第三十九話 ローレンス、エンディルの戦い 後編ー1 (会話パート)
すみません、遅くなりました><
色々と書きたいのは山々なんですがリアルで時間がありませんので、挨拶だけといたします。
ではお楽しみください。
見事ジュナイ平原でローレンス軍約千の部隊を打ち破ったライ達は、現在陣形を建て直し第五大隊の隊長であるトムと面会していた。
「トム隊長、こちらの言葉を理解していただきありがとうございました」
まず、ライがお礼を言うとトムは笑いながら返事をしてきた。
「いえいえ、私たちは助けていただいた立場なのです。お礼を言うべきはこちら。あと、普段の話し言葉でよろしいですぞ?階級的にも軍師であるあなたが上なのですから」
「……わかった。ならこの話し方でもいいんだな?」
「それで結構。で、軍師殿。さっそくですがこれからの方針をお聞きかせくださいませんか」
トムの質問に一呼吸空けてから返事を返す。
「これから俺らはローレンス砦を強襲攻め落とす」
「策はおありなので?」
「正直正攻法しか考えてません」
「なるほど、ですが砦にいるレイン伯爵は何やら策を巡らしていた様子。砦にもいまだに二千の兵士が詰めている。半分ほどは練度が低いようですが脅威には変わらない。攻城兵器もない。そして、砦の中で噂を聞きました。部下からレイン伯爵が何やら不思議な力を使っているという噂を」
トムは、問題点を言っていく。
「それだけれはありません。我々が攻めようと強いているのは国王陛下から地位をいただいた伯爵。説明ではグリム伯爵と繋がっていたということも聞きました。ですが、下手をしたら我々が反逆扱いになってしまう。それはどうするおつもりか」
「ああ、最後の問題は心配しなくていいかな。すでに国王陛下の許可はとってある。正確にはエミ……王女エミル様の許可とも言えるが」
「確か、ライ軍師殿はエミル様の騎士でもあったのですな。ですが私がここに来る間に王都には戻れる時間はなかったはず」
「それはこれで連絡をとれたんだ」
そういって、ライは遠風の本を取り出しトムに見せる。
本を見せられたトムは最初驚くが、軍師であるならば持っていてもおかしくないと納得し頷く。
「では安心して攻めることができるのですな。なら問題もありますまいな」
「問題がない、トム隊長が言った後半部分は問題がないかもしれないけど前半部分は解決してない」
本当なら依然グリム伯爵相手に使った敗残兵に見せかけて兵士を場内に送り込むという策を使いたかったが、グリム伯爵の砦から比較的に近いローレンス砦にこちらが使った策が伝わってきてる可能性が高い。
どうやらライが水帝の宝玉と戦ったことも知っていたようだ。この策を使うにはあまりにもリスクが高かった。
だからと言って、ほかに攻略法を考えているのかと聞かれたら答えは無いだ。一応いくつか候補があるにはある。
現実なのは現在四千ほどに膨れ上がった兵力で、二千、しかも半分が報告にあった素人集団ならば力任せに押して勝てるかもしれないと考えていた。
でも、ここにも不安要素がいくつもある。一番の不安要素は宝玉の能力であった。レイン伯爵の執務室で話された宝玉の力を利用した罠があると聞いていた。あの時の雰囲気からすべてではないにしろ嘘とは判断しにくい。
「ご心配なさるな。何も私が対策していないとお思いか?」
「対策って、元は味方だったんでしょ?」
「元ですね。ただどうしても軍師殿の動き方とレイン伯爵の自慢話に疑問を感じてこちらでも砦を調べていて、一つ面白いことが判明したんです」
「面白いところ?」
「はい。それは――――――」
そのあとトムから聞いた情報はライにとってとてもありがたいものであった。
どちらにしろ最終的には数で押すことになり、被害は出たとしても無謀に突っ込んで被害を出すよりは抑えることができる。
「わかった。ならそれを利用しよう。兵の選別と人数はこちらが決めても?」
「構いませぬが、そこに私と私の部下から二名の兵士を加えていただきたい。道案内が必要でしょうからな」
「ならそれも含めて後に伝える」
「了解した、第五大隊はライ軍師の指揮下に入ります。私がいない間でも好きに兵を使っていただきたい」
それに頷いて会話は終わった。
トムが去るとライは声をだし全軍に前に進むように指示する。
ついにライ達はローレンス砦に進軍を開始したのだ。
四千の兵力に膨れ上がった行軍速度は遅くゆっくりしたものだった。ジュナイ平原の疲れもある為だ。
でもこの状況はライにとっては有難い。ジュナイ平原で使った精神力を回復させる意味もある為時間ができるのは歓迎できる。
そこに三人の人物がやってきた。
その人物はティアとリエル、フィルであった。
「ライ、これからどうするの?第五大隊の隊長と話していたみたいだけど」
ティアが話しかけてきたことで、ライは笑顔を返す。
「丁度よかった、ティアとフィルにお願いがあったんだよ。これから二人には人数を集めてほしんだ。人数を集めるに当たってほしい人材は、武力に秀でた者かな」
「ん?それは別にいいけど何やるの?」
そう聞かれたのでライはこちらの作戦を伝える。すると人を集める条件に二人とも理解でき頷く。
「わかったよ。なら今回はリエルと一緒に行動するね。リエルもいいでしょ?」
「(コク)」
「ならさっそく行ってくるね」
「ああ、リエルも頼んだぞ?」
確認をとると再びリエルは首を縦に振り、後方へと向かっていくのだった。
「あ、あの私には何かないんですか?」
とここで、一緒に来たのに何も言われなかったことが不安だったのかフィルが何か用事はないのかと言ってきた。
この作戦は正面から攻撃する攻城戦。野戦みたいに策を実行するのは少ない。しかも防御側ではなく攻撃側になるともっと選択肢は少なくなる。
さて、何かあるかなと考えたところで一つ相手を動揺させる策を思いつく先ほど思っていたこと、もし相手がグリム伯と戦った時の状況を知っているならば動揺するであろう策を。
「ならフィル。お前には戦いが始まってしばらくしたらあることをしてもらいたい」
「あることですか?」
「ああ、フィルには野戦と同じように弓兵を率いてもらうつもりだけどやってもらいたことというのは」
それからライは頼むことを話すとフィルは首をかしげる。
「それは可能ですけど、たったそれだけでいいんです?」
「そうだよ。逆に『それだけ』を必ずしてほしい。それを少なからず動揺を誘えるだろうからね」
「わかりました。お兄ちゃん」
そういってフィルは部隊後方へと向かっていく。
「……よし、誰かラッシュを呼んできてくれ」
近くにいる兵士に頼むとその兵士はすぐに走っていきすぐにラッシュを呼んできた。
「よお、何か俺にも命令をもらえるのか?」
ラッシュはライの姿を見たらすぐにそういっていた。
先ほどティアとリエルがライの元から離れてなにやらやっていたのだ。なので、自分にも命令を伝えられると思っていた。
しかし、命令を伝えるはずのライは苦笑いしながら話す。
「いや、命令には変わりないけどどちらかというとお願いの部分があるかな」
「ん?お願い?こんなときにか?」
「こんなときにこそだよ」
どんな話なんだろうか。
そう思いつつ、見ているとライは話し始めた。
「あのさ、これからのことを伝えるよ」
「戦術か」
「違う。多分十中八九はそうなると思うけど、俺が倒れたらその後を任せたいんだ」
「……」
言葉を聴いて目を鋭くし意図を問いかける。
「ラッシュも相手が宝玉の力を持っていることは知っているだろ?エスティアにも言われてるけどあまり力が使えないんだ。使いすぎたらグリム伯爵のようになってしまう。その前にエスティアが止めてくれるんだけどね」
確認は取っていないがおそらくそうしてくれるだろうと、エスティアにも聞かせるように言った。
理由を聞いたラッシュだが目線は和らげない。
「なあ、お前は国一番の知恵者で軍師で俺よりも頭が切れるんだろう。そんな奴が指揮官が倒れる危険性を知っているんだよな?」
指揮官が倒れる危険性。それは時に戦わずにして崩壊する可能性もあるのだ。戦闘中ならば尚更指揮官という人物が倒れることは厳禁である。
古来より、少数の部隊が大多数の部隊を打ち破るとき指揮官を倒すことで窮地を脱する例も多くあるのだ。
しかし、それを承知でライは頷いた。
「もちろん」
「それでもやると?」
「ああ」
ライは真剣な表情を浮かべ視線を受け止める。
ラッシュも本気なのかを確かめるように視線を向けていたが、先に折れたのはラッシュだった。
「……はぁぁ。ったくよぉ。お前がそうしないとまずいんだったら反対するわけにもいかねえじゃないか。ああ、ティアとリエルを軍から話したのもそういう理由か?」
「んー 、もちろんその理由もある。でも、あの二人が持っている能力は個人で何人もの敵を相手にできるからちょうどいいしね」
二人を遠ざけたとラッシュがいった理由は、ライが突然倒れた場合部隊を引き戻して、ライの元に駆けつける危険性があるのだ。
もちろん、あの二人が部隊を見捨てるとは思わない。でも、動きが鈍るのは間違いないだろう。
「わかったよ。お前が言いたいのは倒れた後に指揮を俺に移すってことだろ?部隊の総括をしろと」
「話が早くて助かるね」
「話は分かった。でも、これだけは約束しろ。無理はするな。倒れても死ぬな。二人……いや、今は三人か?四人か分からないが、お前のことを気にしている奴は大勢いるんだ。泣かせたら殺すからな?」
「死んだら殺すも何もないんじゃない?」
「いいや、一回生き返らして殺して、もう一度生き返らせてやる」
「無茶言うなー」
「倒れると宣言する奴よりまだマシだ。嫌なら生きて倒れろ。後は俺がどうにかしてやる。だから宝玉のほうは任せたぞ?」
「分かってる」
ラッシュも倒れるほどの力を使う理由がレイン伯爵が持っている宝玉の対抗だとわかっていた。無理をしてまでやるならば、その後詰めをしっかりしなければ自分のプライド的にも許せない。
「よし、なら俺は戻るぜ。……ああ、それともう一つ。仮に生き残ったとしても女性陣の説教は覚悟しとけよな」
「……やっぱりそうなるかな」
「バーカ、あたりまえだろうが。じゃあながんばれよ」
そういってラッシュは後方へと向かっていった。
とそこで時を見計らったようにエスティアが話しかけてくる。
【ねぇ、すこしいい?】
「どうした?」
【確認したいことがあるのだけれど、私は確かに限界が着たら精神を安定させるために意識を失わせるとあの子達、ティアとリエルに説明したわよ。でも、それがすべて正しいと気づいているのでしょ?】
「まあね」
【……】
即答で答えられてエスティアは無言になる。しかし、ライは答え合わせを聞くようにいい始めた。
「エスティアが本当に守ってくれるためにいるって言うのは信じているけど、問題は『どこで』意識を失わせるかだろ?安定させるためにとは言ったけど障害が起こらないとは明言してない。安心しなさいとティアたちには言ってたんだからさ」
【そこまで分かっているなら無理にやらなくても】
「いいや、早くやらないといけないんだ。しかも早急に終わらせないとエミルが危険だ」
【……南の動きと隣国ね?】
「そうだ。だから早く、そしてできるだけ損失がないようにしないといけない」
そこまで言って、ライは笑顔を浮かべ声を明るくし言った。
「だから、頼むよエスティア。力を貸してくれよ。相棒」
そういって、しばらくするとエスティアがため息をつきながら
【はぁ、ラッシュがため息をつきたい訳がわかったわ。でも手伝わないわけにはいかないものね。いいでしょう。私も貴方の相棒として手伝ってあげる。でも本当に危険だと思ったら意識を失わせるからそのつもりでね。了承しないなら手を貸さないわ】
「それでいいよ」
エスティアの了承を得て、後はローレンス砦に向かうだけだとライは前を向いた。
この時のライの無茶だが、選択した考えは後に大きな効果をもたらすことになる。この王国の、王家に関係してくることだ。
しかし、今のライには知る由もなかったのであった。
いかがでしたでしょうか!……すみません、攻城戦と思っていた方ごめんなさい攻城戦は次になります。
力技でやってもよかったのですが、策を持たせようと思い会話パートとしました。
次の投稿はもちろん明日になります。
その間に、ライの言葉の意味や作戦を披露いたしますのでお楽しみに。
では!また明日です。
今回文章的に短いですが申し訳ないです><




