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第三十八話 ローレンス、エンディルの戦い 中編

今度は八時半に……徐々に遅くなってきてしまっている!でも、今回は戦闘シーンで思ったより長くなったんです!申し訳ない……

では本編をお楽しみください!

 ジュナイ平原に二つの部隊が動き始めた。ライが率いる混成部隊は左右に広がり鳥が翼を広げたような形だ。この形は鶴翼の陣と呼ばれるものだ。攻撃してきた敵兵を包み込むときに最大の力を発揮し、また防御面にも優れている。


 対してトム・ジリエドが率いる部隊は頂点とした形をとり、騎兵で固めている。鋒矢の陣と呼ばれ正面に最大の攻撃力を発揮する陣だ。


 その後に第五大隊の歩兵部隊が待機している。


 さらに後方には千のローレンス伯が用意した兵士が配置されていて、槍と弓を混成させた部隊であった。


 この様子を見ていたライの陣営にいる兵士達は驚いていた。今回担当する将から敵が突撃陣形を取ると聞かされ、その場合ある特定の動きをするように言われていた。


 戦場特有の緊張感が平原に張り詰め、いつ動き始めるのかと思ったときに最初に動き始めたのはライの軍勢からの攻撃であった。


 「弓兵、放て!」


 「弓兵さん放って下さい!」


 ライの掛け声を聞いてフィルが指示をだし弓兵が矢を放つ。狙いは騎兵だ。


 それに対してトムは前線の騎兵に指示をだしていた。


 「騎兵と歩兵は身を屈め盾で矢を防ぐのだ!」


 第五大隊は指示を出されすぐに盾を前面に押し出す。


 そして騎兵に大量の弓矢が降り注いだ。中には痛みに呻き、悲鳴が上がるときもあった。しかし、それでも大した損害は出ていない。


 王国の騎兵とは騎馬にも鎧を被せ、馬に乗る人も鎧を着ているため矢は効果があまりない。もちろん、継ぎ目に刺されば怪我を負う。でも、盾を構え防いでいるのだ。即死する騎兵は一つもなかった。


 一度の弓矢攻撃が終わるとライ達の攻撃は終わり同時に、今度はローレンス伯の弓による反撃を開始する。


 「全員反逆者どもをわからせてやれ!」


 ローレンス軍側の弓兵が弓を掲げ弦を限界まで引き絞る。


 そして


 「放てぇ!」


 ローレンス軍指揮官が号令を放ち弓矢が空に放たれる。 


 「来た!全員相手から弓が飛んでくるぞ!予定通り全員身を寄せ合い盾を構えろ!」


 飛んできた弓矢を確認したライはすぐに防御を固めるように指示をする。


 直後に大量の弓矢が降り注ぐ。しかし、この攻撃では少量の被害がライのほうに出ていた。大被害にならなかったのは部隊が分散するように横に広がっていたのが大きい。


 こちらに被害が出たことが分かったのだろう。トムはすぐに指示を出す。


 「敵の陣は今の出崩れたぞ!歩兵部隊は三百ずつ左右に分かれろ!中央は騎兵が受け持つ!そこのお前、後ろの部隊の兵士だな?指揮官に伝えるんだ。これから一気に敵本陣に突撃をして粉砕する。後衛は支援を頼むと」


 「分かりました」


 ローレンス伯から隊長が監視の意味で置いていった兵士にトムは伝令を頼む。伝令を頼まれた兵士は最初は難色を示したが今のところ何も問題はなく戦いは始まったのだ。すぐに後方に向かっていった。


 しばらくして、後方からの弓矢による攻撃が収まる。今から第五大隊が突撃するときに矢が飛んでいたら、味方を巻き込む可能性があるからだ。


 「全員行くぞ!敵の本陣を突き抜けろ!左右の兵士は左翼、右翼の部隊に対して応対しつきぬけろ!」


  怯んだと判断したトムは号令をかける。


 指示を出された兵士は左右に広がり中央に力をいれて粉砕するもの。


 弓矢により攻撃を受けたライ達の混成軍は相手が突撃するそぶりを見て、左翼、右翼に応対しようと魔待ち構える。


 「相手は騎兵を中心にぶつけて来るみたいだ!あの騎兵は俺が受け持つ!左翼、右翼は正面の部隊を突き抜け攻撃を加えろ!中央部隊は騎兵が相手騎兵を俺らが突破したら後の続き攻撃、弓兵隊は即座に援護、いいな!」


 「「「「「おう!」」」」」


 矢継ぎ早に指示を出して、了解を得るとライも先頭で馬を操り突撃を開始した。左翼、右翼も少しずつ

前進して正面に走り始める。


 互いの軍の槍の切っ先、馬の蹄の音。地響き、鎧がなる金属音。この数瞬後に響くのは鉄と鉄がぶつかり合い、人の断末魔、叫び、倒れる音が鳴るのだろう。


 戦場を他の場所から見ていた人物からみても用意に思えた……そう、第三者。あのジュナイ平原中央でライがトムに伝えた言葉を知らなければ。


 騎兵と兵士達の距離がついに近づき最初のぶつかり合いが始まろうとしていたところ、突如ライとトムが大声を上げた。


 「全騎兵!俺について来い!作戦どおりにするんだ!」


 「騎兵隊!相手騎兵を気にせず右翼を走りぬけ!」


 そういって、二つの騎兵部隊はぶつかり合うことなく交差するだけで、走り抜けてしまう。


 左翼、右翼も見てみると、部隊が羽が飛び散るように部隊が分解され、四つの部隊を形成していた。その間を第五大隊の歩兵が『突き抜ける』


 ライがトムに話した最後の言葉。


 そして、なぜ戦ったこともないトムに負けましたといったのか。それはこれを実現するため。


 かつて、とあるゲームの優勝候補者がした戦術ライとイウル伯爵の『戦いの再現』だった。


 あの時ライは兵の質が劣るという不利な状況に貶められた。しかし、その時ライは鶴翼の陣を敷き羽を飛び散るように複数の部隊に分解、敵部隊の指揮系統を混乱、また中央に突出してきた敵の背後を取り、指揮官であるイウル伯爵を討ち取って勝利した。


 ここで、今回負けたといった意味が生きてくる。


 あの時、イウル伯がとった行動。それはライの陣地を強襲し勝利を収めようとしたのだ。指揮官であるライは陣地にいなかったというのに。


 では今度かつといった意味。それは、今度はこちらが中央突破をするという示唆だった。そして、戦場の再現をするという意味でもある。


 イウル伯との模擬戦は騎兵はいないが今回はある。この作戦は言葉を聴き、こちらの陣地を見てトムが気づくことが条件だったが上手く気がついてくれて、ライは安心していた。


 第五大隊とライの混成軍は交差し、後ろにいるローレンス軍に殺到しようとした。


 ローレンス軍|(これから第五大隊が抜けたのでローレンス軍で統一します)も前線で戦いが起こると考えていたらしく、驚愕していた。兵士達も動揺している。


 このまま騎兵をぶつければ勝てる。そう思った。


 でも、ライは敵指揮官の顔を見たとき嫌な予感が頭をよぎる。動揺している周りの兵たちに比べ、指揮官があまり動揺していないのだ。


 「全員俺に続け!右翼に走る!敵の弓は気にするな!」


 突如ライの指示変更で動揺する騎兵。しかし、伊達にあのラッシュとリエルと共に戦ってきたのは伊達ではない。


 乱れた戦列を戻そうとしながらライの後ろに着いていきローレンス軍の弓矢の射程ぎりぎりで右舷に突き抜けていく。


 その時、ローレンス軍のほうから声が上がった。


 「弓矢隊、土弓隊急いで撃て!」


 そういって、ローレンス軍から撃たれたのは普通の弓とそれにまぎれて土が弓矢のように鋭く尖った特別な矢だった。


 矢の半ばが木でできているのに比べ、石でできているので普通に飛ばせるとしたら貫通力、遠投力は高くなるだろう。


 ただ、そんなものを飛ばすのには普通にできるはずもない。


 ライ達の急な進路変更に異変を感じて現在遅れてきたシャル達も歩みを止めている。唯一 弓矢の部隊を率いているフィルはライの離脱支援をする為に弓を放っていた。


 完全に届かないとしても、相手から弓矢が飛んでくるというのは圧力があり敵弓兵の勢いが鈍る。


 そのおがけか見事離脱することに成功したライ。土弓により貫かれ脱落した騎兵もいた。しかし、あのまま突っ込んだよりは被害は少なかった。


 【面倒なことになったわね】


 エスティアがライに話しかけてきた。それにライも頷く。


 (考えていなかったわけじゃないけど、まさか宝玉のほかにこれほどの魔法物を揃えているとはな)


 予想していたのはイウル伯爵みたいに一定の範囲に効果を及ぼすものだと考えていたのだ。あったとしても十もないと。


 でも敵は多くの土弓を放ってきた。弓が特別なのか、それとも矢が特別なのか分からない。


 しかし、このまま無駄に突っ込んだら被害が出てくる。白帝のガンドレッドで大規模な壁を形成すれば簡単かもしれない。でもそれだと宝玉相手にきつくなるが……


 【ここで使うのも自由だけど、後がきつくなるわよ】


 エスティアも考えていることが分かっているのか注意してくる。ここで使ってしまったらほとんど宝玉が使えなくなってしまう。


 とここで、一つ考えたことが分かった。


 「エスティア!白帝のガントレッドで大きな壁を使った場合って言ったよな!でも普通に使うには余裕があるって言ってたけど正確にはどのくらいの大きさだ!」


 【大人三人分の幅くらいかしら。それならまだぎりぎり大壁を作り上げることはできるわ。昨日言った水帝の使用回数も少し回復するから大丈夫】


 「分かった!全軍、このまま右翼の部隊に向かう!俺の合図があったら敵右翼に突撃する!」


 伝令を飛ばし、伝えられれば一番良い。でも、今は騎兵の先頭にいて伝えることはできない。ティアたち隊長を信じるしかなかった。


 その時、ティアはライの動きを見て次をどうするのか考えていた。


 「いきなり進路変更してびっくりしたけど納得だよ。あのまま進んでたら弓矢の餌食になってた」


 どうやって知ったのか分からないが、あの機転がなければ被害が大きかった。


 しかし、今度はどうやって攻めるのか分からない。兵を持つ隊長が個人の最良で動かなければならなくなった。


 とここで、ライが速度を上げ右翼にいるティア達のほうに向かっていった。ここで速度を上げるとは?しかも突撃するような速度を……。


 「!?そっか!全軍今から私が号令したら全速力で走って、伝令も足が速い人が伝えて!」


 ティアはライの考えを読み動き始めた。


 でもその心配はなかったらしい。伝令を伝える前にリエル隊、ラッシュ隊、ラン隊、リューミル隊も動いてくれた!


 「ならさっさとこの戦いを終わらせるよ!」


 リエル、ラッシュ、リューミル、ライも動き始めたときフィル隊は迷っていた。


 (お兄ちゃんは多分左翼に突撃するんだと思います。でもそれだけじゃ、打撃力に欠けるかもしれない。相手に奥手があるかもしれない。もっと強い打撃力がないと)


 一体どうすれば、弓兵であるこの部隊が前に出るわけにもいかない。すぐに串刺しにされるのが落ちだ。


 一番打撃力をあげるには


 「弓兵さん!誰か火矢を打ち上げられませんか!」


 もともと用意していないのだから火矢なんて持っているはずがない。だから、この思惑が成功する最低条件は火矢を出すしかない。


 誰かもっていないか駄目もとで聞くと


 「隊長様、簡単なものですが、物に火をつける魔法道具は持ってますが」


 「!?では火矢を三本上げてください!」


 これで気づいてください!


 いきなりフィルの火矢があがり何事かと部隊隊長は考えいてた。その中で理解したのはラッシュ、リエルと部隊を率いたことのなる人物だった。


 そして、トム・ジリエドも例外ではない。


 (火矢が三本……誰がやったのかわからないがあの合図は)


 ライと交差し後方に逃げ込むことに成功したトム。そして今度は火が三本あがったのだ。もし一本ならあの部隊の合図だと思っただろう。


 しかし、三本の意味、後方予備軍に援軍を求める信号、全力攻撃の合図であった。


 そして、それは弓兵を率いる誰かがトム達に送った信号なのだろう。


 「全員聞くのだ!私達は後ろから攻撃されるかもしれない窮地からライ軍師達に助けていただいた。でも借りを作ったままで第五大隊の兵士達はいいのか!今も戦っている味方を助けないで後方で見ているだけで良いのか!、今前線で助けを求めている信号が出たのだ全員気勢を上げろ!私に続くのだ!全員突撃!」


 「「「「「おおおおおおおおおおお!」」」」」



 トム率いる第五大隊は突撃を開始した。


 後ろで大声が上がり、どうやら突撃を開始したのをライは気がつきライは中央に攻撃をするのを見て勝ちを確信した。


 【優秀な人が多いわね貴方の周りには】


 「だね、とにかく最初は俺から動かないとな!なら全員敵右翼部隊に突撃しろ!」


 右翼を走っていたライは敵右翼に突撃を開始する。当然、ローレンス軍指揮官はライ達騎兵を攻撃し始めたがあまり被害をもたらすことはできない。


 多くの矢がライたちの騎兵部隊に降り注いだのにその弓矢と土弓が空中で弾かれているのだ。でもそれだけが原因ではない。


 先ほど中央を攻撃したときとは状況が変わっている。左右中央から矢が飛んでくるのと違い、現在ライ達は端にいる状態で、右翼と中央付近の部隊からしか矢が飛んでこないのだ。ライが右翼に移動したのは降る弓矢を少なくするのと、白帝のガンドレッドの使用範囲を小さくし被害を減らす意味があったのだ。


 そして見事思惑は成功し、ライは右翼に食らいついた。


 遠距離で強さを誇っていた土弓や弓矢。


 しかし、近距離で突撃してきた勢いをもろに受けた右翼は大被害を受けていた。


 それを見た中央にいる指揮官はすぐに指示を出す。


 「くそっ!中央部隊は右翼の援護に向かえ!左翼部隊もできるだけ弓を放つのだ!」


 「し、指揮官殿!左翼に突撃してくる歩兵があります!」


 「なにぃ!」


 右翼に気をとられたと思ったら今度は左翼が動き始めた。あの進路変更はぎりぎりで行われたはず。にもかかわらず、どうしてこのような統率が取れるのか指揮官には分からなかった。


 以前イウル伯爵が感じた疑問とまったく一緒の思いを持っていたのだ。


 「なら左翼も防げ!中央部隊は左翼も援護しろ!」


 左翼と右翼を同時に攻撃され、指揮官から左翼、右翼を援護しろといわれどちらに行けばいいのか分からなくなり始めていた兵士達。指揮系統は混乱の極みになっていた。


 もしこの時点で指揮官が撤退を指示していれば何割かは逃げれていたかもしれない。


 だがすでに手遅れだった。


 混成軍の中央にいたフィルの部隊が左右に分かれ道を空けた。


 そして、後ろから騎兵が砂埃を上げて突撃してきたのだ。


 「全員このまま突撃っー!」


 先ほどまで味方だったはずの第五大隊。


 皮肉なことに元味方の部隊にやられることになる。


 「た、退却だ!たいきゃk」


 でも最後まで言うことはできない、騎兵が突撃をして中央を飲み込んだからだ。指揮官が最後に見た攻撃は突撃してきた馬に吹き飛ばされ大量の馬の蹄が自分を踏む前の光景であった。


 指揮官がやられた後の部隊ほど脆いものはない。左翼、右翼のほうも劣勢であったこともありローレンス軍は壊滅。


 初戦であるジュナイ平原での戦いはライ達混成軍の勝利で終わったのであった。


 

いかがでしたでしょうか。

いやー、今まで攻城戦や奇襲などの戦いは書きましたが完全な野戦は模擬戦を除けば初めてだったライ達です。

敵にもついに宝玉以外の魔法道具が登場してきました。この物語は軍師であるライの活躍ももちろんですが、魔法道具も特色だと思ってます。

なのにほとんど味方に集まってきてるなと思ってましたのでここら辺で出せてよかったと思っております。

もちろんこれからも出していきますのでお楽しみに!

では、本編に対しての考えは活動報告のほうで詳しく書いて(た、多分?)いきますのでよろしくお願いします!

また明日お会いいたしましょう。

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