりは想像では精神力を使わないように思えている。グリム伯爵と違ってレイン伯爵はあまり錯乱などをしていないからも、あまり精神力を使用しないと思っていたのだ。


 でも、これはレイン伯爵が無茶をしなかった結果かもしれないし、本当は見た目と違い精神力を多く使うのかもしれない。いざというときにそれで使い果たしてしまっては困るし、できるだけ意識を失いたくない。今回……といっても二回目だけど何回見ても目の前で泣かれるのは慣れない。


 これはこの先ずっと、慣れないものだろう。


 ならば慣れないで、そのような状況にしなければいいのだ。


 ライがそう考えていると、上に乗っかっているエスティアも言ってくる。


 「そうね、しばらくは白帝のガンドレットだけで頑張りなさい。水帝も宝玉の力も使っていいけど、その場合はゆっくり休んで精神力を回復させること。いいわね?。あと、土帝の宝玉は私も一緒につくから安心しなさい」


 「ああ、頼むよ」


 ライはそう言って、これからのことを考えようとした。


 エスティアも言いたいことは終わったのか、笑顔を見せながらかえ……りはしなかった。


 「さて、伝えることも伝えたわけだし私と少し戯れましょうか」


 「戯れるって何をだよ?」


 「さあ、この状況で何をすると思うのかしら?」


 「さ、さあな。わからないな」


 動揺を隠そうとしながらエスティアに答えるライ。


 だけど、エスティアはこちらが焦っていることが楽しいのか微笑みを受けながら体を前に押し倒してきて、顔を近づけてくる。


 「おい?やめろよ?やめてくれよ?」


 「それって振りかしら?」


 「違う!」


 と魔の手?から逃げようとしつつ体を動かそうとしても鈍っている体はいうことを聞いてくれず、エスティアにも乗られていることから移動ができない。


 「どうしたんだよエスティア!お前こんなことする奴じゃないだろ!」


 「あら、どうしてそう思うの?私はこれが素かもしれないわよ?それに……宝玉に住んでいているといっても私も女、ここまで否定すると傷つくものがあるのだけれど」


悲しそうな顔をするエスティアを見ていると罪悪感が出てくる。本来ならばここで何か言うべきなのか?



 考えに考えた末にライは


 「エスティアあの」


 言葉を伝えようとするが期待するような目でこちら見るエスティア。妙な空気が漂い始めていた。


 でもそんな空気もすぐに打ち消されることになる。誰かが扉を開けて入ってきたからだ。


 「……」


 「……」


 「……」


 入ってきたのはリエル。交代のためにこの部屋に訪れたのだろう。


 リエルとしては寝ているだろうライのそばにいけることが嬉しくて無表情な顔を、少しだけ笑みを浮かべる。今日は久しぶりに自分でクッキーを焼いてみたのだ。以前、クッキーを渡したときにも喜んでくれた。これを渡せばまた喜んでくれるかもしれない。


 そんな期待を持ちつつ扉を開けてみた光景が、エスティアが際どいメイド服を着てライに迫っているところであった。


 三者三様、今度は別の意味で緊張した空気になってしまう。


 この中で一番最初に復帰できたのはエスティアであった。


 「あら、リエルじゃない。どうしたの?そんな氷ついた感じになって」


 「……!」


 エスティアの言葉でようやく動く。リエルはすぐにベッドのそばにやってきてエスティアの方を押し始めた。どうにかしてライの上からどかせようとしているのだ。


 エスティアとしてはどうしたものか考えていた。このままずっとこの体勢でいても良いとは思う。だけどまたエンディル村のように大暴れされてライの負担を増やすわけにはいかない。釘を刺したからすぐにはしてこないだろうが、率先して原因になるのは得策ではない。


 とここで一つ妙案を思いつきエスティアの表情が笑顔になる。それを見てライはろくなことを考え付いたなと予感するが動けないので見守るしかなかったのであった。


 「ねえ、リエル。ちょっと相談があるのだけれどどうかしら?ライのことについてなんだけど」


 一生懸命エスティアを退かそう頑張っていたリエル。でも、エスティアがライ関連で相談があるというのだ、少しだけ押す力を緩めてエスティアを見る。


 リエルが聞く態度があると判断してエスティアが口走った。


 「このままライの貞操を二人で仲良くいただきましょうか?」


 「ぶっ!」


 「!?」


 突如の言葉に噴出してしまうライ。


 リエルも驚き目を見開いていた。しかし、押す力はすでになく視線を彷徨わせ動揺しているようだ。


 そこはすぐに否定してくれても良いんじゃないかとリエルに言いたかったが、そんなことよりもまずはライ自身がエスティアに抗議しなければならない。


 「エスティア!何てこと言うんだよ!」


 「あら、私は貴方の相棒なのよ?色々なお世話をすることも内容に入っているわ」


 「そんなの初めて聞いた!」


 「ええ、初めて言ったもの」


 エスティアに言っても無駄だと判断したライは次にリエルのほうを見て言う。


 「リ、リエル?もちろんお前は冗談といってくれるよな?反論してくれるよな?」


 一途の望みをかけて聞いてみるが、リエルー!なんでそんな困ったような顔をするの!いいえと反応するだけで良いんだぞ!?


 慌てるライを実ながらエスティアはよしといいつつ。


 「なら、ライの慌てる姿も見れたことだし帰るわ」


 「この空気を悪化させるだけさせて変えるのかよお前は!」


 「あら、ならこの空気を悪化させるだけさせてその先の行動もしていいの?」


 「……どうぞ今はお帰りください」


 「ええ、そうするわ。また土帝の訓練や伝えることがあったら伝えるわね。じゃあ」


 そういって、エスティアは宝玉の中に帰っていった。


 ようやく二人きりになったライとリエル。先ほどの空気を引きずりながら何か言うべきか考えていたライ。するとリエルが右腕を引いてきた。


 「ん、どうしたんだ?」


 「私も、ライにしたほうがいい?」


 「しないでいい!」


 エスティアの言葉に影響を受けまくっているリエルなのであった。


 その後、なんとかリエルを落ち着かせた後はリエルから珍しく話をしてくれる。


 「ライ」


 「さっきの話はもうだめだからな?」


 「(コク)、言いたいのは違う。これ作ってきた」


 そういって差し出されたのは袋に包まれたクッキーであった。ところどころ焦げ目がついているが、それが手作りというのが伝わってくる。


 「これをくれるのか?」


 「うん」


 そう言われて、差し出されたクッキーを一つ取り食べるライ。焦げ目があったので苦いのかと思ったが、これがすごくおいしい。甘さが口の中に広がり、その中で少しした苦味もあるがそれがまた癖になりそうだ。


 「でも、何で俺にクッキーをくれるんだ?いつも自分で食べて『誰にも』渡したことなかったはずだけど」


 ここでリエルは目を見開き驚く。まるで信じられないように動揺していた。


 「ライ、覚えてない?」


 「え?」


 「お菓子渡したの、初めてじゃない」


 今度は逆にライは驚いた。初めてじゃないだと。


 渡したことがないといわれてリエルは動揺し、胸が締め付けられるような気がした。おそらくエスティアが言っていたように記憶が改変されたんだろう。だけど自分が渡したお菓子を美味しそうに食べて、笑ってくれたことも覚えていないということになるなんて……。


 「お、おいリエル!?どうしたんだよ!何か俺が言ったのか!?」


 色々と考えていたら、突如ライが慌てた声を出していた。どうしたのかと顔を上げると、何か頬に違和感を感じた。


 「?」


 不思議に思い頬に手を当てるとそれは水滴、涙である。


 どうやら、自分の涙がいつの間にか出てライは動揺していたらしい。


 ライはリエルが突如涙を流していることに驚いて動揺していた。別に他愛のない話をしていたつもりなのに、このようになってしまったのだ。今は俺のせいなのかと聞いて否定はしているが、どうみても俺が原因だろう。


 とここで一つある可能性が浮かび上がる。


 もしかして……


 「なあ、リエル。俺はもしかしてリエルからお菓子を以前何回かもらったことがあるのか?」


 リエルは涙を拭きながら頷く。


 「そっか……」


 どうやら改変されている記憶の中にリエルからお菓子をもらったという思い出がなくなっているらしい。


 「けど、どうして忘れてんだろうな。でもこの味はもう忘れないよ。あの甘かったものよりこっちのほうが手作りの感じがして好きだな」


 ライは本心である感想をリエルに伝えたつもりだった。でもリエルはもう涙を流さずに一つの矛盾に気がつく。


 「ライ」


 「ん?」


 「あの甘かったって何?」


 「え、ああそれは……あれ、何で俺ってそんなこといったんだっけ」


 自分の記憶ではリエルからもらった記憶はない。でもならなんであのと言ったのか。普通ならあの戸は言わずにそのまま甘いクッキーと表現するはず。しかも、売られているクッキーには甘いものや甘さ控えめのものもある。なのに甘いと限定とした。


 これは完全に『何かの経験から比較』しなければ出ない言葉だ。


  「……どうやら、本当に思い出せないだけで何か頭の中には残ってるって事か」


  その言葉を聴いてリエルはいくらか希望を持つことができた。エスティアが言っていたではないか。切っ掛けがあれば思い出してくれるかもしれないと。


 それに、今思えばこれからもっと美味しいお菓子や思い出を作っていけばいいとも考え始めていた。


 今も目の前でクッキーを味わいながら食べてくれる男の子は


 「うん、やっぱり俺はこれが好きだな。美味しいよ」


 笑みを浮かべながら食べるライの性格が、すべてがなくなったわけではなく、ライはライなのだから。


 そういいながら、リエルもライにつられて笑みを浮かべながら笑っていた。



いかがでしたでしょうか。今回の話ではエスティアとリエルを出して、日常?的なことを書いてみました。

自分としては戦闘のほかにも日常のことも書く練習を兼ねてやってみたのですが、いかがでしたでしょうか?リエルとエスティアの気持ちの推移や嫉妬、甘い空気、などが伝わったらいいんですが……。少し自信がないです。

次回予告に移りますね。

次回はようやくローレンス砦お別れして、部隊を移動させようと思っています。行き先は……次のお楽しみということで。

勘がいい人は分かっているかもしれませんが。ちなみに、南ではありません!……多分?

といいつつ、ここで終わります!ではまた明日!

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