第十九話 エンリデンヌ防衛戦 後編
戦闘はやっと終わりましたね。いや、これからどうしようかなという考えで迷ってます。大学も始まって色々と忙しくなってきましたが・・・何とかがんばります!・・・栄養ドリンク買いに行きます!
二つの軍がぶつかり合い弓が互いの陣地に飛び交う。
本来弓による攻撃は城壁から撃つのがもちろん有利だ。撃つ場所が高く、壁もあり敵の弓からも身を守れることから防衛側が威力が高い攻撃をできて防ぐこともできるのだ。
だからこそ攻撃側は城を落とそうとすると三倍以上の兵力が必要となるといわれているのだ。
この戦いも例に漏れず革命軍側に被害が出始めていた。
弓兵が攻撃しているうちに歩兵が進軍していたが少なくない歩兵が倒れ、運悪ければ死に至っていた。
あちらこちらから上がる悲鳴、阿鼻叫喚。倒れうづくまる兵士もいようものなら上から降ってくる矢にやられるか、後ろから来る味方に踏み潰されて絶命するかのどちらかだった。
そんな中でも誰もその兵士を助けようとはしない。ここは戦場。少しでも油断すれば自分が同じ運命になるのだから。
だが、このような状況がいつまでも続くはずもない。上から降る矢を掻い潜りついに城壁に取り付くことに成功する。
成功した後は弓の援護を受けてはしごをかけ始めた。
しかし、これから本当の地獄が始まるのだ。
梯子をかけて兵たちは上り始めるが、上るときには完全に無防備になる。なので上からの攻撃を防ぐすべはないのだ。しかも、上の人が落ちてきたら下の兵士たちも巻き添えになっていく、二次、三次と被害が増えていく。
これは完全な消耗戦であり精神戦である。
「何をしている!敵はたったの『二千五百』しかいないのだぞ!しかも、そのうちの半数は志願兵だ!もっと隙間なく攻め陥落させろ!半日で落とすのだ!落としたものには褒章は意のままだぞ!」
後ろでグリム伯爵は兵士たちに活をいれていた。両隣には当然というばかりに貴族が鎮座している。
「愚鈍な兵士たちですがようやく城壁にたどり着いたようですな」
「まったく、まあ愚鈍な兵たちもこれだけ言えば一人の兵を道連れにすることはできるでしょう」
「ふん、そうでなくては困るがな。まあ私たちは後でゆっくりと楽しみをいただこうではないか。私は軍師とか呼ばれている小僧の隣にいた赤い髪の女が気に入っているのだ」
「では私は銀色の髪の子をいただいていいですか?」
「あ、ずるいぞお前!私こそ狙っているのだからな!」
「自由にするがいい。それに一人ではなく二人で相手すればいいのではないか?」
グリムがそういうと、貴族二人はいやらしく唇を吊り上げて笑っていた。
「だがまだ戦は終わっていないからな、念のため奥の手を使うとしよう。伝令!これから半刻たったとき合図をだすのだ。それで終わるだろう」
「はっ!了解いたしました!」
そういって貴族三人は余裕の笑みで人が現在進行形で次々と死んでいっている戦場を見ていたのだった。
場所は変わってエンリデンヌ内。ここではある部隊が二百を率いて移動していた。
外では弓が飛び交い怒号が飛び交っている。
あの一つ一つの怒号の中でどれだけの人が死んでいるのか
「・・・・・・」
そんな中、率いている部隊長であるリエルはいつもはクリクリ動いている目を鋭くし注意深く戦場となっている、城壁のほうを見ていた。
すると、空に赤い奇跡を伸ばして飛んでいく一本の弓矢が目に入る。
「・・・・!」
そして、『動き』を見つけリエルは動き出す。ある数十人から数百人単位で城壁に向かっているのだ。
長年付き合ってきている兵たちはリエルが動き出した瞬間全員が動き出す。言葉を交わさなくてもこの小さな隊長を全員信頼していた。
「全員隊長に続け!」
うおおおおおおおおおおおおお!
リエルが向かっている先に数人を発見できて隊員の一人が叫ぶ。すると全員が雄たけびを上げた。
雄たけびを上げて突っ込んでくるのに気がついたのか城壁へ上ろうをしていた部隊は驚き、歩みを止め部隊長らしき人物が話しかけて来た
「一体お前たちはなに」
しかしその男は喋ることはなかった。
いつの間にか光る二対の剣を持ったリエルによって首と胴体が永遠の別れを告げたのだから。
部隊長がいきなりやられたことに周りには動揺が走り、一瞬止まってしまった。
その一瞬の隙間があればリエルには十分だ。
「・・・・」
無言で二つの剣を操り銀色の少女が通り過ぎると近くにいた人間はすぐに屍となっていく。
まるで、これが命の取り合いではなく何かの演舞を見ているように。
敵はそう感じて恐怖していたところでさらなる絶望を味わった。
「全員を殲滅しろ!」
リエルに追いついてきた兵士たちが一斉になだれ込んできたのだ。
ただでさえ目の前にいる少女にもたついているのに、ここで攻め込まれでもしたらひとたまりもない。
「くそ!おい!ここは俺たちが食い止める!何人か城壁の上に昇って計画を実行しろ!じゃないとこの戦で生き残ってもグリム伯に殺されるぞ!」
副官と思われる人物の言葉を聴いて城壁に続く階段の近くにいた数十人が城壁を登っていく。
リエルが連れてきたのは二百人。城壁に上ろうとしていた兵士は同じく二百人。
いくらリエルが死体を量産していたとしても一瞬で全員を戦闘不能にさせるには不可能であった。
「ぐわぁ!」
でもそれは相手にしても同じだ。いくら城壁を攻めようが、数が五倍あろうがすべての兵士を釘付けにすることはできず、十数人単位で城壁に続く階段を守っていたらすぐに城壁に行くことはできないのだ。
「畜生!階段の上にも敵兵がいるぞ!」
「何をやっている!早く突破するんだ!こっちはもうほとんどもたなぞぐぎゃ」
城壁に上ろうとしている兵士に指示をしようとした副隊長。最後に見た景色は再び光る剣と銀色の髪が通り過ぎる姿だけであった。
エンリデンヌ都市内部でこのような出来事があってからしばらくして、グリム伯爵は焦り始めていた。
最初は、合図を送りすぐに城壁上に変化が訪れるだろうと思っていた。
先に色々な変装や偽装した兵装をした兵士を二百人も町にもぐりこませているのだ。
いきなり大勢の味方に見えるものに攻撃されれば、疑心暗鬼、最悪同士討ちが始まるはずだ。
でも、見る限り何もないのだ。今もこちらの兵士が必死に城壁に架けられたは梯子を上っていた。
それだけではなく、城門にも取り付けていたことから破城槌使い門を攻略しようとしている。
しかし、何も進展はない。このことに苛立ちを覚えたグリム伯は次の指示を出すのだった。
「この本陣からも兵を出して前衛の援護及び攻略に加わるのだ!数は五百を動かせ!残りの五百はそのまま待機!敵の奇襲があるかもしれない!死守するのだ!」
「了解しました!」
本陣を守る千の兵士のうち五百が前に出る。
「弓兵隊はもっとしっかりと狙え!一人が敵一人を倒せばすぐに終わることだろう!」
「で、ですがはしごに登っている味方などにあたる可能性が」
「そんなの気にするな!第一優先は攻略することだ!」
余裕がなくなってきたからだろう。グリム伯爵は怒鳴ることしかしてこない。これでは周りの士気もあがるはずがなく、弓兵を率いる隊長は疑心を持つ。
今は指示に従うしかないが反乱軍についていってよいものか考え直したほうが言いと思い始めたのだ。
「・・・・了解しました」
弓兵隊はそういって前進し弓を再び構えさせる。
「全員構え!」
「た、隊長!このままでは味方に被害が出ます!よろしいのですか!」
「グリム伯爵の命令だ」
「ですが!」
「・・・・・」
隊長は拳を握り唇を噛む。ここで攻撃をやめることもできる。
しかし、やめたらいま前線で戦っている味方は死ぬ確立が高くなるのだ。かといって、今命令を放てば何人かは確実に死ぬだろう。
「くそ!」
一度だけ隊長は悪態をついて命令をした。
「全員放てぇ!」
そういって人を殺すために千以上もの弓が空を飛び地面に、城壁に、敵兵に、味方に。無差別に突き刺さっていく。
「よしいいぞ!そのまま続けろ!」
兵士たちに決して関心がないグリム伯爵はそんなことを叫び両隣の貴族も同じようなことを叫んでいた。
命をかける兵士にとってこれほど迷惑な指揮官はいない。
と、前を見ていたグリムに慌てて兵士が走ってくる。
「グリム伯爵!緊急事態です!」
「どうしたというのだ!今私は忙しいのだぞ!」
「それどころではありません!本陣に敵部隊が西より迫ってきております!その数、約六百!騎兵もおりこちらに来ています!」
「なにぃ!」
慌てて西のほうを見るとそこには確かに騎馬隊が突撃してくる姿が見えた。
「全員的騎馬隊の前に出るのだ!なんとしても食い止めよ!」
グリム伯爵は指示をだす。その指示を聞いて動きはするが・・・動きはとても遅かった。
「ど、どうしたのだ!なぜ遅いのだ!」
そういう間にも敵本陣に敵は迫ってくる。焦りを増大させる。
「くそ!そ、そうだ!弓兵隊!全員こちらにきて敵の前に出るのだ!」
そして、この一言。絶対に言ってはいけない一言を言ってしまった。
弓兵は基本弓以外には片手剣しかもっていない。なのに相手は騎馬兵、遠まわしに死ねといわれたのだ。
それを聞いて弓兵隊の隊長はしばらく無言でいると、その後大声で指示をだす。
「現時点をもって弓兵隊は解散する!兵士たちは自分たちで決めるんだ!伯爵の指示にしたがって騎馬の前に身をさらし死ぬのもよし!ここから逃げるのもよしだ!自由にしろ!伝令は一人こちらに来い!」
弓兵隊は部隊解体を叫んだのだ。
その言葉を聴いた兵士たちは数秒、戦場という喧騒が鳴り響く中そこだけ静寂に包まれていた。でもすぐに一人が弓をすてて走り出す。
それを皮切りに弓兵隊はクモの子を散らすように逃げ始めた。
すると次に危険になるのは本陣近くにいた兵士五百だ。
この兵士たちはグリム伯爵家に長年使えており、いまだ逃亡はしていない。先代の恩を返そうと革命に手を貸すつもりだったのだ。全員が死ぬ覚悟を決めていた。
でも、人間は心を持っている。いくら恩を返す思いがあっても、あれだけ兵たちを捨て駒にしか考えていない発言をされれば士気は下がりるだろう。
「お、おのれ!おい、お前たち時間を稼ぐのだぞ!」
そういってグリム伯は背を向ける。
「お、お待ちください!グリム伯!」
「そうですぞ!待ってください!」
そして両隣の貴族も逃げ出した。
これにより本陣の兵士たちも逃げようとするがそのときにはもう遅かった。
一番近くにいた兵士は馬にけられ踏み潰されていく。あるいは飛ばされて味方にあたり人によって踏まれ絶命していく。
その上騎馬から攻撃を受け大打撃を受けていた。
もう助からない、そう思い条件反射で一番先頭にいる騎馬のうえにいながらランスを持たず、ガントレッドしかつけていない青年を狙った。
でも一つも刃が届くことはなく攻撃してきた人物たちは逆に何かの圧力に押され吹き飛び、後ろから来る馬に、兵士に倒されていくのだった。
革命軍本陣に多くの兵がいたにもかかわらずたった一度の騎兵突撃で壊滅的な損害をこうむる。
それは後ろの異変に気がつき前線で戦っていた後ろの兵士が叫んだ。
「お、おい!本陣がやられているぞ!」
「なんだと!」
「本当だ、騎兵が本陣になだれ込んで!しかも弓兵隊はすでにいないぞ!」
その情報はすぐに前線を総括している隊長にも伝わり恐怖が募った。
そこで止めというばかりに城門が開き正面から銀色の髪をした少女と体が大きい男が戦闘で兵士たちなだれ込む。
後ろからは反転してきた騎兵が突撃を開始していた。
この状況になってから数刻。
屍が数多く散乱する戦場に剣戟の音はなくなり、代わりにエンリデンヌ城壁、そして戦場の各所から勝ち鬨があがる。
こうしてエンリデンヌ防衛戦は幕を閉じた。
次の更新はがんばります。遅れたらごめんなさい。以上!




