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第二十話 戦後処理とライの心情

一話作るのに二時間掛かってます。まだはじめたばかりで遅く、早く書くためにもうちょっとなれないといけませんね。

という愚痴?を言いつつ何とか今日もだせました!隣に何本もの栄養ドリンクが並んでますけど!

では本編をお楽しみください!

 戦いを終え、ここエンリデンヌでは現在戦後処理をしていた。


 今回の戦いでエンリデンヌ防衛側の被害は死傷者百人の重症・軽症合わせて四百であった。


 この数は被害的に思ったより低かったが、理由としては相手が無謀にも正面から戦ってきたため弓による攻撃しか被害はなかったのだ。


 被害が低いといっても現在エンリデンヌが保有している純粋な兵力の一割を失っているので痛い。しかし、相手が五千で攻めてきたにしてはほぼ無傷といってもいいだろう。


 大して攻撃側の被害は甚大である。


 まず、死傷者が千以上にのぼり重傷者も同数かそれ以上いるのだ。先ほども言ったように無謀な攻撃をしたのも原因だが、本陣を守っていた兵士たちは騎兵による突撃を受け、またそのまま挟撃されたのだ。


 しかも、前からも攻撃をされ、弓からも守るすべはない。梯子を上ろうものなら無傷ではいられない。


 他の兵士たちは散り散りに逃げるか降伏していた。


 今回降伏した人数は千五百。


 エンリデンヌの防衛部隊の半数以上の数になり、全員が反乱を起そうものなら陥落の危険性もあった。


 しかし、千五百のうち七百は怪我をしており、残り無事な八百もそのような意思はなかった。


 今回の戦でグリムが自分たちを捨て駒にしか考えていない言動も聞いたものはいわずもがな、王国に弓引くということにも難色を示していたものたちが多かったのだ。


 そういう人たちを整理、けが人は治療行為をするために搬入など後衛部署は目が回るほどの忙しさだった。


 といっても前衛で戦っていたものたちも休んでいる暇はない。


 そういったものは城壁の外に出て死体の処理をしなければならない。


 何もしなければ獣や鳥が処理してくれるだろう。しかし、長い時間放置していれば疫病の原因にもなり、また死体が転がっている場所に商人たちも近寄ろうと考えないからだ。


 そうやって働いている人たちを城壁の上からライは様子をみていた。


 「・・・・・・・」


 無言で喧噪と、まだ時間がたって否からか血なまぐさい空気、鉄の匂い。ここが戦場なのだと意識せずにはいられない。


 ライは城壁から下を見るのをやめその場に座る。


 城壁の上には現在人はおらず全員が借り出されていたのだ。もし、敵が着たら危ないがこの近辺ですぐに動かすことができるのはグリム伯爵ぐらいだった。なのですぐには動かないだろう。


 なので、見張りをもしたで働かせていた。


 だから、ライが見張りのつもりで上にいたのだが真剣にするつもりはおきない。



 「俺は・・・やってしまったんだよな」


 ライが呟くやってしまったとは、人を殺す原因を作ったこと。


 もちろん後悔はしていない。相手は王国に翻意を翻したのだから、あのまま放置すれば自分についてきてくれたティアにリエル、ラッシュに被害が及ぶだろう。それだけではなく、幼馴染であるエミルにまで刃が届くのだ。


 でも・・・・


 「・・・・」


 ライはまた無言になってしまう。書物から戦争というものがどういうものか知っていた。むごたらしく死んでいく兵士、人が簡単に死に絶え血を流すことも。


 けれど知識と経験には大きな違いがある。


 知識は目を通して脳に刻み込む。


 しかし、経験はすべての五感を駆使して覚えるのだ。


 ライも目を閉じれば瞼の裏によみがえってくる。自分に馬にけられて吹き飛び、魔法防具の障壁に跳ね返り体勢を崩したところを後ろの味方である兵士たちが、馬で槍で突き刺していく光景が。


 近くにはティアも補佐としてもちろんいた。


 彼女は自分を補佐するために敵を自分の魔法武器で敵を突き刺していくのも見た。


 「けど、つらいなぁ」


 目の前で人の死を見るとどうしてもそう思ってしまう。自分の目の前以外にも策を提案したことで人は死んでいったのだ。


 戦争で人が一人も死なないということは稀である。


 そして、死ぬことの原因を作ったのはライなのだ。死傷者が百人と聞いたとき頷くだけだったが。


 正直逃げ出してきたというのが正しいかもしれない。今更ながらに痛感させられる。自分に悪意があってくる敵には容赦しない。現にライが住んでいた村で襲ってきた兵士たちにはこういう気持ちはなかった。


 けれどあの兵士たちはもう士気もなく敵指揮官に取り残された兵士。そんな兵士たちを殺すのが正しかったのか。



 ライは幾度ともなく自問自答を繰り返す。


 クイクイ


 目を閉じ壁にもたれかかっていたところでいきなり袖を引っ張られたのである。


 一体誰が?そう思って引かれた方向を見るとそこには


 「大丈夫?」


 リエルがいた。


 久方ぶりに聞いた小さな分隊長は心配そうな表情で顔を覗き込んでくる。


 ライは弱みを見せないように返答する。


 「ああ、大丈夫だ。ちょっと一人でゆっくりとしたかったんだ」

 

 そういうが、リエルはさっきより困ったような心配そうな表情をされてしまった。


 「ん?どうしたんだ?」


 「・・・表情」


 リエルの言っていることが分からずに首をかしげるとリエルは言葉を続けた。


 「ライの・・・表情。とっても、悲しそう。それに苦しそう」


 そう言われて驚く。自分の表情はそうなっているのかと。心配させないように表情をいつものようにしたつもりだったのに失敗していたらしい。


 「話、聞くよ?」


 どうやらリエルは心配になって着てくれたらしかった。しかも、相談に乗ってくれるとまでいってくれているのだ。


 「・・・・」


 「・・・・」


 ライはこのまま話してもいいものか考え無言になり、リエルは返答がないことでいつもどおり無言になっていた。


 だからだろうか、リエルはライに近づき隣に座り込んでしまった。リエルとしては、話してくれるまで動かないという意思表示だ。


 それから、ポケットから袋を取り出しその中に手を入れると一つ取り出し、差し出してきた。


 「くれるのか?」


 差し出されたのは、王都から行軍中にリエルが持参して食べていたクッキーだ。それをこちらに差し出してくれていた。


 「(コク)」


 返事の代わり頷かれてライは受け取る。


 受け取ると満足したのか過ごしだけ笑みをこぼして自分の分を食べ始めていた。


 彼女なりに励ましてくれているのだろう。まだ出会って日は浅く、リエルの性格上口数も少ないからまだお互いのことを知るには不足しているだろう。


 でも、リエルが本気で心配してくれているのは痛いほど伝わってきた。


 ライはそんなリエルの気持ちがうれしかったんだと思う。ポツリポツリと言葉を紡ぎ始めた。


 「俺はさ、昔から本を読むことが好きだったんだ」


 ライが話し始めるとリエルは食べるのをやめてこちらに視線を向けてきた。


 「それでさ、ある日ある女の子達と約束をしたんだ。誰かが困ったらその困った人を残りの二人で助けるって、だから俺は鍛錬や知識を詰め込んできた」


 一呼吸間を空けてから一気に話す。


 「詰め込んだ知識をいつ使うのか分からなかったけど自分なりには一生懸命にやってきたんだ。そして、この前の決定戦ではうまく使えてイウル伯爵にも勝てた。それで嬉しかったんだよ。自分の知識も役に立ったって。で、今回も自分の策で勝つことはできたんだ」


 「・・・模擬戦と戦争の違い?」


 どうやらライが言いたいことを理解したリエルは確認するように聞いてきた。それに対してライは苦笑しながら話す。


 「リエルの言うとおり、模擬戦は人が死なない。大して戦争は人が死ぬ。それを今回思い知ったんだよ。味方に被害およぶ危険性があったから自分にしたことに後悔はない。・・・でもどうしてもさ、思ってしまうんだ。本当によかったんだろうか。敵だけではなく味方を殺す要因を作ってしまうことに間違いはないのかってさ」


 「でも、ライが考えなければ、人はもっと死んでた」


 「そうかもね、でもそうじゃないかもしれない」


 心配してくれて、擁護してくれようとしているリエルにこのような返事をする自分もいやになっていた。


 とここで左手に柔らかく暖かい何かが触れる。


 左手を見てみるとリエルがライの左手を握ってきたのだ。そして瞳をライの瞳に固定してはずそうとはしなかった。


 一体どうしたんだと思い口を開こうと思ったところでリエルは話す。


 「私は、ライを信じる。まだ出会ってから、日は浅いけど信じる。だから、遠慮しないで命令して。私は、ライを必ず守る。そして、絶対に死なない。だから」


 そういって、もっと強く手を握ってくる。


 こんなに長く話すリエルをはじめてみて驚くが、言葉を聞いて、左手の温かさを感じて心にあった何かが少しだけ軽くなるのに気がついた。


 ライは感謝の気持ちもこめて


 「ありがとう」


 笑いかけながらリエルに御礼を言った。


 お礼を言われたリエルは、いつもどおり表情を変えていないが突然手を離し後ろを向いてしまう。


 どうしたのだろうと思うがリエルは後ろを向いたままゴソゴソとしたと思ったら、最初にもらったクッキーを取り出し、渡してきた。


 後ろを向きながら?と首を傾げつつクッキーを受け取ると


 「先に、戻る」


 そういって、リエルは走って城壁を降りていってしまった。去り際に耳が赤くなっていたのは見間違いだったのだろうか。


 しかし、すぐにそう考えるのをやめライはもう一度


 「ありがとう」


 そういってお礼を言うのだった。



 リエルにもらったクッキーをかじり空を見上げると、今度はリエルが去った反対側から人の気配がする。


 「ずっと見ていたのか?」


 そういうと、問いかけられた人物は返事の変わりに


 「ニ、ニャ~」


 猫の鳴き声をだしてきた。



 その猫は姿を現すと赤い毛並みと赤い瞳をしている。


 「盗み聞きは感心しないけど」


 そういうと、目の前の猫は人の形を取り文句を言ってくる。


 「そういわないでよ。今やっと帰ってきたばかりなんだから。本当は盗み聞きすることなんてなかったんだよ?」


 猫の姿から人の姿になったティアは抗議しながら先ほどリエルが座っていた反対側に座る。


 「ならもっと早く出てくればよかったじゃないか」


 「あんなところで出るなんてできるはずないもん」


 「もんって・・・」


 語尾にもんとつけるのは珍しいなとライが思うとティアは表情をいきなり暗くして質問してくる。


 「あのさ、ライ」


 「どうした?」


 「真剣に聞きたいんだけどさ」


 「ああ」


 「昔孤児院で約束した内容のことだけど・・・後悔してる?」


 先ほどの会話を聞いてしまったのででた質問だろう。


 ティアもライと同じ思いで鍛錬をしてきたのだ。誰かが助けを求めたとき助けられるように。


 そのために軍にも入り鍛錬をして来た。時には人を殺すことにもなり始めてのときは眠れない日々をすごした。


 でも、それは相手が敵で悪党であると思えばなんとか克服できた。


 しかしライの場合は立場が違う。


 敵を殲滅することだけではなくライの立場は味方を死地に追いやる意味にもなる。


 個人の命だけではなく多くの。


 その立場に追いやったのは孤児院で約束したあの言葉のせいであり、ティアとエミルの二人なのだ。


 不安げな視線を向けてくるティアを見てライは深呼吸した後に苦笑しながらはなした。


 「後悔はしていないよ。二人を助けるための力を実につけて、しかも権力も転がり込んできたんだからさ。ただ、まだ慣れていないからか戸惑っているだけだよ」


 リエルのときのように表情を明るくしようとするが、ティアは最初よりマシになっただけで未だになきそうな表情に見える。


 どうしたらいいのか、この幼馴染であるライをどうやったら元気付けるのか。


 そう思った瞬間ティアは行動に移していた。


 「!?」


 ライはティアの行動に驚きつつも動くことはできなかった。


 ティアはいきなりライの頭を抱え込み胸に抱いたのだ。


 驚き顔を上げようとしたライ。でもティアは静かに語りかけてくる。


 「ライ、リエルも言ったけど私もライを守るよ。それに絶対に死なない。この思いはエミルも一緒のはずだよ。立場的には直接的に助けることはできないだろうけどね。でもさ、一人で考え込むのはやめて回りにもっと愚痴を言ってもいいんだよ?」


 「だけど」


 「だけども待ったもなし。じゃないとこのまま力を入れて、窒息死させちゃうよ?」


 「はは、なんだかそれはそれで嬉しいかもな」

 

 「そんなこといわないの。死んだら私も後を追っちゃうよ?」


 「それは困る」


 「なら一緒にがんばろうよ。リエルもラッシュもエミルも力を貸してくれる。死なないように・・・潰れないように頼ってよ」


 「・・・・・」


 ライは自分でも結構弱っていたんだなと思った。でもそれを自覚してライはティアから離れる。


 「ライ?」


 いきなり動いたらいに困惑しながら、聞いてくる。


 「ティアありがとう。なんだか心が軽くなったよ。ティアとリエルのおかげでやっていけそうだ」


 そういって笑うライ、その様子を見てティアも笑う。


 「よかった~。もしこのままライが思いつめて死んじゃったらナイフを用意するの大変だったんだから」


 「って、マジで俺が死んだら死ぬきなのかよ」


 「そのつもりだけど?」


 「やめてくれ」


 「だったらライも死ななければいいんだよー」


 いつもどおりの調子に戻ったティアをしばらく見ていたが、表情を引き締め話す。


 「話を帰るけど報告はドール伯爵にした?」


 「ううん、言ったと思うけどやっと帰ってきたところだもん」


 「なら屋敷に行こうか。そこでラッシュとリエルもよんで報告を聞くよ」


 そういって歩き出し、ティアも歩き出す。


 とそこでティアは小動物のような先ほどライのことを励ましていた女のことを思い出し


 「もう一人、ライバルが現れちゃったかなー」


 そう一人呟いたがライはその言葉が届くことはなかったのであった。 

では、また明日投降できればお会いしましょう!

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