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第二十三話 砦攻略と蒼い宝玉 後編

今日は早めに出せました。といっても執筆時間が二時間越えてたのできつかったですが;;ではでは色々ということがありますがあとがきで書いておきますので本編をお楽しみください!

 グリム伯爵により掲げられた蒼い宝玉を見てライ達はすぐに動き始めていた。


 「全員後退するんだ!同じ場所に集まれば一網打尽にされる!」


 そういって兵士たちを後ろに行くように指示する。


 こちらの動きに気が付いたのだろう。蒼い宝玉を前に突出しグリム伯が叫んだ。


 「逃がすか!行け!『水帝の宝玉』よ!目の前の敵をすべて洗い流せ!」


 すると、水帝の宝玉と呼ばれた魔法の宝玉が強く光り、圧縮された人ひとり分の大きさの塊がライたちや後ろに後退する兵達に襲いかかろうとしていた。


 そして、水の塊は激突する。


 「ヒヒヒ、アハハハハハハハ。やった、やったぞ!あの生意気な小僧を跡形もなく潰してやったのだ!」


 水が激突して激しい音を立て水しぶきが上がったことにより仕留めたと思ったのだろう。


 しかし、水しぶきが収まりあたりが見えるようになったときグリム伯の表情が変わる。


 「なぜ直撃して立っていられるのだ!しかも無傷だと!」


 直撃したと思われた水弾だったが、相手には損害を与えられていないみたいだったのだ。


 相手の水弾を受け止めたライは冷や汗をかきながら表情に出さずにグリム伯を見ていた。


 先ほどの攻撃はガントレッドの魔法により壁を出現させて防いだのだ。


 でも防いだときに頭に再び痛みが走った。しかも今度は頭だけではなくガントレッドを装備している手まで痛みを感じる始末。


 それほど高威力の攻撃なのだ。


 「おいおいおい、ちょっとこれはやべぇぞライ」


 「あの宝玉のことを知ってるのか?」


 「昔噂程度にはな。実物を見るのは初めてだ」


 「噂?」


 「尾ひれや拡張して多くの噂がある。でも、あれについてはどれもすべて最後にはこういう言葉で締めくくられるんだ


 {宝玉の魔法を持つものがいなければ、すぐに撤退すべし。でなければすべてが蹂躙され、そのあとには何も残らないだろう}


 ってな」


 宝玉の噂を聞きながらほかのことも聞きたいが、とりあえず今はやめた。


 再びグリム伯が水弾を作り始めていたからだ。


 「そうかそうか。ただのあれはまぐれだ。そうに違いない。ならもう一度やればできるのだ。絶対にそうなのだ。勝てるのだ。無敵だ、私は無敵だ」


 ブツブツと独り言を言いながら再び水弾を放ってくる。


 ライは向かってくる水弾を再度防ぐが痛みの方は先ほどよりひどくなっていた。


 【これ以上はまずいわよ】


 突如頭の中に少女の声が響き渡る。しかし、ライは気にせずに言葉だけを口にした。


 「どうやって伝えてきているのか、いったい誰なのか聞くのは後だ。話しかけてきたってことは何か言いたくて話しかけんだろ?」


 いきなり独り言を言い始めたことにティア、リエル、ラッシュは驚くが、ライが気にすることはない。


 【今までは言いたくても言えなかったというのが正しいわね。でもとりあえずそれは置いときましょう。私が伝えたいのはさっきと同じように攻撃を受けたらあなたが持たないわ】


 その声が頭に響く間も水弾はある一定の時間で襲いかかってきていた。

 

 「ならどうしろと」


 【今からあなたのガントレッドで使える機能を一つ増やすわ。ただそうすると私と話すのはまた今度になるけど・・・一つお願いしていいかしら?】


 「なにを?」


 【あの男が持っている水帝の宝玉を回収して】


 「わかった」


 【ありがとう。最後に忠告するけど新しい機能は今の精神力では一度しか使えないわ。気を付けなさい。ならまた会いましょう】


 そういうと、頭に響く声はなくなる。


「いつまでも無事だと思うな!」


 水帝の宝玉を使い攻撃してきたときに、初めてグリム伯爵は口の端を吊り上げる。


 「フフフ、そうか、お前が魔法を使っているのだな!だが小僧それには弱点がある見たいだなぁ!」


 そう言われてライは顔をしかめる。


 今までライはガントレットによる魔法は透明な壁を構築するものだった。


 イウル伯や先ほどの戦闘、弓矢による攻撃を防ぐなど色々としていたがこの壁も万能ではないのだ。


 その理由をグリムが声高々に言った。


 「お前の魔法はどうやら前にしかできないようだな!」


 そうなのだ、ライの壁は視界に見える範囲と意識を集中させた場合のみに発生する。


 なのでもし後ろからなどの不意打ちや目に見えない死角からの攻撃時には壁を発生させることはできない。相性で言えばリエルとは最悪である。目に見えないほどの速度を出されれば防ぐのは難しいのだから。


 壁を発生させる条件は、目で見え、集中し、形や大きさをイメージして初めて使用できる。


 では次になぜ相手にばれたのか。


 それはおそらく地面を流れる大量の水のせいだろう。


 水はライとグリム伯爵の間を遮るようにしてイメージした壁により左右に水は分かれている。


 しかし、もともとこの城は城門に近づくほど地面が低くなっているのか城門のほうへと水が流れている。


 その水を見ると壁のせいで水は流れるが、その水はライたちの足元を濡らしている。このことから、壁は箱のようにすべてを囲んでいるのではないとばれたのだろう。


 「っふ、それが分かれば簡単なことだ小僧!お前が防げないほどの攻撃をすればいいだけの話だ!」


 今度は水弾を作るのではなく、文字通り津波を思わせるほどの波を発生させた。これには仮に壁を発せさせたとしても、壁を分け隔てライ達をすべて洗い流す結果になる。その時に壁に激突して死ぬか、圧力で死ぬかになってしまう。


 ライは一度だけ後ろを振り返る。兵士達が今どうしているかを確認したのだ。すると邪魔になると判断したのか、それともグリム伯が操る水帝の宝玉の威力に恐怖してかすでに近くにはティア、リエル、ラッシュしかいなかった。


 「四人ぐらいだったらどうにかなるかな」


 そう呟いて、ライは意識を集中し目の前に迫り狂う津波を凝視する。


 「わはっはっは!小僧よ!そのまま死ぬがいい!」


 グリム伯が叫んだと同時に津波はライ達に襲い掛かるのだった。


 津波はライ達に襲いかかっても勢いは収まらず後ろに非難していた兵士達も飲み込んでいる。ある程度距離が離れていたおかげで圧力による死は免れたみたいだ。しかし、重い鎧を着ているにもかかわらず流され壁に激突して重傷者が多くでていた。


 壁まで津波が届くと壁に辺り地響きが起こったような音がする。でも、その後は勢いをなくしたためか緩やかに水溜りになって城門の方に流れていった。


 その後に残ったのは叩きつけられて唸っている兵士や死体、武器、防具などが散乱しているだけの状態だ。


 運よく免れた城門外の兵士達も最初は驚いていたが、すぐに味方の救出を開始していた。


 「ふん、無能な兵士がなにやらしておるわ。残らず消し飛ばしてくれよう」


 宝玉を前に突き出して水弾を飛ばそうとしたときに、声が上がった。


 「それは少し待ってもらおうかな?」


 「なっ!」


 声がしたほうを見ると、なんと死んだはずの、津波に飲み込まれたはずのライが生きていたのだ。


 「一体どうやって!」


 いくら壁を正面に置いたとしても津波を防げるはずがない。後ろにいるライ達がたっていることなど。


 だがここで一つグリム伯は疑問を感じる。


 もし壁を発生させたなら津波に当たったとき少なくとも衝撃なり音、水柱があがってもおかしくない。水弾が当たったときもそうだったのだから。

 

 しかし、今回は何もなかった。一体どういう。


 「説明するのはやめとく。時間がないんでね」


 グリム伯がライに視線を向けると確かにライの顔色は悪く、肩で息をしているようだった。それを心配そうにしている仲間に支えられている。


 その表情を見てまったくの無傷ではないと判断する。未だにどういった手段で防いだのか分からないが、今の相手なら水弾を何発か打てば倒せるだろう。


 「ふん、ならこれで終わらせてくれよう!時間なんて数瞬もあれば十分だ!」


 そういいながらグリム伯は水弾を放ってくる。


 それを見てライは笑った。


 「よかったよ。お前が馬鹿で」


 ライはガントレットを右手だけ前に突き出し一言呟いた。


 「これで終わりだ」


 そういったとたん、信じられないことにライの腕からグリム伯が飛ばした水弾よりも大きい水弾を打ち出したのだ。


 「なんだとぉ!」


 空中に離れた水弾は数発ぶつかり合い、ぶつかった衝撃で水が飛び散っていた。そんな中、ライが飛ばした二つの水弾がグリム伯の近くの壁にぶつかり衝撃が走る。


 「ぐがぼるえ」


 大量の水が降り注いだからだろう。衝撃と水による呼吸困難で声にならない悲鳴をあげて階段から転げ落ちていた。


 転げ落ちたグリム伯は運よく意識を手放すことはなく手に水帝の宝玉を握っていることを確認して、再びライ達に攻撃しようとした。


 でも、次の瞬間グリム伯はこのまま意識を失っていればと後悔することになる。


 念じたにもかかわらず、水弾が形成されることはなかった。


 壊れてしまったのかと宝玉を見ようとするが、突き出していたはずの宝玉がどこにも見当たらない。


 一体どこにと考えたところで違和感に気がつく。


 宝玉だけが無くなったらまだしも腕も見えないのだ。


 そう考えたせつな右腕に激痛が走り理由をしった。


 「う、腕があああああああああ!私の、私の!」


 そう、いつの間にか腕が地面に落ちていたのだ。なぜと思ったときに目の前に一人の人物が立っていた。


 「・・・・・・!」


 そこには銀色の髪をした少女、リエルが立っていたのだ。


 いつもは小動物のようにクリクリとした目には、今は怒りで染まっており冷徹な瞳を向けている。いつもの彼女には信じられない表情だ。


 リエルは味方をも巻き込んで攻撃したことやエンリデンヌにいるジュリエに脅迫するために、妹を人質に取ったこと。


 そして何よりライを苦しめたことが許せなかったのだ。


 この二対の剣で首を斬ろうと手を動かそうとしたところで後ろから声がかけられる。


 「まって、リエル。まだ殺しちゃダメだ」


 声をかけてきたのはライだった。


 リエルが振り向くとそこには、つらそうに肩で息をしておりティアに支えながらのらいがいた。


 リエルは視線でなぜと問いかける。


 「まだその人には聞きたいことがある。だから殺すな」


 そう言われてリエルは頷き剣を鞘に収める。


 「ありがとう」


 そういってリエルにライはお礼を言ってから


 「あともう一つ水帝の宝玉を回収してて。後で渡してほしいんだ。それはリエルに任せるよ。ラッシュは兵士と敵兵の手当てと戦後処理、ドール伯への連絡を」


 「わかった」


 「じゃあ、ティアは城内の探索を頼むよ」


 そういって、ある程度指示を出してからライはティアの支えをはずして立ち上がろうとした。


 「あ・・・・れ?」


 でも立ち上がることはできなかった。ゆっくりと体が倒れていき次には、地面にまだある水溜りが視界の近くにある。どうやら自分の体が横になったらしい。


 周りに少しだけ視線をやると、ティア達がなにやら叫んでいるが声だけで内容は分からない。


 しかしそれも徐々に聞こえなくなっていき視界も暗くなっていった。


 そうしてライは暗闇へと意識を手放したのであった。


 

  


どうもいかがでしたでしょうか。ついに一つの戦いには終止符が打てましたね。といっても王国全土で戦争が起こり始めているので一つのというかたった一つのというべきかもしれませんが。

それと、なんだかライの防具や頭に響いた声、水帝の宝玉に、新しく追加された機能などもここでは説明しませんでした。伏線がいっぱいだ!

このことも次の話で少しずつ回収していくつもりですのでお楽しみに。

では、また明日よろしくお願いします

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